アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

金権・腐敗政治 (公益法人の献金, 日歯連問題)

2005年02月08日 第162回 通常国会 予算委員会≪政治資金問題集中審議≫ 【275】 - 質問

旧橋本派ヤミ献金問題「首相に解明責任」佐々木議員追及/公益法人の「政治団体」から献金受けない姿勢示せ

 2005年2月8日予算委員会で「政治とカネ」をめぐる集中審議が行われ、佐々木憲昭議員は、日本歯科医師連盟から橋本龍太郎元首相への1億円ヤミ献金事件、公益法人とその政治団体のあり方について質問しました。
 旧橋本派(平成研究会)の会計責任者であった滝川氏にたいする判決文では、「このような犯行が、与党(つまり自民党)所属の国会議員多数が加入する政治団体の収支報告書に関して行われたということで、その政治資金の流れについて国民に多大の疑惑を抱かせた」と書かれています。
 1億円を受け取った人が自民党の元総裁・元総理大臣の橋本龍太郎氏だったということが問題です。また、その場にいたとされる野中広務氏は自民党の元幹事長、青木幹雄氏は自民党の現在の参議院会長をつとめています。日本の政治に大きな影響を及ぼしうる自民党の中心的な存在です。
 佐々木議員は、日歯連の臼田・内田両被告人に対する「冒頭陳述」を紹介し、1億円ものカネを渡した目的についても取り上げました。
 冒頭陳述では、「被告人臼田は、平成13年5月ころ、今後日歯連盟から歯科医療政策の陳情などをするためには、自由民主党最大派閥である平成研の幹部との関係を修復しておく必要があると考え、その旨を平成研側に伝えたことから、被告人臼田らとA、B及びC(橋本氏ら)との会食が持たれることになった。そして、被告人臼田は、平成研の幹部との関係修復のため、この際多額の寄付をしておこうと考え、平成研に対する寄付の金額を1億円と決め、その準備を被告人内田に指示し、被告人内田は、平成13年7月2日、金額1億円の預金小切手を準備した」とあります。
 佐々木議員は、自民党中枢の有力政治家へのヤミ献金のねらいはなんだったのか、「調査するのは自民党の総理総裁としての小泉首相の当然の責任だ」と迫りました。
 これに対し、小泉首相の答弁は、それにまともに答えるものではありませんでした。
 佐々木議員は、「自民党には自浄能力がない」と指摘し、真相を究明し政治的道義的責任を明らかにするため、国会の役割が重要だと主張しました。
 佐々木議員は、1億円を受け取った本人である橋本元総理、現場にいた野中広務氏、青木幹雄氏、それに証人喚問に応じてもよいと言っている村岡兼造元官房長官、処理について相談を受けたとされる元宿事務局長、さらに平成研究会の元会計責任者の滝川氏、そして渡した側の日歯連の前臼田会長、内田会計責任者の7人を証人として喚問するよう要求しました。
 この日の集中審議は、日本歯科医師連盟による旧橋本派への1億円ヤミ献金など一連の自民党の疑惑解明が主題でした。しかし、小泉純一郎首相や自民党はみずからの疑惑を解明する姿勢をみせず、民主党に疑惑を投げかけることに終始。
 自民党の馳浩議員は質問で「なぜいま集中審議の冒頭に『政治とカネ』をやるのか。他にやるべきことがあるのではないか」とのべ、政治腐敗にたいする国民の批判とかけ離れた姿勢を示しました。また、自民党の宮路和明議員は、山梨県の教職員組合が労組ぐるみで民主党を応援していた問題をとりあげ、公務員の政治活動禁止の強化を政府に求めました。



 佐々木議員は、旧橋本派への一億円ヤミ献金事件にかかわり、国民の税金を補助金などのかたちで受け取っている公益法人が政治献金の禁止をのがれるために、脱法的に政治団体をつくり、献金している問題を追及しました。
 国民の税金を補助金などのかたちで受け取っている公益法人は、政治活動は自由ですが、政治献金ができないことになっています。その公益法人が政治団体をつくったら自由に献金できるということが問題です。
 佐々木議員は、公益法人の政治献金を制限した政治資金規正法の趣旨を質問。麻生太郎総務相は「国から補助金等の交付を受ける会社、法人からの政治資金の授受は、補助金の決定などで不明りょうな関係を生じさせる危険性があることから、規制しようとするもの」と答弁しました。
 佐々木議員は、パネルをしめして、公益法人の日本歯科医師会(日歯)が、日本歯科医師連盟(日歯連)という政治団体をつくって、自民党の資金管理団体である国民政治協会(国政協)に、1999年から2003年の5年間で25億円の政治献金をし、自民党にとって最大の業界献金団体になっていることを紹介。
 佐々木議員は、これまで、厚生労働省は、2つの団体を峻別しなければならないとして、その指導を行ってきているが、成果があがっていないと指摘。
 厚生労働省の調査によると、1359法人のうち375法人に問題がありました。そのうち改善が行われたのはわずか119法人、31.7%にすぎないことが明らかになりました。
 佐々木議員は、日本歯科医師会の前会長が公判で、公益法人である歯科医師会ではできない政治献金をするために政治団体(日歯連)をつくったとのべていることを示し、「政治をカネで動かすという仕掛けを公益法人がつくることは問題だ」と指摘。「国民の税金で仕事をする団体から献金は受け取らないという姿勢を明確にすべきだ」と首相に迫りました。
 小泉純一郎首相は「献金の上限の設定など、各党とも協議してほしい」と答えるにとどまりました。
 佐々木議員は、企業・団体献金の禁止こそ、これらの不祥事の根を断ち切る根本的な保障だと主張しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 日本歯科医師連盟から自民党最大派閥の旧橋本派の会長でありました橋本龍太郎元総理への1億円裏金事件は、国民に大きな衝撃を与えました。会計責任者であった滝川氏に対する判決文、その判決文を見ますと、このように書いております。
 このような犯行が、与党所属の、つまり自民党所属の国会議員多数が加入する政治団体の収支報告書に関して行われたということで、その政治資金の流れについて国民に多大の疑惑を抱かせた、このように書いているわけです。
 こう書いているだけではなくて、重要なのは、受け取った人が自民党の元総裁、元総理大臣、その場にいたとされる野中広務氏は自民党の元幹事長、青木幹雄氏は自民党の現在の参議院会長を務めておられます。日本の政治に大変大きな影響を及ぼし得る自民党の中心的な存在でございます。
 小泉総理にお聞きしますけれども、この事件は国民に多大の疑惑を抱かせた極めて重大な事件でありますが、そういう認識はおありかどうか、まずお聞きしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 不自然な、不透明な事件であるという認識はございます。
○佐々木(憲)委員 問題は、この1億円ものお金をどのような目的で渡したのか。日歯連の臼田、内田両被告人に対する冒頭陳述を見ますと、こういうところがございます。
 被告人臼田は、平成13年5月ころ、今後、日歯連盟から歯科医療政策の陳情などをするためには、自由民主党最大派閥である平成研の幹部との関係を修復しておく必要があると考え、会食が持たれることになったと。被告人臼田は、平成研の幹部との関係修復のため、この際、多額の寄附をしておこうと考え、平成研に対する寄附の金額を1億円と決め、その準備を被告人内田に指示し、被告人内田は、平成13年7月2日、金額1億円の預金小切手を準備した、このように書いているわけです。
 総理に伺いますけれども、自民党の有力派閥橋本派、元総理、幹事長、参議院幹事長、官房長官、こういう自民党政権の中枢にあった政治家のかかわった事件でございます。どういう意図で、どういう目的でこの1億円というものが流れたのか、これはきちんと調査するというのがやはり総理・総裁の、当然、責任ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 それは、その団体、その政治家によってそれぞれ違います。個人として、どういう団体から、どのくらいの資金を提供するか、全部違いますから。これは自民党の問題といいますか、個人の問題でありますので、私はその事情は知りませんし、資金を提供した意図もよくわかりません。
○佐々木(憲)委員 今の答弁は大変他人事といいますか、自民党のまさに中枢にいた人たち、総理あるいは総裁を務めた方、幹事長、こういう方々がかかわった事件です。それを、これは個人の問題だ、私は全然やる気がないというんじゃ、これは自浄能力が問われるわけですよ。
 私は、1億円というものが、これが効果があったのか、実はここに日歯連盟だより第6号というのを、コピーを持ってきております。ここに何が書かれているか。
 平成15年3月末、自民党の野中広務衆議院議員と青木幹雄参議院議員、それに古賀誠衆議院議員を招き、さきの日歯代議員会と日歯連評議会において双方の会長に再選された臼田貞夫会長を囲んでの座談会を開催した。この座談会の中身が問題なんです、中身が。
 野中氏はこう言っているんです。「今後も青木先生、古賀先生ともども、ご一緒にいろいろと協力させてもらいたいと思います。」つまり、1億円を受け取ったその後の座談会であります。青木氏はこう言っているんですね。「いま野中先生が言われたことに尽きる」「ぜひ、職域代表を参議院に送っていただけるよう、皆さんにお願いいたします。」古賀氏はこう言っているんです。「ぜひ、日本歯科医師連盟から立派な参議院議員候補者をお決めいただきまして、われわれの同志として職域を代表して国政で活躍してほしい。」これに対して日歯連の副理事長はこう言っているんです。「今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。」さらに、古賀氏はこういうことを言っているんですね。「かかりつけ初診に関しては平成12年度からの実施でしたね。」臼田氏は、「厚生労働省も2〜30年前はやらなかったことを、いまになって局長通知を出してくれて前進いたしました。」これに対して古賀氏は、「野中先生と青木先生に大いにバックアップしていただきまして。」というふうに述べているんです。
 これは、まさにこの1億円事件、この直後に行われた座談会、それまでは非常に冷たい関係であったけれども、しかし関係修復によってお互い親密な関係になった、それで、こういう座談会を開いて、このようなことが話されているわけであります。
 こうなりますと、総理は先ほど、自浄能力をどうも発揮されるような立場ではない、そういう答弁がありました。そこで私は、国会がこういう問題についてしっかりと議論をする、真相を究明するということが大事だと思うわけです。
 そこで、委員長にお願いをしたい。
 真相を究明し、政治的道義的責任を明らかにするために、1億円を受け取った本人である橋本元総理、現場にいたとされている野中広務、青木幹雄、それに、証人喚問に応じてもよいと言っている村岡兼造元官房長官、処理について相談を受けたとされる元宿事務局長、さらに平成研の会計責任者の滝川氏、そして渡した側である日歯連の臼田前会長、内田前会計責任者、以上7人を証人として喚問するように要求いたします。
○甘利委員長 理事会で協議いたします。
○佐々木(憲)委員 今度の事件は、公益法人とその政治団体のあり方について、根本的な問題を私は提起していると思います。
 総務大臣にお聞きします。
 国から補助金などを受け取っている会社、団体、その中には公益法人もありますけれども、公益法人というのは、政治資金、政治献金、これはできませんね。その理由について説明をしていただきたいと思います。
○麻生総務大臣 その規定の制定の趣旨いかんということなんだと存じますけれども、これは政治資金規正法第22条3の第1におきまして、国から直接補助金などの交付の決定を受けた会社その他の法人は、交付の決定の通知を受けた日から1年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならないこととされている、この法律のことだと思いますが、この規定は、国から補助金等の交付を受ける会社その他の法人との政治資金のいわゆる授受、受け渡しというものは、補助金の決定などをめぐり不明瞭な関係を生じさせる危険性があるということにかんがみて、このような会社その他の法人が行う政治活動の寄附については規制をしようとするものであったというのがこの法律が立法された趣旨、背景だと承知しております。
○佐々木(憲)委員 今紹介していただきましたように、国民の税金を補助金などの形で受け取っているそういう法人、公益法人、この場合は日本歯科医師会、日歯でありますけれども、それは、政治献金をするとなりますと不明朗な関係が出てくる、したがいまして、そういうことをやってはならないという規定になっているわけです。
 しかし、問題は、この公益法人が政治団体をつくる、例えば日本歯科医師連盟、こういう政治団体をつくりますと、そこを通じて自由に献金ができる、こういう形になっているわけです。これは非常におかしいと思うんですね。
 私、ここにパネルを持ってきましたけれども、例えば、公益法人が政治団体日本歯科医師連盟というものをつくります。これがこの5年間で、調べてみますと、25億円、自民党の政治資金団体、国民政治協会に流れているわけです。これが全体の収入の10%、1割を占めている。最大の業界献金団体になっているわけです。これが自民党の、政治献金として自民党に流れている。私は、この関係というのは大変重大だと思うんです。
 といいますのは、これはまさに、公益法人が政治団体をつくりますと脱法的な仕掛けができ上がる、政治団体と公益法人を一体化して、その会員の会費を一本化して集めていく、こういうやり方がこの間、問題になったわけです。
 私は、昨年2月の予算委員会でこの問題を取り上げました。代表者も同じ、住所も同じ、電話も同じ、こういうやり方はまるきり一体じゃないかと。そこで、厚生労働大臣に私は、二つのこういう団体は峻別すべきだ、区分けすべきだ、こういうことで質問をいたしました。そうしますと、厚生労働大臣は、当然そうすべきだと。
 当然これは、3年前からこういう問題はずっと問題になっているんですから、言われる前にやるべきなんですが、昨年調査をし、具体的な指導もされたということなんですが、成果は上がったんでしょうか。調査結果、簡潔に述べていただきたい。
○尾辻厚生労働大臣 お話しのように、公益法人の活動と政治活動に関する寄附を行う団体の活動とは峻別をしなければなりません。
 そうした観点から、昨年の4月でございますけれども、各都道府県に対して、医師会、歯科医師会、看護協会について、公益法人と政治団体の活動が一体であるかのような誤解を与える事例の有無について、あるかなしかについて調査を行った上で、不適切な事例があった場合には当該公益法人に対して改善指導を行うように依頼をいたしました。都道府県に対して調査をしてくれ、それで不適切な場合があったらちゃんと改善するようにということを言いました。
 数字を申し上げますか。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)そこで、1359法人を対象として行いました。不適切な例を挙げたんですけれども、それに当たるか当たらないかということでございますが、そのことでいいますと、公益法人と政治団体の会費の振り込み先を公益法人名義の同一の銀行口座としていた事例、それから、公益法人のファクス、封筒等を用いて会員に対して政治団体の会費納入を依頼していた事例、これが該当事例が一番多いものでございまして、それぞれに99法人、84法人という答えでございます。
○佐々木(憲)委員 それ以外にもさまざまな問題がありまして、私は、厚労省から資料をいただきました。時間の関係でそれをまとめて言いますと、375法人に問題があった。是正したのは3分の1にも達していないんですよ、31.7%しか是正されていない。
 しかも、今資料をお配りしておりますけれども、本当にこれは、いまだに代表、住所が一緒、振り込み口座も一緒という、しかも領収書まで一緒だ、こういう問題があるというのが20道府県ありました。そのうち改善済みというのは5つしかないんです、5つ。
 例えば、福島県の場合を見ていただきますと、公益法人と政治団体の会費の振り込み先を公益法人名義の同一の銀行口座としていた事例、あるいは、領収書、政治団体の会費をあわせて記載していた、あるいは、公益法人の事務所が政党、これはつまり自民党ですね、入党申込書の送付先となっていた。これに対して指導はどうか。指導がなかった。つまり指導していないんです、これに対して。是正もされていないんです。
 あるいは、宮城などは、これも今言ったような事例が挙がっておりまして、是正をするようにという指導があったけれども、いまだに是正されていない。
 こういう形で、これはもうほとんど、問題にされていながら何らの是正も行われていないというのが実態なんですよ。二つが文字どおり表裏一体、分けようがない、こういう関係になっているのではないか。
 私は、昨年末、日本歯科医師会の会長さんに会いました、実際に。この会長さんは前の日歯連の副会長をやっていました。聞いたんですね。日歯の会長さんは、歯科医師会が政治活動をやる必要があるんだ、こう言っていました。それで、政治活動は公益法人でもできるんですよ、何で団体をつくるんですか、別団体をと聞いたんです。そうしましたら、いや、公益法人だから献金ができないので、それで日歯連という政治団体をつくったんだと。ですから、政治団体をつくるという意味は、まさに政治献金をするためのものなんです。
 ですから、そこに一番の問題があるわけでありまして、やはりここの調査を、私は、ただ峻別という問題だけではなくて、その根本にある政治をお金で動かすという仕掛け、こういうものを公益法人がつくるということが非常に問題がある、そういう認識はおありかどうか、この点、お聞きしたいと思います。
○尾辻厚生労働大臣 私どもの立場で申し上げられますことは、今の例でいいますと、歯科医師会は監督すべき立場でございます。ただ、政治連盟になりますと、これは私どもの手を離れる立場でございますので、私どもが何か直接言えるものではないということでございます。
 そこで、峻別をしなきゃいけない、こういうふうにかねて言っておるところであります。
○佐々木(憲)委員 総理にお聞きします。
 私は、3年前の予算委員会で、国民の税金を使って仕事をする会社、団体からの献金については規制すべきではないか、これは公益法人ではなくて公共事業受注企業の問題に関連をして質問しました。これに対して総理は、そういう点も含めて検討したい、こういうふうにおっしゃいました。つまり、国民の税金で仕事をする、公共事業であろうが、あるいは公益法人であろうが、そういう団体からの献金はもらわない、こういう姿勢を鮮明にすべきだというふうに思っております。
 総理のこの点での決意、最後にお聞きをしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 この問題についても前に答弁いたしましたけれども、規制の対象となる企業等の範囲の限定が難しい面があります。ですから、同一企業等から同一の政党支部に対する年間の寄附額に上限を設ける内容となっております。この点について野党の案とは若干違うということも承知しておりますので、今後、公共事業等の範囲の限定をどうするか、上限額はどうするか、そういう点につきましても、各党で十分私は協議をしていただきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 企業・団体献金は禁止するということに踏み出すべきだということを最後に申し上げまして、終わります。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる