財政(予算・公共事業) (予算案, 強行採決)
2007年03月03日 第166回 通常国会 本会議 【381】 - 討論
深夜の本会議で予算委員長解任決議案に賛成討論
2007年3月2日の午後、与野党間で合意のないまま開会された予算委員会で、2007年度予算案の採決を強行しました。
その後、与党は、本会議の開会も強行し、3日未明に、与党多数の賛成で衆議院を通過させました。与党が一方的に予算案を強行採決したのは1989年以来のことです。
野党側は、一方的な審議・採決に抗議し、金子一義予算委員長、佐藤勉総務委員長、伊藤達也財務金融委員長の解任決議案を提出しました。
佐々木憲昭議員は、このような強引なやり方に厳しく抗議し、野党側が提案した金子一義予算委員長解任決議案に、賛成の討論をおこないました。
本会議では、民主党の枝野幸男氏が金子委員長の解任決議案の趣旨説明に1時間半あまりも費やすなど、徹底抗戦の構えをアピールしていました。ところが、金子、佐藤両委員長の解任決議案をいずれも与党の反対多数で否決された3日午前2時半ごろ、なぜか、自民党と民主党が議場内で協議をはじめました。
その結果、税制改正など予算関連5法案の採決を6日に先送りする代わりに、民主党が伊藤委員長の解任決議案を撤回しました。
そのため、当初の予想より約2時間早い午前4時前に、本会議は散会しました。
議事録
○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、予算委員長金子一義君解任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
金子一義君は、予算委員長として、国民生活に重大な影響を与える2007年度総予算3案の十分な審議を保障し、円満な委員会運営を行うべき職責にありながら、昨日、与野党の合意のないまま、自民、公明両与党の要求につき従って、委員長職権で委員会を一方的に設定し、質疑続行を求める野党各党の声を無視し、2007年度総予算3案の採決を強行する暴挙を行ったものであります。
金子委員長の行為は、与野党合意に基づく円満な運営に資するべき予算委員長の職責を投げ捨て、極めて乱暴に議会制民主主義を踏みにじったものであり、断じて容認できません。委員長の資格はありません。直ちに解任することを断固として求めるものであります。
今国会、予算審議はかつてなく重要な意味を持っておりました。第一に問われたのは、格差と貧困の問題が一層深刻になっているもとで、国民生活関連予算をどう充実するかの問題であります。庶民には増税、大企業と資産家には大幅な減税を行う予算を抜本的に組み替え、貧困と格差、日本の経済社会のゆがみを是正することが重要な課題となっていたのであります。同時に、事務所費問題を初めとする政治と金の問題、さらには、安倍内閣が公然と掲げる憲法改正、イラクへの自衛隊派兵や米軍再編が重大な焦点となったのであります。
そのもとで、国会冒頭、補正予算審議の直前、柳澤厚生労働大臣の暴言が発覚しました。女性は産む機会、一人頭で頑張ってもらうしかないという柳澤発言は、女性の人格と尊厳を踏みにじり、少子化の責任を女性だけに押しつけるとんでもない暴言であり、閣僚罷免を求める世論が起きたのは当然でした。安倍総理の任命責任が厳しく問われたのであります。
ところが、安倍総理は、反省していると柳澤氏をかばい続け、審議が空転するもとで、我が党は、国会の不正常な事態を打開し、すべての党が審議に参加できる条件をつくるべきだと主張しました。ところが、金子委員長は、その努力を全く放棄し、自民、公明両党とともに一方的に与党単独の補正予算審議を強行し、採決まで強引に推し進めたのであります。自民、公明両党が、衆参両院の予算委員会から本会議まで、すべての補正予算審議と採決を与党だけで強行するというかつてない暴挙を行い、重大な国会の不正常な事態をつくり出しました。
その後の与野党協議によって、補正予算の補充質疑を行うことで予算審議が正常化いたしました。その際、金子委員長は、今後は円満な運営を行いたいと釈明したのであります。この言明を一切無視して今回強行採決に走ったものであり、金子委員長の罪は極めて重大であります。
昨日の審議を見るならば、我が党の提出した抜本的な組み替え動議を与党が賛成多数で可決したのであります。それなら、速やかに2007年度政府予算案を直ちに組み替えるべきではありませんか。(拍手)
さて、この間、予算委員会で何を協議してきたのか。私たちは、充実した予算審議とするために、十分な審議時間を確保すること、雇用労働、地域格差、政治と金などのテーマで集中審議を行うこと、御手洗日本経団連会長の参考人招致と佐田前行革担当大臣の証人喚問などについて協議を続けてきたのであります。
しかるに、与党側は、28日の与党幹事長会談で、年度内成立のため、何が何でも2日中に予算案の採決をやらなければならないと決め、それを受け、一昨日、朝の理事会から与党側は突如として締めくくり質疑、採決を主張し、金子委員長は、そうした与党の意向を唯々諾々とのみ、それまでの話し合いを一方的に打ち切り、委員会を職権で設定したのであります。
私たちは、このやり方に厳しく抗議し、白紙に戻して誠実に協議せよと求めてきました。予算委員部の調べでは、3月1日までの総予算審議時間はわずか60時間余り、例年の3分の2にすぎません。
ところが、予算委員長は一切聞く耳を持たず、昨日、委員会開会を宣言したのであります。
○議長(河野洋平君) 佐々木憲昭君、申し合わせの時間が過ぎました。結論を急いでください。
○佐々木憲昭君(続) 私たちが、こうした与野党合意のない一方的な委員会開会に厳しく抗議したのは当然であります。
私たちは、国民の期待にこたえる十分な審議を求めているのであります。審議拒否をしたのではありません。だから、昨日、私たちは、職権で一方的に設定された質疑日程を金子委員長が進めたもとで質疑通告を行い、要求大臣の出席を求めたのであります。
ところが、金子委員長と与党側は、前日に通告がなかったなどという理由にならない理由で要求大臣の出席に応じず、財務大臣の範囲での審議を強要しようとしました。その上、採決を前提にした締めくくり質疑を押しつけてきたのであります。
○議長(河野洋平君) 結論を急いでください。
○佐々木憲昭君(続) これが昨日の予算委員会の混乱に拍車をかけたのであります。
自民、公明両党と予算委員長による予算案強行採決に断固として抗議し、金子一義委員長の解任決議案に賛成をする討論を終わります。(拍手)