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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (道路特定財源)

2008年02月22日 第169回 通常国会 財務金融委員会 【434】 - 質問

道路膨張生む特定財源 一般財源に戻せと要求

 2008年2月22日、財務金融委員会がひらかれ、20日に引き続いて、予算関連税制法案の審議が行われ、佐々木憲昭議員が質問しました。
 佐々木議員は、導入時には一般財源であったガソリン税などが、道路特定財源となったことで、いかに膨張し、道路整備計画を拡大してきたかを歴史的に明らかにし、一般財源化するよう求めました。

 道路中期計画の予算規模は、政府・与党合意で当初の65兆円から59兆円に「減額」されました。法案の前提となっている10年間の「道路の中期計画」は、11月には65兆円となっていました。ところが、12月の政府・与党「合意」で「事業量は59兆円を上回らないものとする」としました。
 佐々木議員は、いったい、どのような理由で6兆円削減されたのか、その根拠は何かとあ質問。これにたいし、国土交通省の原田保夫道路局次長は「達成できそうな水準」と答弁。
 また、59兆円の中身はどうなっているかと聞くと「(削減した)59兆円の(計画の)内訳は示していない。今、作業している」と答弁しました。
 佐々木議員は、“はじめに59兆円ありき”で「こんないいかげんな計画を根拠に、暫定税率の10年延長を求めることはとんでもない」と批判しました。

 続いて佐々木議員は、戦後1949年にガソリン税が導入されたとき、特定財源にすると財政の硬直化を招くとの理由から一般財源となったことを指摘。1954年の法律で道路特定財源としたときも、ガソリン税は「目的税ではない」とされていたことなどの事実を紹介しました。財務省は「その通り」と答えました。
 佐々木議員は、ガソリン税などの暫定税率が、石油ショックのためにとられた2年間に限る“暫定措置”だったのに、34年も続けてきたのはなぜかと追及。
 額賀福志郎財務大臣は「道路のニーズが大きいことに応えてきた。この結果、相当道路整備が進んできた」とのべ、事実上、暫定税率が恒久化されてきたことを合理化しました。
 佐々木議員は、「ガソリン税が、目的税的なものに変えられ、しかも道路特定財源の税目自体が増えてきた。その上、暫定税率というものがつけられてきた」と指摘。こうした状況のもとで、道路特定財源が「どんどん膨れ上がり、自動的に入ってくるから、道路中期計画自体が大きく膨れ上がっていく」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず最初に、基礎的なところを確認しておきたいんです。道路の中期計画という素案が昨年11月につくられて、この総額が65兆円であったということですが、その後、政府・与党合意によってこれが59兆円に削減をされた。これ、なぜ6兆円マイナスになったのか。5兆円でなくて6兆円、7兆円でもなく6兆円だと。その6兆円というものの決まった理由、その理由を説明していただきたい。
○額賀財務大臣 6兆円という数字は国土交通省できちっとしてくれたわけでございますけれども、私どもは、65兆円という最初の素案からできるだけこれを言ってみれば合理化をしていく、コスト削減をしていく、そういう努力はできないのかということで国交省と協議をした結果、新規の技術を採用するとか、あるいはまた四車線を二車線にするとか、徹底したそういう合理化をしようじゃないかとか、あるいはまた、まちづくり交付金との関係で道路整備を活用していこう、あるいはまた、渋滞解消のために高速道路の料金引き下げ等を考えていく方法はないのかとか、いろいろなことを協議した結果、国交省でそういう6兆円の削減を考えてくれたというのが背景であります。
○佐々木(憲)委員 今の説明では、さまざまなコスト削減、合理化、その中にはいろいろな理由を挙げて、削減をした結果だと。つまり、6兆円を削減した中身というものはこういうものであると漠然と言われましたが、そのリストと金額、これを示していただきたい。
○原田政府参考人(国土交通省道路局次長) お答え申し上げます。
 現段階で65兆ベースの内訳は示しておりますけれども、59兆ベースの内訳は我々お示しをしておりません。
 今、この点につきましては作業をしておりまして、先ほど御答弁にありましたけれども、一つは、コストカット、コスト縮減でどこまでできるか、あるいはまちづくり、地域づくり、あるいはいろいろなソフト施策でどこまで削減できるかという作業を今詰めておりまして、できるだけ早く59兆ベースの内容を出させていただきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 いや、それは逆じゃないんですか。作業をしたから59兆になったんじゃないんですか。59兆にしてから作業をするというのはどういうことですか。それは全然話が逆さまじゃないんですか。
○香川政府参考人(財務省主計局次長) 今回の中期計画をつくるに当たりまして国土交通省では、全国10万人のアンケートをとったりして、道路に対するニーズを聞きました。それで、生活関連道路でありますとか、踏切の除去でありますとか、渋滞解消でありますとか、16の政策課題ごとに、これぐらいは必要だろうというものをまとめたわけであります。それに平均事業費を掛けて65兆というものが出てまいりました。
 私ども、議論する中で、この65兆で達成されるものについては確かに意味がありますねという議論をしてまいりました。ただ、それを達成するのにもっと安くできませんかという議論を予算編成過程でしていたわけです。
 それで、65兆をできるだけ低くできませんか、コスト縮減というのはまだまだできるでしょう、それから、渋滞解消といっても、バイパスをつくるんじゃなくて、料金下げとかほかのものでできるんじゃないですかとか、あるいは、生活関連道路についてはまちづくり交付金というようなものでできる部分もあるんじゃないですかということで、65兆で達成される成果についてもっと安くできませんかという議論をずっとしてまいりまして、そこはだから、59ならばぎりぎり達成できます、そういう努力をいたしますということで、59兆で合意したわけです。
 それでは、59兆について実際にどういうふうに実現するのかというのは、コスト縮減で幾らというのを今国土交通省でつくっているわけです。59は、予算編成過程で、いわば見込みでありますけれども、そこまでは努力しようということで、達成可能というように国土交通省が合意した水準であります。
○佐々木(憲)委員 どうも話がよくわからぬですね。もっと安くできませんかと言った、それで、ぎりぎりこの程度なら達成できるということになったと。だからつまり、その中身を出してくれればわかるわけです。
 これから中身を決めますということは、つまり、いろいろコスト削減その他をこれから具体的に検証してやってみて、そうすると、実は6兆ではなくて7兆ぐらい削れます、こういう結果が出る可能性もある、そういうことですね。
○香川政府参考人 65兆円で達成される成果について、まずこれは必要ですねという話になって、公共事業については、長年、入札の改革でありますとかコストの縮減計画を持っております。5年で15%の計画とかいろいろなものを持っておりますので、その関連で、道路でももっとコスト縮減できるんじゃないでしょうかという議論をいたしました。
 それから、先ほど言いましたように、他の施策で重複を回避すればもっと低く事業費を抑えられるんじゃないですかということで、それは、それらの要素を総合勘案して、59兆ならば何とかできると思いますという合意に達したわけです。
 具体的にそこをどうするかという話は、ではコストでここまでやりましょうというのを、予算の結果の後の国土交通省の方で今検討されているわけです。
○佐々木(憲)委員 要するに、59兆に決めたという理由は何もないんですよ。大体この程度ですねという決め方をしたんじゃないですか、今の話を聞いていると。つまり、6兆円減らして59兆にする、6兆円減らしますという金額がまず先にありきで、それに合わせて、ではここをこうしましょう、これから具体的な中身は決めましょうと。この決め方が全く逆転しているわけですよ。
 最初から、65兆円のこの部分とこの部分は削れるじゃないか、そういう作業をやっていれば、結果として6兆円削れても、その中身はこれですよと今すぐ出せるはずなんです。これからその中身を考えましょうなんというのは、最初にいいかげんな削減ありき。つまり、65兆円も最初からいいかげんだった。59兆円も適当に決めた。しかも、その6兆円減らした分、これからどういう数字を入れましょうか、考えます。そんなでたらめなやり方がありますか。
 今は年間、道路財源は5兆4000億だ、10年間これは暫定税率でやります、10年間で54兆円になる。道路計画54兆円だって別に悪くはないじゃないですか。59と決まった根拠は全くない。そんなでたらめなものを出してきて、これで何か10年間のものを今決めろと。とんでもない話だ。
 ではお聞きしますけれども、この59兆円のうち、税金でつくる道路と、国民が高速道路などへ金を払います有料の部分と、これは合わせて59兆円ですね。
○香川政府参考人 59兆円の中には、有料道路と普通の道路とあると思います。
 普通の道路については、国費が、現状、足元の単年度で見ますと約半分になっていますので、29兆5000億とかそういうものがまず必要なんだと思います。それから、先ほど言っていました料金の引き下げとかスマートインターとか無利子貸し付けで約3兆円ということで、32.5ということになろうかと思います。
 それで、有料道路は、将来の料金収入で返すということで、当面は借り入れでやるわけですけれども、それが、現在の19年度予算でいいますと約2割ぐらいやっております。そういう足元の数字を置いてやっているわけです。
 だから、59兆ですと、2割ぐらい、10兆弱ですか、強いて言えばそういうことになります。
○佐々木(憲)委員 59兆のうち、有料部分が10兆ですか。そうすると、あと49兆が税金だ、こういうことですね。
○香川政府参考人 有料道路をどれぐらいつくるかというのはまだ決まっておりませんので確定したわけではありませんが、足元の今の道路予算の中でいいますと2割ということなので、仮に置くとすれば、その数字になると思います。
○佐々木(憲)委員 これも非常に不確定要素なんですよ。
 今、ここに暫定税率を10年間延長すると出してきているわけでしょう。54兆円の税収を上げるわけでしょう、単純に10倍して。ところが、有料でさらに別枠で国民から取る、これが10兆円あるわけですよ。49兆円じゃないですか。何で54兆必要なんですか。どうしてそういうことになる。全くこれは、ここに出されている、今我々が審議している税制の前提そのものが崩れる話ですよ。
○香川政府参考人 先ほど主税局長からもお話しありましたけれども、特定財源、国と地方を合わせて5.4兆あります。国の部分は3.3兆、地方で2.1兆ぐらいですか。それで、先ほど、59兆のうち国費は29兆5000億ぐらい、仮に半分とするとそういうことになりますと申し上げましたけれども、その裏側の地方負担のところには地方の道路財源が当たることになります。ということです。
 54兆というのは国、地方を合わせた財源ですから、うち約30兆が国、残り24兆が地方になります。国と地方の財源を合わせて道路をつくりますので、そういう計算になります。
○佐々木(憲)委員 要するに、私が聞いたのは、国、地方を合わせて税金でつくるのが幾らか、それから有料の部分でつくる部分が幾らか、その数字、59兆円の内訳を言ってほしいと言っているわけです。
○香川政府参考人 59兆のうち約10兆が料金だとして、それから国費が30兆弱ということで、地方は、国のお金と地方のお金と合わせてつくる道路についていえば、地方のお金があと20兆ぐらい入るということになります。
 地方の道路財源は、余った分はあと地方の単独事業に使われるんだと思いますが、中期計画は単独事業は入っていませんので、国のお金と合わせて使うお金としては、地方が20兆になります。
○佐々木(憲)委員 これは料金で10兆だと。あと49兆、約50兆、そのうち国が30兆、地方が20兆。要するに50兆ですね。それで、道路特定財源で今審議をしている。この10年間でこれよりはるかに大きな税収が上がるわけですよね。これは、そんなに大きな税収が上がるようなことをやらなくても、当然、この税率を下げる、暫定税率部分をあるいは減税する、そういうことに十分対応できるんじゃないんですか。
○香川政府参考人 国の国費が29兆5000、約30兆です。それに、料金下げ、スマートインターチェンジ、無利子貸し付けのお金が3兆円。33兆弱かかるわけです。
 それで、主税局の方からもお話しありましたが、足元の動向なんかも見て幅を持っての話ではありますが、30兆から33兆の特定財源収入が国の分として入るだろうということで、ほぼ見合っているということになります。
○佐々木(憲)委員 いずれにしてもこの数字は、極めてアバウトな、全く積み上げた形にはなっていないわけです。
 したがって、本当に59兆を決めてから何か理屈を後でつけ足しているような感じで、先ほどの数字の中身の合理化の内容もこれから考える、今言われた数字も、後で59兆の中身を数字を合わせた形で大体こんな形だ、こういうやり方をしているわけです。本当に65兆も59兆も、えいやと言って決めたような非常にでたらめな数字だということがよくわかりました。
 では次に、一昨日の財務大臣の答弁で、特定財源のうち一般財源化するのは1900億円と言いましたね。これは、3兆3000億、この中の6%程度なわけです。先ほどの説明では、429億円が一般財源に回る分だ、こういうふうに言いました。この関係はどうなっているんですか。
○原田政府参考人 先ほどの420億円は私の答弁で申し上げましたので、とりあえず私の方から御説明させていただきます。
 特定財源につきましては、法定の特定財源でございます揮発油税等と、運用上の特定財源でございます自動車重量税がございます。先ほどの私がお答え申し上げましたのは、財源特例法の世界、すなわち、揮発油税等の世界の中で、税収と今度の予算で充てられている道路整備費との差額が428億円ということを申し上げたものでございます。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、この自動車重量税というのはもともと使途を特定されていない一般税である、運用上、その8割を道路に回しているだけである、法的根拠はない、そういうことになりますね。この前私が質問したときには、計算上、1900億円という数字のもとになっているのは、この自動車重量税を含んだ、いわば自動車に充てられてきた、つまり、道路整備に充てられてきたその中から一般財源化するといって回す分ですよ、そういうことで大臣はおっしゃっていたわけですね。
○額賀財務大臣 そのとおりです。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、もともとこの自動車重量税というのは、これは法的には特定財源ではないわけです。全額をこれは当然一般財源とするのが本来の筋だと思うんです。何も、そこから部分的にこっちに回しますと言わなくたって、もともと一般財源なんですから、それは本来の姿に戻す。何も8割とかなんとか言わないで、全体が一般財源、こういうことでよろしいんじゃないんですか。
○額賀財務大臣 それは、8割はだから国会の決め方で、答弁で、道路関係に使うという形になっておりまして、今までは道路整備を中心に使われてきたものであると思っております。
 道路整備については、これからは、必要な最小限というか、必要な道路についてこれから建設をしていくということでございますから、その以外のものについてはこの限りではないという意味で揮発油税等も一般財源化をされ、その中でその自動車重量税も道路建設整備以外のところに使わせていただいているということでございます。
○佐々木(憲)委員 必要な道路についてはその中から使わせていただいている、こう言っていますね。
 それなら、一般財源にして、必要な道路部分はこれだけいただきます、ほかの部分については、例えば医療にこれだけ使います、福祉にこれだけ使います、そういうふうにすればいいんじゃないんですか。自動車重量税、この部分については一般財源です、その上で必要な道路について使える部分はこの部分です、こういうふうにすればいいんじゃないですか。何も8割8割と言わなくたっていいじゃないですか。8割と言うから、こう消化し固定化されるわけであって、その点どうですか、大臣。
○額賀財務大臣 一般財源化をするということになると、自動車重量税はもともと一般財源的なスタートを切ったけれども、国会の中で、これは自動車関連を中心として使わせていただくということで御負担をいただいてきたわけでございますから、これはやはり、同じように、納税者に理解をしていただくことで自動車関連の分野に使わせていただくことになっておりますけれども、ことしは、そういう揮発油税そのものを道路整備に上回る分野は一般財源化をするという形にしておりますので、一般財源になった分野と合わせて自動車関連施設に使わせていただくと同時に、きちっとした、ひもつきではない一般財源化をつくらせていただいているということでございます。
○佐々木(憲)委員 要するに、法定されている道路財源、これは揮発油税と石油ガス税である、この二つなんですよ。それ以外の部分は、勝手に8割をいただきますと言っているだけの話です。だったら、それを全部一般財源にまずしなさい、こういう話を私は言っているわけです。
 ところが、今おっしゃった、道路整備に使う部分を超える部分、これは一般財源ですと言いますが、この前も私指摘しましたけれども、例えば1900億円の部分、この部分についても、これは自動車関連に使いますという限定がついているんじゃありませんか。だから、信号機ですとか交通事故対策ですとか、そういう自動車に関連する部分に使うということになっているわけですよ。しかも、この特定財源の揮発油税、石油ガス税が、道路整備で余った部分、その部分も、まちづくり交付金ですとか地域自立・活性化交付金、こういう道路関連施策という形で使われる。
 つまり、一般財源化と言いますけれども、何も一般財源化になっていないんじゃないですか。結局は、丸々、道路及び自動車関連、そういうところに使うという形になっているわけですよ。しかも、きょう明らかになった429億円ですか、この部分も、次の年に回して、そして、その部分についてはまた道路に使いますと。だから、一般財源化と言うけれども、何か、結果としては全部道路なんだ。こういうことでは、全くこれは言っていることが逆さまだと言わざるを得ない。
 それともう一つ、先ほどから、戦後の税制の歴史の指摘がありました。私も若干調べました。
 まず、1949年、揮発油税が制定されたわけでありますが、当時の議事録を見ますと、政府の提案理由はこうなっているわけです。「揮発油税に相当の担税力がある」、理由はこれだけなんですよ。そのときに、揮発油税を道路特定財源にすべきだという議論があったそうでございます。しかし、結果としては、使途を特定せず、何にでも使えるという一般税、一般財源として導入されたわけですね。
 これ、一般財源とされたその理由というのはどのようにお考えですか、大臣。
○額賀財務大臣 恐らく、戦後間もないころでございましたでしょう、そういうふうに、先生もおっしゃるように、揮発油は担税能力があるということで、さまざまな財政需要に応じるために一般財源として導入されたものというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 当時の有名なあのシャウプ勧告というのがありますね。ここでは、予算上の制約から、特定の歳入源を特定財源とすることは不可能であるという理由により退けられたと。つまり特定財源にするということは、いわば財政の硬直化を招く、そういう理由からだったわけです。
 これは、今私たちが道路財源を考える場合、大変重要な事実でありまして、大変参考になると思います。つまり、ガソリン税というのは、初めから特定財源ではなくて、これは一般財源であったと。目的税、特定のものに、道路に使われるようになったのはいつからですか。
○額賀財務大臣 これは、昭和28年に道路整備の財源等に関する臨時措置法が制定をされて、緊急かつ計画的に道路を整備する観点から、特定財源として道路整備に充てることにされたというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 おっしゃるように、1953年、昭和28年に、田中角栄議員などの提案で道路整備費の財源等に関する臨時措置法というのがつくられた。これは、今審議されている道路整備費の財源等の特例に関する法律改正案の原型となっているものです。今、審議は国土交通委員会でやっております。
 田中角栄議員が提案した内容の一つは、閣議で道路整備五カ年計画を決定せよ、二つ目に、1954年以降5年間は、毎年度、揮発油税法による当該年度の税収額に相当する金額を道路整備や修繕の財源に充てなければならない、要するに、終戦直後の臨時措置法というのは、道路整備長期計画と財源の手当て、この二つをリンクさせた、そういうものだったわけですね。
 ただし問題は、注目しなければならぬのは、この税金、つまり揮発油税というものが目的税だったのかどうかですよ。これは目的税ではないというのが、当時の田中角栄議員の答弁であります。
 例えば、昭和28年6月23日の建設委員会、ここでは、「目的税として道路整備の費用を計上するために、揮発油税を徴収するというのではありません」「俗にいわれておる目的税というのではないわけであります。」こうはっきり言っているわけです。それから6月24日、次の日の建設委員会では、田中議員は、「ガソリン税収入額と同相当額をもらわなければならないと規定しただけであつて、私は目的税的な、いわゆる理論的に言つた目的税では全然ないということを考えております。」こう答弁しています。つまり、ガソリン税などの道路特定財源と言われているものは、それ自体が目的税ではないと。
 この原理は現在も同じだと思うんですけれども、いかがですか。
○加藤政府参考人(財務省主税局長) 税法の法律の構成自体は現在も変わっておりません。
○佐々木(憲)委員 つまり、今、ガソリン税とか石油ガス税というのがありますけれども、その税目は、それ自体としては目的税ではないわけですよね。
 では、それは何によって道路に特定されるのか。そのための法律が別になきゃならぬわけであって、それは、例えば道路財源の特例法というものがなければ、これは道路に使えないわけであります。まあ、一般税ですから道路にも使えるわけですけれども。つまり、特定の目的のためにのみ使うということにはならないわけです。
 そうしますと、今、国土交通委員会で審議している道路整備特例法というのが、もしこれができなかった場合、それだけ成立しなかった、仮ですよ、そうしますと、我々の財務金融委員会で現在審議しているこの法案が通っても、ガソリン税や石油ガス税は一般財源になる、こういう理解でいいですね。
○加藤政府参考人 税法上は、使途の制約はございません。
○佐々木(憲)委員 要するに、今我々が審議しているのは、一般税であるガソリン税を審議しているだけであります。道路のために使うというのは、道路財源特例法というもので初めてそれが道路に使われるということになるわけですね。
 では、上乗せされている暫定部分がありますね。この上乗せされている暫定部分というのは、道路特例法がなければ、これは道路整備のためとして設けられたものだから、この暫定部分はなくなるのか、それとも、これも含めて一般財源として継承されるのか。これはどのように考えたらよろしいんでしょうか。
○加藤政府参考人 税法上は、揮発油税法の特例として、租税特別措置で異なった税率が定められているという関係のみでございます。
○佐々木(憲)委員 そうすると、この道路財源特例法というものが成立しない場合、ここで審議しているものが通ったら、それ全体が一般財源になると。
 例えば、その上でこの暫定部分についてはこれはやめましょうということになれば、これは、ここで審議してそういう税法の改正を行えばそういうふうになる、こういう仕組みであります。ですから、この暫定税率というものも、そういう位置づけとして考えなければならないと思うわけですね。
 それで我々は、道路整備にだけ使うというそういうやり方はもうそろそろやめたらどうか、そして、道路にも使える、ほかにも使える、そういう一般財源としてその税収を財政全体の中で活用する、これが一番合理的な方法ではないかと思うわけです。いつまでも、戦後つくられたあの枠組みで、道路にのみ使えるようなやり方というのはもう部分的に破綻しつつあるわけですから、もう全体をやめて、もう一度考え直すということが今求められていると思います。
 さて次に、この暫定税率というのは、いつ、どのような理由でつくられたのかという点です。
 これは、暫定税率は幾つかの税目につけられていると思いますが、それぞれの税目ごとに、その理由、そしてまた、最初何年の暫定としてつくられたのか、これをお答えいただきたい。
○森山財務副大臣 お尋ねについては、当時、昭和49年の国会答弁に即して申し上げますと、暫定税率の導入は、昭和48年に第7次道路整備計画が策定をされまして、昭和49年予算編成時までにその財源の検討を行うこととされてきたことを契機としております。
 暫定期間が2年とされたのは、昭和49年予算編成時において、第1次石油ショックにより総需要抑制の必要が生じるなど、道路整備計画の先行きが不透明となったことを踏まえたものと承知をしております。
 当該2年間の期限到来後は、道路整備計画の残存期間2年を合わせて暫定期間が延長されたものであると理解をしているところであります。
○佐々木(憲)委員 暫定ですから、石油ショック直後の混乱した事態に対応するという理由だったわけですよ。だから、2年間だけで何とかお願いしますということで暫定税率が上乗せされたわけですね。
 何でこれ、34年も続いているんですか。
○額賀財務大臣 これは、国民の皆さん方の道路のニーズが大きいわけでございます。それにこたえてきているわけでございまして、その結果、今日、相当道路整備が進んできたという成果もあるわけであります。当然、5年ごとに見直しをし、そして国会でも御議論をいただいてきたわけでございます。
○佐々木(憲)委員 国民が望んだというより、一度つくった税金はもう二度と手放さない、こういう理屈でずっと続けてきたんですよ。最初の理由は、石油ショック後の税収の落ち込みを何とかしたいというだけだったんです。それはもう達成されても、いや、まだ別な道路に必要なんだという理由をつけてどんどん何回も延長して、今日まで来てしまった。これは極めて異常な状況なんです。
 何で34年も暫定なんですか、まだ10年さらに暫定なんですか。全く理屈が通らない。こういうやり方は、財政全体、国民の負担からいって見直すべきだというふうに私は思います。
 確認しますけれども、現在、どの税目にどのような暫定税率が上乗せされているのか、それをお答えいただきたい。
○加藤政府参考人 まず揮発油税でございますが、揮発油税の本則税率は1キロリットルにつき2万4300円でございますが、それが暫定税率で4万8600円の税率になっております。
 それから地方道路税につきましては、本則税率が1キロリットル当たり4400円でございますが、それが暫定税率によって5200円になっております。
 あと、自動車重量税、一般の乗用車の例で申しますと、本則が、0.5トン、1年につき2500円でございますが、自家用乗用車の場合はそれが6300円、営業用の場合は2800円にされております。
 以上が、国税関係の暫定税率の関係でございます。
○佐々木(憲)委員 これまできょうの議論をしてみて、私は、この道路特定財源というものの戦後の出発点から現在までの状況を振り返ると、極めて異常な、あるいは異例な状況が生まれていると思います。
 もともと一般財源だったガソリン税、そこから出発して、それが目的税的な、的なですよ、ものに変えられ、しかも税目も新しく創設されて、例えば1955年には地方道路税、66年、石油ガス税、71年、自動車重量税、地方税では56年の軽油引取税、68年の自動車取得税、もう税目自体がどんどん数がふえてしまう。
 しかも、オイルショック後、暫定税率、こういうものがつけられて、揮発油税が本則の2倍、自動車重量税が2.5倍、軽油引取税が2.1倍、自動車取得税が1.7倍。暫定で始まったんだけれども、結局は常態化する、恒常化する。しかも、税率はどんどん引き上げられているんです。倍加される。こういう状況が、今の道路特定財源と言われるものの財源なんですよ。
 ですから、こんなものがどんどん膨れ上がって自動的に入ってくるわけですから、当然それを前提として、5年の中期計画が今度は10年だという形で、中期計画自体も大きく膨れ上がっていく。
 これまでの1次から12次までのその数字も最後に確認をしておきたい。1次から12次まで、それぞれこの総額は幾らだったか、全部言ってください。
○原田政府参考人 お答え申し上げます。
 第1次計画、昭和29年から32年度、2600億円。第2次計画、昭和33年から35年度まで8100億円。第3次計画、昭和36年から38年、1兆7500億円。第4次計画、昭和39年から41年度、3兆3000億円。第5次計画、昭和42年から44年度、5兆3500億円。第6次計画、昭和45年から47年度、7兆7000億円。第7次計画、昭和48年から52年度、14兆3000億円。第8次計画、昭和53年から57年度、20兆3000億円。第9次計画、昭和58年から62年度、25兆2000億円。第10次計画、昭和63年から平成4年度、37兆8000億円。第11次計画、平成5年から9年度、49兆4000億円。第12次計画、平成10年から14年度、46兆2000億円。社会資本整備重点計画、現行、19年度までの計画でございますが、平成15年から19年度、38兆円でございます。
 ちなみに、第1次と現行の社会資本整備重点計画は地方単独事業を入れていませんので、比較のため、第2次から第12次までも、地方単独事業を抜いた数字でお答えを申し上げました。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 今、ざっと聞きましたけれども、12次まで全部、前の計画よりも必ずふえているんですよ。しかも、5カ年計画といいながら3年で今度はまた次の5カ年計画、それもまた3年で次のという形で、計画自体はどんどん膨れ上がる。倍々ゲームで毎回膨れ上がっていく。何でそうなるかといえば、先ほど言ったような、税源が幾らでも入ってくる、全部道路なんだ、こういうやり方をしてきたから、今のような硬直した財政状況が生まれてきたんじゃないですか。
 私は、こういうやり方をもうそろそろ根本的に見直さないと、日本の将来、日本の財政というものはしっかりした中身になっていかない、そういうことを最後に申し上げて、質問を終わります。

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