2005年01月28日 第162回 通常国会 予算委員会≪締めくくり総括質疑≫ 【272】 - 質問
無配企業からの献金 2年前の追及後も18社から献金/NHK番組改ざん問題「政治介入は明らか」
2005年1月28日予算委員会で、補正予算の締めくくり総括質疑を佐々木憲昭議員が質問をおこないました。
佐々木議員は、株主への配当ができない無配企業から自民党が献金を受けている問題、NHK番組への政治介入問題を取り上げをとりあげました。
佐々木議員は、2003年2月20日の予算委員会で、この問題を追及し小泉総理が「自粛」の考えを示していました。
しかしその後も、18社から献金を受けていました。
小泉総理は、「2期連続無配の企業が対象だと聞いているが、調査する」と約束しました。
次に、佐々木議員は、NHK番組への政治介入問題を取り上げ、NHK側に圧力をかけたとされる中川昭一経済産業大臣を追及しました。
佐々木議員は、中川大臣が当時会長を務めていた「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の複数の議員が番組放送前にNHKに会っていることなどをあげ、「『議員の会』のほかのメンバーは放送前に(NHKに行って)意見をいっているのに、会長の中川氏が(放送)後というのは不自然だ」と指摘。
「議員の会」の当時の事務局長で政権の中枢にいた安倍晋三副官房長官(当時)が、番組について「明確に偏った内容」と判断し、その立場から「公正中立に」とNHKにいえば、「番組への政治介入になることははっきりしている」とのべました。
中川経産相は、放送後にNHK幹部に会った際「公正公平にやってくださいといった」とし、呼びつけて政治圧力をかけた訳でない、と従来の弁明を繰り返しました。
佐々木議員は、問題の実態究明のためNHKの松尾武放送総局長、伊東律子番組制作局長、野島直樹担当局長(いずれも当時)、政治介入を告発した長井暁NHKチーフ・プロデューサー、安倍晋三衆院議員の参考人招致を要求しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
私は、企業・団体献金というのは禁止すべきだという立場でありますが、2年前の2003年2月20日のこの予算委員会で小泉総理に質問をいたしまして、赤字で配当できないような企業が自民党に献金するのは問題があるんじゃないか、こういうふうに指摘をいたしました。これに対して小泉総理は、こういうような無配の会社からは献金を求めないという体制にしていかなきゃいかぬと明快に答弁されました。その約束というのは実行されていますでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 現在、自民党では、無配当かつ赤字の法人からの寄附を自粛しているところであります。
○佐々木(憲)委員 調べてみましたら、そうはなっていないのでございます。
例えば、その年に100万円以上国民政治協会に献金している企業のうち、総理が答弁をされた2月20日以後も無配でありながら献金している会社、私がざっと数えただけで18社あります。例えば、そのとき私が指摘した建設会社、その後も無配なのに献金し続けているという会社が3社ありまして、五洋建設、真柄建設、松村組。今言ったように、合わせて18社あるわけです。
これは、国会の答弁と実際の実態が違うわけでありますので、調査して是正すべきは是正すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 正確に言いますと、二期連続で無配当かつ赤字の法人からの寄附を自粛しているところでありますということでありますので、調べてみます。
○佐々木(憲)委員 今おっしゃったけれども、二期連続無配当、赤字、そういう企業からも献金は受けているんですよ、受けているんですよ。調査していただくということですので、ぜひそれをやっていただきたい。
それでは次に、放送法についてお聞きをしたいんですが、放送法第3条には、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というふうに定められております。
これは、日本国憲法第21条第1項の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という規定、これを放送の分野で具体化したものだと言えると思います。これは、政府も我々議員もきちんと守るべきだと思いますが、総理はそういうふうに認識されておられるかどうか、あらかじめ確認をしておきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 この憲法第21条は、表現の自由を保障しており、これを受けて、放送法第3条は、放送番組編集の自由を規定している。この放送法第3条の規定は、放送事業者については、みずからの責任において番組を編集し放送を行うことを保障しており、放送事業者以外の者については、法律に定める権限に基づく場合でなければ番組に干渉等を行わないように求めていると考えられる、そう思っています。
○佐々木(憲)委員 総務大臣にお聞きしますけれども、この規定はなぜ設けられたのか、また、公共放送であるNHKと民放に適用の違いがあるのか、この点を確認したいと思います。
○麻生総務大臣 設立、施行された背景は、今総理の答弁の中に出ていたとおりだと思いますが、扱いに関しましては、放送法3条、先ほど読まれたとおりで、扱いは全く公平に扱われております。
○佐々木(憲)委員 放送というのは、周波数の割り当てを受け、無線局の認可を受けなければならない、そういうことから、もともと国家の介入を受けやすい性格を持っております。したがって、放送番組の編成について、この放送法第3条の「何人からも干渉され、又は規律されることがない。」という規定がとりわけ重要になってくるわけであります。放送番組編成に国が介入してはならず、放送局の番組編成の自律性、自主性を確立するということが特に大事であります。
とりわけこのNHKの場合には、人事と予算について国会の承認を得なければならないという特殊な事情がございます。そういう意味では、介入を受けやすいからこそ、この放送法を厳守しなければならないわけでございます。
そこで、中川大臣にお聞きをいたしますが、事実の確認です。大臣は、2001年1月30日に放送されたNHKの特集番組、この内容について、事前に知っていたというふうに言われておりますが、いつ、どのような形でこれをお知りになったんでしょうか。
○中川経済産業大臣 私が1月の10日に出張中に朝日新聞の本田さんという記者から突然電話がかかってまいりまして、2001年の1月30日のNHK教育テレビにおいての、正確な番組名称はちょっと今は忘れましたけれども、これについての件ですけれども御存じですかという電話での御質問がありました。
きのうも申し上げましたけれども、その番組については存じておりますと。ただ、後でまた御質問あるいは答弁があると思いますけれども、知っている部分と、知っていない部分と、記憶があいまいな部分とが、四年前のことを突然聞かれたものでありますから、それについてははっきり区別をしながら答えなければならないということで、幾つかやりとりをいたしました。
そこで、佐々木委員の御質問でありますが、放送を1月30日にやるということについては知っておりました。どういう内容の放送をやるかについては、もちろん放送前でございますから番組も知りませんし、後で聞きますと、番組自体も自主的にいろいろ中で変更をしていたということも聞いておりますし、また、そのときに、番組を見ましたかという質問に対しても、見た記憶がありません、ひょっとしたら見たかもしれませんけれども、その辺があいまいですと。ビデオで見たかもしれませんし、それから、その後のいろいろなマスコミ等の中身でもいろいろ取り上げられておりましたので、放送の中身自体についてはほぼ承知をしておりますと。
きのうも申し上げましたが、実際には、私はビデオをその後半分ぐらい見て、実際には、40数分ですか、その番組全体を実は見ておらないわけでありますが、御質問の、知っていたか知っていないかについては、その前の年の12月に行われました市民団体の模擬裁判というんでしょうか、市民活動というんでしょうか、それについては、いろいろなところから情報が入ってまいりましたし、市民団体そのものも広く宣伝をしていたということもございまして、市民団体のやっていた2000年12月の内容については、間接的ではありますけれども、ほぼ、逐一ではございませんが、概略知っていたというふうに認識をしていたわけであります。
いずれにしても、私は、1月30日午後10時から放送されたNHKのETVでの番組自体は見ておりませんでしたし、御質問が、放送の内容について事前に知っていたかということについては、放送内容、番組内容については、私は事前に存じておりません。
○佐々木(憲)委員 いろいろなことをおっしゃいましたけれども、一つ一つお答えをいただきたいと思います。
1月18日の朝日新聞によりますと、こういうふうにあなたは答えているんですよ。「同じような問題意識をもっている我々の仲間が知らせてくれた」。この場合、その「我々の仲間」というのはどなたのことなのか。それから、その内容について知ったときにどのような感想を持たれたか。この点について、それだけに限ってお答えをいただきたい。
○中川経済産業大臣 我々の仲間というのは、当時、私は、御承知のような議員連盟のメンバー、会長でございましたので、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会だったと思いますけれども、その議員連盟の会長を当時務めておりまして、教科書に載せるべき歴史の記述についていろいろ勉強をしていたわけでございます。
その議員連盟の仲間たち、あるいはまた、この活動をするに当たっては多くの国民の皆様あるいは学者の皆様、その他いろいろな方々とも一緒に勉強しておりました。もちろん我々は、その数年前に一冊の本を出しましたけれども、その研究の途中経過という形ではございましたけれども、その中には、私どもと全く意見を異にする方々のお話もいろいろとお聞きをしながら勉強していたわけでございまして、その方から聞いたわけではございませんけれども、そういう活動の中で、議員あるいはまた一般の方々、あるいは大学の先生といいましょうか専門家の方々から、そのような、2000年の12月にそういう市民団体の開催する模擬裁判というんでしょうか、そういうものがあって、こういう内容であったということを間接的に聞いたということであります。
そのときに、今度はNHKで放送をすると。先ほど申し上げたように、市民団体、主催団体そのものが、今度はNHKで放送されますからみんな見てくださいというようなことを世の中にいろいろと、インターネットその他、ホームページその他でも言っておりますし、何かNHKでも、こんな番組をやりますよというようなことを報道したという話も、これはちょっと正確じゃございませんけれども。
その他この他で、実際に放送するということでございましたので、話が飛ぶようでありますけれども、持った印象は、先ほど佐々木議員と総理とのやりとりにもありましたように、放送法に基づいてきちっとやってくださいということを、やってくださいではございませんね、そのときは日付があいまいでございましたけれども、2月2日にお会いをしたときに、ああいう番組があったそうですけれども、そのときにはもう放送されておりましたが放送の内容は実際には見ておりませんので、いずれにしても、いい番組であろうが、いろいろな番組であろうが、私は、NHKに限らずいろいろな放送局の方に、あの番組はよかったですね、この番組はちょっとつまらなかったですねということを折に触れて申し上げますので、そういう形の一環としてこの話が出ましたが、いずれにしても、放送法に基づいて公平公正に今後もやっていただきたいということを申し上げた記憶がございます。
○佐々木(憲)委員 簡潔に答えていただきたいんです。質問をしたことに答えていただきたい。
模擬法廷とおっしゃいましたけれども、女性国際戦犯法廷ということで、これは、ベトナム戦争の後に組織されましたラッセル法廷がその端緒をなすというふうに言われているような、国際的な弁護士などが集まってやった、そういうものであります。
それで、若手議員の会のメンバーからもそういう話を聞いた。そのときに、この番組は公正ではないという評価をなされていた。というのは、最近、1月19日に、この議員の会の方が見解というのを出されていまして、当時、2月9日に党総務部会で、出席した海老沢NHK会長にこの番組の内容について強い抗議の意思表明を行ったというふうにされておりますので、みずからそれをおっしゃっているわけですから、当時、この番組そのものについては、これは非常に問題がある、こういう意識を持っておられたというのはわかります。
そこで、あなたはフジテレビで、私が当時会長を務めていた若手議員の会の議員たちも事前にNHKに会っていろいろなことを言っているというふうにおっしゃっています。つまり、事前にその見解を伝えていた。NHK側はそれを聞いていたから若手議員の会に説明に回っていた。1月19日の記者会見で、安倍氏、中川氏などに説明に行ったのはなぜですかと聞かれて、NHKは、若手議員の幹部だから行ったんだ、こういう説明をされているわけであります。
中川大臣は放送後の2月2日にNHK幹部と会ったと言われますけれども、若手議員の会の当時の事務局長であります安倍晋三議員、副幹事長の古屋圭司議員、平沢勝栄議員などは放送前に会ったとおっしゃっています。あなたは23日のフジテレビで、朝日新聞の取材に対して、先ほども言ったけれども、放送の前だったか後だったかについては定かではないと言ったとおっしゃいましたね。つまり、2日というのは、確かに証拠は記録が残っている。しかし、その前に会っているかいないかは、これは記録がないわけですから、それは定かではないということだと思うんです。
議員の会のメンバーのほとんどはNHKに事前に会っているわけです、放送前に会っている。そのときにいろいろ意見を言っている。中川さんはその後だと。会長が後だというのは余りにもこれは不自然でありまして、私は、この議員の会、前か後かというのは、これはいろいろ調べなきゃいけませんけれども、しかし、議員の会のメンバーがNHKの幹部に事前に会って、公平でないよ、こういう意見を言っていた、そしてNHKは安倍さんや中川さんに、このようにバランスのとれたものにいたしました、こういう報告に来ているわけですね。
そういう構図が浮かび上がってくるわけでありまして、特に重大なのは安倍さんの場合でありまして、安倍さんは、中川さんが会長をしていた若手議員の会の事務局長でありました。2001年の1月29日にNHKの放送総局長らが安倍氏に面会をして、番組の説明をしている。これは両方認めているわけです。安倍氏はホームページでこう言っているんですね。明確に偏った内容であることがわかり、私は、NHKがとりわけ求められている公正中立の立場で報道すべきではないかと指摘したと。これは自分で書いているわけです。
ここで総理にお聞きしますけれども、議員の会の事務局長で、かつ、官房副長官という政府の中枢にいた安倍さんが、番組が明確に偏った内容だと判断をし、その立場から公正中立にと言えば番組内容への政治介入になるということは、これは明白じゃないんでしょうか。
○中川経済産業大臣 佐々木議員は今幾つか誘導的な、あるいは誤解を招く、あるいは前提を置いた幾つかの間違いの御質問がありましたので、事実関係を、まず訂正を求めさせていただきたいと思います。短くやりましょう、できるだけ。
私は、2月9日の総務部会では発言をたしかしておりません。2月7日の総務部会の幹部会、私は逓信委員長を経験しておりましたので……(佐々木(憲)委員「中川さんが言ったというんじゃないんですよ」と呼ぶ)いや、私が言ったんです。(佐々木(憲)委員「9日は別の方が言ったんです」と呼ぶ)ああそうですか、ああそうですか。では、それは私じゃないんですね。私ではないですね。(佐々木(憲)委員「はい、メンバーです」と呼ぶ)はい、わかりました。
それから、公平ではないと言ったのは私ですか、私以外ですか。(佐々木(憲)委員「公平ではないというのは、あなたも言ったし」と呼ぶ)私は、公平ではないではなくて、2月2日にお会いをしたときに、こういう番組が放送されました、確かに私はそのとき、取材を受けたときには、前だったか後だったかは記憶にありませんがということを言いながらではありますけれども、しかし、2月2日、これについても今申し上げますが、放送の後に、いずれにしても、放送法に基づいて公平公正にやっていただきたいということを、番組の話が出ましたので申し上げまして、あの番組がけしかるとかけしからぬとか公正でないとか、そういう具体的な話は申し上げておりません。
それから、2月2日以前に証拠がないから、それはまるで2月2日の前に会ったのではないかというような……(佐々木(憲)委員「記憶はない」と呼ぶ)記憶ではございません。(佐々木(憲)委員「記憶は明確じゃないんでしょう」と呼ぶ)ですから確認をして、きちっと記者会見等で発表をさせていただいて、その証拠というのは、私の事務所のもちろん秘書、それから事前の私の日程表、それから、事前以外にお客さんが来ることがありますので事後の面談記録、何月何日の面談記録。これだけでは多分佐々木議員は、それはおまえのところの内部の資料にすぎないじゃないか、疑わしいとお聞きになる可能性もあると思いますので、議員会館の面談記録を、2001年の1月5日から2月15日までの間にわたって議員会館の職員の方に調べていただきました。NHKの方が中川のところに来た記録があるかといったときに、たった一枚だけ、2月2日以前にはない、2月2日が最初の面談記録で、塚田さんという名前で私のところに社用で、これは、あるときに、必要があれば私はコピーでありますけれども公表したいと思います。
いずれにしても、事前になぜ会長である私のところに説明に来なかったのか。先ほど申し上げましたように、私は逓信委員長という経験者でございますから、事前に、事前にというのは国会で審議をお願いする前に、NHKの事業計画あるいはまた予算の説明にその前の年も、その前の前の年も来ておりまして、その用件で来たときにこの話が出たのでありまして、その日付は2月2日であり、私から呼びつけたわけでもございませんし、それから、朝日新聞の本田記者が書いているような、松尾さんが私のところに来たわけでもございませんし、政治的圧力もかけておりませんので、どうぞこれは、私の名誉と国会の権威にかけてこの事実関係だけははっきりさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 もう時間がありませんから長々言う必要はありませんが、若手議員の会がこのNHKの報道について事前に情報を得、中川さんにもそれを知らせ、これは偏っている、こういう判断をされて、それでそれを抗議した。それが2月2日に、その後バランスがとれているという説明をした、こういう話であります。
○甘利委員長 既に質疑時間をオーバーしております。簡潔にお願いします。
○佐々木(憲)委員 私は、この実態を解明するために、NHKの松尾武、伊東律子、野島直樹、長井暁の各氏、安倍晋三衆議院議員を参考人として招致することを求めたいと思います。よろしく取り計らいをお願いいたします。
○甘利委員長 理事会にて協議いたします。