税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業), その他 (消費税)
2009年02月20日 第171回 通常国会 財務金融委員会 【491】 - 質問
与謝野馨財務・金融・経済財政担当大臣に対し質問
2009年2月20日、財務金融委員会が開かれ、17日辞任した中川昭一前財務・金融担当大臣の後任、与謝野馨財務・金融・経済財政担当大臣に対する質疑、09年度予算関連法案質疑が行われました。
佐々木憲昭議員は2回にわたる質問で、与謝野馨財務・金融・経済財政担当大臣に、消費税増税についての見解を質しました。
与謝野大臣は、消費税増税法案を「来年の通常国会に提出したい。遅くとも2011年だ」と明言しました。
まず最初に、17日辞任した中川昭一前財務・金融担当大臣の辞任について、与謝野大臣に見解を求めました。
与謝野大臣は、「辞めた後、ニュースで見て、日本の代表としてあるべき姿ではないと確信した。職を辞するのは当然だった」との認識を示した。ただ「中川氏は私の友人。友人としては極めて残念だと思う」と答弁しました。
後半の質疑は→ 消費税増税法案を「来年通常国会にも提出」と与謝野財務大臣が明言
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
中川大臣の突然の辞任で急遽、財務大臣、金融担当大臣という大変な大きな仕事をするということになられたわけですけれども、この間の一連の事態、あのようにろれつの回らない状態での記者会見、きょうも放映されていました。もう毎日放映されているわけです。これはまさに日本の信用そのものを失墜させる極めて重大な事件であったというふうに私は思いますし、またそれに対する政府側の対応も、麻生総理が最初慰留をする、それから、予算が通ってからやめる、こう言ってみたり、そう言ったその日の夜に辞任する、二転三転、こういう状況が続いたわけです。
この一連の事態について与謝野大臣としてどのように見ておられるのか、感想をまずお聞きしたいと思います。
○与謝野財務・金融担当大臣 実は、私は中川大臣がやめられるまであの映像は見ていなかったのですが、やめられた後の7時のNHKのニュース、これを見まして、やはりこれは日本の代表としてあるべき姿ではないということを確信いたしました。職を辞するということは当然のことであったというふうに思いました
ただ、中川さんは私の友人ですので、友人としては極めて残念なことであったとも思っております。
○佐々木(憲)委員 それで、中川大臣のお仕事を引き受けられたわけですけれども、先日、記者会見で与謝野大臣の発言を聞いていまして、能力はないかもしれないが、体力には自信があるというふうにおっしゃったんですけれども、私は逆じゃないかなと思って聞いておりました。
これだけ大変な三つの大臣を兼ねるというのは今までほとんど例がない、重要ポストを三つ兼ねるということはないと思うんです。そういう意味で、体には十分気をつけてやっていただきたいと思います。
そこで、内容について、具体的な政策について考えていきたいと思いますが、まず、麻生総理が10月30日、昨年の秋ですけれども、記者会見をいたしました。その記者会見の隣に与謝野さんがお座りになっていたと思うんですが、いかがですか。
○与謝野財務・金融担当大臣 座っていたのではなくて、立っていたんです。
○佐々木(憲)委員 なるほど、立っておられたわけですね。
それで、そのとき麻生総理は、3年後には消費税引き上げをお願いしたい、このように発言をされました。私は、この記者会見をその後ニュースで見て、とんでもないことを言ったな、突然あのような、国民の負担をふやす、消費をいわば冷やすような、3年後とはいえ、今の時点でそういう発言をされるということは、景気対策のため、経済対策のためと言っていながら実際には消費税を引き上げるという発言をすること自体が消費意欲を冷やすものであるというふうに感じました。
こういう重大な発言をする場合は、当然事前に、与謝野大臣、隣に立っておられたようですから、相談もあり、かつ財務省等と打ち合わせをして、こういう発言をいたしますよ、これが普通だと思いますが、これは十分な打ち合わせのもとでそういう発言をされたんでしょうか。
○与謝野財務・金融担当大臣 もともと私は、日本の社会保障制度、年金、医療、介護等を続けていくためには財源が必要であって、財源なしでこういう制度は維持できないと思っておりまして、やはりある時期が来ましたら国民に御負担をお願いするということを政治は勇気を持って言わなきゃいけない、そのように思っておりましたし、総裁選挙の最中もそのことははっきりいろいろな演説会で申し上げてきたところでございまして、総理の発言には全く違和感もなく、当然のことを言われたと思いました。
ただ、我々と事前のお打ち合わせではなく、総理独自の財政、税制、日本の経済に対する見通しの上に立った御判断であったと思います。しかし、この御判断は私の考え方とも一致しますし、その後、総理が発言された内容をどういうふうに担保していくかということに腐心をしてまいったわけでございます。
○佐々木(憲)委員 今お認めになったのは、事前の打ち合わせはなかった、こういうことですね。
事前の打ち合わせなく、3年後には消費税を上げるということを総理が自分の考えだということで突然述べる、これは私は極めて異常な事態ではないかと思います。違和感がないと言われましたけれども、本当に違和感はなかったんですか。私は、突然、事前に打ち合わせなしにこんなことを言われたらびっくりすると思うんですが、どうだったんですか。
○与謝野財務・金融担当大臣 実は、総理は別に根拠がなく言われたわけではなくて、自由民主党に税制調査会というものがございまして、最終的には自民、公明で話し合って与党税制改革大綱というのをつくります。累次に渡る税制改革大綱には消費税を含む税制の抜本改革をやるということをたびたび書いてありまして、これは与党も、税制改革、抜本改革をやるということは党議として承認していることでございますから、それを具体的な年次をもって申し上げたということは特段、党の方針あるいは今までの政府の方針と違背したものであるわけではありません。
○佐々木(憲)委員 私は、与謝野さんが書かれた、これは最近のある雑誌ですけれども、ここにこう書かれているのを見ました。「10月30日には首相官邸における経済対策発表の記者会見に同席。ここで麻生総理がいきなり「3年後に消費税引き上げをお願いしたい」と言いだしたのである。この時は私にも財務省にも何の相談もなし。」「私も会見の時に麻生総理の隣にいて「このおじさん、いったい何を言い出すんだ」と驚いたぐらいなのだ。」と。
これが実際の感想だったんじゃないですか。
○与謝野財務・金融担当大臣 そのおじさんという話はちょっと余り正確じゃないので……(佐々木(憲)委員「いや、書いてある」と呼ぶ)私が書いたんじゃなくて、それは口述筆記なものですから、私がそういう発言を使ったかどうかというのは、多分使っていないと思うんですが、まあ、びっくりしたことは間違いない。これは手順を踏んでいってそこまでやろうと思っていました。しかし、やろうと思っていた我々にとっては、総理がまず決断してくださったということは、ある意味では大変いいことだったと思っております。
○佐々木(憲)委員 このおじさん、何を言い出すんだと。これは口述筆記であろうが、当然原稿にする場合には最終的にチェックをするわけですよね。つまり、こういうことでよろしいということで活字にして世間に発表しているわけですよ。それを何か、そんなことを言った覚えがないというのは、これは全く言い逃れにもならない弁明だと私は思います。
それで、私、こういうやり方を見まして、麻生総理というのは、アドリブでこういうことを言うというのはどういうことなのかなと。例えば2兆円の給付金の問題も、麻生さんの発言が二転三転ということで大変な問題になってまいりました。
この定額給付金については、与謝野大臣は最初は、高額所得者の所得制限を設けるべきである、こういう発言をされていましたよね。もらう人が高額所得者だと思えば辞退せよというのは政策ではない、だから制度的に決めなさい、制度をつくるのが政策である、本人がもらうかもらわないか、どうぞ御自由にというのは政策ではない、こういう発言をされました。これはどういうことなんですか、正確には。
○与謝野財務・金融担当大臣 このおじさん、何を言うんだというのは愛情を込めた表現ですから、お間違いないようにしていただきたいと思っております。
それから、今の定額給付金の原型というのは定額減税ということだったわけです。定額減税という形でずっとやろうということにしておりましたけれども、定額減税の欠点を我々は指摘をしました。これは、所得の低い方には、また納税をするに至らない所得しかお持ちでない方には定額減税の効果が及ばない。また、納税はしているけれども十分な納税をしていない場合には、定額減税の効果が全部及ばない。これはやはり、定額減税をやると、高くない所得の方に不公平になる。それじゃ、定額減税と給付金という形に組み合わせてやるか、これが次の議論だったんですけれども、それもまた事務的に大変だと。結局、定額給付金というものに一本にしよう、こういうことになったんです。
ですからそのときに、定額給付金の政策としての性格というのは一体何なのか、これは経済対策としての消費喚起なのか、あるいは社会政策としての給付金なのか、こういう議論に当然なったわけです。私は、やはり社会政策的な意味を持たせた方がいいというので、所得制限を設ける方が政策としての性格がはっきりするという議論をしておりました。
ところが、これはなかなかできないという論者が出てまいりまして、それは総務省の方で、実際給付するのは市役所、町役場、村役場、窓口だ、こういうところはなかなか所得税に関する税務情報というのはその場では持っていない、所得制限をすると膨大な事務量が発生し、なおかつ所得に関しての個人情報を市町村が知ることになる、知るためには個人の了解が必要だとか、非常に何か大変な話になるという話で、それでは所得制限を設けるのはやめようと。でも、私がそのとき申し上げたのは、しかし、市町村によっては所得制限を設けた方がいいという市町村が出てきたらどうするんだという話をしましたら、そういう市町村が出てきたら、自治体の意向を尊重して、市町村の意向を尊重することにしようということで、市町村の意向でも所得制限を設けることはできるというふうにしたわけです。
ですから今は、あの政策は何か、こういうことになりますと、やはり定額減税の変形したもの、定額減税が発展したものということと、当初は社会政策的な意味を持っていたけれども、あわせて経済政策的な意味も持っているというふうに私は理解しております。
○佐々木(憲)委員 実務的な大変さがある、だから基本的には所得制限など設けずに全体に分配すると。
ということは、この程度のことは、事前に実際にこれをどのように給付するかということを検討していれば当然想定されることなんですよ。それを全く想定もしないで、いきなり2兆円給付金とばんとアドバルーンを上げて、それで解散すると思ったのかしないのかわかりませんけれども、いずれにしても、十分な政策的検討なしに実行した、つまり決めた。それから、基本的な性格についても、一体低所得者への生活支援なのか景気刺激策なのか、これもはっきりしていない。つまり、基本的な理念も具体的な実施の細目についても十分な議論なしにともかく決めた、今のお話でそのことが非常によくわかりました。
そしてその上で、与謝野大臣自身は、実際にこれが給付される場合、受け取るのか受け取らないのか。社会政策的な意味をかなり主張されていたのであれば、当然断るというのが私は筋だと思いますけれども、どうですか。
○与謝野財務・金融担当大臣 私の今までの答えは、これに対する財源法案が通過してからゆっくり考えたいというのが今までのお答えでございます。
○佐々木(憲)委員 通過してから考えるというのはおかしいんじゃないですか。提案をしているわけでしょう。提案をして、こういうふうに実行しますよと、通過するのを前提に今政府はやっているんじゃないんですか。だったら、通過した後どうするかというのは、当然今考えてしかるべきであり、それを言わないというのは極めて無責任だと言わざるを得ません。
○与謝野財務・金融担当大臣 この定額給付金というのは、受け取るか受け取らないかというのは個人それぞれの自由な制度になっていまして、お金を送りつけたり強制的に受け取っていただくという制度ではありません。そういう給付金の性格を明確にするためには、私はこれから判断するということを申し上げているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 全く無責任ですね、これから明確にすると。与謝野大臣自身が何を考えているのかというのを私は聞いているわけなんです。
もう時間がありませんからこれ以上やりませんが、この一つをとりましても、麻生内閣が実際にいろいろと打ち上げて、目玉であるかのようにいろいろな政策を出していますけれども、どうも極めて無責任であり、細目も明確じゃない、そういうやり方が続いていると思うんですよ。
午後の質疑では、この法案の附則を中心に、消費税の問題について少し詳しくお聞きをしたいと思います。午前中は以上で終わりたいと思います。