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税制(庶民増税・徴税) (道路特定財源, 強行採決)

2008年01月30日 第169回 通常国会 財務金融委員会 【429】 - 質問

「扱い方も内容も、前代未聞のものだ」“つなぎ”法案を批判

 2008年1月30日、与党はガソリン税など暫定税率を3月末の期限切れ後も2カ月間延長する「つなぎ法案」を取り下げました。
 それに先立つ衆院財務金融委員会と総務委員会で与党は、いったん審議と採決を強行しました。佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で追及し、法案の危険な本質を明らかにしました。

 佐々木議員は、与党が野党を無視して審議を強行した「つなぎ法案」について、「法案の取り扱い方も、内容も前代未聞のものだ」と批判しました。
 それは、「つなぎ法案」の本質が、10年間にわたって道路特定財源の確保を狙い、国民に増税を押し付けるものだからです。
 佐々木議員は、「経済情勢がどうあろうが、国民生活がどうあろうが、道路の計画は一度たりとも減ったことがない。社会保障のための財政措置はどんどん減ってきた。なぜ道路だけ増えるんだ」と強調。その理由を、道路整備のための財源が「特定財源という形で必ず入ってくるからだ」と指摘しました。
 法案提出者の後藤茂之議員(自民党)は「これまで道路の5カ年計画は規模が大きくなっている」と答弁、計画が膨張してきた事実を認めざるをえませんでした。
 後藤議員は「本体(租税特別措置法改定案)が整えば、暫定的なブリッジ法案はそのまま消える」とのべ、暫定税率を10年間延長する「つなぎ法案」の本質を認めました。
 佐々木議員は「国民生活が混乱するというが、そんなことはない。(暫定税率が切れて安くなり)下がったものをまた上げようとするから混乱する」と暫定税率維持を強行しようとする与党の姿勢を糾弾。
 国民の暮らしをないがしろにし、膨らんだ財源をすべて道路に投入するという仕組みを固定化し、「利権構造を温存するというやり方は認めるわけにはいかない」と批判しました。



 その後、衆議院の河野洋平議長と参議院の江田五月議長が、事態を収拾し国会を正常に戻すためのあっせんに乗り出し、「つなぎ」法案は撤回されることになりました。
 翌31日、財務金融委員会が開かれ、前日の議長あっせんにもとづいて、提案者が「つなぎ法案」の撤回を求め、委員会としてそれを許可することを議決しました。
 委員会で可決された法案が、本会議に上程される前に撤回された事例は、衆議院ではこれが初めてです。
 与党の「つなぎ法案」ごり押しが、あまりにも理不尽だったことがあらためて明白となりました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず最初に、この議事の運営の問題点について一言申し上げたいと思います。(発言する者あり)ちょっと静かにしてくれるかな。
 この法案の取り扱い方も内容も、前代未聞のものであります。原田委員長のやり方は余りにも横暴であり、昨日、本会議終了後、突然夜中に理事懇の呼びかけがあったそうですが、これは余りにも常識を外れたやり方であります。しかも、与党単独でこの委員会を設置し、しかも時間割りまで勝手に決める。全然与野党の協議が成り立っていないんじゃないですか。
 その上で、ことしの3月末までに切れることがわかっていたこの特措法のガソリン税の部分、これだけを取り出して暫定措置を延長する。それ以外の期限切れのものも一緒だと言うんですけれども、その法案さえまともに示されておりません。きのうの議運の理事会にも、法案を見たのか。与党だれ一人として見ていないじゃないですか。それを、中身も示さないでいきなり委員会に付託だ。判断のしようがないじゃありませんか。
 伊吹幹事長などは、つなぎ法案というのは、本体の審議を十分尽くす、そのためだと言っていますけれども、つなぎ法案が衆議院で可決をされたら、10年間に及ぶ道路特定財源の確保をねらう租特法案と道路財源特例法案の成立を確実なものとする。これでは、議論の時間を確実にしたのではないんですよ。議論を封じて、何が何でも10年間は国民から税金を取り続ける、道路にすべて注ぎ込む、そういうもの以外の何物でもありません。
 しかも、きょう、与野党の幹事長・書記局長会談が開かれて、その結論が出てどういう運営がされるのか、それを待って審議をやってもいいじゃないですか。少なくともそのぐらい待つべきではないんですか。それをやらずにいきなり始める。余りにも不当ではありませんか。
 今、野党は議長に対してこういう提案をしております。公聴会や参考人質疑を含む徹底した審議を行った上で期限内に一定の結論を出すよう双方が努力する、こういうことでやろうではないかと議長に申し入れているところですよ。それを無視していきなりやるというのはおかしい。まず最初にそのことを明確に申し上げておきたい。
 しかも、原田委員長解任決議案がここで出された。出された以上、まず最初にそれを先議するのは当たり前じゃありませんか。それをまずやった上で議事に入る、これが国会のルールですよ。そのルールさえ守らない。全く私はやり方として異常だと思いますし、不当だと思います。
 しかも、この道路特定財源、10年間、59兆円、ガソリン税26兆円、こういうものを今この2カ月延長という法案を通すことによってずっとやろうというわけですから、全く話にならない。
 まず提案者に聞いてみたい。シャウプ勧告を見ると、揮発油税、これは徴税上の理由で国税となりましたが、その際、道路特定財源ではなく一般財源になったわけです。その理由は何だと思いますか。
○増原議員 ただいまの佐々木議員の御指摘、二点あると思います。
 一点は、シャウプ勧告以降のいわゆる揮発油税、油課税でありますが、一般財源ではなかったかと。まさにそのとおりであります。今も税法自体はその使途を特定いたしておりません。御承知のように、道路整備特例法、国土交通委員会で審議されます、そこによって特定されているわけでございまして、税法自体は普通の税法と全く同じでございます。
 それから二点目、ちょっと誤解があるのかなと思いますのは、2月延ばしますが、佐々木議員、確かにこれが一たんおくれたかもしれませんけれども、附則第1条を見ていただきたいんですね。これを読んでいただけばわかりますように、所得税法等の一部を改正する法律が通った暁には、それに我々が出しているこの議員立法は全部溶け込むことになっているわけであります。いいですか、そこが問題なんです。
 したがって、これからいろいろ、所得税法等の一部を改正する法律案、政府が出しているもの、これについて審議を行います。与野党でいろいろと協議の場を持ってやっていくと思います。そういうところで修正があることになれば、それは修正可決という形になるわけでございまして、その場合はそれが優先するというふうな法律の構成になっておりますので、何十年もずっと続くというようなものではありません。
 道路特定財源制は、先ほど申し上げましたように、道路整備の特例法で定めておるものでございますから、税法それ自体は一般法となっております。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 私の質問にまともに答えていない。つなぎ法案というのは、今月中に衆議院を通過させれば、この法案を参議院で3月31日までに成立させられない場合、衆議院通過から60日を経た3月31日に、衆議院で3分の2の多数で参議院否決のみなし議決を行って、3分の2で再可決して成立させる、そういうシナリオのもとでつくられたものじゃありませんか。
 しかも、本体の方、これがおくれる、3月末までにこれがおくれて成立しても、つなぎ法案を先に決められているから、ずっとつながってしまう。
 もともと、この本体の議論をしっかりやろうじゃないかと始まったわけですよ。本体の議論をやって、果たして道路特定財源というものが必要なのか、この税率でいいのか、一体、全体の税体系はどうすべきかという議論をして、それで結論を出していくというのが当たり前なんです。最初から結論ありき、最初から引き延ばしありき、そんなやり方は絶対に認められない。
 もう一つ、シャウプ勧告の点ですけれども、予算上の制約から特定の歳入源を特定財源とすることは不可能である、予算上の制約から、こうはっきり書かれていたんでしょう。別な法律でつくられた。何でつくられたんですか。これを無視してつくったんじゃありませんか。ですから、特定財源という形でやること自体が最初はできなかった、極めて異例な事態なんですよ。
 そして、それを最初、臨時措置法という形でつくられた。一番最初はわずか2年間の内容だった。それが次から次と延長されて、もう何十年やっているんですか。
 では聞きますけれども、道路整備5カ年計画、今まで13次やられたと言われておりますけれども、一度たりとも前の計画に比べて減った計画はありましたか。
○後藤(茂)議員 きょうはセーフティーネット法案の御審議ということで、道路特定財源の議論はございますけれども、基本計画がマイナスになったことがあるかどうかということについて、正直申しまして、今手元に確定たる資料は持っておりませんけれども、御指摘のとおり、これまで大変に、道路の財源は諸地方の要望に対しまして大きく認めてまいっておりますので、そういう意味では、これまでは道路の5カ年計画は規模が大きくなっているものと承知をいたしております。
○佐々木(憲)委員 経済情勢がどうあろうが、国民の生活がどうあろうが、道路の計画だけは一度たりとも減ったことがないんですよ。
 なぜそうなるのか。それは、道路特定財源という形で必ず入ってくるからですよ。入ってきたものは全部使う。しかも、最初は揮発油税だけだったけれども、その他のさまざまな、新しい、つけ加えられた税目が加わって、しかも、このガソリン税の上に、さらに臨時措置として30年も、暫定と言いながら恒久的な形でそれがつくられてきた。入ったものは全部道路だ、こういうやり方でやってきたから、国の財政も無視し、国民の生活も無視して、一方では財政赤字だと言いながら、社会保障は切り捨てる、医療の国庫負担は減らす、介護、年金、そういうものに対して国の財政措置はどんどん減ってきたじゃありませんか。何で道路だけがふえるんだ。道路関係のところには天下りがある、道路関係の業界からは献金がある、そういう道路の利権、道路全体の癒着構造の中でそこだけが膨れ上がってきたんですよ。
 それを何とか4月で切れないようにということで、まあ2カ月なんという、2カ月じゃありませんよ、これは10年間ですよ。今まで10年なんということはありましたか。あったら言ってください。
○後藤(茂)議員 これまで、道路の計画は5カ年であったというふうに思っております。
 それから、もう一つお答えをいたしますけれども、このたびの59兆の計画は減額になっております。
 それから、先ほど委員から御指摘の御議論につきましては、実を言いますと、私ども先ほどから大変丁寧に御説明をさせていただいているつもりでありますが、実体法についてはきちんと審議をしたいというのが与党の気持ちであります。そして、実体法をきちんと議論した後、その議論が、どうしても3月31日という、大変に国民生活に大きな影響がいろいろな法律が適用にならないことで起きる場合に、その2カ月間についてだけブリッジをかけるということで、本体が整えば、その暫定的なブリッジ法案というのは、セーフティーネット法案はそのまま消えるということでございますので、我々としては、そういう趣旨であるということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
○原田委員長 日本共産党の質疑時間は終了いたしました。
○佐々木(憲)委員 ちょっと待って、委員長。一言最後に。
○原田委員長 短くお願いします。
○佐々木(憲)委員 今の答弁は、国民生活が混乱する。何が混乱するんですか。大体、5年前にこれで切れますよということがはっきりわかっていたわけですよ。5年前に切れるのがわかっていて、今こういう事態になれば、当然その議論が、予算の審議とともに本体の議論が行われて、そこの結論がどうなるか、ここによって切れるか切れないかということが決まっていくわけでしょう。切れた場合にどうするかということの対応も、政府は考えて当たり前じゃありませんか。
 国民の暮らしからいうと、ガソリンが4月からリットル当たり25円下がる。25円下がって、ああ、安くなったなと安心するんじゃありませんか。何も混乱なんかしませんよ。それがずっと続けば、ああ、ガソリンというのはこの値段で大変助かったな、そういうことで続くわけであります。それを、切れてまた上げようとするから混乱するんですよ。そういう発想だから、国民の暮らしなんかはどうでもいい、ともかく道路だけ確保すればいい、それが幾ら膨れようが一度も減らさない、こういうやり方というのは絶対に我々は認めるわけにいきません。
 したがって、この2カ月延長法案というのは、この構造を固定化し、恒久化し、利権構造そのものを放置するものである、温存するものだということで絶対に認めるわけにはいかない、このことを主張して質問を終わります。

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