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その他 (市町村合併, 消防の広域化)

2007年11月16日 第168回 臨時国会 【0】 - 質問主意書

「市町村消防の広域化に関する質問主意書」を提出

 2007年11月16日、佐々木憲昭議員は、「市町村消防の広域化に関する質問主意書」を提出しました。
 2006年6月施行された「改正」消防組織法にもとづいて市町村消防の広域化がすすめられていますが、このなかで自治体消防の形骸化や消防本来のあり方に反する事態があらわれているからです。
 東海各地でも、中小規模の消防本部を廃止し「全県一元化の統合案を含む7つの組み合わせ案が浮上」(三重)しているとか、「現在37ある消防本部を4分の1の9つに大幅に削減して、山間部から臨海部までの広大な地域を一つの消防本部に集約する枠組み」(愛知)ができるなど、各地で広域化・集約化が進行しています。
 この計画に対して、「いま以上に広域になると装備が充実するよりも対応力が低下するのではないか」「自主的というが市町村レベルでの自主的検討は行われているのか」など、批判の声が相次いでいます。
 そこで、「質問主意書」では、愛知、三重、岐阜など東海各県の消防現場の実情をふまえて福田内閣に、以下の点をただしています。

 第1、「強制はしない」との政府答弁の趣旨からも、広域化の決定は、本来的に市町村の自主的判断に委ねられているものではないか。
 第2、2012年度までに広域化を実施しなかった市町村は、ペナルティーや不利益な扱いを受けることはないか。
 第3、期間内に広域化を実現しなかった市町村が、その後広域化を進めようとする場合、国・都道府県からの援助を受ける際に差別や不利益をこうむることはないか。

 これらの質問を通じて、佐々木議員は「強制的でなく市町村消防の原則に沿って行われるべきである」との立場を明確にしています。
 また、消防施設の整備・充実、深刻となっている職員不足問題についても言及しました。
 たとえば、実際の人員や装備などに変化はなくても、広域化によって数字上「消防力が向上」するようにみえるからくりを指摘しています。
 さらに、消防ポンプ自動車への搭乗人員が「1台につき5人」が原則とされているにも関わらず、各地で「3人乗務体制」のまま出動させられている状況があることを告発しました。
 そのうえで、迅速な消火活動と消防隊員の安全を守るうえでも国が自ら定めた「整備指針」を堅持し実行することの重要性を指摘し、国の基本姿勢と具体的な諸施策についてただしています。

 この質問主意書を提出するにあたって、10月13日、佐々木議員は、消防体制の実態について、じっさいに業務に従事している専門家から聞き取り調査しました。
 答弁書は、11月27日に内閣から衆議院議長に届けられました。この答弁に対し、佐々木議員は談話を発表しました。

議事録

平成19年11月16日提出
質問第233号

市町村消防の広域化に関する質問主意書

提出者  佐々木憲昭




 2006(平成18)年6月施行の「改正消防組織法」に基づく消防の広域化が各地で進められている。三重県では、全県一元化などの統合案が浮上、その後、一元化を含む七案が提示され、県議会や各消防組合などの討議に付されている。愛知県では、現在37ある消防本部を9つに大削減する計画が進められている。
 しかし、これらの計画に対し、様々な批判や消防力の低下を危惧する声が各地で起きているのが実状である。前掲の三重県では、「このスケジュールと内容はあまりに強引。今以上に広域になると、装備が充実するよりも対応力が低下するのではないか」「自主的というが、これまで市町村レベルでの自主的検討は行われてきているのか」(松阪地区広域消防組合全員協議会)など、批判の声が続出したと聞く(「夕刊三重」07年10月16日付)。広域化案のとりまとめを依頼された同県消防長会の一員でもある消防長からも、「(広域化は)必要と考えていない」「拙速」「住民サービスが低下するのでは」などの意見が出されている。
 市町村の消防力を強化し、火災等の災害から国民の生命・身体・財産を守るのが本来の消防のあり方である。ところが、今日、広域化推進のなかで生じている諸問題は、このような消防本来の使命にも相反する事態となりかねない。
 以下、質問する。

 市町村消防の広域化については「市町村の消防の広域化に関する基本指針」(06年7月12日、以下「広域化指針」)で、都道府県が遅くとも平成19年度中には広域化対象市町村の組合せまで含めた「消防広域化推進計画」(以下「推進計画」)を策定して市町村長等に示し、市町村は「5年度以内(平成24年度まで)を目途に広域化を実現する」こととされている。
 消防組織法や「広域化指針」では、広域化について「自主的な市町村の消防の広域化」という文言が随所で用いられている一方、対象とする市町村や期限まで明確にして広域化の「推進」を図るとしている。このことが、事実上の強制にあたるのではないかとの危惧を示したわが党議員の質問に対して、政府は「広域化を強制するということではない」(06年6月1日、第164国会衆議院総務委員会、板倉敏和消防庁長官=当時)と答弁、「法律の条文上も、市町村は、『広域化を行おうとするときは、その協議により、』『計画を作成するものとする。』としているところでございまして、その趣旨をあらわしていると考えております」(同前)と述べている。
 しかし、「推進計画」の作成期限が迫り、広域化の取り組みが進められる現場では、「もう決まったこと」「実施あるのみ」といった議論が見られ、戸惑いや批判の声が各地から聞かれるのが実状である。
 そこで質問する。
(1) 政府は第164国会における消防組織法改正案の国会審議において、「今回の法案でございますけれども…市町村の消防の広域化に関して…関係者が十分に議論を行うための枠組みを準備しようとするもの」とその性格を述べている。そのうえで、「各市町村におきましては、国の基本指針、都道府県の推進計画等を参考にしながら、みずからの地域の今後の消防防災体制のあり方について十分に議論を行っていただくことを私どもは期待しております」(板倉消防庁長官=前掲)との立場を表明している。
 右のことから、消防組織法と「推進計画」のもとでも、合併の必要性を判断し決定することは、本来的に市町村によるべきものであると考えるが、どうか。また、市町村がその自主的な判断によって2012年度までの期間内に広域化を実施しなかった場合にも、いかなるペナルティーや不利益な扱いも受けないものと考えるが、どうか。
(2) 先の法案審議では、この法案が時限立法による「新法」の形を含めて種々に議論をしたうえ、「消防の広域化というのは、一次的な課題というよりは、これから将来にわたって進めていかなければならない、そういう問題であろうということで、消防組織法の改正ということにした」と説明されている。このような趣旨に鑑みて、期間内に広域化を実施しなかった市町村が、その後に広域化を進めようとする場合、国、都道府県からの援助を受ける際に差別や不利益をこうむることはないか。明確な答弁を求める。
(3) わが国の消防の原則を定めた消防組織法は第三章の各条で、市町村は、当該区域における消防に責任を有し、市町村消防の管理、費用負担、消防本部等の機関の設置を行うことなどを規定している。また同法第五章では、各機関相互間の関係について「市町村の消防は、消防庁長官又は都道府県知事の運営管理又は行政管理に服することはない」(第36条)と明記し、消防庁長官が都道府県並びに市町村に対して、あるいは都道府県知事が市町村に対して行うのは「助言、勧告、指導」に限ることを定めている(第37条、第38条)。
  このたびの広域化推進を図る「広域化指針」や「推進計画」は市町村が「参考」にするものという前掲の政府(消防庁長官)答弁に照らせば、市町村がそれに「服する」ことを求められるものではないと理解されるが、どうか。見解を示されたい。
  もし、「服する」ことを求めるとすれば、その根拠は何か。具体的に示されたい。
  「広域化指針」や「推進計画」は、前記消防組織法第37条、第38条の効力を有するものか。有するならば、「助言」「勧告」「指導」のいずれにあたるのか。

 消防組織法第31条は「消防の広域化は、消防の体制の整備及び確立を図ることを旨として、行われなければならない」とし、これを受けて「基本指針」は「広域化によって消防本部の対応力が低下するようなことはあってはならない」と述べている(同「指針」一の2)。
 ところが政府は、2000年1月、それまで市町村消防の最小限の施設及び人員について定めていた「消防力の基準」の全部を改定し、新たに「消防力の整備指針」(以下「整備指針」)を定めた。これにより、「最小限の基準」は「目標とすべき消防力の整備水準」とされたうえ、「施設に係る指針」の項目の各所に「諸事情(地域における、地勢、道路事情、建築物の構造等の事情)を勘案した数とする」という規定が持ち込まれた。その結果、整備すべき消防力の「目標」さえ大きく減衰させることに道が開かれた。
 そうしたもとで、地域の消防に責任を負う市町村が備えるべき消防力をできるだけ早期かつ十全に整備するための要となるのは、国の適切な予算措置である。ところが、広域化を進めることによって、人員や装備などに実体的な変化はなくても、数字上で消防力が「向上した」こととなったり、実際は減少していても、数字上、従前の水準が維持されたりする現象が生じかねない。前掲の三重県松阪地域の議会全員協議会でも同様の問題が指摘されている。同地域の広域化案で必要な「高度な車両」(はしご車、化学消防車)の最低2台は現松阪消防本部で充足しているが、広域化により実質的に水準が低下してもなお「充足している」とするのか、という問題である。
 さらに深刻なのは、職員不足である。総務省の資料によれば、全国の職員の基準充足率は75.5%となっているが、地域の不均衡に注目すると、事態は重大である。たとえば中日新聞(2006年7月9日付)の報道によると、岐阜県の東濃・可児六市の充足率は44.8%〜65.1%である。そのため、「整備指針」で消防ポンプ自動車に搭乗する隊員数は「1台につき5人」(特に条件を備えている場合を除く)が原則とされているが、実際、各地でそれを下回る「3人乗務」の体制のまま出動させる状況が広がっている。
 このように、現場の実態にそぐわない「数字合わせ」や机上のプランによって消防力を「維持」したり、わずかな「改善」を成果とすることは、厳しく戒められなければならない。
 そこで質問する。
(1) 政府は今後も「整備指針」を完全に達成することを不動の方針として堅持し、実行する立場であるか、どうか。
(2) 全国各消防本部の消防力を、「整備指針」に示す消防力に対する充足率で示されたい。その際、警防要員、予防要員及び総務要員のそれぞれの充足率も併せて示されたい。
(3) 消防職員は教員などとともに、国が配置基準を定める地方公務員であると理解しているが、現在、その充足率が長期にわたり全国平均で約75%程度にとどまっていることはきわめて重大な問題である。
  職員充足率が低い水準で長年推移している原因は何か。
  これを100%にまで充実させる方針は今後も堅持するのか。
  そのための具体的な方針はどのようなものか。
(4) 市町村消防にかかわる予算の要をなす地方交付税について質問する。
  消防関係費の算定基準を示されたい。
  その際、消防職員について100%確保を前提にしているのかどうか、算定の根拠及び方法、数値を示されたい。
  「整備指針」どおりに消防職員を100%充足した場合に要する地方交付税の額はいくらになるか、今年度の数値で示されたい。
(5) 総務省消防庁(消防広域化推進本部)が示している「消防広域化推進関係資料集」(2007年4月)にある「将来人口減少に伴う消防職員数の変化」について質問する。
  ここに掲げるAから気粒鴇男彬槁中にある消防職員数を、「整備指針」で算定した場合の人員はいくらになるかを示されたい。
  右記Aから気両男彬槁瑤単一消防本部となった場合の消防力について、広域化前と広域化後の対比で示されたい。

 人口30万人規模の消防本部と人口5万人規模の消防本部が「市町村の広域化」により同一の消防本部となった場合には、人口5万人規模の消防職員の「階級」に変動を生じることとなると思われるが、どうか。あわせて、「階級」の変動が生ずる場合の、消防本部間の規模の格差に係る基準を示されたい。

 消防無線のデジタル化整備には、基地局及び移動局(消防自動車積載無線、携帯無線等)等の更新が必要となる。以下、関連して質問する。
(1) 都道府県を一つのブロックとした場合のデジタル化基地局に要する費用の概算及びその費用を負担する機関を示されたい。
(2) 人口30万人規模の消防本部、人口50万人規模の消防本部、人口100万人規模の消防本部及び人口200万人規模の消防本部における消防本部の、デジタル化に要する費用の概算と内訳がどのように見込まれているかを示されたい。

 右質問する。

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