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税制(庶民増税・徴税) (道路特定財源)

2008年04月02日 第169回 通常国会 財務金融委員会 【449】 - 質問

一般財源となった道路特定財源関連法案の再議決は認められない

 2008年4月2日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、4月1日からガソリン税などの「暫定税率」が失効し、これらの財源を道路だけに囲い込む道路整備特例法の期限切れという新たな局面を迎えた事実を取り上げました。
 その現状については、額賀福志郎財務大臣も認めました。
 また、福田康夫総理が2009年度以降に道路特定財源を一般財源化すると表明したことをあげ、その言明に従うなら「来年4月から特例法でガソリン税などの税収の使途を道路に限る必要はなくなると指摘しました。
 佐々木議員は、「それなのに、参院にまわっている特例法改正案が延長期間を10年間としているのは矛盾している」と強調し、法案を撤回すべきだと指摘しました。
 平井たくや国土交通省副大臣は「提案している政府は、それができない」と答弁し、額賀財務大臣は、「与野党の間で一般財源化をし、その使途についてもご協議願いたい」とごまかしました。
 政府提案の特例法改正案が、延長期間を10年間としたままでは、「4月末になったからといって、政府提案の法案を衆議院で再議決するなど絶対に認められない」と、佐々木議員は厳しく指摘しました。
 佐々木議員は、税収の使途が道路に限られる状態から解放され、教育や福祉にも使えるようになり、ガソリン税も下がっている「今の現状のままでいいではないか」と主張し、「再議決で混乱を起こしてはならない」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 道路財源についてお聞きしたいと思います。
 福田総理は、3月27日の記者会見で、道路特定財源制度はことしの税制抜本改正時に廃止し、21年度から一般財源化すると述べたわけです。そこで、3月28日、次の日の参議院予算委員会で、日本共産党の小池晃議員が全額一般財源化という意味かと聞いたら、福田総理は、そのつもりで発表していると答弁をいたしました。額賀大臣も当然これと同じ立場だと思いますが、確認をしておきたいと思います。
○額賀財務大臣 今、佐々木委員がおっしゃるように、3月27日に総理がお示しした新たな考え方では、道路特定財源制度はことしの税制抜本改正時に廃止をし、21年度から一般財源化と明記されております。また、一般財源としての使途のあり方については、与野党協議で協議決定をしていただきたいということになっております。
 現在の道路特定財源について、特定財源制度を廃止し、課税の趣旨を含め税制抜本改正時の中で整理すべき課題と認識しておりまして、この点については総理と同じ考え方であります。
○佐々木(憲)委員 全額一般財源化ということであります。
 福田総理は、この27日の記者会見で記者からこう聞かれているわけです。仮に野党との合意が得られない場合でも、21年度から一般財源化をすると国民に約束しているということでよろしいんでしょうか、こう聞かれまして総理は、どういう状況にあろうと、今、私が申し上げたことは守っていきたいと思っておりますと答えました。こういう立場でよろしいですね。
○額賀財務大臣 これは、20年度予算は年度の末までに解決をしたいということ、そのために、総理は思い切った、この秋の税制の抜本改正時に一般財源化を21年度から図るという御提案を申し上げた。そして、これはこれまでの国会審議の過程を踏まえて御提案をされたものであり、与野党の間で合意を得ることができるということをお願いし、与野党の協議でそういう形をつくってほしい、そういう合意をしてほしいという意味でそう申し上げたと思っております。
○佐々木(憲)委員 いや、福田総理は、合意が得られない場合でも、どういう状況になろうがそういうことをやっていきたいと言っているんです。そういう立場は確認できるかと聞いたんです。
○額賀財務大臣 合意を得るように最大限の努力をし、一般財源化を図るということが総理の真意だというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 非常に強い決意でやっているということだと思うんですが、少し基礎的なことを確認しておきたいと思います。
 もともとガソリン税は、1949年に一般財源として導入されたものであります。道路特定財源となったのは1953年、その税収額を道路整備に使う、こういうことで道路整備の財源等に関する臨時措置法というのがつくられた。この法律でガソリン税は道路特定財源とされたわけであります。2月22日の財務金融委員会で、私の質問に額賀大臣も、その法律によって特定財源として道路整備に充てることとされたと答弁をされたわけですね。
 私は、そのときこういうふうに聞きました。道路整備財源特例法ができなかった場合、ガソリン税や石油ガス税は一般財源になる、こういう理解でいいですねと。これに対して加藤主税局長は、その場合は、税法上は使途の制約はございませんと答弁しているわけです。
 先ほども若干議論がありましたが、これはこれで間違いありませんね。
○額賀財務大臣 成立の経緯は今おっしゃったとおりだと思います。
 昭和28年に道路整備費の財源等に関する臨時措置法が制定をされ、我が国の道路を緊急かつ計画的に整備する観点から道路整備5カ年計画が策定され、その財源として揮発油税の税収相当額を国の道路整備に充てることとされたというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 特定財源というのは、道路にしか使わないという法律があって初めて特定財源になるということでよろしいかと聞いたわけです。つまり、その法律がなければ一般財源である、今のガソリン税等々はそうなる、こういうことを確認したわけです。
○額賀財務大臣 特定の目的として特定された財源が法律で決められたものと思っております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、総理が、今の道路特定財源を2009年度以降に一般財源化する、つまり来年4月以後一般財源化すると言う以上は、来年4月からはこの道路整備財源特例法で使途を道路に限るということは必要がなくなる、こう理解していいですね。
○額賀財務大臣 でありますから、与野党の間で、一般財源化をし、その使途についても御協議をいただきたい、その場合は暫定税率水準の維持もあわせてお願いをしたいということであります。
○佐々木(憲)委員 この一般財源化というのは、道路整備財源特例法というものがあれば一般財源化にはなりませんので、当然これは必要がなくなるわけであります。与野党の合意と言いますが、野党はこれは一般財源化しなさいと言っているわけですから、あとは政府がやると言えばそうなるわけであります。
 そこで、今参議院に回っている道路整備財源特措法ですね、これは新たに名前が特例法から特措法に変わるそうですが、国交副大臣にお聞きしますが、特定財源の期間、これは何年となっていますか。
○平井国土交通副大臣 財源の特例期間は平成20年度以降の10年間としています。また、国の負担または補助の割合の特例期間は平成20年度以降10年間、地方道路整備臨時交付金の制度の特例期間は平成20年度以降10年間、地方道路整備臨時貸付金の貸し付け決定の期間は平成20年度以降5年間、一般会計における高速道路機構の債務承継については平成20年度中の措置となっております。
○佐々木(憲)委員 道路整備特措法は10年間であると。しかし、福田総理は、これは来年4月から一般財源にするんだ、こう言っているわけです。つまり、特定するための法律は必要ないわけですね。
 それであるならば、現在の出されている10年というこの法律そのものは当然、これは撤回するか、あるいは1年に限る、そういうふうに修正するか、いずれかしかないと思いますが、副大臣いかがですか。
○平井国土交通副大臣 この議論は先ほど来、その前の議論の中でも出ていたと思うんですが、国会法第59条により、一院を通過した政府提案の法律案については修正、撤回ができないこととなっており、道路財源特例法改正案についても、3月13日に衆議院を通過した以上、政府がこれを修正、撤回することはできませんが、今後、与野党の協議の結果を受けて、参議院において閣法に修正がなされることや修正を反映した議員立法がなされることはあり得るものだと考えております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、衆議院で3分の2で再議決するその前に、当然この内容を変えて出してくる、その場合、政府がやれないというのであれば、例えば与党がこれを修正して提出する、こういうことは可能だと思いますが、いかがですか。
○平井国土交通副大臣 私の立場は、今、政府の立場でお答えをさせていただいておりますが、そういう可能性はあろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、この10年を、福田総理が1年でやめますと言っているのに、10年間続けますという法律を強行する、あるいは3分の2で再議決するというのは、これは余りにも自己矛盾であって、そういうことはしないということだと思いますが、いかがですか。
○平井国土交通副大臣 それは、今、私がちょっとお答えする立場でございません。
○佐々木(憲)委員 それでは、額賀大臣はいかがですか。
○額賀財務大臣 だから、総理は、与野党の間で一定の合意点を見つけるように新しい提案を出させていただいたわけですから、与野党でよく協議決定をしていただきたいということであります。
○佐々木(憲)委員 与野党でこの協議が調うまでは、この10年のままで3分の2で議決するなどということは当然やらないと。当然だと思いますが、いかがですか。
○額賀財務大臣 これは国会でお決めになることであります。
○佐々木(憲)委員 要するに、政府はみずから出したものは修正できない、参議院に回った以上は。しかし、10年というのを出していながら、1年間でこれは別のものに変えますともうはっきりと総理大臣がそれを表明し、先ほど来の議論で額賀大臣も、当然その方向です、こういうふうにおっしゃっているわけです。したがって、自己矛盾なんですよ。
 これを解消するには、10年と書いたこの特措法を、これは修正してもう一度出し直す、政府ができないのなら与党がやる、これは当たり前のことなんで、それができない限り、10年間のままで3分の2で議決する、まあ議決した後で協議しようという話になりますと、いつになるかわからないんじゃないですか。福田内閣だっていつまで続くかわからないでしょう。そういうことを考えますと、これはせっかく総理が提案をしているわけですから、出し直してやり直すというのは当たり前のことであります。
 それから、次に暫定税率ですが、これは何のためにつくられたかということでありますが、これはもう御承知のように、73年、第1次石油ショックで税収が落ち込んだ、当時、19兆円の第7次道路整備5カ年計画の財源が確保できなくなる、そこで、74年から2年間の暫定措置として税の上乗せを行った。つまり、道路整備を確実に行うための暫定税率だったということでありますが、この理解でよろしいですね。
○平井国土交通副大臣 委員御指摘の昭和49年の暫定税率の導入に当たっては、第7次道路整備5カ年計画を推進するため道路特定財源の充実を図る必要があったほか、オイルショックなどの社会情勢も踏まえ、資源の節約、消費の抑制等の見地も含めた総合的な観点から、2年間の暫定措置として税率が設定されたものと認識しております。
○佐々木(憲)委員 要するに、道路財源を確保するために2年間の暫定措置として上乗せが行われた。しかし、その暫定税率はどんどん毎回続けられて、もう30何年たっているわけですね。
 福田総理は、28日の参議院予算委員会で、今年度から全額一般財源化すべきだという主張に対して、直ちにやるべきだという主張に対して、そうしますと、暫定税率の根拠は失われるということにもつながりますと答えているわけです。要するに、すぐ一般財源化してしまうと暫定税率というものの根拠がなくなるんだ、つまり、道路に使うというその根拠はもうなくなるわけですから、暫定税率の根拠はなくなりますと総理自身答えています。そういう理解でよろしいですね、大臣。
○額賀財務大臣 総理の考え方それから我々の考え方は、与野党の間で暫定税率の水準の維持を含めて御協議をしていただきたいというふうにお願いをしているわけであります。一般財源化を図るときに、どういう形でその財源を使うかについても御協議をしていただきたいというふうに言っているわけであります。
○佐々木(憲)委員 いやいや、私が聞いたのは、暫定税率が上乗せされている理由は道路に使うためなんだから、一般財源化したらその根拠はなくなって、暫定税率の根拠は失われますね、総理自身がそう答えているから、額賀大臣もそうですねと聞いているんです。確認なんです。
○額賀財務大臣 総理の答弁では、これまでの道路特定財源制度の経緯を前提とすれば、20年度に揮発油税等を完全に一般財源化し、道路整備との関係を完全に切断してしまう場合には、これまでと同じ理由で暫定税率の御負担をお願いすることは困難になるという状況認識を述べられたというふうに思っております。
 一方で、総理は、21年度から一般財源化という方針を示されまして、その上で、環境問題だとか国の財政事情だとか道路整備の必要性だとか、総合的に考えて、税率水準の維持をお願いしたいと必要性を説いたということでございます。
○佐々木(憲)委員 道路のために暫定税率を上乗せする、その道路という根拠はなくなるけれども暫定税率を維持したい、その理由として環境とかその他ということをおっしゃったんだと思うんですね。
 しかし、環境のための税というのは、今の暫定税率と同じ率でよろしいのか、あるいはもっと少なくていいのか多くていいのか、そういう議論はまだなされておりません。したがって、暫定税率を10年間同じように維持するという法律、これもやはり根拠を失うと思います。
 したがって、これも、当然来年の4月から今のような論拠の暫定税率はなくなる、新たな暫定税率というか何という名前にするのか、それはそれでまた議論をすべきだと思いますが、今の道路整備を目的とした暫定税率というものは、総理の論理でいえば当然来年の3月でなくなる、こういうことでよろしいですね。
○額賀財務大臣 それは、いずれにしても、共産党を初め与野党の間でしっかりと御議論をいただいて、暫定税率水準の維持を含めて、その使い方も含めて、御協議をして合意点を見つけてほしいということでございます。
○佐々木(憲)委員 来年度以後のことについては、一般財源化した後、その一般財源化した財源をどう使うかについていろいろ議論をすると総理は記者会見でおっしゃっているわけですね。その上に、今度は暫定税率をどうするかという点について言いますと、野党は、暫定税率は復活すべきではない、これはもう下げたままでよろしい、こういう立場なんです。ですから、幾らその維持を含めと言いましても、これは含まないんですから、野党と一致しませんので、ですから暫定税率はもう下がったままでよろしいと。
 今の状況をもう一度確認してみますと、3月31日の時点で暫定税率というのは期限が切れて、御承知のように、昨日からガソリンの場合は25円下がっているわけです。暫定税率はいわばなくなりました。もう一つ、道路整備のための特措法、まだこれは成立しておりません。したがいまして、現在上がっている本則に基づく税収は、これは一般財源として上がっているわけですね、税収として。
 そうなりますと、現時点をどう見るかといえば、暫定税率がない、一般財源化された、そういう状態である、この認識は同じですね、大臣。
○額賀財務大臣 これは先ほども御議論があったわけでありますが、本則税として道路特定財源としての目的化されたお金ではないけれども、これは使途が、では道路に使ってはいけないということでもないわけでございます。
○佐々木(憲)委員 一般財源だったら、道路にも使えるし、ほかにも使えるわけですよ、道路に使わないという一般財源はないんですから。そういう意味では、現時点では一般財源化されているわけですね。そして、暫定税率は下がっているわけです。これでいいじゃないですか、これでずうっと続けたら。何も無理してこれに手を加える必要はありません、混乱を起こすだけですから。
 したがって、再議決とかそういうことによって逆に混乱を起こすとかあるいは国会の中に波乱を持ち込むということはもうやめて、このままの状態をずうっと続けていくということが必要だと私は思うわけです。したがって、再議決ということはやるべきではないということをここで表明して、質問を終わりたいと思います。

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