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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (道路特定財源)

2008年02月20日 第169回 通常国会 財務金融委員会 【432】 - 質問

道路財源増やす政府案 ごまかしの“一般財源化” 福田総理に質問

 2008年2月20日、財務金融委員会で、予算関連税制法案の審議がはじまり、佐々木憲昭議員は、福田康夫総理らに質問しました。
 佐々木議員は、“道路特定財源の余った部分は一般財源化する”という政府の主張が、国民を3重にごまかすものであり、一般財源化どころか、それに逆行する中身であると追及しました。
 
 政府は今国会に、ガソリン税などの暫定税率を10年間延長する法案とあわせ、その税収の使途を道路建設に限定する道路整備財源特例法改定案を提出しています。
 この法案では、税収が道路整備費を上回る場合には「一般財源」にまわすと規定。福田総理は「私の内閣で初めて一般財源化した」と胸をはってきました。

 佐々木議員は、第一に、道路特定財源のうち、一般財源にまわる税収割合を質問。額賀福志郎財務大臣は「2008年度予算案で1900億円程度を計上」と答えました。佐々木議員は「特定財源全体(3兆3000億円)のわずか6%にすぎない」と指摘しました。

 第二に、そのわずかな「一般財源」部分も道路関連費に使うよう使途が定められていることをつきつけました。
 佐々木議員は、「政府は『一般財源化』などといっているが、福祉や暮らしには使えないではないか」と迫りました。これに額賀大臣は「納税者の理解を得るため、結果的に環境や信号機を作る予算に計上されている」とのべ、結局、道路関係費にしか使えないことを認めました。

 第三に、この法案が「一般財源化」した税収相当分を、翌年度の道路整備費に充てる(第3条3項)としていると指摘。
 佐々木議員が「今までの道路特定財源を維持した上に、さらに道路財源を増やすものだ」とただしたのに対し、額賀大臣は「計算上は、そういうようになる」と認めました。

 佐々木議員は「政府は『一般財源化』というが、中身はまったく違う。道路財源を増やすものだ」と指摘。法案の撤回を強く求めました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、基本的なことを確認したいと思います。
 財務大臣、先ほども少し議論がありましたが、戦後、1949年に揮発油税が制定されたとき、道路整備目的税すなわち道路特定財源にしようという動きが一部ありましたが、結果的には、特定財源ではなく一般財源として制定されたわけであります。
 確認したいんですが、この一般財源というものは、使い道を特定されずどのような経費にも使用することができる財源、つまり使途が特定されていない財源、こういう理解でよろしいですね。
○額賀財務大臣 そのように理解しています。
○佐々木(憲)委員 福田総理は、2月8日の予算委員会の答弁で、道路財源を一般財源化できることを私の内閣で初めて法律化し、その金額も昨年よりふやそうとしていると言われました。これは事実ですね。
○福田内閣総理大臣 はい。
○佐々木(憲)委員 果たして一般財源化したと言えるのかどうか、これをきょうただしたいと思います。
 道路特定財源として入ってくる税収の何%が一般財源化されるんですか。
○額賀国務大臣 19年度が1800億円、20年度予算で1900億円台前半を計上させていただいています。
○佐々木(憲)委員 これは全体の額が3兆3千億ですから、1900億円といいますと5・8%。つまり大部分、94%が道路に使われる。これは、一般財源化といいますが、大部分は特定財源なんですね。
 それからもう一つ。では、一般財源化された部分、これは、一般財源化ということであれば、先ほど言われたように、使途が特定されない、特定されないということは、福祉にも使えるし、医療や介護にも使える。この部分は福祉に使えますか、医療、介護に使えますか。
○額賀財務大臣 これは一般財源化をしているわけでございますから、一般会計で、ひもつきでどこどこに使いなさいという形にしているわけではありません。
 ただ、納税者の理解を得なければならないという前提もありますので、一般財源化はするけれども、その範囲については、ひもつきではないけれども、結果論的に、一般財源として環境だとか信号をつくったりとか、そういうところに使われている予算と大体相身互いになっているので、納税者の理解も得られるのではないかという解釈をしております。
○佐々木(憲)委員 つまり、福祉や医療、介護、こういうものには使えない、こういうものですね。
○額賀財務大臣 いや、そういうことではありません。それはひもをつけておりません。
○佐々木(憲)委員 では、道路関係にしか使えないというのが現状じゃないんですか。先ほどの説明ですと、ユーザーの理解と。福祉に使うということが可能なら、福祉に使う、その証明をしてください。今回の予算ではそういうふうになっていないでしょう。
 この間の一般財源化、一般財源化と言われてきたものをずっと見ますと、すべて道路関連、あるいは道路に少し遠いけれども、まちづくりですとか地域再生ですとか、そういうものに使っている。福祉、社会保障に使ったりは一度もないんじゃありませんか。
○額賀財務大臣 これは、だから、一般財源化をした1900億円のお金については全くひもをつけていないお金であります。ただ、一般財源から、一般会計から結果的に環境だとか信号機だとか、そういった予算が計上されていることになっておりますので、結果的には、納税者の皆さん方に一般財源化しても御理解を得られているというふうに理解をしているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 実際には、一般財源化といっても、社会保障に使えない、使わないというやり方をしているわけですから、これは真の一般財源ではないんです。特定されたものしか使えない、そういう財源なんですよ。
 しかも、次に問題にしたいのは、今政府が提案している道路財源特例法の改正案、このからくりですけれども、法案の第3条1項ただし書きでは、税収が道路整備費を超えるときには、超えた金額は必ずしもその年度の道路整備費に充てる必要はない、こう書いていますね。つまり、道路整備費で余った部分は道路に使わなくてもよろしい。ところが、第3条3項を見ますと、一般財源化した額に相当する金額を道路整備費の財源に充てなければならない、こういう形になっているわけですね。道路整備費への未充当相当額については、翌年度以降の道路整備費に充当可能なものとして措置する、こういうことになっていますね。
 つまり、一般財源化したと言われているものも限定的なんだけれども、その一般財源化したと言われるものの、同じ金額を次の年度の道路整備に充てる、こういうことになっているわけですね。これは一般財源化したといいながら、実はその金額と同じ金額を次の年には道路整備に充てるわけですから、道路整備に使えるものとして充当するとなっているわけですから、これは、一般財源化したというより、道路特定財源そのものを2年にわたって全く同じように維持しているということになるんじゃありませんか。
○額賀財務大臣 これは毎年毎年査定をして、そして一般財源化を図っていく。その中で、次から次へと結果論的には一般財源化として使われているわけでございますから、そして、計算上は、次の年度で新しい予算をつくるときに、改めてまた道路予算を上回る分は一般財源化をしていく。最終年度に当たっては、その分が余った場合はどういうふうになっていくかということだけれども、これは何年までに使い切らなければならないということではないけれども、納税者の理解も得る形で道路予算に使われる場合もあるというふうに理解をしていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 先ほどの議論で、次の年に回した同じ金額の部分は財源はどうするんですかと平岡議員は聞かれました。公債などで充てますと。
 そうしますと、次の年は同じように道路関連の税収が上がるわけです。道路財源としての、特定財源としての税収は上がってくるわけですね。例えば、それがことしと同じ100だとします。ことしは100。100のうちの10を次の年に回しました。次の年も100という財源が同じように上がってくるとします。その回した10というのはそれに上積みされまして110になる。その10の部分は公債などほかの財源で賄います。そうしますと、道路に使われる部分は、ことしは100あったけれども、次の年は110になる。実際に使うかどうかというのはまた査定でしょう。それはいろいろあるでしょう。しかし、道路に使う可能性のある部分が1割ふえるんじゃありませんか。そういう計算になるでしょう。
○額賀財務大臣 計算の上ではそういうことになります。
○佐々木(憲)委員 これは全くのごまかしじゃないですか。
 結局、総理、最後にちょっと聞きたいんですが、これ、一般財源化すると言いますが、私は、今の議論で三つのごまかしがあると思う。一つは、全額を一般財源化するのではなく、極めて一部の数%ですね、まあ6%を一般財源化するだけだ。二つ目のごまかしは、その6%は何にでも使えるかというと、使えない、社会保障には使ったためしがない。三つ目のごまかしは、この税収の分はことしと来年同じだとしても、来年には、ことし使い残した分は上積みされて、道路財源として使える部分はことしよりふえるということになる。
 こんな、でたらめも甚だしい。道路財源を減らして、道路財源を一般財源化して道路整備を見直すというならわかるけれども、道路整備が、その部分の費用がどんどんふえていく形になるんじゃないですか。こんなでたらめなごまかしを、この法律で一体、国民に真っ当に説明できますか。福田総理、どうですか、これは。福田総理に聞いているんですよ。こういう仕組みについて、こういう提案をして、道路予算をふやすような予算じゃないんですか、仕掛けじゃないんですか、この法律は。国民を三重にだますものだと言わざるを得ないですよ。総理、どうですか。
○額賀財務大臣 一つ目は、だから、道路整備を上回る分は一般財源化をするということでありますから、19年よりは20年度の方がふえているわけでございます。税収が減っている中でふやしているわけでございますから、これはそういう形でその方向転換をさせていただいたということ。
 それから、一般財源化を図ったということが、これはひもつきでやっているわけではないので、もう一般財源として一般会計の中に入っているわけでございますから、これは自由に使われることになっているわけでございます。
 あと、毎年毎年査定をしていくわけでございますから、その中できっちりと道路予算と一般財源化を分けていくという話になるので、御理解をいただきたいというふうに思います。
○福田内閣総理大臣 一般財源化は何にでも使えないじゃないか、こういうふうにおっしゃることなんですけれども、今までの経緯もございます。そしてまた、これがユーザーの負担というようなこともありますから、その辺はやはりユーザーの理解を得なければいけないということであります。
 しかし、今現在、そういうようなユーザーの理解を得て一般財源化も進めているということでありまして、今後のことにつきましては、この一般財源の活用というようなことに際して、さらに納税者の理解を得ながらその枠を広げていくというようなことは当然あり得るものと考えております。
○佐々木(憲)委員 大体、一般財源化した、したと言って大威張りで答弁もし、宣伝もしていますけれども、実際には一般財源化どころか逆行じゃないですか。一般財源化するといっても、本当の意味の一般財源化ではない。ごく一部、道路に関連するところにはまあ少し使いましょう、しかも、その部分は道路整備には使えないから次の年に回して、次の年の道路整備の財源に回します、その財源は公債を発行してそういうところを確保しますと。今までの道路財源を維持した上にさらに道路財源をふやすようなもので、こんなでたらめな法案を認めるわけにはいかないということを申し上げまして、終わります。

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