アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

金融(銀行・保険・証券) (銀行公的資金注入, 中小企業融資, 保険業法)

2008年11月05日 第170回 臨時国会 財務金融委員会 【475】 - 討論

衆院財務金融委員会で金融強化2法案を採決

 2008年11月5日、4日に引き続いて財務金融委員会が開かれました。金融機関に公的資金を投入することを可能にする新金融機能強化法案について、麻生太郎総理大臣を迎えて質疑が行われ、その後、与党は、わずか4日間の審議にもかかわらず採決を強行し、賛成多数で可決しました。日本共産党、民主党、国民新党は反対しました。
 また、保険会社の破綻(はたん)処理に公的資金を投入する保険業法改悪案の採決も行われました。これには、与党に加え、民主党、国民新党も賛成して可決。日本共産党は反対しました。

 採決に先立って、日本共産党の佐々木憲昭議員が反対討論に立ち、金融機関の自己資本減少は投機的運用の拡大に大きな原因があると指摘。「金融安定化のための資金は金融業界全体の責任と負担で確保すべきであり、そのことによって自己規律を生み出し、業界内での相互監視機能が働いて最も少ないコストで対処できる」と主張しました。
 また、法案には資本注入が銀行の貸し渋り対策となる保証がないと批判。中小企業向け貸し出しなどが未達成の場合、株主責任や経営責任を問うこれまでの仕組みからも後退していることをあげ、「今、求められているのは、貸し渋りや貸しはがしを進めている金融機関の姿勢をただし、中小企業を直接支援することだ」と強調しました。
 保険業法改悪案については、保険会社の経営責任などをあいまいにしたまま、契約者保護を理由に税金投入の仕組みをつづける問題点をあげ、「業界と政府のモラルハザード(倫理欠如)を招く」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 金融機能強化法案、修正案及び保険業法改正案に対して反対討論を行います。

 まず最初に、金融機能強化法改正案についてであります。
 本法案に反対する理由は、第一に、貸し渋り対策を理由として、公的資金を使い、サブプライム関連商品などへの投機的運用を拡大させ、大きな損失を出してきた金融機関を救済するものだからであります。
 1996年の住専処理以来、46兆円を超える公的資金を金融機関に投入し、10兆円以上の国民負担を発生させました。公的資金による巨額の資本増強などの銀行甘やかし政策が、金融機関とその業界に安易な依存心を生み、今日のような投機中心の銀行、金融機関を生み出す一因となりました。金融安定化の資金は金融業界全体の責任と負担で確保すべきであり、そのことによって自己規律を生み出し、また、業界内での相互監視機能が働き、最も少ないコストで対処できるのであります。
 今回の法案によって、公的資金投入の仕組みを復活させれば、投機で失敗しても公的資金で救済されるという新たなモラルハザードを生み、さらに深刻な金融危機を招くことにつながりかねません。
 第二の理由は、本法案による資本注入が銀行の貸し渋り対策となる保証がないことです。過去12年間に12・4兆円もの資本注入が行われましたが、銀行業界全体で84兆円も中小企業向け融資が削減され、貸し渋り対策につながりませんでした。
 さらに、本法案では、中小企業向け貸出残高など地域経済貢献目標が未達成の場合に株主責任や経営責任を問う現行法の仕組みを削除するなど、目標達成を一層あいまいにするものとなっています。そのため、本法案の資本注入が貸し渋り対策として機能する保証はありません。
 今求められているのは、貸し渋りや貸しはがしを進めている金融機関の姿勢を正すことであり、中小企業を直接支援することであります。日本共産党が提案してきた地域金融活性化法もその一つであります。信用保証制度の責任共有制度の導入や政府系金融機関の弱体化など、この間政府が行ってきた施策を見直すことこそ必要であります。
 なお、修正案は、「従前の経営体制の見直し」を経営強化計画の要件に入れたものの、国民負担の仕組みなど根本的な問題は変わっていないので、賛成できません。

 次に、保険業法改正案についてです。
 保険契約者保護制度は、保険会社の破綻時に機構が資金援助等を行うことにより破綻保険会社の保険契約者等を保護する仕組みであります。本来、その費用は保険業界全体で負担するのが原則であります。責任のない国民に破綻保険会社の損失を無制限に負担させる仕組みを延長する本法案には、反対であります。
 大和生命の破綻を含め、これまでの保険会社破綻の背景には、過度の高リスク金融商品での運用、生保不信による解約増、バブル期の乱脈経営などが指摘されています。こうした経営責任と監督責任をあいまいにしたまま税金投入する仕組みを残せば、業界と政府のモラルハザードを招くことになるのであります。
 以上で反対討論を終わります。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる