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金融(銀行・保険・証券) (保険業法)

2005年04月08日 第162回 通常国会 財務金融委員会 【293】 - 質問

保険業法案 手続き的に不十分 実態に応じて政令を定めるよう要求

 4月8日の財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、保険業法改正案に関連して、近年トラブルが多発し契約者保護ルールの確立が求められている共済の問題について質問をしました。
 佐々木議員は、四日市商工共済協同組合や佐賀商工共済協同組合など連続して商工共済が破綻し、子供の学費や老後のための積立金・預金が契約者に一切返ってこない問題を取り上げ、こういう共済の被害者がきちっと救済されるように規制するのは当然で、省庁にまたがる横断的なルールを作るべきだと質問。
 伊藤達也金融担当大臣は、商工共済は所管官庁である経済産業省において適切な対応がなされていると思うとしつつも、「共済制度全体の問題につきましては、幅広い観点から検討する必要があると考えております。5年以内に行う見直し論議の中において、関係者の皆様方とよく相談をし、協議させていただきながら検討をしていきたいと思う」と前向きな回答をしました。
 また、無認可共済に係る法律の改正案中、政省令に委任され現在決まっていない内容が110箇所程度もあることが質疑の中で判明しました。
 佐々木議員は、この法案が手続き的に不十分であると指摘し、健全な共済活動にまで一般の保険会社と同じルールが適用されないよう、実態に応じて政令を定めるよう要求。
 伊藤大臣は「実態を踏まえてということは非常に重要なことだというふうに思っております」と答弁しました。
 この質疑では、少額な保険で1年以下の共済を扱う共済団体が新たに創設される少額短期保険業者制度について、事業規模の要件が、保険料収入の総額50億円程度以下で検討されていることが、はじめて明らかになりました。

 この保険業法改正案は、4月13日に採決が行われました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 保険業法改正案でありますが、これは無認可共済の契約者をいかに守るかという、そのルールを確立するというのが目的だというふうに聞いておりますが、この法案を提案している以上、実態をどう把握するかというのが大変重要だというふうに思っております。どのぐらいあるのかということですが、数千というふうにも言われておりますが、金融庁として独自にどのように把握されているか、まずお答えをいただきたい。
○伊藤金融担当大臣 根拠法のない共済につきましては、監督官庁がなく、その正確な実態把握は困難でございますが、総務省が昨年の4月から10月にかけて根拠法のない共済の実態の調査を全国的に実施をして、同年10月に調査報告を取りまとめたところでございます。
 金融庁といたしましては、総務省からの実態調査の報告を受けたほか、インターネット等により、共済事業を行っていると推定される事業団体103団体を把握をし、そのうち根拠法のない共済の具体的な事業概況等を把握するため、比較的大規模な共済事業者を中心にヒアリングを行うとともに、昨年10月に金融審議会第二部会におきまして、これまでの審議の状況を整理した論点整理を国民の意見募集に付し、つまりパブリックコメントに付させていただいて、共済事業者を含め百十九件の意見をいただくこと、そして、金融審議会において根拠法のない共済の実態について審議の参考意見を聴取するためヒアリングを行うことなどにより、できる限りの実態把握に努めてきたところでございます。
 このような可能な限りの実態把握を行って、また、金融審議会での検討結果を踏まえ、今回の法改正を策定させていただいたところでございますが、今後、新たに創設される少額短期保険業者の実態を把握するとともに、適切に監督を行っていきたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 この実態把握というのが非常に不十分だと思うんですね。総務省が422、金融庁が今のお話で103というのを一応対象として調べてみたということでありますが、例えば総務省の調査の422の中で、実際には共済を実施していなかったものが117ある、既に休廃止していたものが九、所在不明が80、調査への協力が得られなかったのが50、こういうものを除きますと実地調査が実際に行われたというのは166なんですね。ですから、422のうち実体的に把握できたのは166というわけでありまして、これは非常に漠然とした数字であります。実際にそれ以上にどの程度広がっているのか、これがなかなか把握されていない。この漏れたものについてこの法律によってどう網をかけるか、この実効性にやはり問題があるのではないか。この点についてはどのようにお考えですか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 実態の把握という意味では、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、金融庁独自でも、あるいは総務省の調査でもやっているつもりでございますが、この制度自体も、今仮に共済事業をやっている既存の業者につきましても、この制度がスタートいたしますと、登録で二年間猶予期間を設けて、その間に登録をしていただくということでございますので、それが仮にそういった登録なしで行われた場合にはそれなりの罰則もあるということでございますので、届け出登録をしていただいて、ある意味ではだんだん実態がわかってくる。
 そういったことも含めて、今回はこういった新たな規制の枠組みのもとで実態把握に努めながら、改正保険業法の施行から五年以内に既定の枠組みについて検討し、必要があればそれに基づいて必要な措置を講ずるということにしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 法律を提案する以上、実態がどうかというのはもうちょっと正確に把握をするというのが当然だと思います。法律を施行してから二年間登録を待ちましょう、やってみなきゃわからぬ、こういう話じゃ、私は、実効性のあるものにならないのではないか、そういう点を指摘しておきたい。
 次に、規制の対象となる事業者の範囲でありますが、例えば制度共済は対象にならないというお答えが繰り返されておりますけれども、この制度共済の中でもいろいろな問題が起こっているわけであります。例えば商工共済というのがありまして、2002年の4月23日に破産をいたしました静岡商工資金協同組合、これは組合員が3700人であります。それから、2002年6月25日に破産をした四日市商工共済協同組合は1400人。2003年8月27日に破産をした佐賀商工共済協同組合は1万6千人と大変な規模でありますが、大変な被害が出ているわけです。
 この被害者の声をお聞きいたしますと、こういう声が上がっております。例えば佐賀商工共済協同組合の場合、飲食店経営の男性は、大学受験を控える長女と長男の学費のために、18年前から毎日数千円ずつ共済の積み立てを続けてきた。9月中旬で満期を迎え、積立金約1千万円が戻ってくるはずだった。しかし、これがパアになったということです。あるいは、組合には30年前から加入をして積立金は700万円だったが、これが戻ってこない。これからどうやって生活していったらいいのかという声もあります。
 さらに、四日市の場合には、定年を迎えた夫を持つ妻から、つらいのに死ねない自分が情けない、こつこつためたお金、どうか返してほしいという声がある。1000万円以上積み立てていたお年寄りが、お金が戻らない、一体どうしたらいいんだ、こういう声が大変多いわけであります。
 こういうものが救済されなければならないと私は思います。こういう共済の被害者がきちっと救済されるように規制をするというのは当然だと思いますが、大臣はどのようにお考えですか。
○伊藤金融担当大臣 今の点につきましては、経済産業省、お見えであると思いますので、所管官庁からまた御答弁があろうかというふうに思います。
 基本的には、やはり法律を所管する所管官庁において適切な対応がなされているというふうに思っておりますし、また、課題があるとすれば、その中で、契約者保護の観点からしっかりとした対応がなされるべきものというふうに思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、金融取引における消費者保護の観点から、私どもといたしましては、関係省庁と十分に連携をとり、また相談をしながら、利用者保護の実効性を確保するために対応をしていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 この場合は都道府県が所管をしているということでありますが、まともな対応がなされていないわけであります。経産省からも来ていただいておりますが、経産省としては、この三つの組合の破綻に関連をして、どのような対応をされましたか。
○野口政府参考人(中小企業庁経営支援部長) お答え申し上げます。
 中小企業等協同組合法におきましては、組合は事業年度ごとに事業報告書あるいは財務諸表を所管の行政庁に提出する義務がございます。また、所管の行政庁は、報告の徴収、検査、監督上の命令をすることができるとされております。
 本件の場合の所管の行政庁は、設立の認可を行った各県ということになります。法を所管いたします当省といたしましては、組合運営に疑義があると思われる組合に対しては、組合の所管行政庁がこれらの手法を用いまして適切に対処することが重要と考えております。
○佐々木(憲)委員 所管をしている県がまともに対応していないわけです。法を所管している経産省は、その実態を調査をして、その上で、こういう破綻が起こったということは、これは有効に機能していなかったわけです、したがって、被害者が救済されるようにやはりきちんと指導すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○野口政府参考人(中小企業庁経営支援部長) あくまでも中小企業等協同組合法におきましては、今般のように問題になった共済組合、こうしたものの運営に疑義があるという組合に対しましては、組合の所管行政庁が先ほど申し上げましたような検査等の手法を用いまして適切に対応するということが基本だというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 法を所管しているのは経産省でありますから、この監督が十分に行われていないわけであります、県の監督が。それはしようがない、それは県の責任だと。きちっと所管が機能していないわけですが、それはしようがない、こういう立場なんですか。それとも、不十分な点があれば、もうちょっと何とかしなさいというのが当たり前だと思うんですが、経産省はどういう立場なんですか。
○野口政府参考人(中小企業庁経営支援部長) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、現在の法律上は、所管の行政庁が先ほど申し上げましたような手法を用いて適切に対応するということが基本だというふうに考えております。
 ただ、昨今の事情を踏まえまして、さらに制度的対応が必要か否か、これにつきましては、今後、共済事業を行う組合の実態も十分に踏まえながら検討をしていきたいというふうに考えている所存でございます。
○佐々木(憲)委員 そこで、今回の法改正でも、こういう点も含めて省庁にまたがる横断的なルールをつくるというのが私は当然だと思っております。しかし、この法案を見ますと、こういう問題については別問題だということになっていて、ルールの中に入ってこないわけです。
 経産省にお聞きしますけれども、金融庁から今回の法案の検討に当たって具体的な相談がありましたでしょうか。
○野口政府参考人(中小企業庁経営支援部長) 法案の協議におきまして、通常のいわゆる合い議というものが法案提出前に私どもにあったというふうに承知をしております。法案につきまして協議がございました。法案提出前に法案の協議がございました。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、経産省と金融庁は相談をした上でこういう法案を出したと。経産省は、例えば今問題になっている商工共済などについて、当然、横断的な共通の性格を持っているわけですから、そういうものにすべきだという意見を出すべきだと私は思いますが。
 じゃ、金融庁に聞きましょう。
 経産省からそういうふうな意見を仮に聞いたとして、これは拒否して、独自に金融庁は金融庁でやったということなんですか。
○伊藤金融担当大臣 拒否してとかそういうことではありませんで、今回の改正に当たりましては、政府部内におきましても金融審議会の議論の状況を関係省庁に連絡をさせていただくなど連携をとってきたところでありますし、また、今経産省からも御答弁がございましたように、法案の提出に当たっても、それに先立ち関係省庁と協議を行ってきたところでございます。
 今回の法案の提出につきましては、先ほど来答弁をさせていただいておりますように、根拠法のない共済につきまして、それが急増し、またその業務の内容でありますとか規模というものが多様化していく、あるいは国民生活センターにおける相談というものが増加をしていく中で、これに迅速に対応していくために今回の制度設計をさせていただいて、保険業法の改正案を御審議をいただいているところでございます。
 制度全体、共済全体の問題につきましては、今回の制度設計に当たっては五年以内に見直すという形になっておりますので、関係省庁ともよく連絡をとらせていただいて、そして相談をさせていただきながら、今後のあり方について検討を進めていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 事前に、法案を出す場合に一般的な説明を関係省庁に行うというのは、これはあると思うんですが、しかし、法案作成の過程で、私は、経産省からまともに具体的な実体のある法案の内容についての協議を行ったということは聞いておりません。ですから、これは金融庁が自分のいわば縦割りの部分を囲い込むような形でやったという印象が非常に強い。
 今、5年後の再検討の際には各省庁と協議したいとおっしゃいましたが、この商工共済などについても当然検討の対象に含めるというのは当たり前だと思うんですけれども、いかがですか。こういう問題も含めて検討すると……。
○伊藤金融担当大臣 ぜひ御理解をいただきたいのは、私たちの庭先をきれいにするためにということでこの問題に対する対応をしたわけではありませんし、また私たちの権限を拡大していくためにこの問題に対する対応をしたわけではありません。
 当委員会におきましても、この根拠法のない共済のあり方、そして契約者保護の観点からこれに対してどう対応していくべきなのか、そうした真剣な議論がありました。そういうことも踏まえて金融審議会において一年間にわたって議論が行われ、そしてその報告に基づいて今回の制度設計を提案させていただいたところでございます。
 共済制度全体の問題につきましては、保険業法に基づく保険会社制度及び少額短期保険業者制度、そして現在幅広く行われている根拠法のある共済との関係を含めて、幅広い観点から検討する必要があると考えております。この点について、先ほども御答弁をさせていただきましたように、本法施行後五年以内に行う見直しの中において、関係者の皆様方とよく相談をし、協議をさせていただきながら検討をしていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 それでは次に、この法案の内容なんですが、政令で定めると、今まで何度もここで議論がされておりますけれども、政省令で定めるというのがいかに多いかであります。保険業の定義から始まりまして、少額短期保険業の定義、政令で定めるというのは次から次と出てきまして、これは項目で何カ所、政令あるいは内閣府令で定めるというふうになっているんですか。数を言ってください。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 今回新たに設ける条文におきまして、政省令に委任している箇所は110カ所程度になるものと承知しております。
○佐々木(憲)委員 110カ所ですか。(増井政府参考人「はい」と呼ぶ)これは余りにも多過ぎまして、しかも、先ほど配られましたけれども、「現在検討中の内容」が配られても、まだ非常に不明確な点が多々あります。すべて決まってから出せと言うつもりはありませんけれども、しかし、ある程度はっきりしているものについては法律の中に書き込むということをやり、そして、手続的に政省令にするのが正しいというものはそうする、そういう峻別をまずやった上で、しかも、この政省令の中で確定的に言えるものは事前に法案を提出するときに公表する、こういうふうにしていただきたい。今審議中に、先ほど質問が民主党の議員からあったときに全議員に初めてこれが配られたというようなやり方は、私は審議のあり方としてよろしくないというふうに思いますので、指摘をしておきたいと思うんです。
 それで、具体的な内容についてお聞きをします。
 対象になるかならないかということでありますが、例えば小規模な共済は対象とならない、しかし少額短期保険業者は対象になる、こういうことになりますよね。では、その線引きは何なんですか。何を基準にこれは線引きされるんですか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 今回の保険業法改正案でございますけれども、今御指摘のように、保険業法の適用除外となる団体といたしまして、小規模な共済ということが一つございます。これは、保険事業におきまして、構成員の自治による監督を理由として契約者の自己責任を問うことが可能な団体がある、そういう観点から、団体の構成員の相互間及び保険の引き受けを行う主体、保険者と契約者との間に極めて密接な関係があることが社会通念上明らかであると考えられる団体を個別に法令で規定するという形で規定しておるわけでございます。
 具体的に、その少人数の共済の具体的な基準でございますけれども、一般に、今申し上げましたように、保険事業について構成員の自治のみによる監督を理由に自己責任を問うことが可能と考えられる規模として、構成員が1千人以下のものとすることを想定いたしております。
○佐々木(憲)委員 それでは、少額短期保険業者と保険会社の間は何によって線引きをするか。これは、最低資本金10億円、それから保険料収入の総額で50億円という回答が今までの質疑の中で出たと思うんですが、それでよろしいですか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 今先生御指摘の少額短期保険業者と保険会社との線引きでございますけれども、基準が大きく言って二つあると思います。一つは、一定の事業規模の範囲内で行うというのが少額短期保険業者の一つの要件でございます。それからもう一つは、少額短期保険業者という名前そのものから由来しておりますけれども、保険金額が少額で短期の保険のみを引き受けを行う、この二つの要件がございます。
 今先生が御指摘になりました50億云々というのは、事業規模の基準の方のお話でございます。事業規模の基準につきましては、政令で定めることといたしておりますけれども、今、現行の保険会社、これは最低資本金が10億円ということになっておるわけでございますけれども、この現行の保険会社の最低資本金であります10億円程度の内部留保が必要となる保険料収入を基準にしようという考え方に基づいて一定の機械的な計算をして、御答弁としては数10億と申し上げましたが、今の機械的な計算をすると50億程度になるということで、それが一つの水準としてまた検討したいということを申し上げているわけでございます。
 それからもう一つは、商品の方の、保険金額が少額で保険期間が短期という問題がございます。これは、先ほど来御説明をさせていただいておりますけれども、保険の種類ごとに政令で定めることといたしておりまして、人、身体に係る保険である生命保険あるいは医療保険については、保険金額が数百万程度、保険期間は1年、さらに、実損てん補の保険でございます損害保険については、保険金額が1000万円、保険期間は2年ということで、それがある意味で線引きの基準ということでございます。
○佐々木(憲)委員 今、二つの基準を出されました。一つは保険料収入の総額、それからもう一つは少額、短期、掛け捨てになっているのか、限定されているのか、そうではないのかと。
 それで、それぞれの基準は今の説明でわかったんですが、例えば、保険料収入の総額が50億円以上あっていながら、扱い商品としては少額、短期、掛け捨てに限定されている、そういう場合はどちらに入るんですか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 今先生、50億円というお話ございましたが、50億円というのは一つの参考の数値でございますので、必ず50億円かというと、これからよく検討したいと思っております。
 今の御指摘でございますけれども、今の事業規模の基準を上回るような規模で事業を行っている業者というものにつきましては、少額短期保険業者の定義に当てはまらないわけでございます。したがいまして、仮に少額で短期な商品しか扱わない業者でありましても、当該基準以上の事業規模を有する場合には保険会社の免許を取得することが必要であるということになると思います。
○佐々木(憲)委員 私は、保険会社に適用する法律を一律に適用するのが正しいのかどうかという問題が次に出てくると思います。
 不特定多数の顧客を相手にした保険会社の場合と、組合員を対象にした相互扶助的な、協同組合的な性格を持った団体の場合では、これはやはり違うと思うんです。営利を目的としているかあるいは非営利かという区別もできると思いますけれども、いずれにしても、全く同じ基準を一律に適用するというのは実態に合わない。やはり相互扶助的な、協同組合的な性格を持っている共済の場合は、自治を尊重した別のルールというものが必要になるのではないか。こういう点で、例えば政令を考える際に、そういう問題を考慮に入れて政令を考えるのか、それは無視して一律でこういうことをやるのか、どちらですか。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 今の事業規模の関係でございますが、昨年12月の金融審の報告の中では、保険会社と異なる規制を導入する場合のメルクマールとして事業規模を中心とすることが考えられる、その際、引き受けリスクの全体の大きさを勘案し、保険料収入等を用いることが適当であるというような指摘がなされております。今回の法案につきましては、こうした考え方に基づきまして、少額短期保険業者の特例の対象となる事業者は、先ほど申し上げましたように、一定の事業規模の範囲内にあるものとして、「その収受する保険料が政令で定める基準を超えないもの」というふうにしております。
 先ほど保険料の考え方を申し上げましたが、そういった基準を超えるものにつきましては、現行の保険会社並みの引き受けリスクを総量として保有することになるというふうに考えておりまして、そういう観点から申し上げますと、やはり保険会社の免許の取得を求めることが合理的ではないかというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたのは、一律に適用するのがいいのか、それとも性格が違うわけだから何らかの考慮が必要ではないかと。
 やはり実態を踏まえた対応というものがないと、これは余りにも……。規模は同じ大きさだと、しかし、全然違うわけですよ、営利を目的として不特定多数に対して営業を行っている会社と、そうではなくて組合員の相互の扶助という性格を持ったものと、これは違うんですよね。そういう実態を踏まえた対応をするのかどうか。一律にやるのか、それとも実態に対応したやり方をするのか、そこを聞いているわけです。その答えになっていないですよ、今のは。
○増井政府参考人(金融庁総務企画局長) お答え申し上げます。
 今の、いわゆる組合的な性格のものとそうではないものについてどう区分するのかというか区別すべきではないかということでございますが、もともとこの根拠法のない共済を検討する際にも、そういった組合的なもの、組合の構成員が真に限定され、その自治に任されているというようなものについては適用除外にしようという考え方で適用除外にしたわけでございます。
 そうでなくて、かなり事業規模が大きい、仮に商品が限定されていても事業規模が相当大きい、そういった事業者につきましては、先ほどちょっと申し上げましたようにリスクの総量、その団体が抱えているリスクの総量というのが相当大きいというふうに考えられるということで、そういった観点から保険業としての免許を取っていただきたい、そういう観点で今回の法改正をお願いしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 私は何もルールがなくていいと言っているんじゃないんです。ルールの適用の仕方なんです。それを一般の保険会社と同じような形で一律に適用していいものかどうか、そこは当然検討した上で対応するというのは当たり前じゃないですか。大臣、それはもう当然のことだと思うんですね。いかがですか。実態に応じるのは当然でしょう。
○伊藤金融担当大臣 実態を踏まえてということは非常に重要なことだというふうに思っておりますし、また、政省令を策定するに当たっては、パブリックコメントに付させていただいて、幅広い関係者の皆様方の意見を十分聞きながら策定をしていきたいというふうに思っております。
 ただ一方で、私どもとして留意をしておかなければいけないのは、やはり基準というものはできるだけ明確化していく、そして、潜脱的な行為が起きないような、そういう配慮というものもしっかりやっていく必要がありますので、そういう点を十分勘案しながら今回のような制度設計をさせていただいたところでございますけれども、関係者の皆様方の意見というものを十分聞きながら、政令については制定をさせていただきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。

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