アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), 雇用・労働 (証券優遇税制, 非正規雇用)

2009年02月24日 第171回 通常国会 財務金融委員会 【493】 - 質問

一部の富裕層に巨額減税 「証券優遇税制やめよ」/国税庁の差押え 「賃金は税金よりも優先」と与謝野大臣が答弁

 2009年2月24日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、一部の大富裕層に巨額の減税をもたたしている証券優遇税制の廃止を求めました。
 政府与党は、2009年度税制「改正」法案で、証券優遇税制を今年1月から3年延長することを盛り込んでいます。
 佐々木議員は、株式等の売却益にたいする減税によって、合計所得が100億円を超えるわずか10人に、183億円もの減税が行われている実態を紹介しました(06年)。
 また、株式配当に対する減税では、豊田章一郎トヨタ自動車名誉会長にたいし、約1億6000万円の減税がもたらされたとする試算を示しました(07年)。
 佐々木議員は、一方で賃下げや「首切り」で労働者に犠牲を押しつけながら、株主への配当だけいは増やす大企業のあり方を告発しました。
 そのうえで、このような流れを助長する「株主最優先」の証券優遇税制をやめるよう求めました。
 与謝野財務・金融・経済財政担当大臣は、「会社は株主のものだという考え方にはなじめない」と答弁し、「すべての金融所得に対して総合課税で対応することが正しいという意見が自民党内でも多い」「そういう方向で議論する」と答えました。
 同時に、「株式市場のことを考えると現在のままを維持している。いずれ税制の『抜本改革』の議論で、総合課税にすべきとう議論が強まるはず」と述べるにとどまりました。



 次に、佐々木議員は、事実上の倒産状態にある派遣会社の売掛金を、国税庁が差し押さえた問題を取り上げ、「このなかには賃金分が含まれている。労働者の命、生活を守る立場で是正せよ」と求めました。
 与謝野大臣は、労働者の賃金は税金の回収よりも優先するととの見解を示しました。
 佐々木議員は、経営不振で倒産した派遣会社にたいして、税務当局が滞納した税金を取り立てるために、同社の売掛金を差し押えた事例を示しました。
 そのうえで「派遣会社の売掛金には、同社が労働者に支払うべき賃金が含まれている」と指摘し、「税金よりも賃金の支払いを優先すべきだ」と主張しました。
 与謝野大臣は「私が弁護士なら、労働債権をまとめて回収し、租税債権より先取特権があることを主張する」と、税金の回収よりも労働者の賃金支払いが優先するとの考えを示し、その立場で行政も柔軟に対応すべきだと答えました。
 また、佐々木議員は、企業が倒産した際の「未払い賃金の立て替え制度」について、経産の基準が狭すぎたり、支払いまでに時間がかかる問題について、労働者の生活を守る立場で「改善を」求めました。
 これにたいし、厚労省の渡延忠官房審議官は「対象賃金には、超過勤務手当も対象になる」と答え、時間がかかる問題についても「早期実施について強力に取り組む」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず大臣に、今の日本の企業、とりわけ大手企業のあり方について御認識を伺いたいと思います。
 まず、配付した資料を見ていただきたいんですが、一番最初のページにグラフがあります。このグラフを見て明らかなように、東証一部上場の全産業の配当金総額でございます。
 つい最近の数年間、この配当が急増しているわけであります。例えば2001年の3月、この段階では2兆1988億円、それが2008年の3月には5兆5316億円と、2・5倍になっているわけです。小泉内閣が成立して以後、とりわけこの配当だけが非常に急増しているわけです。同時に、大手企業の役員給与、賞与、これを見ましても、二倍ぐらいにふえているわけであります。その一方で、労働者に対する賃金ということで見ますと、この統計には載せておりませんが、マイナスが続いてきたわけですね。
 どうも日本の大手企業というのは、働いている労働者あるいは下請にかなりしわ寄せをした上で利益を上げて、その利益のかなりの部分が株主に配当されている、こういうのが実態だろうと思うんです。
 そこで、最近の、景気が非常に落ち込んできた、こういう中で企業がとっている行動は、派遣切りということを見てもわかりますように、ともかく労働者に対しては徹底した労務費の削減、賃金のカットということを優先して行い、他方で、株主に対する配当はどうか。つい最近の報道によりますと、上場企業の3社に2社が横ばいまたは増配という状況なんですね。総額で見ても、9%ぐらいしかこの3月期決算では減らないのではないか、こういう状況です。
 つまり、今の大企業の企業のあり方として、株主だけが最優先されて、働く者には非常に厳しい状況が押しつけられている。この状況について、与謝野大臣自身、これが真っ当なものであるというふうに御認識なのか、あるいは別な考えをお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○与謝野財務・金融担当大臣 一時期、会社は株主のものという誤った考え方が広まりまして、私は、会社のステークホルダーというのは株主だけではなくて、やはりそこの従業員、経営者、お得意様、下請、こういうのがいわば会社のステークホルダーであって、株主もステークホルダーのうちの一人ですけれども、会社は株主のもの、そういう考え方は私にはとてもなじめない考え方であったわけです。
○佐々木(憲)委員 ただ、これまで構造改革路線で株主への配当をふやすということを最優先するような経営が行われ、かつ、それを側面から応援する、そういう政治が私は続いてきたと思います。その結果が今のこの事態だと思うんですね。
 そこで重大なのは、しかもその上に、その株主への配当あるいは売買益に対する税金が、大幅に減税が行われてきた。こういう事態は、ますますこの状況を加速するものであるというふうに私は思うんです。
 本来、政府税調が今まで、例えば2006年12月の答申によりますと、株式等の保有状況を配慮しつつ、公平性の観点にも留意する必要がある、こう言って、上場株式等の配当や譲渡益の優遇措置については、金融所得課税の一体化の方向に沿って、期限到来とともに廃止し、つまり減税措置はやめて、簡素でわかりやすい制度とすべきだと。このことについては、次の年の2007年11月の政府税調の答申でも、昨年の答申の方向に沿って対応すべきであると。
 ところが実際には、これは実行されておりません。廃止しないで減税がずっと続いてきているわけです。しかも今度、政府の提案ではまたこれを3年続けると。
 これはちょっとやり方としては、株主優遇、今の大企業のあり方というものを問題だという発言をされましたけれども、この制度を今回続けるというのは、私はおかしいんじゃないかと思うんです。やはり見直すというのが基本でなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
○与謝野財務・金融担当大臣 金融に対する課税は、やはり金融商品にかかわらず一律であるべきであるという筋論があります。
 私は、おととしの暮れは自民党税調の小委員長をやっていて、株式の売買益に対する課税、臨時的に10%にしておくというのは、他の金融商品に比べて優遇が少し過ぎるのではないか、そう考えて、少しずつ直そうということにしたわけです。あのとき、よく覚えておりませんけれども、1年でぱたっと直すとショックが大きいので、何段階かに分けて直そうということでしたけれども。
 また、去年になりまして、株価の下落で、やはりもとの10%にとりあえず戻しておかないと、相場に対する影響が大き過ぎるという意見が党内で強くなって10%ということになりましたけれども、いずれは、やはり金融商品については同じ税率をかけるべきだという筋論は私は正しいと思っております。
○佐々木(憲)委員 例えば、預金の利子については20%なんですよね。株主の配当は10%なんですね。しかも、いろいろな理由をつけてそれを延長する。これは税収だって落ちるわけです。
 実際にこの減税で、例えば株主配当に対する減税、それから譲渡益課税の減税、これは今まで、年間どのぐらいの減税になりましたか。
○与謝野財務・金融担当大臣 上場株式等の配当に係る軽減税率による減収見込み額について、平成20年度予算ベースで、国税、地方税合わせて平年度3800億円程度でございます。
 一方、株式譲渡益については、株価の動向等に直接影響を受け、また、株式の運用者がいつ譲渡を行うか事前に見込みを立てることが難しいという事情があることから、従来より増減収の見込みを行っていないということを御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 我々の試算では、兆円単位の譲渡益減税が行われていると思います。しかも、株の保有が一部の大資産家に偏っておりまして、そこに大規模な減税が行われている。
 例えば我々の試算では、お配りした資料を見ていただきたいんですが、申告納税者数でいいますと、これは約10人ぐらいだろうと。合計所得階級でいうと100億円を超えるこの方々の譲渡所得は、1832億円。これは減税額にしますと、10%の減税ですから183億円の減税である。十人に対してですよ。したがって、一人当たり18億円を超える減税が行われているわけです。
 こういうことを見ましても、いわば特定の大資産家、大株主に対する減税、これは余りにも極端過ぎると私は思います。
 下を見てみますと、具体的な名前も出しておりますが、例えばトヨタ自動車名誉会長、配当が15・6億円。寝ていても配当ががっぽり入ってきて、この方に1億5646万円の減税です。今、社長は豊田章男さんですが、この方と合わせますと22億円の配当があり、減税だけで2億円を超えるわけです。一方で、このトヨタ自動車は、大変な派遣切りを初めとして、今公表されているだけでも1万7千人の人減らしが行われているわけですね。
 こういう状況を見ますと、これは非常に極端な事態ではないのか。同じ資本主義でも、もっとありようがあるのではないか。格差がこれほど広がっているときに、こういう方々への減税を、一般庶民が、利子がほとんどつかないけれども税金は20%取られる、そういう中で、こういう方々になぜこんなに減税をしなければならぬのか。これが我々根本的に疑問に思うわけです。
 大臣、どのようにお感じでしょう。
○与謝野財務・金融担当大臣 多くの方がやはり、金融所得に関しても総合課税にしろという意見も多いわけでございますけれども、市場の動向とかそういうことを考えるとなかなかそこまで踏み切れない、それが自民党の中の税制に関する議論の歴史だと私は思っております。
 ただ、非常に多くの方がやはり、公平という観点から考えれば、すべての金融所得に対して総合課税でもって対応するということは正しい、こういう意見を言う方も党内では多い。
○佐々木(憲)委員 先ほど、配当に対する減税、これが3800億円と言われました。この配当金のいわばほんの1割程度、これを雇用に回したらどうなるのか。雇用に回しますと、約10数万人の雇用が確保できるわけです。株主に対してこれほど配当を行い、そして減税を行うというのであれば、ほんの少し、まあ1割雇用に回せば、今の派遣切りなんというのは抑えられるわけですよ。本来ならばそういうふうに対応すべきだと私は思いますし、このような、もうやめようやめようと言いながらいつまでも続けるような減税、これは早くやめた方がいいということを指摘しておきたいと思います。
 しかも、私が大事だと思いますのは、資料を見ていただきたいのは、株主は一体だれなのかということなんです。今、株式の保有を見ますと、圧倒的多数は外国人です。27・6%。金融機関が22・5、事業法人が21・3、個人18・2。圧倒的に、今は外国人が日本の株を持っているわけです。
 しかも、株の売った買ったをやっているのはだれかといえば、次のページを見ていただきたいんですけれども、結局は外国人ですね。外国企業あるいは外国の投資ファンドですね。こういうところの売った買ったが全体の6割を占めているわけでございます。
 こういうことを考えますと、株主中心主義といいますか、その経済というのは、日本経済全体を非常に大きくゆがめているというふうに私は思いますので、ぜひここは是正すべきだ。いつまでも続けているこういうやり方には我々反対であります。
 大臣、そろそろ、もうやめますと言いませんか。
○与謝野財務・金融担当大臣 基本的には、総合課税にしろという方は多いですし、そういう方向で議論をしますけれども、やはり株式市場のことを考え、いろいろなことを考えますと、現在のままを今は維持しておりますけれども、いずれ、税制の抜本改革のときなどには、総合課税にすべきだという議論はもう一度非常に強くなるはずだと私は思っております。
○佐々木(憲)委員 次に、派遣会社というのがこの間非常にふえました。ふえて、今大変な派遣切りで、中小の派遣会社が倒産をするあるいは廃業に陥る、そこの派遣労働者は途端に生活に困る、こういう事態が次々と発生しております。
 これは厚労省に伺いたいんですが、企業が倒産するという場合、労働債権というのは一体どのように保障されるか。つまり賃金ですね。私は、生きていく上でこれは非常に大事なことだと思うんですけれども、この点、どういう保障をされるのか、今の体制ではどうなっているのか、お聞かせいただきたい。
○渡延政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) お答えいたします。
 労働者の賃金の保全の関係でございますが、こちらについては、倒産法制においてその順位が定められている、これは先生御承知のとおりでございます。
 そうした法律上の倒産の場合と、もう一つ、今お話がありましたとおり、事実上の倒産というケースがございます。事実上の倒産については、法律的に整理すれば任意整理という形になろうかと思いますが、その際の賃金の優先順位というのを見た場合には、例えば租税債権等に比較した場合には下位の状況にあると認識いたしております。
 これを踏まえまして、昭和51年に未払い賃金の立てかえ払い法というのが制定されております。企業の倒産によりまして、これは事実上の倒産も含みますが、賃金未払いのまま退職を余儀なくされた労働者に対しまして、一定の範囲を立てかえ払いする制度を設けております。この場合は、法律上の倒産に限らず、労働基準監督署長の認定を受けた事実上の倒産の場合も対象としておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 立てかえ払いについてはまた後でお聞きしますが、今、税金との関係というお話をされました。
 そこで大臣、税務大学校、国税庁の学校ですけれども、「国税徴収法(基礎編)平成20年度版」というのがありまして、これを見ますと、これは、税務署員に対する教育をこういう形で行っているわけです。差し押さえという問題が今あちこちで発生しておりまして、つまり、税金を滞納した場合、差し押さえをして徴収をする、このやり方が書かれているわけです。
 例えば、「差押禁止財産」というのが書かれているわけです。「この規定は、滞納者及び滞納者と生計を一にする親族の最低生活の保障、滞納者の最低限度の生業の維持及び精神的生活の安寧の尊重を図るために設けられたもの」だ、国税徴収法の75、こういうふうになっているんですね。
 それから、給与収入ですね。「給与収入は、給与生活者の生計維持に欠くことができない重要なものであるため、給与生活者の最低生活費程度に相当する金額について、差押えを禁止している。」こういうことであります。これも国税徴収法の76の1、こういうふうに紹介をされているわけです。
 それから、滞納処分の執行に支障がない限り、第三者の権利を侵害することがない財産を選択すること、こういうふうなこと。
 つまり、いろいろ法文上の問題を細かくここで問うわけではありません。法の精神として、差し押さえをするという場合、相手が生活ができないような差し押さえはしちゃいけませんよ、賃金でも、当然それは、賃金を押さえるということは禁止ですよ、そういう考え方であります。これは私は、基本的な考えとしては必要なことだと思うんですが、大臣はどのようにお感じでしょうか。
○与謝野財務・金融担当大臣 破産法一般の概念は、先生言われたとおり、相手が死んでしまうようなところまで差し押さえということはできないという一般概念があって、やはり最低生活に必要なものは残して差し押さえるというのが破産法の概念ではないか、一般論として私は思っております。
○佐々木(憲)委員 そこで、具体的な事例で紹介したいんですけれども、これは、ある京都の事例であります、あるいは彦根にもかかわる事例なんですが。
 Kという派遣会社、ここの従業員が、派遣されてTという工場で働いていた。ところが、その派遣会社の経営が行き詰まりまして、税金を滞納しました。税金を滞納しているからということで、大阪国税局が売掛金の差し押さえをやりますよ、こうなりました。
 その売掛金というのは、派遣会社にとっては、いわば派遣先から契約上もらうお金ですよね。そのお金というのは、当然労働者に支払う賃金が含まれているわけであります。これを差し押さえてしまって、全部税金で持っていきますよ、こうなりますと、働いている人は賃金を払ってもらえないんです。こういうことは、先ほどの精神からいうとやってはならないと私は思うんです。
 当然、賃金は、もう既に働いているわけですから、何をさておいても支払うべきものであって、税金は、その賃金を払った上で国としては徴収する、これが筋だと私は思うんですけれども、どのようにお感じでしょうか。
○与謝野財務・金融担当大臣 私がその方の弁護士であれば、一般的な売り掛け債権を回収したというふうには多分主張しないで、労働債権をまとめて請求しているという法理論を構成して、租税債権よりは先取特権があるんだという主張を多分すると思うんで、そこは弁護士の腕じゃないかと私は思います。
○佐々木(憲)委員 これは財務大臣の腕だと思うんですね。そういう立場でぜひやっていただきたいと私は思うんです。
 つまり、この労働者はどういう方々かといえば、ずっといわば年収200万程度の非常に低所得の方々なんですよ。ですから、貯金もほとんどありません。いきなり、もうあなた方に払う賃金はなくなりました。しかも解雇されるわけです。寮から出ていただきたい。そうなると、賃金を受け取らないまま路頭に迷うことになるわけです。そういうことをやってはならない。
 今大臣は、優秀な弁護士なら先ほどのような主張をして労働者の労働債権を守るだろう、こうおっしゃいました。やはりそういう立場で具体的な税務行政も行うべきだと私は思うわけです。
 もう一度、税務行政としても当然そういう立場でやるべきだというふうに発言をしていただければ大変ありがたいと思います。
○与謝野財務・金融担当大臣 やはり法律の適用というのは、具体的妥当性というものがないといけないんだろう。厳格に規範どおり適用するということのほかに、妥当性、例えば社会的妥当性、そういうものが法概念としては必要なんじゃないか、私は一般論としてはそういうように思っております。
○佐々木(憲)委員 大変大事な答弁だったと私は思います。
 そこで、厚労省にもう一度聞きますが、先ほど、破産手続をした会社、あるいはそれに至る前の事実上の破産状態にある会社の労働者の賃金に対して、立てかえ払いの制度がある、このようにお話がありました。ただ、立てかえ払いの場合、幾つか問題点があるわけです。
 それはどういうものかといいますと、実際の支給までに非常に時間がかかるんです。3カ月かかるということがあります。それから、支払われる賃金相当分は基本給を対象にしているものですから、支払われるのは8割といっても、非常に低い基本給で、残業によって何とか生活を維持するという状況の労働者にとっては、これではほとんど生活できない、そういう実情があります。
 したがって、この立てかえ払いという問題も、こういう制度的な問題点をもう一度、今の状況を考える、見直す必要があるんじゃないかと私は思うわけです。この点の改善の必要性、余地というものが当然あると思うんですが、どのような検討をされていますでしょうか。
○渡延政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) まず、立てかえ払いの対象となる賃金でございますが、いわゆる月次賃金でございます。これについては、超過勤務手当も当然対象となるものでございます。もちろん、今お話出ましたように、事実上の倒産の前後に超勤が行われているような景況にあるかという問題はおきまして、月次賃金プラス退職金が立てかえ払いの対象となります。
 なお、この立てかえ払いのお金につきましては、課税上の取り扱い等もございますので、課税対象の通常の賃金の場合との均衡を考慮して、8割という範囲を定めておるところでございます。
 また、冒頭御指摘のございました立てかえ払いに要する時間でございます。
 確かに、御指摘のとおり、事実上の倒産の場合は数カ月かかっておる実情があるように聞いております。厚生労働省といたしましても、現下の社会経済情勢にかんがみ、立てかえ払いの早期実施につきまして、引き続き強力に取り組んでまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 これから3月末、4月にかけまして、派遣を中心とする労働不安というのは非常に広がると思います。年越しも大変でしたけれども、年度が越せるかどうかというのが次の問題なんです。2009年問題というのがまさに今発生しつつあるわけですね。
 そういうときに、労働者の生活あるいは命をどう守るのかというのが政治の責任だというふうに私は思うわけでございます。したがいまして、財務省も金融庁も、こういう問題について、それぞれの立場から国民の暮らしを守るという視点をぜひ貫いていただきたい。税制にしても、今の状況ですと逆を行っているように私は思います。
 根本的な問題はまたいろいろと議論していきたいと思いますけれども、きょうは以上で終わらせていただきます。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる