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税制(庶民増税・徴税), 金融(銀行・保険・証券), 景気回復 (消費税, 銀行公的資金注入)

2008年11月04日 第170回 臨時国会 財務金融委員会 【473】 - 質問

「追加経済対策では家計に冷や水」と批判

 2008年11月4日、31日に引き続いて財務金融委員会が開かれ、佐々木憲昭議員は、先に政府が発表した「追加経済対策」について質問しました。
 佐々木議員は、政府が経済対策の「目玉」としている1回限りの定額給付金が景気対策にならないことを明らかにし、追加対策は「家計に冷水を浴びせるようなものだ」と指摘しました。
 定率減税の廃止などで、小泉内閣以来、総額12兆7000億円、4人家族で年間40万円もの国民負担が増えたことを紹介しました。
 また、麻生総理が10月30日の記者会見で明言した3年後の消費税増税を追及しました。
 中川昭一財務・金融担当大臣は「首相の考えは3年以内に景気をよくするということ」などとごまかしました。
 佐々木議員は、麻生総理の持論である10%への消費税増税で、1人当たり10万円、4人家族で40万円の大増税になることを示しました。
 中川財務大臣は、「現在の景気状況のまま掛け算すればそういうことになる」と、新たな40万円の負担増を認めざるをえませんでした。
 佐々木議員は、給付金が総額2兆円と見積もられていることをあげて、「国民から毎年40万円取り上げて、1回だけ6万円戻すが、次の年には40万円の負担に戻し、3年後には80万円取り上げることになる」ときびしく批判しました。
 そのうえで「家計の負担を減らし、家計消費を拡大する方向に全体の政策の軸足を転換することこそ必要だ」と強調しました。



 また、この日の財務金融委員会理事会で、自民党が5日の午後、麻生総理大臣の出席のもとで質疑をおこない、採決することを提案。自民党の田中和徳委員長が、委員長職権でその通り決めました。
 佐々木議員は、「重要広範議案であるから総理出席は当然だ。しかし、まだ審議は十分尽くされていない。採決には反対だ。法案には金融機関への税金投入という仕掛けがある以上賛成できない」と述べました。
 民主党も5日の採決に反対しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 この提案されている金融機能強化法案というのは、麻生総理が10月30日に発表いたしました追加経済対策の重要な柱となっておりますが、きょうは、その経済対策に基づく第二次補正予算案についてお聞きをしたいと思います。
 今、編成作業が行われているようですけれども、これはいつごろ完成する予定でしょうか。
○中川財務・金融担当大臣 今回の生活支援は、予算を伴うものもありますし、また、そうでないものもあるわけでございます。そういう中で総理からは、とにかくできるものからどんどん速やかにやれという指示を強く受けているわけであります。
 予算を伴うものにつきましては、予算編成作業がございますので、それとのタイミングを見てということで、総理も、もう佐々木委員御承知のとおり、今国会でやるともやらないとも言えないということを申し上げているところでございます。
○佐々木(憲)委員 ですから、この第二次補正予算案というのは、でき上がるのはいつごろなのかというのを聞いたわけです。
○中川財務・金融担当大臣 予算編成作業が終わればでき上がるということでございます。
○佐々木(憲)委員 だから、それはいつごろかと聞いておるわけです。
○中川財務・金融担当大臣 今、一生懸命やっているところでございます。
○佐々木(憲)委員 なかなかはっきりしたことを言わないんですが、今月20日ごろにできるんじゃないかという報道がありますけれども。
 この第二次補正予算案というのは、この国会に当然できたら出すというのは当たり前のことだと思いますが、いかがでしょうか。
○中川財務・金融担当大臣 ですから、生活対策というのは、これはもうできるだけ早く実行したい、これが総理の強い意向でございますから、できるものからやっていくということで指示を受けているわけでございまして、この予算を伴うものについても、予算編成作業を終えて、そして、その段階でどういう状況になっているか、国会の状況も見ながら判断をせざるを得ないというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 総理は記者会見で、この政策というものをぜひ実現して、結果として国民の生活不安にこたえる必要があるというのが僕は優先順位からいったら一番なんだと、私自身はそう思っています、こう述べているわけです。優先順位一番でありますから、第二次補正の編成が終わったら、関連法案とともに直ちに国会に提出をする、今国会に提出する、これが普通の受けとめ方だと思うんですが、そうしないわけですか。
○中川財務・金融担当大臣 国会にはおのずから、現時点では11月30日という期間があるわけでありまして、我々はとにかく、今、佐々木委員も御指摘のとおり、できるだけ早く、全体としても早く、できるものからどんどんやっていくということで作業をしているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 だから、早く作業をして、できるだけ早く編成を終えて国会に出す。今国会には出さないということですか。出さないと言うのであれば、何のために編成しているんですか。
○中川財務・金融担当大臣 出さないなんて一言も言っていないんでありまして、我々は一生懸命今、この対策を予算面で実現するために予算編成作業をやっているわけでございまして、急いでやっておりますけれども、その編成作業ができ上がった段階で国会がどうなっているかということはわからないということを申し上げているわけであります。
○佐々木(憲)委員 国会がどうなっているかは、国会の中の状況、それぞれ与野党のいろいろな議論というのはあると思いますが、編成作業が終わっても、国会の状況によっては出さないということもあり得るという答弁ですね、今は。
○中川財務・金融担当大臣 まさに佐々木委員が今おっしゃっていただきましたように、国会のことは国会がお決めになるわけでございます。我々は、できるだけ早くということで作業をしているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 はぐらかしてばかりいるのでなかなかこれが詰まっていかないんですがね。
 これは要するに、この第二次補正予算案を編成は急ぐ急ぐと言いながら、国会の状況では出さない、出す、はっきり言わない。つまり、普通は、編成作業が終わってすぐ出して、国会を延長するなら延長する、そういうことでぜひこの国会で通していただきたいというのが内閣としての基本姿勢だと思うんですが、そういう姿勢をとっていないということは、出さないで解散もあり得る、こういうことなのかなというふうに思いますけれども、その姿勢がどうもよくわかりませんね。
 それでは次の問題についてお聞きしますけれども、2兆円の定額給付金、これはクーポン券かどうかわかりませんが、全世帯に配る。これは、1回のみということで理解してよろしいんですね。
○中川財務・金融担当大臣 生活支援定額給付金、クーポン券にするかどうかは決めておりませんが、これは、定額減税の議論のときにもここで申し上げましたが、1回限りの措置として考えております。
○佐々木(憲)委員 与謝野経済財政担当大臣は、所得制限を設けるべきだ、こう主張しておられるようです。この与謝野さんが、高所得者を支給対象から外すべきだ、こうおっしゃっているんです。これは中川大臣も同じ考えでしょうか。
○中川財務・金融担当大臣 私も、2兆円の範囲内でということで、総理も標準家庭で大体6万円程度、こうおっしゃっておられますが、高額所得者にも同じようにするよりは、一定の所得制限を設けて、低所得者の方々に少しでも厚くした方がいいと私も思います。
 ただし、他方、迅速性あるいは事務手続の問題等々のことも考えたときに、できるだけ早くお渡しをするということも重要だろうということで、現時点においては、迅速性を最重要課題として、我々としては所得制限を設けないということで今提案をしたところでございます。
○佐々木(憲)委員 麻生総理はこの記者会見では、給付金を全世帯について実施する、こういうふうにおっしゃっていまして、所得制限については触れられていないわけで、そうすると、この与謝野大臣の発言は内閣の基本方針とは違う、こう理解してよろしいですね。
○中川財務・金融担当大臣 総理がおっしゃっているのは、できるだけ早くということを考えたときには、これは市町村の窓口でやっていただく作業になりますので、そういった自治体の方の作業のことも考えた上で、迅速性という観点からそういうふうに申し上げました。
 与謝野大臣のことは報道でしか私知りませんけれども、さっき私が申し上げたような、できれば私もそうしたいなという趣旨で所得制限を設けたらいいのではないかとおっしゃっているのではないかというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 総理はこうおっしゃっているんですね。定額減税については給付金方式で、全世帯について実施します、規模は約2兆円、詳細は今後詰めてまいりますが、単純に計算すると、4人家族で約6万円になるはずです。これは明確に全世帯とおっしゃっているわけです。中川大臣は、これは実務的な手続上やりやすい方式なのだ。この与謝野大臣が、高い所得層の人にお金を渡すのは生活支援の名前に反しているというふうにお話しになっているんですよ。1000万円前後の所得額を基準に高所得者を支給対象から外すべきだとおっしゃっているんです。これは複数の報道であります。
 そうすると、総理と中川大臣と与謝野大臣の立場というのはかなり違うんじゃないでしょうか。与謝野大臣のこの方式は、結局、所得制限を1000万で設けるという、これは明確にはっきりと公言しているわけですから、経済財政担当大臣ですから。そうおっしゃっているわけです。これは内閣不一致なんじゃないんですか。
○中川財務・金融担当大臣 私が総理と違うことをおっしゃっているという意味で佐々木委員から質問されたのであれば、私も自分の責任においてお答えいたしますけれども、与謝野大臣の発言ですから、ぜひ与謝野大臣にお聞きいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 機会があれば与謝野大臣に聞いてみたいと思いますが、予算委員会が開かれませんので、なかなかその機会がないのでお聞きしているわけです。大臣の間でこれだけ見解が違うのは、これは予算編成にも大変大きな影響を与えるわけでありまして、ここで一致しないと、これは基本方針ですからね。
 この問題について、実は細田幹事長も、所得制限を設けるかどうかについて、政府・与党で早期に詰め、国民に向かってきちんと説明することが望ましい、できるだけ早くやりたい、こう言っているわけで、これは、違いを認めた上で調整してくれという話をしているわけなんですが、これは内閣としてどういうふうになるんですか。
 中川大臣の考えはわかりました。しかし、これは中川大臣に聞いても、与謝野さんに聞いてくれという話ですから、なかなかはっきりしないわけです。これは違いがあるということは明確で、調整もしてくれと言われているんですから、これはどうするんですか。
○中川財務・金融担当大臣 先週の金曜日の経済財政諮問会議でこのことが議論になりまして、最終的に与謝野大臣から、この取りまとめは私にやってもらいたいという指示があって、その場で御了承をいただいたところでございます。
 これはあくまでも案でございまして、これから与党ともよく協議をして、ほかのことも含めて細部を詰めていかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、私は総理の指示に基づいてこの仕事をやっていきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 この具体的な方式について、所得制限を設けて、窓口で申請時に制限以下の所得であることを申告し、虚偽の申し込みをした場合、処罰する方法も検討されているとか、あるいは苦肉の策として、高所得者に受け取り自粛を呼びかけるやり方もあるという意見も出ている。これは、意見ですからいろいろな意見が出るんでしょうけれども、そんなこともあり得るんですか。
○中川財務・金融担当大臣 いろいろな意見が出て私は結構だろうと思います。
○佐々木(憲)委員 いずれにしても、この2兆円の、各家庭に対する6万円の配付というのは、非常にばらまき的色彩が強くて、これだけ所得制限一つとりましてもいろいろな議論が出てきていて、これは内閣でさえその統一ができていないような状況、しかも、景気対策としてはほとんど役に立たない、3分の1消費に回るかどうかというようなことでありまして、本当に選挙対策というようなことが言われているのは、全くそのとおりだと私は思いますね。
 次に、小泉内閣以来の国民に対するいろいろな負担というのは大変なものでありまして、今配付した資料、46項目、12兆7000億円に上っております。これだけ負担をいたしますと消費を冷やす方向に作用すると私は思うんですが、大臣はどういう感想をお持ちでしょうか。
○中川財務・金融担当大臣 いろいろな負担のところだけ出してこういう数字になっていると思いますけれども、これによって効果のあるものも私は裏側にあるというふうに思っておりますので、一概に、これだけで負担がふえたというふうには私は言えないと思っております。
○佐々木(憲)委員 それは軽減があるのならいいけれども、軽減のリストなんというのは出てこないですよ、実際上。これで1人当たり約10万円、4人家族で40万の負担増ですよ。これは、小泉内閣以前と比べると、毎年40万円、各家庭が余分に負担をしているわけです。1回だけ6万円ぽんと返したって、次の年からまた40万ですから、これは焼け石に水と言わざるを得ない。
 しかも総理は、3年後に消費税の引き上げをお願いしたい、こういうふうにおっしゃっているわけです。その率については、31日の記者会見で、中央公論の総理の論文を踏まえて質問がありました、10%というふうに書いていることで。それに対して総理は、そのぐらいのものが要るのじゃないかと思う、こう述べたそうです。
 消費税率10%というふうになりますと、現在の消費税は、国、地方を合わせて大体13兆ですね。ですから、5%で13兆ですから、10%になりますとその倍の消費税になる、こういう理解になりますが、そんなことでよろしいですね。
○中川財務・金融担当大臣 総理はよく全治3年という言葉を使われますけれども、3年以内には何としても景気をよくして、そして、税収も上がるし、何よりも国民の所得が少しでもふえていく、それによって、そのときにこの消費税の議論というものもしなければいけない。
 もちろん、中期プログラムの中で今後作成してまいりますけれども、今の御質問は、単純に5%が13兆数千億でその倍ということになれば、今の景気状況のままで掛け算すれば、そういうことになるんだろうと思います。
○佐々木(憲)委員 景気が冷えれば消費も冷えますから若干落ちるかもしれませんが、いずれにしましても、13兆円という税収が上がっているものが、税率がその倍の10%になれば、当然その倍の26兆円程度になる。これは、13兆ですから、人口で割りますと1人10万円ですよね。4人家族ですと40万円の負担、そういう増税ということになると思いますが、いかがですか。
○中川財務・金融担当大臣 景気がよくなったときに、福祉、社会保障に充てるための安定的な財源が何であるかという前提でこの議論になっているわけでございまして、そういう前提で、何としてもそれまでに景気をよくするということが最優先で我々は取り組んでいるわけであります。
○佐々木(憲)委員 税金というのは、大きく言うと、消費税、法人税、所得税であります。法人税の方はこの数年間ずっと減税が続けてこられまして、43%の税率だったのが今は30%に下がっている。ところが、所得税、住民税はどんどんつり上がっていく。これは逆じゃないかと私は思うんです。家計は赤字なのに増税で、黒字でバブルのピークよりも倍近い利益の上がっている大企業は税金が横ばいという状況、しかも、この前もここでやりましたが、大銀行は大体10年間法人税ゼロ、こういう状況がおおむね続いているというわけであります。
 ですから、財源ということであるならば、3年後、当然この法人税の税率を見直すとか、きちっとそういう方向に切りかえることをやらないと、すべてこれ国民負担ですよ。今まで小泉内閣以来、各家庭40万負担した、1回だけ6万円ぽんと返す、それが40万またその次の年から負担が続くわけですよ。しかも、その上に消費税が3年後上がれば、1家庭当たり40万の負担になる。合わせて80万の負担じゃないですか。こんなことで本当に、日本の経済の発展、内需拡大、その中心である家計消費の拡大になるのか。私はその基本がどうもおかしいんじゃないかと思います。
 最後に中川大臣に聞きたいんですけれども、やはり大事なことは、家計の負担を本当に減らして、経済の一番の基本である内需の中心、その家計消費を拡大していくという方向に全体の政策の基軸を転換するということが一番基本だと私は思うんですけれども、そういう方向に踏み出すという意思はありませんか。
○中川財務・金融担当大臣 まさにそういう趣旨で、今、家計が非常に厳しいですから、緊急的に生活支援ということで発表し、できるものからやっていくということでございますし、中長期的に景気がよくなり、経済が成長していったときに、抜本的な税制改正をやるという前提の中で今の消費税も含めた議論をやっていきますというプログラムを年内にまとめるという作業をするわけでございます。
○佐々木(憲)委員 しかしやっていることは、実際に今度の2回目の経済対策を見ましても、家計に対する支援というのは一応掲げているようでありますけれども、実際には、3年後にどんと増税になるようなことを同時に言って、家計がこれで本当に消費に踏み出すかどうか。私は、冷水を浴びせるような内容になっていると言わざるを得ないと思うんです。
 そういう意味で、まだまだ質疑はあしたもありますので、やらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

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