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金融(銀行・保険・証券), その他 (郵政民営化)

2005年06月08日 第162回 通常国会 郵政民営化特別委員会 【306】 - 質問

郵貯銀行赤字 2017年以降の試算なし 佐々木議員 ずさんな見通し批判

 2006年6月8日郵政民営化特別委員会で、佐々木憲昭議員は、6日に引き続いて郵政民営化による将来の経営見通しについて質問しました。
 6日の佐々木議員の質問で、郵貯銀行の赤字が2016年に600億円だという試算が明らかになりました。
 佐々木議員は、2017年以降も赤字状態が続くかどうかの試算を求めたのに対し、竹中郵政民営化担当大臣は「(600億円は)5年間の平均値だ」と答えました。
 佐々木議員は、「そうすると単純に5年間延長すれば郵貯銀行は3000億円の赤字になる。公社のままだと国庫納付金を差し引いても3460億円の黒字だ」と指摘。それぞれの年度の試算値を出すよう求めました。
 竹中担当大臣は、「赤字がどう拡大するかの試算はしていない」とのべ、試算することも拒否しました。
 佐々木議員は「政府の骨格経営試算に郵貯銀行の経営見通しが含まれているのだから、具体的数値を出さないと審議する意味がない」と批判し、理事会に試算を提出するよう求めました。
 二階俊博委員長は「理事会で協議する」と答えました。
 また佐々木議員は、民営化移行後の情報処理システム関係の金額について竹中担当大臣が他党議員の質問に「郵政公社と相談して出したい」と答弁したことに対し、「1400億円とされる費用は骨格経営試算に含まれているのか」とただしました。
 竹中担当大臣は「骨格経営試算に計上しているIT関連費3000億円のなかに含まれる」と答弁。
 佐々木議員は「それなら具体的な数値を提示すべきだ」と要求しました。



 質問翌日の9日の理事会で、佐々木議員が要求した2017年以降の試算について、政府の郵政民営化準備室から、試算を拒否する文章が提出されました。
<郵政民営化準備室が提出したペーパー>
「2017年度以降も引き続き長短スプレッド(利鞘)縮小が続いた場合の郵貯銀行の収益の見通し」について

1、郵政民営化準備室では、民営化後10年間の民営化4会社の収益水準を見積もるために昨年11月に作成した「骨格経営試算」について、ベースケースの他に長短スプレッド(利鞘)縮小等のリスクシナリオを試算。
 同リスクシナリオは、2007年度から2016年度の移行期間に長短スプレッド(利鞘)が1.3%から1.0%に縮小するなどの前提で計算されているが、それによると郵便貯金銀行は、2016年度には約▲600億円の赤字になると計算されている。

2、これに関して佐々木憲昭議員より、2017年度以降も長短スプレッド(利鞘)縮小が同様に継続との前提で、郵便貯金銀行のリスクシナリオを民営化後計15年間(2007年度から2021年度まで)に延長して計算されたい、との要請があった。

3、長短スプレッド(利鞘)縮小が民営化後15年間も継続したとの前提で機械的に計算を5年間延長すれば、郵貯銀行の赤字が継続していくとの計算結果が出ることも想定されるが、郵政民営化準備室としては、主として以下の3つの理由から佐々木議員の要請するような計算を行っておらず、今後もその必要はないものと考えている。
(理由1) 10年〜15年後といった遠い将来に関しては、非常に不確実性が高く、一定の信頼性を確保できる詳細な試算を行うことが難しいと考えられること。
(理由2) 10年〜15年後といった遠い将来において赤字になることが見込まれるような経営環境においては、民営化により経営の自由度が与えられれば、ALMの強化や経営の効率化、新規業務への進出等の様々な経営努力によりこれを克服していくことと考えられる。(何らの経営努力も行わず座して試算に示された赤字体質に陥る民営化会社が存在するとは考え難い。)
 したがって、(公社形態ではなく)民営化した会社の場合には、このような機械的計算の結果がその通り現実のものとなるとは考え難く、あえて試算を行う意味がないと考えられる。
(理由3) 「骨格経営試算」は、民営化4会社の趨勢的な収益水準を見積もるために一定の前提条件の下で機械的に試算したものであり、試算の性格上、ALMの強化や経営の効率化等の経営実態に即した詳細な前提条件を、追加的に設定することは困難である。したがって、長短スプレッド(利鞘)縮小を踏まえた経営努力の成果を反映する等の現実的な試算を追加的に行うことは不可能。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 先日の質疑で、私は、骨格経営試算についてお聞きをしました。先ほどの古賀議員の質疑に関連をして最初にお聞きをしておきたいんですが、情報処理システムに関する費用でありますが、大臣は先ほど、公社と相談して出したいというふうにおっしゃいました。ということは、まだこれは決まっていないという数字であります。先ほどの答弁では、ソフト面で563億円、ハードは、そのほか合わせて1400億というふうにお聞きしましたが、その他関連費用、これは1000億か2000億か、よくわかりません。つまり、決まっていない。
 この数字というのは、骨格経営試算の中に含まれているものなのか、それとも、それとは別の数字なのか、まずそこをはっきりさせていただきたい。
○竹中郵政民営化担当大臣 先ほど御答弁いたしましたように、この数字について、公社と御相談しながらお出しできるものを詳細にお出しするということ、そして、骨格経営試算との関連についても整理をして御説明申し上げますと先ほど御答弁させていただきましたけれども、そのようにさせていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 いや、骨格経営試算の関連を整理するとおっしゃいましたが、入っているのか入っていないのかということを聞いているんです。最初から、情報処理システムの極めて膨大な費用について入れているのか入れていないのか、そのぐらいははっきりしないと骨格経営試算にもならないんじゃありませんか。
○竹中郵政民営化担当大臣 これは、以前松野委員から御議論をいただいた問題と類似しているのでございますが、あのときはたしか、人件費の中の内数として社会保障関連が、福利厚生がどうなっているかということで、それは別建てでは計算しておりませんという御答弁を申し上げました。
 その問いについては、IT関連費用として物件費の中に年間約3000億円のものを計上しております。それと同じような形で、3000億円という形で、概算としてこのIT関連費用を計上させていただいております。
○佐々木(憲)委員 ちょっと今の説明がよくわからないんですが、骨格経営試算の中に入っているということですか。
○竹中郵政民営化担当大臣 松野委員に対する御答弁で、最初混乱がありまして、それで後ほど訂正をさせていただいた、正確に言わせていただいたわけでございますが、それはそれでおかせていただくといたしまして、今の問題に関しても同様で、個別の積み上げとして計算しているわけではございません。しかし、その3000億というオーダーのIT関連費用を骨格経営試算の中で計上させていただいておりまして、その中で……(発言する者あり)いや、ちょっと、よく聞いてくださいよ。(発言する者あり)いや、違います。1400億円の見積もりがあるわけでございますが、年々これは、毎年3000億オーダーの、ちょっと年々の変動は今記憶しておりませんが、IT関連費用を計上させていただいておりますので、その内数として読めるというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 骨格経営試算の中に含まれているという話でありました。
 それならば、その具体的な数値を後で出すと言っているわけですから、正確な数字を出していただきたい。(発言する者あり)
○二階委員長 ちょっと、着席をお願いします。
 佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 入っているということでありましたので、では、入っているなら、それを正確に後で出していただきたいということであります。
 次に、私は、長短スプレッド1%の場合の試算で、郵便貯金銀行の2016年の利益ということを前回お聞きをして、600億円の赤字になるというふうにお答えになりました。
 配付資料の1を、最初のページを見ていただきたいんですが、この配付資料で、これは準備室の資料ですけれども、2017年以降の試算の前提が右側に示されております。この場合、長短スプレッドが1%、そして貯金・保険残高が横ばい、こういう前提だということです。
 そうなりますと、これは当然、600億円の赤字が5年間続く、これは2017年から5年間という試算をやるというふうに聞いておりますが、5年間赤字が続く、こういうことですね。
○竹中郵政民営化担当大臣 この期間に関して、5年間ございますが、そこに示されておりますのは5年間の平均値でございます。
○佐々木(憲)委員 平均値としますと、5年合計しますと3000億円の赤字である。これに対して、公社が続いた場合は、国庫納付金を差し引いても3460億円の黒字になる。要するに、郵貯銀行では郵便局はなくなっていくが、公社ではなくならないということが起こり得るということが明らかになったわけであります。
 それでは、5年間、それぞれの年度の数値、これを出していただけますか。
○竹中郵政民営化担当大臣 委員は今、この資料をお配りになっているわけですよね。これで2017年の試算ということでございますが……(佐々木(憲)委員「5年間」と呼ぶ)ちょっと待ってください。2017年以降の試算を出しておりますのは、骨格経営試算、昨年、一番最初に出してもらった骨格経営試算と、その後の新規業務10割、8割達成部分について、この3つのケースについて、今お配りになった前提で出しております。
 それで、その後委員が言われた利ざやの縮小のケース、悪化のケースについての後年度の試算というのは行っておりません。これは行っていないんです。したがって、今言われたように、その後赤字がどう拡大するのかということについて試算がございませんので、ちょっとお示しできる数字はございません。
○佐々木(憲)委員 早速、それを試算して提出していただけますか。当然じゃないか。
○竹中郵政民営化担当大臣 ちょっと、試算に要する体制等々もございますけれども、そもそも、利ざやを縮小していって、それで民間のまま、ゼロになって、その後当然これは悪くなっていくわけですから、そういうことの試算値を出すことの意味というのが一体どのようにあるのかなというふうに思います。
 我々は、現実にこうなるであろうということについて、ないしはこの可能性がある、可能性があることについて後年度の試算をしているわけでございますので、ちょっとそのような試算を行うということは我々としては考えておりません。
○佐々木(憲)委員 2017年以降の試算、前提はここに書いてあるけれども、一体どういう数字になっていくのか、5年間。2016年までは出すけれども、それ以外出さないというのは、これは認められませんよ。延長して出せばいいじゃないですか。約束してください。
○竹中郵政民営化担当大臣 ですから、これは可能性のあるケースについて、私たちはその先について試算をしているわけでございますので、その後、非常に極端な仮定で、利ざやがどんどんどんどん縮小、さらに縮小していくというようなケースについての試算を行うことは考えておりません。
○佐々木(憲)委員 いや、利ざやの縮小じゃないでしょう。長短スプレッド1%、過去平均1%で試算しているわけでしょう。1%の試算を出せばいいんじゃないですか。これは縮小するんですか、今後5年間は。
○竹中郵政民営化担当大臣 いや、私が申し上げておりますのは、当然、利ざやが縮小してくれば、それなりの対応策というのを企業としてはとるわけでありますので、そういうことを想定しないで、単純にトレンドを延長してどうなるかというような試算を行うことは考えていないということでございます。
 あくまでも、私たちが出しておりますのは、新規の可能性がある、それをさらに後年度についてどうなるかということを確認するためにその長期の試算を行っているわけでございますので、試算の目的とか前提の妥当性とか、そのような観点から我々は幾つかのケースについて試算を行っているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 これは全く私は納得できないです。
 試算をする前提というのは多少複雑になるでしょう。しかし、当然それを出すというのが議論の前提じゃありませんか。つまり、途中10年間の経過措置を通じて、最終的には10年後、つまり2017年以降完全民営化が行われる、その場合こうなりますよという試算がなければ、民営化法案なんというのは審議できないんじゃありませんか。
 委員長、理事会でこの数字を出すように協議をしていただきたい。
○二階委員長 追って理事会で協議をいたします。
 佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 私はきょうほかの質問をする予定でありましたが、ちょっと時間がたってしまいましたので、少しだけになってしまいますが、あとは続きでやります。
 先ほども出ていましたけれども、株式保有と独禁法の関係です。この点は、政府と自民党の間でも大きな議論になりました。どうも結論がわからない。
 提案されているスキームは、持ち株会社である郵政会社が、当初100%持っていた株式を10年の間に順次処分して、完全に処分し終える。その後、民間企業として郵貯・保険会社の株式を買い戻すことができる。その場合、どの程度まで株式保有が許されるかという問題であります。
 持ち株会社が郵便局会社という事業会社を傘下におさめている場合、保有できる郵貯株式は何%まで可能か。
 配付資料の2を見ていただきたいんですが、これは、今まで竹中さんあるいは準備室が説明をしてきた資料です。ここには「株式保有に関する一般的規制について」ということで、銀行及び保険会社の株式については、日本郵政、郵便事業、郵便局の3社合計で25%超の議決権を保有する場合、独禁法に抵触する。要するに、25%以上の株式保有は独禁法上できないと説明している。
 公取の見解を聞きたい。竹中さんは、これは担当ではないとおっしゃいました。では、担当の公取、この説明をしていただきたいと思います。
○伊東(章)政府参考人(公正取引委員会事務総局経済取引局長) お答えいたします。
 独占禁止法は、株式の取得、保有について幾つかの規制をしているわけでございますけれども、御指摘の点は九条の関係ということでございますので、その点に絞ってお答えをさせていただきます。
 独占禁止法の九条は、特定の会社を中心とした企業集団、会社グループの事業支配力が過度に集中することとなることを禁止しているところでございまして、九条に該当するか否かの判断に当たっては、まず、会社グループにどういう会社が含まれているのかということを見ることになります。この点につきましては、50%超の議決権を保有しているいわゆる子会社のほか、議決権保有比率が25%超で、株主順位が第1位であるという場合も実質子会社ということで見ることとしているわけでございます。こうして会社グループに含まれる会社が特定された後、これらの会社グループが事業支配力の過度集中に該当するか否かということを判断することになるわけでございます。
 そういう意味で、9条の観点から何%株を持てるかということになりますと、これは、はっきり申し上げられますことは、25%以下、そういう意味では、実質子会社でもない、25%以下であれば問題がない、こういうことにまずなるわけでございます。
 次に、大規模金融会社と大規模な事業会社が同一のグループに含まれる場合を1つの類型として、過度の経済力集中の場合としてガイドラインで示しております。
 これは、独占禁止法そのものが、資料にもあったと思いますけれども、事業支配力の過度集中を3つの類型で定義しておりまして、ガイドラインはそれを受けたものでございますけれども、法第九条でこのような類型が禁止されましたのは、戦前の財閥におきまして大規模金融会社がその核となっていたこと、あるいは、戦後のいわゆる6大企業集団の中にも都市銀行がグループの中心となっているものがある、それから、金融会社の融資を背景とした影響力等々を考慮して立法されたものでございまして、ガイドラインはそのことを前提に、大規模金融会社について、都市銀行程度の規模を有するものとして15兆円超と記載しているところでございます。
 郵便貯金会社等につきましては、このような立法の趣旨を踏まえて、実態も見て判断すべきというふうに考えておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、続きはこの次にやります。

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