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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), 金権・腐敗政治, 景気回復, 平和・憲法

2004年02月12日 第159回 通常国会 予算委員会≪総括質疑≫ 【222】 - 質問

イラクへの民間技術者派遣要請を防衛庁が「口止め」/大企業は増益の一方で家計は減収/日歯・日歯連・自民党支部は事実上一体

 2004年2月12日、04年度政府予算案の審議がはじまった予算委員会で、佐々木憲昭議員が、イラク派兵にともなう民間技術者派遣について、暮らしと経済の問題について、日歯・日歯連・自民党のゆ着問題について、小泉純一郎総理に質問しました。



 佐々木議員は、防衛庁からの“口止め”要請を記した川崎重工の内部文書をもとに、イラクへの自衛隊派兵にともなって防衛庁が民間技術者の派遣要請を行い、要請した事実を口止めしていた問題を追及しました。
 石破茂防衛庁長官は、イラク占領支援のためクウェートなどに派兵されている航空自衛隊のC130輸送機の補修のため、民間企業の技術者の派遣要請を公表しないよう“口止め”していたことを事実上認めました。
 佐々木議員は、防衛庁からの“口止め”要請を記した、川崎重工の1月26日付の内部文書(『しんぶん赤旗』2月8日付報道)をもとに質問。「防衛庁が川重に対して準備要請をした」と書かれていることを示し、「派遣要請は事実か」とただしました。石破長官は「メーカーでないと直せない部分についてお願いすることは通常、ありうる」とのべました。
 さらに内部文書に、「(派遣要請が)外部に漏れぬよう細心の注意をするよう求められているが、本日、内局航空機・通電課長より、この趣旨についての再々度の念押しがあった」、その理由として「自衛隊派遣に係(かかわ)る国会審議が山場を迎えている」と記されていることを指摘。「防衛庁は公表を隠すよう、何度も念押ししたのか」と追及しました。
 石破長官は、「関係企業から防衛庁に、企業名の公表について問い合わせがあった。担当者は『当日は国会の審議中で、部内調整に時間がかかるため、すみやかに回答できない』と答えた」事実を明らかにしました。
 佐々木議員は、「民間技術者の命にかかわる重大問題を、国民にも国会にも知られないよう、こっそりやろうとしている。きわめて悪質だ」と批判しました。


 次に、佐々木議員は、7兆円国民負担増の撤回を求め質問しました。
 佐々木議員は、「(日本経済が)着実に回復している」(施政方針演説)という小泉総理の認識の是非をただしました。
 日本経団連役員を出している大企業17社の2003年3月期純利益の合計が2兆2815億円に達する一方、勤労者世帯の実年収は2000―03年で43万円以上も落ち込んでいます。佐々木氏は、この事実を指摘し、「大企業は利益を急増させているが、勤労者は収入を激減させている。あまりにも大きな落差だ」とのべました。
 小泉総理は「今のところ大企業中心ではあるが、利益も業績も上がってきた」「現時点では、まだ本格的な家計収入の増加には結びついていない」とのべ、落差拡大を否定できませんでした。
 「痛めつけられた庶民の家計を応援するのが政治の責任ではないか」。佐々木議員が、7兆円にのぼる負担増計画の一覧表を示すと、小泉総理ら閣僚が見入りました。
 小泉内閣発足後の3年間で実行済み、または決定済みの負担増総額は4兆3000億円あまり。この負担増について、小泉首相も「(負担額は)その通りだ」(昨年の衆院予算委での答弁)とのべています。
 老人医療費の改悪やサラリーマンの医療費3割負担、さらに、年金給付の引き下げ、介護保険料や雇用保険料の引き上げなどの制度改悪もありました。
 庶民増税では、酒税(発泡酒・ワイン)・たばこ税の増税が実施済み。2004―05年度にかけて、所得税・住民税の配偶者特別控除(サラリーマンの妻が対象)の廃止が決まっています。消費税の免税点の引き下げで中小・零細業者は悲鳴をあげています。
 こうした負担に加え、政府が提出した2004年度予算案では、新たに約3兆円の負担増を上乗せしようとしています。
 その中身は、厚生年金保険料率を14年間、国民年金保険料を13年間にわたって連続して引き上げ、年金給付も削減するものです。年金改悪の影響で、今後3年間で約2.5兆円の負担増がのしかかります。
 そのほか、公的年金等控除の縮小や老年者控除の廃止は、高齢者や低所得者を狙い撃ちする内容です。
 しかも、自民、公明両党は、所得税の定率減税の廃止・縮小や、07年度から「消費税増税を含めた抜本的税制改革を実現すること」(与党税制改正大綱)で合意しており、さらなる負担増を狙っています。
 第一生命研究所のリポート(2003年12月24日)でも「今回の制度改正によって国内需要の大黒柱である個人消費が景気を牽引(けんいん)することは当面考えにくく、むしろ足を引っ張る可能性も否定できない」と分析しています。
 このリポートを紹介しながら、佐々木議員は「経済政策の根本的な転換を」と負担増計画の撤回を強く求めました。


 次に、佐々木議員は、政治資金規正法違反(虚偽記載)の容疑で強制捜査を受けている日本歯科医師連盟(日歯連)の新たな疑惑を、佐々木憲昭議員が独自調査にもとづいて明らかにしました。
 佐々木議員が明らかにした疑惑は、政治資金収支報告書に記載されている日歯連から都道府県連盟への交付金額と、都道府県連盟側が受け取ったと記載されている交付・寄付金とのあいだでの、約1億4000万円にのぼるくい違いです。佐々木議員が、政治資金報告書の虚偽記載にあたるのではないかと指摘したのにたいし、法務省の樋渡利秋刑事局長は、「刑事事件としてとりあげるべき事実があれば、適切に対処する」と答えました。
 また佐々木議員は、全国の都道府県の日本歯科医師会、日歯連、日歯自民党支部の代表者、会計責任者、住所を調査し、3つの組織が事実上一体となっている実態を明らかにしました。
 日歯連は、自民党の最大のスポンサー。佐々木議員は調査と厳正な対処を求めました。佐々木議員の調査によると、日歯連は都道府県歯連に約4億5400万円を交付金として支出(2002年収支報告書)。ところが、各都道府県歯連の報告書では、日歯連からの入金は、約3億1500万円しか記載されていませんでした。
 佐々木議員は、「少なくとも政治資金報告書の虚偽記載にあたるのではないか」と述べ、調査して厳正に対処するよう要求。法務省の樋渡利秋刑事局長は「刑事事件としてとりあげるべき事実があれば、適切に対処する」と答えました。
 佐々木議員は、歯科医師会加入と同時に自動的に歯科医師連盟に加入させられ年間18億円もの日歯連会費が集められる仕組みも指摘。「あまりにも異常だと思わないのか」とただしました。
 さらに佐々木議員は、全国の都道府県の日歯と日歯連、日歯自民党支部を調べると、会長も会計責任者も住所もほとんどが同じになっていると指摘。「自民党が大衆団体を下請け化し、組織的にも一体でぐるみ選挙をしていることを証明している。このことをきちんと明らかにすることが日本の政治にとって大事だ」と強調しました。
 小泉総理は「歯科医師連盟の問題だ。会員でないから存じない」と無責任な答弁しかできませんでした。

 また、佐々木議員は、埼葛歯科医師会(埼玉)の「入会の手引き」を提示。入会の説明には政治団体への加入について書かれていないのに、入会と同時に歯科医師会会費と歯科医師連盟の会費が徴収され、巨額の資金が自動的に集まるしくみを解明しました。
 佐々木議員の調査では各都道府県の日歯、日歯連と自民党歯科医師支部の代表者と事務所の住所がすべて同じが24県で、日歯連と自民党支部の代表者と3団体の住所が同じが13都府県あるなど組織、構成人員がほぼ一体化していました。
 一方でカネの流れは、自民党の吉田幸弘前衆院議員(愛知3区)の場合、日歯連から2000万円の献金を資金管理団体と政党支部で受け取ったとしながら、日歯連側の収支報告書には献金の記載がなく、政治資金規正法違反の疑いで捜査が進んでいます。
 このような金額の食い違いについて佐々木議員は、日歯連と全国の自民党歯科医師支部の収支報告書を調べた結果、日歯連側には記載がないが自民党支部の報告書には日歯連から寄付金を受けた記載がある12県の事例を指摘。逆に日歯連側に支出の記載があり自民党支部に記載がない都県は3つでした。日歯連と都道府県歯連の記載額に1億4000万円もの不一致があることも指摘しました。
 佐々木議員は「いったいこれらの資金はどこへ行ったのか、きわめて不明朗だ。自民党に直接関係するところだ」とのべ、政治資金規正法の虚偽記載にあたるのではないかと問いました。法務省の樋渡利秋刑事局長は一般論として「刑事事件として取り上げるべき事柄があれば、法と証拠に基づき適正に対処する」と答弁しました。
 日歯、日歯連、自民党支部の一体化ぶりを問題にした質問に対し、小泉総理は「歯科医師会の問題だ」と答弁したため、佐々木議員は「自民党支部と2団体の会長も会計責任者も同じ。しかも同じ事務所だ。こういうやり方で自民党の応援団をさせられている」とのべ、自民党のぐるみ選挙の実態を文書を示し明らかにしました。
 愛知県歯科医師連盟と同県歯科医師会の両会長が連名で会員にあてた文書によれば、今夏の参院選で比例代表に自民党の笹井啓史氏(新人)、愛知選挙区に大島慶久参院議員を推薦。大島氏出馬のための予備選で「支援の輪をお一人でも多く確保するため、全会員一丸となりこの予備選挙に取り組んでまいりたい」とげきを飛ばしています。
 小泉総理は「会員全部が自民党を応援していると思わない」と答弁。佐々木議員は「大衆団体を下請けに使ったぐるみ選挙は改めるべきだ」と批判しました。

※日歯連政治資金規正法違反事件=日本歯科医師会(日歯)の政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)が提出した政治資金収支報告書に虚偽記載があるとして、東京地検特捜部が2日、日歯連事務所や日歯会長でもある臼田貞夫・日歯連会長の自宅などを強制捜査。容疑は、自民党の吉田幸弘前衆院議員側に00年から02年の3年間に総額1億円を超す献金をしながら2000万円分の記載がない、という政治資金規正法違反です。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 イラクへの自衛隊派兵がわずかな審議で強行されました。日本共産党は、もちろんこれに反対であります。
 きょうは、まだ出ていない問題を取り上げたいと思います。それは、自衛隊とともに派遣される民間技術者の問題であります。
 先日、航空自衛隊のC130輸送機が愛知県の小牧基地からクウェートなどに出発をいたしました。このC130は、イラクの幾つかの空港との間で輸送を行うとされております。問題は、その輸送機の修理、維持管理、メンテナンスのために、防衛庁が民間企業に対して技術者を派遣するよう要請したということであります。
 配付をいたしました資料でありますが、これは川崎重工の広報室などが社内でやりとりをした三つの文書であります。日付は1月29日。そのうちの一つをパネルにして、わかりやすくいたしました。
 まず、こういうふうに書かれていることに注目をしたいんですけれども、防衛庁が川重に対して、この黒丸は川重なんですけれども、準備要請をしたことがある、こういうふうに書かれているわけですが、防衛庁長官、川崎重工に対して技術者の派遣の準備要請をした、このことは事実ですか。
○石破防衛庁長官 御提示の文書は民間企業内の文書でございますので、私ども、これについてコメントはいたしかねます。どのような経路で御入手になったかは存じませんが、民間企業内での文書につきまして、私ども、コメントする立場にはございません。
 このC130という飛行機が、もちろん自衛隊は自己完結性を持っておりますので、ほとんどのメンテナンスはできます。しかしながら、非常に専門的にわたる、メーカーでなければ直せないようなもの、そういうものを民間に修理をお願いするということは、これは一般的にございます。
 防衛庁が修理をお願いしたことがあるかということでございますけれども、そういうような場合もあり得るということは、これはもう通常ございますし、護衛艦をインド洋に派遣いたしましたときも、同じような件、御指摘をいただきましたが、これは契約に基づいて行うものでございまして、何ら問題になるものではございません。
○佐々木(憲)委員 今、事実上、そういう要請をすることはあり得る、これを認められたわけですが、問題なのはこういうふうに書かれていることなんですね。準備要請をしたことが外部に漏れぬよう細心の注意をすることが求められております、本日、内局航空機通電課長よりこの趣旨についての再々度の念押しがありました、遺漏なきよう重ねてお願いをいたしますと。特に、その背景は、自衛隊派遣に係る国会審議が山場を迎えていることというふうに書いているわけです。
 別な文書を見ますと、皆さんにお配りした資料の真ん中のところですが、国会審議が山場を迎えており、記事が出る可能性を1日でも後に延ばしたいと。これはとんでもない内容であります。
 防衛庁は、こういう形で民間企業に技術者の派遣を要請し、そのことが表に漏れないように、隠すようにと何度も念押しをした。こういうことをやったんですか。
○石破防衛庁長官 これは先ほどもお答えをしたことでございますが、民間企業内における文書につきまして、私どもとして、そのことにつきましてコメントをする立場にはございません。民間企業内でこういうような文書が交わされたが、それについてどうかというふうなお尋ねをいただきましても、それは、民間企業内におきましてどのような文書が交わされておるのか、私ども知る立場にはございません。
 したがいまして、このことについてはお答えをいたしかねるところでございますが、一応、念のために確認をいたしましたところ、関係企業から、防衛庁から関係企業に依頼を行ったことに関連して、依頼先の企業名の公表等についてどのような考え方であるのかとの問い合わせがあったことから、防衛庁の担当者から関係企業に対しまして、企業名の公表に関する考え方を精査する必要があること、及び、当日は国会審議中であり、部内調整にも時間がかかるということで、速やかには御回答はできないということは申し上げたと承知しております。
○佐々木(憲)委員 結局、こういうことをやっていたということを、今、事実上認めたわけですね。これは非常に私は重大だと思いますよ。国会審議が山場を迎えているからそのことを隠しておきなさいと、防衛庁がそれを指示してやらせたと。本当にこれはとんでもない話でありまして、しかも、参事官までこれに加わっている。
 これは、防衛庁のやり方というのは極めて秘密主義でありまして、これまでも、事前に報告書をつくって、治安情勢のかぎである襲撃事件をひた隠しにしていた。それだけではないんです。このように、民間技術者が派遣されるという問題についても、国民にも国会にも知られないようにこっそりやる。これは命にかかわる重大問題ですよ。そういう体質は極めて私は悪質だということを指摘しておきたいと思います。
 では、次に、経済問題についてお聞きをしたいと思います。
○笹川委員長 石破防衛庁長官、答弁してください。
○佐々木(憲)委員 何か言うことがありますか。
○石破防衛庁長官 御指名がありましたので、お答えを申し上げます。
 私どもは、極めて悪質だとも全く思っておりません。
 これは、当然のことでございますけれども、そういうものが、特に、修理が高度なものにわたる、メーカーでなければ直せないということはございます。そのようなことを隠す必要も全くございません。しかしながら、それは、企業名を公表することによりまして、企業に対して御迷惑がかかることもあるであろうということでありまして、このようなことをひた隠しにするような理由も全くございません。
 したがいまして、そのようなことが悪質であるというような決めつけは、私は甚だ心外なものだと思っております。
○佐々木(憲)委員 悪質なことは事実であります。
 大体、防衛庁は、言論統制をやって、マスコミにも実態を知らせない。これに対してもそうでしょう。マスコミの取材があっても、それに対しては隠すように、1日でも先に延ばすように、なぜかといえば、国会で審議があって、事実上大変な状況になっているから、隠せ隠せ隠せと、再々度念を押した。とんでもない話だ。
 次に、経済問題について行きたいと思います。
 小泉総理は、施政方針演説で、日本経済というのは着実に回復しております、こういうふうにおっしゃいました。
 調べてみますと、大企業の方は確かに利益が急増しております。昨年3月末の決算が一番新しいんですけれども、2兆2815億円の利益が上がっております。これは経団連の役員を出している17の企業の当期純益だけでありますけれども、問題は、その反面で、家計収入、これがこの間ずっと落ち込んでいるわけであります。これは家計調査報告から出したものでありまして、3年間で43万7千円の減少となっているわけですね。これは私は、非常に格差が拡大している、落差が非常に大きいと思うんですが、小泉総理は、この落差拡大というのは重大な問題という認識はお持ちでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 ようやく企業の業績にも明るい兆しが見えてまいりまして、今のところ大企業中心でありますが、収益も改善して、利益も上げて、業績も上がってきた。これを中小企業にも家計にも結びつけていくように、今後、今まで進めてきた改革をさらに促進していかなきゃならないと思っております。
 現時点においてまだ本格的な家計収入の増加には結びついておりませんが、今までに比べてやはり明るい兆しも見えてきたのではないかなと思っておりますので、気を緩めずに、さらによい方向に持っていくように努力していきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 大企業の利益が伸びたと。しかし、その原因は、労働者に対するリストラを徹底してやった、賃金を抑えた、そのためにこれだけ収入が減っているわけであります。また、下請中小企業も、大企業の下請単価の切り下げということで大変な被害を受けているわけであります。つまり、格差がますます拡大している中でこういうごくごく一部の大企業だけが利益をふやした、これが実態でありまして、やはりそういう格差の拡大が大変重大だという認識を私は持つべきだと思います。
 その上で、本来痛めつけられた庶民の家計をどう応援するかというのがやはり政治の責任じゃないかと思うわけでありますが、小泉内閣の3年間で大変、負担が次々とふやされまして、昨年のこの予算委員会で負担増が約4兆3千億円ということを総理自身もお認めになったわけですけれども、今審議されている来年度予算でも新たな負担増というのが計画をされているわけであります。
 ここに、この間の国民負担増の一覧表をつくってみたわけであります。本当に私はびっくりしました、こんなにたくさんあるのかと。しかし、これはまだ一部です。
 この中で、税金でいいますと、酒税、たばこ税、配偶者特別控除の廃止、老齢者控除の廃止、その上、所得税の定率減税の廃止、縮減、これも予定されている。医療では、老人医療の負担増、サラリーマンの窓口負担が2割から3割に去年なりました。介護保険料の引き上げ。雇用保険は、保険料がふえる、しかし給付は削減される。年金の負担増、厚生年金の保険料、国民年金の保険料が引き上げられる、しかし給付は物価スライドで引き下げられる。さらに、生活保護の老齢加算を廃止するなどなど、ともかく大変な種類であります。
 もちろん、その一つ一つについて政府は政府なりの理由をおっしゃるんでしょうけれども、しかし、既に4兆円を超える負担増というものが昨年決められ、その後、今はっきりしているものだけでも3兆円、合わせて7兆円を超える大変な負担増になるわけでありまして、これを見ただけでも、個人消費というものが、家計が大変な状況になるだろうというのは容易に想定されるわけです。
 総理の認識をお聞きしたいんですが、こういうことを、相当これはたくさんの負担増になりますが、個人消費に与える影響、これは非常に大きいと思いますが、消費を冷やす、そういう結果をもたらすという認識はお持ちでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 経済全体を見ると、消費は極めて重要な要素なんですが、消費だけではない、やはり財政、金融、全体を見なきゃいかぬ。
 負担負担と言われますが、これは、税負担がないと本当に負担ではないのかというと、そうでもないのであって、やはりある面におきましては、国債発行というのは、現在の負担は目に見えませんが、将来に返ってくる、これも負担なんです。医療費の自己負担が2割から3割に上がった、負担と言いますけれども、それじゃ逆に、下げたら負担がないかというと、そうじゃないんですね。では保険料を上げるのか、税金を投入するのか、診療報酬等を改善するのか、いろいろな方法があるんです。どれもこれも、ある面においては、それがふえるところにとってみれば負担である。
 私は、財政、金融、総合的に見て今の経済をどう考えるかということでありますし、今まで、確かに厳しい状況の中にも、今言ったように企業業績の改善も見えてきた。また、不良債権処理を進めていくとますます倒産がふえるぞといって批判されておりましたけれども、現実には、この十数カ月連続して倒産件数は減少しております。失業率は、このまま不良債権処理を進めていくと二けたになるんじゃないか、6%、7%になるんじゃないかと言われましたが、現実には、最近ようやく失業率も5%台を切るような状況になってまいりました。
 まだまだ厳しい状況ではございますが、私は、この極めて狭い道、財政政策においても金融政策においても、かなり限度いっぱい打っている。そういう中で、財政を膨張させないで、これだけようやく企業にも個人にもやる気が出てきたなと、その機運というものを、そういう環境を生かしていくのが政治として大事ではないか。この厳しい中にもやる気を出してきた皆さん方の意欲を支援するような形で、さらに経済というものをより強く活性化させていくのが小泉内閣の責任だと思っております。
○佐々木(憲)委員 消費だけではない、それはそうでしょう。しかし、消費は日本経済全体の6割を占める大変重要な要素であります。その消費をどんどん冷やしていったら経済全体がおかしくなるよというのは、民間の研究所でも指摘しているわけであります。
 例えば、第一生命研究所の12月のレポートによりますと、今回の制度改正によって国内需要の大黒柱である個人消費が景気を牽引することは当面考えにくく、むしろ足を引っ張る可能性も否定できないというふうに述べているわけでありまして、この個人の家計の負担増というものがどんなに日本経済を痛めつけているかということを指摘しているわけであります。
 もちろん、負担というものはどこかがやらなきゃならぬ。しかし、今のような状況を考えますと、大企業の場合は利益がどんどん伸びているけれども、例えば、先行減税で大企業の税負担は軽くなっている、法人税はこの間どんどん下がっている。そういう状況を考えると、これは非常に一方的な、国民消費を冷やす負担ばかりが続いているではないか、平等じゃないじゃないかということを私は指摘しておきたいわけでございます。
 次に、話を変えまして、政治と金をめぐる問題についてお聞きをしたいと思います。
○笹川委員長 佐々木憲昭君、言いっ放しじゃなくて、ぜひ、答弁をしたいと言っていますから。答弁権も……
○佐々木(憲)委員 いや、私は別に答弁を求めていませんから、また後の機会でやりましょう。
 総選挙の後、いろいろあちこちで選挙違反事件が発覚をしまして、自民党の衆議院議員が逮捕されたり、事情聴取などを受けております。
 ちょっと資料を配ってください。資料を皆さんに配って。
 それで、その中でも、特に日本歯科医師会の政治団体であります日本歯科医師連盟というのがあるんですね。これは日歯連。この事務所あるいは会長の自宅などが東京地検の強制捜査を受けました。直接の疑いは、政治資金規正法違反、虚偽記載ということでございます。これに関連した愛知の自民党元議員も参考人聴取されております。
 この日本歯科医師連盟というのは、自民党最大のスポンサーでございます。例えば、自民党の政治資金団体である国民政治協会に、年に4億6千万円、大変な献金。3年間ですと15億円、5年間ですと26億円、政治献金を行っております。これは、業界団体の献金としては、日本医師連盟、これを抜いて断トツの一位になっているわけですね。
 自民党総裁でもある小泉総理にお聞きしたいんですが、こういう巨額の資金をどのようにして集めているか、御存じですか。
○小泉内閣総理大臣 いや、私は会員でもありませんし、どのように集めているかは存じません。
○佐々木(憲)委員 私も驚いたんですけれども、歯科医師会に入りますと、自動的に政治連盟に加入させられているところがほとんどなんであります。
 資料を見ていただきたいんですけれども、例えば、埼葛歯科医師会の「入会希望の皆様へ」という、これは歯科医師会への入会希望の方に対して配付をしているパンフでありますし、また、これはホームページにも出ております。これを見ますと、入会手続についてという項目がありまして、歯科医師会への入会の説明があるんです。しかし、どこにも政治連盟へ加入するということについては書かれていないんですよ。
 ところが、今、資料を見ていただきたいんですけれども、「年度会費その他の負担金」という項目がありまして、その項目を見ますと、歯科医師会の会費と同時に、自動的に政治団体の連盟会費が徴収される。つまり、歯科医師会に入ると政治団体への会費が徴収される仕組みになっています。これは、埼葛歯科医師会連盟会費1万円、埼玉県歯科医師会連盟会費1万2千円、日本歯科医師会連盟会費3万5千円。つまり、歯科医師会に入ると、自動的に政治団体への会費合わせて5万7千円を払わされる。本人は政治団体に入った意識は全くない。にもかかわらず、自動的に支払う仕組みになっている。
 その次の愛知県の「会費・負担金徴収予定一覧」という表がありますが、これを見ますと、連盟会費まで含めて、同一口座に自動的に入金されるという形になっているんですね。こうして集められた資金は日歯連だけで年間17億7千万円。さらに、都道府県の連盟という資金があるわけですが、それも11億5700万円あるんです。その多くの部分が自民党に流れている。
 私は、これは余りにもおかしいのではないか、異常な資金の流れ方だと思うんですが、総理、どのようにお感じですか。
○小泉内閣総理大臣 それは、どういう状況かわかりませんし、今私は、その団体、細部について存じておりません。
○佐々木(憲)委員 これはよく調べていただきたい。
 自民党の歯科医師支部というのがありまして、党員がゼロのところが結構あるわけです。それなのに、今度は日歯連、つまり日本歯科医師連盟から、あるいは県段階の歯科医師連盟、その両方から自民党歯科医師支部というところにお金がどんと入っていくんです。党員がいないのにお金が入るんですよ。そして、それが組織活動して消えている。だれがどう使ったのか、極めて奇怪であります。
 それだけではないんです。私は、虚偽記載という問題も、最近いろいろ捜査も受けたりしているようですけれども、そういう問題もある。
 資料を見ていただきたいんですけれども、2002年の政治資金報告書、これは1年間だけですけれども、これを見ますと、日本歯科医師連盟の本部から合わせて4億5400万円が都道府県の歯科医師連盟に出ているんです。ところが、都道府県の歯科医師連盟が受け取ったと記載されている金額は3億1500万円しかありません。何と1億4千万円も開きがあるんです。これはおかしいですよ。どこに行ったんですか、これは。
 また、自民党歯科医師支部には日歯連から寄附を受けたという記載がある、ところが日歯連には支出した記載がない。12県あるんです、これが。逆に、日歯連には支出の記載があるのに自民党支部に記載がないのが三都県ある。一体これらの資金はどこに行ったのか、極めて不明朗です。これは自民党の直接関係のところですよ。
 そこで、法務省の刑事局長にお聞きしますが、少なくともこれは政治資金報告書の虚偽記載に当たると私は思うんですけれども、これは調査して、仮に法令違反があれば厳正に対処するというのは当然だと思いますが、いかがでしょうか。
○樋渡政府参考人(法務省刑事局長) お尋ねは捜査機関の活動内容にかかわる事柄でございますからお答えは差し控えさせていただきますが、あくまでも一般論として申し上げますれば、捜査機関といたしましては、刑事事件として取り上げるべき事柄があれば、厳正公平、不偏不党で、法と証拠に基づいて適切に対処をするものと承知しております。
○佐々木(憲)委員 これは厳正に調査をして対処していただきたい。
 都道府県の歯科医師会、歯科医師連盟、自民党歯科医師支部、この三つの組織というのは一体どうなっているのか。これを私は47都道府県調べてみましたら、さらに重大なことがわかりました。それは、何と、皆さんにお配りした資料を見てわかりますように、会長も三つ同じ、あるいは会計責任者も三団体同じ、住所も同じ、こういうところがほとんどであります。
 まとめてみますと、こういう結果が出るわけです。各県の歯科医師会、歯科医師連盟、自民党支部、三団体の代表者が全く同じ、事務所住所がすべて同じというのが24県。連盟、自民党支部の代表者が同じで、三つの団体の住所も同じ、これが13都府県。医師会、連盟の代表者が同じ、三団体の住所が同じ、5府県。三団体の代表者と連盟、党支部の住所が同じ、これが1県。こういう形で、ほとんどの県が、同じ人が会長を兼ね、会計責任者を兼ねている。これは余りにも異常な状況でありまして、組織も金も場所も同じだ。これ、組織としては本来別な組織なはずですけれども、こういう実態になっているわけであります。
 小泉総理、それぞれの組織の目的というのは、これは違うと思うんですね。しかし、こういう形で、人も会計責任者も住所も同じだと。これは明らかに奇妙な状況であります。総理として調べてこれを峻別するというのは当たり前じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これは日本医師会の話で、私どもが……(発言する者あり)日本歯科医師会の問題だと思うんですが、その歯科医師会の問題というのは歯科医師会じゃなきゃ御存じないんです。私どもはわからないんです。
○佐々木(憲)委員 私が指摘しているのは、自民党支部と歯科医師連盟と歯科医師会が同じだと言っているんですよ。会計責任者が、みんな一人がやっている、会長を全部一人がやっている、同じ住所、同じ事務所にある。完全に一体じゃないですか。こういうやり方で、歯科医師会に入った方々は何をさせられているかというと、結局これは自民党の応援団にさせられているわけです。
 例えば、ここにありますけれども、愛知県歯科医師連盟、それから愛知県の歯科医師会、会長は別々に一応なっています。しかし、連名で歯科医師会の会員に対して、「各地区歯科医師会に於いても一人でも多くの支援者を獲得するため、活動いただいております。」これは、大島参議院議員を推薦決定しているからやってくれと。それで、「今回の予備選挙で勝利しなければ、7月の参議院選挙に自民党公認候補として立候補することは出来ません。」「職域代表である笹井ひろふみ候補の必勝には大島参議院議員に是非勝利していただかなければなりません。」「全会員一丸となりこの予備選挙に取り組んでまいりたい」。
 これは、完全に医師会そのものが、医師会というのはいろいろな思想信条の方、政党支持の方が参加している。そこに対して特定の自民党の候補を応援するように、しかも、笹井先生の名簿の依頼が十名分来ているがもうこれ以上依頼は絶対ないかというようなことを、これは愛歯月報、愛知県歯科医師会のこの雑誌の中で歯科医師会長が、市の会長がですよ、十名の推薦依頼が来ているが、これ以上ないかと聞いているんです。それで、それ以上ありませんと。
 これは、歯科医師会そのものが完全に自民党の下請団体になっていると言わざるを得ない。これほど異常な状況というのは、私はないと思うんですね。それを、これは極めて正常だと言うんですか。
 やはり実態調べて、その癒着関係については正すというのが当たり前じゃないですか。このぐらいやれなかったら改革にならぬでしょう。総理、どうお考えですか。
○小泉内閣総理大臣 それは、歯科医師会の先生方は自民党応援する人もいっているでしょう。中には共産党を応援している人もいるでしょう。それの実態を私ども調べようがないですよ、個人の自由だから。全部が、歯科医師会の会員が全部自民党応援しているとは私は思っていませんね。
○佐々木(憲)委員 これは、小泉総理は、今は答弁に窮してそういう逃げを打っているわけですけれども、要するに、自民党がこのような大衆団体を下請として使い、組織的にもお金も一体となって、まことに驚くべきぐるみ選挙をやっている、このことをこのことは証明しているわけであります。
 私は、こういうことはきちっと改めていくということが必要だ、日本の政治にとってこの点は極めて重要だという点を指摘して、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。

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