2007年12月07日 第168回 臨時国会 倫理選挙特別委員会 【422】 - 討論
国政選挙への電子投票拡大に反対討論
2007年12月7日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、電子投票法案の質疑終局後、日本共産党が反対する中、可決しました。
採決に先立ち、佐々木憲昭議員が、反対討論を行いました。
佐々木議員は、現在、電子投票制度を実施している自治体ではトラブルが続出していることを指摘。「電子機器の技術進歩は急速であり、投票方法の技術的進歩を否定するものではない」としながらも、「現時点では、技術的な問題点、電子投票機の信頼性、コスト高などデメリットの方が大きい」と主張し、電子投票制度を国政選挙まで拡大することは、「時期尚早だ」と訴えました。
議事録
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、いわゆる電子投票法案に反対の討論を行います。
現在、電子投票制度を実施している自治体は8市町村にすぎず、トラブルが続出しております。そのため、再選挙が行われたり、首長選挙のみに限定したり、条例を廃止する市町村さえ出ています。
本法案で国政選挙に電子投票を広げた場合、仮に導入した一部の市町村でトラブルが発生すれば、全国的規模で影響が出ることになり、選挙そのものの有効性が問われかねません。
参院比例選挙のように候補者数が多い場合、電子投票機にどのように表示するかは選挙の公平公正にかかわる問題です。ところが、この表示方法は政令にゆだねられており、問題は解消されておりません。また、全国選挙でありながら自治体によって投票方法が異なることとなり、これで同一選挙と言えるのかという疑問も残されました。現状では電子投票機の信頼性は乏しく、投票の秘密が守られるのかという問題もあります。
電子投票制度にメリットがあることは認めますけれども、現時点では、技術的な問題点、電子投票機の信頼性、コスト高などデメリットの方が大きく、選挙の公正性、信頼性を損なう危険性が高いと言わざるを得ません。
なお、電子投票制度は導入に高額な費用がかかるものであり、ごく一部のメーカーの新たな利権問題も浮上しています。防衛省疑惑が取りざたされる今日、新たな利権を生み出すことについても懸念を表明しなければなりません。
電子機器の技術進歩は急速であり、投票方法の技術的進歩を否定するものではありませんが、現時点でさまざまな問題点を抱えている制度をこの国会で拙速に成立させることは避けるべきであります。
秘密投票主義、一人一票主義など、選挙、投票の基本原則は決して揺らぐことがあってはなりません。国政選挙への電子投票の導入は、現時点では時期尚早であります。
最後に、きょうの質疑で、私だけでなく、各党の質疑者からさまざまな疑問が提起されました。問題点は何も解消していないのに、なぜ採決を急ぐのでしょうか。附帯決議案には根本的な懸念が列挙されています。こういう状態で採決することは無責任のそしりを免れない、このことを指摘し、反対討論を終わります。