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医療・介護・年金 (年金制度)

2004年05月14日 第159回 通常国会 財務金融委員会 【248】 - 質問

年金改悪法案の国家公務員版「国家公務員共済年金法案」について質問

 2004年5月14日の財務金融委員会で、年金改悪法案の国家公務員版となる国家公務員共済年金法案が審議されました。

 佐々木憲昭議員は、(1)共済年金の給付率が現役世代の平均収入の50%を割り、給付水準が今後いっそう低下すること、(2)保険料率は、従来どおり5年ごとの財政再計算で決定することとしているものの、今後毎年、厚生年金と同水準での保険料引き上げを予定し、2025年には約20%もの高い水準の保険料率を押し付けようとしていること、(3)年金の支給開始年齢の引き上げと定年とのギャップの問題などについて質問しました。
 小泉内閣による負担増が、現役の国家公務員と年金生活者である公務員OBをはじめ、国民の生活と暮らしを圧迫するものであることを浮き彫りにしました。

 質疑の後、「国家公務員共済組合法案」が採決され、日本共産党が反対するなか、自民党、公明党、民主党の賛成多数で可決されました。
 採決に先立ち、佐々木憲昭議員が、日本共産党を代表して反対討論に立ちました。

議事録

○田野瀬委員長 この際、政府参考人から発言を求められておりますので、これを許します。金融庁総務企画局長増井喜一郎君。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) 5月11日に当委員会において証券関係2法の御審議をいただきましたが、その審議の中で私から答弁させていただいた内容につきまして、不十分な御説明をしたことをおわび申し上げまして、改めて修正をさせていただきます。
 佐々木憲昭先生への株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案に関する答弁の中で、振替口座簿に誤って本来の株式数よりも過大な数の株式数が記録され、善意無重過失の第三者により善意取得が生じた際の株主権の行使について御説明をさせていただきました。
 この場合には、過大記載を行った証券会社等の傘下に口座を開設する株主等は、過大記載分に相当する株式については、その持ち株数の割合に応じて、会社に対抗できないこととなり、その対抗できない部分に係る株主権を会社に行使することはできないことになります。
 このような過大記載が解消されれば通常の状態に戻りますが、過大記載が解消されない期間においては、さきに述べた株式が保有割合に応じて対抗できなくなる原則は、株式数の多寡にかかわらず適用されるものであります。
 しかしながら、過大記載により、発行会社に対抗することができる株式について端数や単位未満数が生じた場合には、当該株主は、商法の原則では端数や単位未満数では議決権が生じないが、この場合に限って当該端数等の議決権を有する特例を設けたところであります。すなわち、会社に対抗できる株式が1株未満となっても、商法の特例として、その1株未満の株式が会社に対抗できるということでございます。
 今後はこのようなことがないように努めてまいりますので、引き続き御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
…中略…
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 時間が押してまいりましたので、端的にお聞きをしますから、短くお答えをいただきたい。
 今度の法案では、共済年金の給付水準について、厚生年金に準拠して定める、あるいは水準の調整は厚生年金と同一の比率で行う、こういう説明がされているわけです。
 厚生年金については、政府は、モデル世帯で50%の給付水準を確保する、こういうふうに言っておりました。では、共済年金の場合はどうなるのか、50%を確保できるのか、まず大臣にこの点、お伺いしたいと思います。
○山本財務副大臣 厚生年金の試算と同様の前提を置いた上で、国共済における平成37年、2025年度における所得代替率を試算してみますと、夫は40年間国家公務員、妻は40年間専業主婦の世帯、モデル世帯の場合、49.8%でございます。また、夫、妻ともに国家公務員として40年間共働きの世帯の場合、39.1%、40年間国家公務員である単身男子世帯の場合、38.0%、40年間国家公務員である単身女子世帯の場合、40.4%でございます。
○佐々木(憲)委員 聞いたこと以外もお答えをいただいたわけでありまして、時間が大変節約されたと思うんですけれども、次の質問で聞こうと思っておりましたモデル世帯以外の世帯も、今、40年間夫婦共働きの場合は39.1、男子単身、女子単身の場合、それぞれ38.0、40.4。
 こうなりますと、最初のモデル世帯でも50%を確保ということではなくて、それを割っているわけですね、49.8ですから。そのほかの世帯構成、世帯類型の場合も3割台、4割台、こういうわけでありまして、何か5割5割と、50%ということが盛んに言われておりましたけれども、実際にはすべての世帯で四割台、3割台、こういうことが今答弁の中で明らかになったわけであります。
 それでは、この水準というものがその後も、つまり、65歳の段階でそうである、その後もこれが維持されるという保証があるのかどうか、次にこの点をお聞きしたいと思うわけであります。
○山本財務副大臣 その保証はございません。
○佐々木(憲)委員 保証はございませんですか。ないと言ったんですね。はい。
 これは、政府は、50%を給付と言って盛んに宣伝をする。実態は、今言ったように4割台、3割台だと。しかも、3割台、4割台が保証されない、もっと下がるということですね。こうなると、50%という、いわば国民に対して全く実態と違うことを宣伝していたということになるわけであります。
 それでは、具体的にどうなるのか。モデル世帯でいいますと、最初は49.8ですから、その後、例えば70歳、75歳、80歳、85歳、何%になるのか、数字を言ってください。
○山本財務副大臣 70歳のとき、すなわち、65歳の人ですから、2030年というときには47.2%、75歳のとき、2035年には44.7%、80歳のとき、2040年には42.3%、85歳のとき、2045年には40.1%となります。
○佐々木(憲)委員 結局、最終的に約40%だと。こうなると、5割、50%と言っていたものが全く保証されない、しかも、これは四割だ、どんどん下がっていく、こういうことになるわけですね。
 そうすると、先ほどの男子単身の場合、女子単身の場合、これは85歳の時点でいいんですけれども、何%になるんですか。
○杉本政府参考人(財務省主計局次長) お答えさせていただきます。
 男子単身の場合、85歳で30.6%、女子単身の場合、85歳で32.5%でございます。
○佐々木(憲)委員 こうなると、これは約40%なんという話じゃなくて30%、こうなってくるわけで、5割だ、50%だ、あるいは100年安心だと言うけれども、将来は本当に惨たんたる給付水準だということが明らかになったわけであります。私は、これは非常に大問題だというふうに思います。
 では、一体保険料はどうなるのか。5年ごとに再計算ということなんですけれども、最終的に何%程度になるのか、示していただきたい。
○谷垣国務大臣(財務大臣) 国共済の保険料率は、一元化の相手である地共済と今後調整しながらことしの10月までに財政再計算をやって結論を出すということになっておりますので、今明確にお答えすることは、材料がちょっと調っていないわけなんですが、一定の前提を置いて暫定的に試算は行っております。
 これは、国共済と地共済の共済グループの一本化された保険料率を毎年0.3%ずつ引き上げていくという前提でやりますと、最終保険料率は20.3%である、それから、毎年0.354%ずつ引き上げる場合は19.9%程度、さらに、0.4%ずつ引き上げる場合には19.7%程度となるというふうに今試算をしております。
○佐々木(憲)委員 負担の方はどんどん上がっていって20%前後になる、給付水準は3割、4割、こういう状況は、これは非常に大変な負担増、大変な給付減ということだと私は思うんです。
 先ほどから議論になっております職域年金部分ですけれども、先ほど、なぜつくられたかという説明がありました。これは、退職後の生活の安定に寄与する、公務員の置かれた特殊な立場を踏まえて、そのためにつくられたんだというふうに言われました。
 私は、全体としてこういうふうな給付水準が大幅に低下していくという状況の中で、こういう特別配慮されて設けられた部分というものは、やはりそれなりの意味があるというふうに思うんです。全体的な年金の改悪という状況の中で、やはりできるだけそういう生活を支えていく部分というものが必要である。私どもは改悪そのものに反対でありますけれども。
 一元化ということはありますが、しかし、その一元化の中で、低いところにどんどん一元化するんじゃ、これは全然話にならぬわけでありまして、やはり一元化は、一定の水準、生活できる、安心できる、そういう水準で一元化するというのが本来のあり方でありまして、何か国家公務員は特別だ特別だ、それをどんどん削って、それで低いところに全部合わせるんだというんじゃ、これは年金の大改悪でありまして、私どもは、そういう点で、この職域部分というものはしっかりと位置づけることが大事だということを指摘しておきたいと思うんです。
 さて、そこで最後にお聞きをしたいんですが、年金の支給開始年齢というのは、60歳からどんどん繰り延べになりまして65歳というような状況で、将来またどうなるかわからない。そうすると、国家公務員、地方公務員の場合、これは定年というものが一応60歳ということですね。定年で退職して、その後、年金支給まで結構空白がある。一体どうするのかというのが問題になるわけであります。
 定年を延長するというのが一番いいんですけれども、その対応は一体どういうふうにされているのか、お答えをいただきたい。
○小澤政府参考人(人事官) 定年延長の問題でございますが、現在のところ、民間の状況を見ますと、定年年齢60歳というのが大体9割、さらに60歳後の雇用制度につきましては、大部分の企業が再雇用ということが一般的であります。したがいまして、現時点におきましては、国家公務員の場合には再任用制度というのを活用していくのが現実的であろうというふうに考えております。
 ただ、定年延長につきましては、引き続き、民間企業における高齢者雇用、この動向を注視しながら、今後の課題として検討する必要があるだろうというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 その再任用制度ですけれども、一応退職をした後再び雇用するということでありますが、そういう制度がつくられておりますけれども、実績はどうなんですか。退職をした人数に対して再任用された実態、比率、それを示していただきたい。
○関戸政府参考人(人事院事務総局職員福祉局長) お答えいたします。
 平成14年度における再任用者の実態が一番新しい数字でございますけれども、給与法適用職員について申し上げます。
 13年度の定年退職者が14年度に再任用されるというのが一般的でございますが、13年度の定年退職者は6千27人でございまして、このうち616名が再任用されております。率で言いますと10.2%となります。
○佐々木(憲)委員 10.2%、1割ですね。これでは、年金の支給開始年齢まで収入を得るということがなかなか厳しい状況になっている。再任用という制度をつくっても、実際は機能していないと言っても私は過言ではないと思うんです。実際に、希望調査の段階で、定員の枠がないんだということで拒否されるとか、あるいは当局が提示した条件とも合わないということで辞退するとか、そういう事例、私は具体的に聞いております。
 これを克服するためにはどうするかということが大変重要でありまして、今は、例えば再任用でフルタイムあるいは短時間勤務者、パートタイマー、この場合も定員の枠に縛られまして、なかなかこの採用が制約されるということで、例えば再任用職員の定員管理については弾力的に適用する、例えば、フルタイムの場合、弾力的に適用する、あるいはパートタイマーの場合には定員の枠の外で採用する、こういう対応をしていかないと、これは実績が上がらない、所期の目的に達することができないんじゃないかと思うんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○松田政府参考人(総務省行政管理局長) お答え申し上げます。
 行政機関における定員管理でございますが、恒常的な業務を行います常勤の職員につきましては、定年退職後再任用される職員であると否とにかかわらず、行政機関の膨張を抑制する観点から、行政機関定員法で定員の最高限度が法定されておりまして、そのもとで、毎年度予算編成過程の中で、全体として抑制しつつ、真に必要な分野には適切に定員を措置いたしているところでございます。
 それから、定年退職後、再任用される短時間勤務の職員でございますが、常勤の職員ではございませんことから、ただいまの総定員法の枠内の定員ということにはならないわけでありますが、行政の肥大化を来さないというようなことで、その定数を別途管理いたしておりまして、短時間勤務職員の導入により軽減された常勤職員の業務量に見合う定員を、いわば総定員法内定員を削減することにいたしております。
 定員は、あくまで行政需要に応じて決定されるべきものでございまして、また、現下の厳しい行財政事情にかんがみますと、高齢公務員の雇用のためとはいえ、行政の肥大化は許されるものではないと考えておりまして、再任用される国家公務員につきましても厳正な管理が必要と考えておるところでございます。
 再任用制度の活用でございますが、以上申し上げました、公務の能率的運営を図ることを基本といたしまして、そのもとで、例えば短時間勤務が可能な職種を検討するとか、各省と十分に相談しながら、定員管理の面でも適切に対応してまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 柔軟に対応するということを要請したんですが、どうも硬直的な答弁で、なかなかその点について明確な方向性が今出ていないように思うんですね。これはぜひ再検討していただきたい。
 一方で、高級官僚の天下りはどんどんどんどん行われている。これは100%ですよ。ところが、一般職のこういう方々については、再任用という制度はつくったけれども、実績は1割しかない。こういうことでは余りにも落差が大き過ぎるという点を最後に指摘して、質問を終わりたいと思います。

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