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その他 (農林漁業・食の安全, 市町村合併)

2005年02月28日 第162回 通常国会 予算委員会第6分科会 【281】 - 質問

防災無線は「“1市1波”にこだわらず、実情に応じて対応する」総務省答弁/生産緑地指定で農家応援、条件緩和求める

 2005年2月28日予算委員会第6分科会で、佐々木憲昭議員は、防災無線の問題と自治体合併によって農地への重税問題について質問しました。

 2004年3月に、岐阜県下呂町を中心に5つの町村が合併して下呂市が誕生しました。
 以前の5つの町村には、それぞれに同報無線を設置し、時報、広報、行事紹介、災害広報など、住民生活には無くてはならないものでした。合併で新しい下呂市が誕生したことで、総務省から「1市1波」が原則だから、同報無線の周波数を統合するようにと指導があったことを、佐々木議員は明らかにしました。
 本庁のセンターから各戸の受信機まですべてを整備し直すこととなり、その予算は膨大です。
 佐々木議員は、国によって事実上押しつけられて合併したこと、広域の山間地域であることなどを考慮して、柔軟に対応すべきだと主張。
 これにたいして、総務省は、必ずしも「1市1波」にこだわらず、それぞれの実情に応じたかたちで対応すると答弁しました。



 また、佐々木議員は、自治体合併によって農地への重税問題について、島村農林水産大臣に質問しました。
 清水市と旧静岡市が合併し、新しい静岡市になり、政令市になりました。政令市では、市街化区域内の農地にたいして、宅地並み課税が適用されます。
 対象になる農家の戸数と面積は、3497戸、808ヘクタールという膨大な数にのぼります。
 この農家に、宅地並み課税がそのまま適用されると、税収はたいへんな額になります。
 農家からは、「これでは農業はやっていけない」という声があがっています。
 佐々木議員は、この問題をとりあげ、「急に都市化が進んだわけでも、地価が上がったわけではない。いつもと同じような条件のもとで農業をやっていて、ただ行政が勝手に合併して政令市になっただけなのに、3倍から7倍の固定資産税になるのはおかしいではないか」と質問しました。
 これにたいして、島村大臣は「合併によっただけで奈落の底に突き落とされるような農家の気持ちはわかる」と答えながら、「原則として宅地並み課税はやむを得ないが、定規でひっぱったようなやり方でなく配慮が必要」と述べました。
 生産緑地を都市計画にきちんと位置づけることが必要です。
 佐々木議員は、「生産緑地の指定条件を500平方メートル以上としているのは、厳しすぎる。たとえば、300平方メートル以上に引き下げることを検討すべきではないか」と質問すると、島村農水大臣は、それもふくめて「今後検討する」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 最近の市町村合併、これに伴ってさまざまな問題が生じております。きょう取り上げますのは、政令市の宅地並み課税の問題であります。
 それに入る前に、合併にかかわる問題で、総務省に一つだけただしておきたい問題があります。それは防災無線の問題でして、昨年の3月に、岐阜県下呂町を中心に5つの町村が合併いたしまして、下呂市が誕生しました。以前の5つの町村にはそれぞれ同報無線を設置しておりまして、時報ですとか広報、あるいは行事紹介、災害広報などなど、住民生活になくてはならないものとして活用されてきました。各集落ごとに屋外スピーカーの鉄塔がつくられ、各戸には受信機が設置される、こういうものであります。
 ところが、合併して新しい下呂市が誕生いたしますと、総務省からいろいろな指導がありまして、一市一波が原則だ、つまり一つの市に一つのシステムが原則となっておりますというふうに指導がありまして、この周波数を統合するようにという指導があった。そのために、本庁のセンターから各戸の受信機まですべて整備し直すというようなことになりまして、大変な負担になっている。
 これは、事実上、国によって押しつけられたような合併でありますが、しかも、この五つが統合した形でやらざるを得ない。広域の山間地域の市でありますので、平野部の市と同じ基準で縛られるというのはおかしいではないかというのが現地の声です。
 そこで、私は、必ずしも一市一波というところにとらわれずに、それぞれの実情に応じた形で対応するということが必要だろうと思うんですね。この点での対応策、解決の方法、どのように考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
○竹田政府参考人(総務省総合通信基盤局電波部長) お答えいたします。
 総務省は、有限希少な資源であります電波の有効利用を行う、こういう観点から、防災行政無線、同報系につきましては、必要最小限の周波数を割り当ててございます。
 しかし、市町村合併に当たりましては、早期の周波数の統合が望ましいと考えておりますが、既存の設備を有効活用しながら設備更新の時期などをとらえて統合を図るなど、市町村の実情を踏まえた対応を行ってきてございます。
 例えば、岐阜県の郡上市や恵那市におきましても、合併前と同じ数の周波数を割り当てさせていただいております。また、山間とか離島地域などにおいては、地形を考慮いたしまして、通信を確保するために必要な場合には複数の周波数の割り当てを行っております。
 具体的な割り当てに当たりましては、各地方自治体の御要望や実情をお伺いして、防災行政目的を実現できるよう、柔軟な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
○佐々木(憲)分科員 ありがとうございました。
 次に、島村農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
 都市農業でありますが、これは消費者に地元で生産される新鮮な野菜を供給するという役割、あるいは自然を守り緑を守る、そういう役割、あるいは防災、多面的な、大変重要な役割を持っていると私は思うんですが、大臣は都市農業の果たす役割についてどのような認識を持っておられるか、まず確認したいと思います。
○島村農林水産大臣 御質問の都市農業についてでありますが、実は、私のところは都心から8キロから15キロぐらいの中におさまる江戸川区でございまして、東京都内では二番目に都市農業の多い地域でございます。御存じかとは思いますが、コマツナというのは私どもが主産地で約一割を生産いたしますし、都市農業の専門家の中には、例えばセロリ日本一を何回もとっているとか、そういう農業名士も結構おられるくらい、研究熱心ですばらしい方たちがそろっております。
 そもそも、今御指摘もございましたけれども、まず何といっても、やはりオープンスペースがあって災害に対する予防にもなる、それからまた、東京にいると殊さらにそういう面もあると思いますが、農業に親しんでみたい、いわばそんな願望に駆られる方々が多いわけですが、市民農園としての役割も十分また果たしていただいている。
 また、今、何よりもかによりも、朝とれた露も滴る野菜、これを私たちはいつでも食べることができるという意味では、知らず知らずに健康のためにも大変に役立っていただいているんだろう、そんなふうに思うところであります。
 それから同時に、最近、子供たちが農業に親しんで、農業の大切さ、こういうようなことを勉強するということにおいても非常に効果が高いので、我々は、いわば都市農業というものの必要性というのをだれよりも強く実感している人間であります。
 したがいまして、私、前の農林水産大臣のときに、たまたま現行の基本法の検討がなされておりましたが、そのときにも私はあえて都市農業の重要性を訴えて、これをしっかり位置づけていただいた、こういう人間でありますから、恐らく佐々木先生は同じ考えなんだろうと思いますが、都市農業についてはだれよりも深く理解しているつもりであります。
○佐々木(憲)分科員 ところが、清水市と旧静岡市が合併しまして新しい静岡市になりました。その上、これは政令市になるということで、市街化区域の農地に対して宅地並み課税が適用される。ことしの4月からという話になっておりまして、これは地元で大問題になっているんです。同じ政令市でも、仙台ですとかあるいは広島では、これは起こってこない問題であります。
 そこで、数字ですけれども、対象となる農家の戸数と面積を教えていただきたいと思います。
○須賀田政府参考人(農林水産省経営局長) 静岡市内の市街化区域内の農家、3,500戸でございます。それから、農地面積、約800ヘクタールでございます。
○佐々木(憲)分科員 大変な数でありまして、これは全農家の40%にも上るわけです。
 宅地並み課税がそのまま適用されると、適用されない場合と比べて税収はどういうふうになるのか。例えば平成21年の場合、どの程度になるのか、数字を示していただきたい。
○板倉政府参考人(総務省自治税務局長) お答えいたします。
 宅地並み課税に伴います静岡市の増収がどうなるかということでございますけれども、静岡市の試算によりますと、従前の宅地並み課税がなされない場合と比較をいたしまして、税負担の上昇程度が早まるということがございますので、数年後に最大で年間約14億円程度の増収になる。全体で約24億円ぐらいになる。これは一時的ということでございますけれども、そういうふうになると聞いております。
○佐々木(憲)分科員 これは大変な規模でありまして、例えば、平成21年の固定資産税と都市計画税の合計21億円というのが想定されているわけです。平均しまして、現在の水準でいきますと9億8,000万円ですから、約2.4倍ということです。平均して、一戸当たり年28万円の課税額が68万円になる。農地の場所によっては5、6倍になる農家も出てくる。大変な額なんですね。これではもう農家をやっていけないという声が上がるのは当然のことだと思うわけです。
 これらの農家の環境というものは、一体何が変わったのか。急に都市化が進んだわけでもありません。地価が上がったわけでもありません。いつもと同じような条件で、前の年も、ことしも、来年も続けていく、そういう農業であります。行政の側がいわば勝手に合併して政令市になったというだけの話なんですね。それなのに、3倍から7倍というような本当に大変な増税になるというのはおかしいと思うんですね。
 島村農林大臣、ただ合併しただけでいきなり何倍も税金が上がる、農家がやっていけない、これはおかしいと思いませんか。
○島村農林水産大臣 確かに、御本人が好むと好まざるとにかかわらず、都市化が進んだり、あるいは、最近は地方自治体の財政事情が非常に悪化しておりまして、このままではいわば赤字再建団体になりかねないというような先行きを憂慮する声もよく聞くわけでございます。そういう意味からすると、ちょうど、いわば企業がリストラを進めたり、むだな経費を全部削って体質を強化したように、自治体においてもそういう面の要求が当然出てくるんだろうと思います。
 そういう意味では、いろいろな地域の合併によって、議員数が大きく減る、あるいはまた職員が大きく減る。特に、管理部門その他については、お互いが一緒になることによって随分削減ができるわけで、最近、東京ではそういうことが非常に多くなってきているわけでありまして、そういうことからすれば、いわば市区町村の合併への動きというのは、ある意味で時代の要請なんだろうと思います。
 ただ、問題は、農業を営々として、一生懸命努力をしている人が、いわば、ある日突然、宅地並み課税だよ、こう言われることについては、御本人はまじめに営農しているわけでありますから、これをにわかに、行政の事情によって奈落の底へ落とされるような、いわば厳しい試練に耐えなければいけないのはちょっと何か気の毒でもありますから、こういう点についてはいろいろな配慮をしていかなければいけない面があるんだろうとは思います。
 さはさりながら、やはり区域内農地については、原則としてはやはり宅地並み課税というものにある程度なることは避けて通れない道であることもありますから、やはりこれからは農業をあえて続けたいという場合には、多少域内での、地域を自分たちが変えて求めるか。その一方では、また生産緑地として計画的、永続的にそういう道を開くためにいろいろなこれからの適応をするか、あるいは市街化調整区域として逆線引きするというようなこともと、いろいろ考えざるを得ないと思いますが、この問題は定規で引っ張ったようなやり方だけでやっていくことには問題があるんだろうと思いますので、これからもさらに検討したいと思います。
○佐々木(憲)分科員 これからもさらに検討したいということであります。
 都市農業というのは非常に重要な位置づけだということを大臣はおっしゃったわけですから、これが、行政がただ合併しただけでいきなり何倍も税金が重くなるなんというのは都市農業破壊ですから、そうならないように具体的な手だてを打つというのは当然のことだと思うわけです。
 それで、一つの方法として、先ほどもおっしゃいました生産緑地を都市計画にきちんと位置づけるということが必要だろうと思うんですが、例えば、生産緑地指定の条件としてよく言われているんですけれども、30年間農業を続けなければならぬというふうに理解している人がいるようですけれども、そういうことなんでしょうか。一点だけ答えていただきます、そうか、そうでないかと。
○須賀田政府参考人(農林水産省経営局長) 生産緑地法の方で、生産緑地といいますのは、30年間原則として農業を続ける。開発する場合にも農業用の施設に転用することはできるんですけれども、それ以外の開発行為は認められていないというふうに承知をしております。
○佐々木(憲)分科員 30年間続けなければならぬという条件は、生産緑地の指定の条件としてはないんじゃないですか。
 静岡市の「生産緑地地区の指定について」というパンフレットがありますが、これを見ましたらそういうことではなくて、現に農業の用に供されていること、あるいは公害、災害防止、良好な生活環境の効用があること、公共施設の敷地の用に供する土地として適していること、一団の農地が一定規模以上であること、農業の継続が可能であることということでありまして、30年というのは指定の条件じゃないでしょう。
○阿部政府参考人(国土交通省大臣官房審議官) 30年と申しますのは、生産緑地の買い取りの申し出ができるかという、その基準として、30年を経過したとき、または当事者が死亡等した場合、そういう場合に申し出ることができる、こうなっております。
○佐々木(憲)分科員 ですから、指定の条件じゃないんですよ。30年経過した後に、その当事者が死亡したような場合には買い上げていくことが可能になる、そういう条件なわけであります。
 それで、従事者でありますが、都市農業の場合、特に兼業農家もありますし、あるいは共同経営というのもあるかもしれない。そういう場合でも、これは主たる従事者が農業経営に欠くことのできない主要な働き手であるかどうか、これが大事な点だと思うんですが、そういうことですね。
○阿部政府参考人(国土交通省大臣官房審議官) 主たる従事者の年齢によって異なりますが、それぞれ、主たる従事者が65歳未満である場合には、もう一方、共同の方が、それに対する1年間に従事した日数の8割とか、あるいは主たる従事者が65歳以上である場合においては7割とか、そういう形で決まっております。
○佐々木(憲)分科員 これは、農業経営に欠くことのできない主要な働き手ということであれば、兼業でも共同経営でも構わないということです。
 それから、指定の条件の一つに、一団の農地が500平米以上という規定がありますね。これはどういう意味なんでしょうか。必ず500平米がまとまっていなければならぬということではないと思うんですが、いかがでしょうか。
○阿部政府参考人(国土交通省大臣官房審議官) この一団の面積と申しますのは、都市計画において農地の持つ緑地的機能が最低限確保されるか、特にこれに権利制限を加えて保全を行うわけでございますので、一定規模は必要だというような趣旨から定められているものでございます。
 この数値につきましては、平成3年の生産緑地法の改正によりまして、従来、1ヘクタールが第一種、あるいは第二種が0.2ヘクタールと定まっておりました面積要件につきまして、これをぎりぎりどこまで落とせるかというようなことで、500平米以上という非常に小規模なものにまで引き下げたところでございます。
 なお、この一団性の判断に当たりましては、各地域の実情に応じまして、都市計画決定権者が適宜判断し、弾力的な運用を行っております。具体的には、道路とか水路などが介在する場合であっても、それらが小規模であり、農地と一体であれば、一団の農地として取り扱うことができるというふうにいたしております。
○佐々木(憲)分科員 道路が真ん中にあって、挟んでいる農地が合わせて500平米以上という場合も指定の対象になる。その場合、その道路の幅というのはどういうものでしょうか。六メートルだとか、そういうことが言われていますけれども、場所によっては若干柔軟性があると思うんですが、いかがでしょうか。
○阿部政府参考人(国土交通省大臣官房審議官) 小規模として取り扱います道路、水路等の幅員規模といたしましては、6メートル程度が上限でございますが、各都市計画区域の実情に応じまして、適宜判断することが望ましいというふうに、私どもとしては、運用指針で各公共団体にお示ししているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 この静岡の場合、市街化区域内農地の半数が基準に満たないと言われているんです。これらの農家は、生産緑地の指定からはみ出してしまうというようなことですね。こうなると救われないということがあるわけですけれども、一体、そういう方たちはどのようにして救済するんでしょうか、この条件に満たない場合は。
○阿部政府参考人(国土交通省大臣官房審議官) 先ほど申しましたように、この法律は、ある程度、その都市計画の地域において緑地機能が評価される、例えば、この500平米の物の考え方と申しますのも、都市の美観風致を維持するための樹木の保存の法律の政令で500平米と決まっております。したがいまして、都市の美観風致を維持するための最小限度の規模ということで決めております。したがいまして、それ以外のものにつきましては、生産緑地としての指定は困難かと。ただし、先ほどのような形で、できる限り各地域の実情に応じて弾力的に運用していきたいということはやっておりますが、そこが限度かなというふうに思っております。
 そうなりますと、当然ながら、引き続き小規模でございますが、農地として経営されていくのか、あるいは、市街化区域の趣旨にかんがみまして、宅地化を促進していただく、宅地として売却していただくというようなことになろうかと思います。
○佐々木(憲)分科員 そういう場合、農業を続けたい、そこで農業をやっていきたいという人たちは、今の答弁だと救われないんですね。
 例えば、新しい静岡市が何らかの支援策を打ち出す、そして、宅地並み課税を緩和する、これは当然あり得ると思うんですが、そういう場合、それは認めるということですね、市の判断でやる場合は。
○板倉政府参考人(総務省自治税務局長) 宅地並み課税の趣旨につきましては、今さらここで申し上げるまでもないと思いますけれども、少なくとも、その趣旨に反しない限り、いろいろ実情に合わせて、市の方でさまざまな対応をされるということはあり得ることではないかというふうに思っております。
○佐々木(憲)分科員 それで、島村農水大臣、この500平米に満たない農地が、この静岡の場合は半分あるんですよ。ですから、そういうことを考えますと、どうも基準として適切なのかどうかというのがもう一つ出てくるんです。ですから、こういう問題、例えば300平米にしてほしいというような要求もありますし、いつまでも500というのにこだわらずに、都市農業は本当に大事だということを考える場合には、そういう問題も含めて、今後、制度のあり方をどうするか、検討するというのが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○島村農林水産大臣 実は、この生産緑地を何平米にするかどうかを決めたときに、たまたま私、そちらの方の責任者になっていまして、最初は、私の判断で、むしろ500平米にたしか下げたんです。そんな記憶がございます。ですから、この後さらに、もっと小さくすることが可能かどうか、ちょっとわかりませんが、当時、かなり抵抗があったのを押さえつけて決めた記憶がありますので、まあ、これからも一つの勉強課題にしたいとは思います。
 ただ、ついでに申し上げるようですが、私は純粋に、都市農業を営む方にこれからも頑張ってほしいということで随分努力したんですが、多少裏切られた気持ちがないではないのは、カキの木を植えたりあるいはクリの木を植えて農家でございと、大変横着に、とてもとても農業と思えないような人たちもたまにいるわけですね。これに対しては、やはり自治体の組織も余り対応できないでいる。
 もともとそういうことをなさるような方ですから厚かましいのかもしれませんが、やはりこういう人まで都市農業と言われると、非常に複雑なのでありまして、どこまでが都市農業なのか。少なくも、生産した実績とか、あるいは納入して販売した実績とか、そういうものがチェックされて、本物の農業をまず確認して、その農家に対しては、なるべく現状に即して、多少狭くても、いわば意欲と実績があれば、みんなで面倒を見る、そんなような弾力的な運営があっていいのではないか、こう思いますが、検討してみたいと思います。
○佐々木(憲)分科員 課税の問題も、例えば固定資産税の計算方法ですね。土地の利用形態に応じて課税する収益還元方式ですとか、あるいは、農地の相続税の軽減ですとか、こういう問題も課題があるというふうに思いますが、そういう問題も当然含めて検討していくということであると思うんですが、今、首を振っていらっしゃいますから、そうだと思います。そのようにしていただきたいと思います。
 最後に、これは大臣、突然ですが、25日の予算委員会で、BSE対策のため日本で実施している牛の全頭検査について、国際社会で生きていくための常識がある、全頭検査は世界の非常識だ、こういう発言をされたというので、報道を見てびっくりしまして、私は議事録もとってみたんですが、非常識の部類でありますから、いつまでもこういう姿勢に閉じこもっていることが妥当とは考えておりませんという、これは日本が今進めてきている小泉内閣の方針、これが非常識であると。
 では、その閣僚は一体何なんだろう、こうなるわけで、この発言はちょっと、従来の大臣の発言も調べさせていただきました。そんなこと言っておりません。従来の発言は、この全頭検査については、あくまでも日本がとっている措置と同じことをしていただく、やはりこれだけは、きちんと検査を終えないことには国民に対する本当の責任を負えないという姿勢を貫いているわけでございます、これは2月17日の予算委員会の答弁なんです。
 ですから、これだけ全然違うようなことを突然言われますと、これは一体、どちらが本心なのかということでありまして、その真意を聞かせていただきたい。
○島村農林水産大臣 実は、それは限られた時間ですから、十二分に私の意を尽くした説明はできておりませんが、少なくも赤羽議員の御質問に対して答えたことです。
 全頭検査をお調べいただければわかりますが、世界じゅうどこにもやっているところはございません。ただ、全頭検査を導入した際、あの当時の消費者のいわばおびえといいますか、牛肉はおろか他の肉も一切合財食しないというような動きもあったわけでありますから、こういう際に、国民の信頼を回復して、安心して牛肉を食べていただく。少なくも米国の牛肉以外のものはその対象ではなかったわけですから、これは全頭検査をやって、国内農産、肉も何も大丈夫なんですよという配慮をしたことは、あれはあのときにおいては英断であったと思います。
 しかしながら、御承知のように、例えばEUは30カ月以上というのを原則としておりまして、今ドイツあるいはイタリーとスペインぐらいで、あとは全部30カ月の線で並んでいる。要は、私たちが海外へ行けば、フランスでも、あるいはイギリスでもどこでも、牛肉が出れば喜んで食べるわけでありますが、少なくも、今私たちが諮問しているのは、20カ月以内ということに私は今しているわけでありますから、少なくもほかの地域の実情に照らせば、やはりかなり低い、厳しい水準に置いているわけでありまして、私は、まずその点について、いつまでも全頭検査ということにこだわるのは世界の常識に照らしていかがなものか、こういう判断をしました。
 いま一つ、私はやはり、正直言って、アメリカから圧力がかかって私の言動が変わったんじゃないかと危惧する向きがあるんですが、私はこういう男ですから、アメリカの代表の人に対しても、郷に入っては郷に従えで、日本の国に物を入れようというときには我が国の国内措置に従っていただく、これは断じて私がこの任にある以上は変わらないから、やはりそういう姿勢で出直してほしいと大変厳しい、失礼なくらい厳しいことを申し上げました。その後、私には、電話一本、そういう要求がありません。
 したがいまして、はたからの力とかそういうことではないのですが、実は、例えば10月15日に私たちは諮問をいたしましたけれども、これはいつになったら結論が出るか全くわからないで、まあ3週間に一遍ぐらいの検討ですが、もう既に何回もやって結論が出ないままに来ています。これはこのまま放置していて果たして国際常識に照らして通用するんだろうか、何か日本が無用な引き延ばしをしているんではないかということは、私はこれはアメリカの代表ではなくて、ほかの角度からいろいろ聞いているところでございますから、何かそろそろ、いわば世界の常識に照らしても、少なくも鋭意検討しているんだという、何か結果が出てきていいんではないかと思っているところで、その結論についてかくあるべしということは私は一言も言っていないのです。
 ただ、全頭検査についてあなたはどう思うかと言うから、全頭検査というのは世界どこでもやっておりませんということを申したところでございます。
○佐々木(憲)分科員 もう終わりますけれども、大臣の答弁は、これは一貫してなければならぬと思うんですね。ですから、全頭検査というのは、安心、安全というものを確保するために、日本が世界にないそういうものを採用したんだといって胸を張っていたわけですよ。ほかの国でやっていないから何か特別なんだというのではなくて、国民の安心、安全ということで、それを確保するためにやったということなんですから、まずはっきりその点を踏まえていただきたい。
 それから、いつまでも結論が出ないといっても、専門家なんですから、専門家はじっくり検討するのが当たり前じゃありませんか。しかも専門家に早く出せ、早く出せと言って、それでアメリカが早く結論を出せと言われて、それに乗っかっているような、そういう発言と聞こえるわけです。
 ですから、やはりこれは国民の安心というものが最優先でありまして、全頭検査というものを日本が採用していることを胸を張って世界に宣言する、堂々と主張する、そういう大臣であってほしいということを述べまして、終わります。
○島村農林水産大臣 私、その際、赤羽議員が、情報公開して、これは米国産の牛肉ですよということを消費者によく知らしめて、その上で消費者が食べることについてどう思うか、こういう趣旨でしたから、私も、情報公開をして、消費者がそれを判断するということにおいては、少なくも20カ月未満のものしか入れないという前提に立てば、世界の常識に照らしてそうおかしくないと私なりの考えを申したところでありまして、別に安心、安全を吹き飛ばす供給もありませんし、消費者に万が一のことがあったら大変なことでありますから、それらを十分考えて発言しているつもりであります。
○佐々木(憲)分科員 終わります。

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