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金融(銀行・保険・証券), その他 (郵政民営化)

2005年06月09日 第162回 通常国会 郵政民営化特別委員会 【307】 - 質問

郵政民営化後の株式保有 政府の説明が一変 国民を欺いた責任重大 佐々木議員が追及

 2005年6月9日郵政民営化特別委員会で、佐々木憲昭議員は、前日に引き続いて、民営化後の株式持合いの問題について質問しました。
 佐々木議員がとりあげた問題は、持株会社(郵政会社)が、民営化された郵貯銀行の株式を買い戻す場合、どの程度まで保有が許されるか、という問題です。
 郵政民営化法案は2007年の民営化開始から10年以内に、持株会社(郵便会社)が、郵貯銀行と郵便保険会社の株式を完全処分するよう義務付ける一方で、持株会社がこれらの会社の株式を買い戻すことができるとしています。
 郵政民営化準備室や竹中大臣が、これまで自民党や国会に説明してきたのは、「銀行及び保険会社の株式については、日本郵政・郵便事業・郵便局の3会社合計で25%超の議決権を保有する場合、独占禁止法第9条(ガイドライン)に抵触する」というものでした。
 要するに、郵貯銀行の株式を25%以上保有することは「独禁法上できない」という説明でした。
 しかし、佐々木議員が、この日の質問で公正取引委員会に確かめると、「資金取引で他の事業者に著しい影響を与えるような銀行」だけが規制の対象になるということが明らかになりました。
 つまり、民営化された郵貯銀行が、グループ内の事業会社に大量の貸し出しをおこなって、他の事業会社に著しい影響を与えるような場合は、独禁法上の規制対象になるが、そうでなければ対象にはならないということです。
 郵貯銀行が、たとえ15兆円を超える資産を持っていても、貸出金額が少なく、影響が大きくなければ、そもそも独禁法上の規制対象にはならないということです。現在、公社の郵貯業務は、貸出は一切行っていないので、10年後の郵貯銀行がそのような銀行になっているとは想定できません。
 独禁法の対象にならないとすれば、問題になるのは銀行法とのかかわりです。
 佐々木議員は、伊藤金融担当大臣に「持ち株会社が、事業会社と銀行をその傘下におさめている場合、銀行法の上では上限規制は何%か」と質問。
 伊藤大臣は、いろいろ条件があるが、「50%までは保有可能」と答えました。
 これまで、竹中大臣や民営化準備室が、自民党や国会に説明してきた「25%超」の株を保有すると「独占禁止法(ガイドライン)に抵触する」というのは、公取の見解とまったくくい違うことが明らかになりました。
 佐々木議員が、郵政民営化準備室が説明してきたことが間違っていたことを指摘すると、竹中郵政民営化担当大臣は「指摘の通り、説明に舌足らずな点があり『抵触する可能性がある』が正確だ」と認めました。
 この議論は、郵政事業が民営化された後、郵貯銀行を実質子会社にできるかできないか、つまりグループ経営が可能かどうかにかかわる問題で、政府や自民党にとっては民営化のあり方の根本にかかわる問題です。
 民営化後の株式保有のあり方については、政府と自民党の間でも大きな議論になり、株の買戻しができるようにしたのも、「民営化後も一体的経営が必要だ」とする自民党反対派に「配慮」して政府が取り入れたものです。
 佐々木議員は、「日本共産党は、民営化そのものに反対であり、いまの公社形態のままで国民のための改革を進めるという立場だが、問題なのは、内閣の説明がクルクルかわったのでは、まともな質疑ができない」と主張。
 間違った文章を配布し誤った説明をして国民と国会を欺いてきた責任は重大であり、佐々木議員はウソの説明を行ってきた経緯とその責任を明確にするよう求めました。これに、二階委員長は「理事会で協議します」とのべました。
 この間違った文章を配布した経緯について、6月13日の理事会で、郵政民営化準備室は「4月28日に公正取引委員会との会合において、指摘を受けたため『抵触する可能性』と表現をより正確なものとした」と説明しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 昨日、株式保有と独禁法の関係について質問をいたしました。公取の説明のところで時間切れになりましたので、引き続きただしたいと思います。
 問題は、持ち株会社である郵政会社が民営化された郵貯銀行の株式を買い戻す場合、どの程度まで保有が許されるか、これがポイントであります。
 きょうも同じ資料を配付しておりますけれども、郵政民営化準備室がこれまで自民党や国会に説明をしてきたのは、この資料二というふうに番号を振っておりますが、書かれておるものであります。「銀行及び保険会社の株式については、日本郵政・郵便事業・郵便局の3会社合計で25%超の議決権を保有する場合、独占禁止法第9条(ガイドライン)に抵触する。」ということでありました。要するに、3社合計で25%以上の株式保有は独禁法上できないという説明であります。しかし、昨日、公正取引委員会の説明では、実態も見て判断するということでありました。
 そこで、改めて公正取引委員会に確かめたい。
 公取の提出された資料を配付資料3としてお配りしておりますけれども、資金取引で他の事業者に著しい影響を与えるような銀行だけが規制の対象になるということなのでしょうか。そうなのかそうでないのかということだけ、端的にお答えいただきたい。
○伊東(章)政府参考人(公正取引委員会事務総局経済取引局長) お答えいたします。
 独占禁止法第9条は、事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立等を禁止しておりまして、どういう場合が事業支配力の過度の集中になるかということも法律で定義しておるところでございます。
 その中に3点ございまして、今御指摘のものは、2点目の、これらの会社の資金に係る取引に起因する他の事業者に対する影響が著しく大きいことにより、国民経済に大きな影響を及ぼし、公正かつ自由な競争の促進の妨げとなること、これを事業支配力が過度に集中することとなる場合の一つの類型として法律で定義しておるものでございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、規制の対象になるかどうかというのは、そのときの郵貯銀行の貸し出しの具体的実態に基づいて判断されるということであります。つまり、民営化された郵貯銀行が一気に10兆円以上の貸し出しをどんと行って他の事業者に著しい影響を与えるような場合、そういう場合は独禁法の規制の対象になる、そうでなければ対象にならない。
 公正取引委員会にお聞きしますけれども、郵貯銀行がたとえ15兆円を超える資産を持っていても、貸出金額が少なく、影響が大きくなければ、そもそも独禁法上の規制対象にはならないということでよろしいですね。
○伊東(章)政府参考人(公正取引委員会事務総局経済取引局長) お答えいたします。
 法律の禁止しております事業支配力が過度に集中することとなる場合というのは先ほど申し上げたとおりでございまして、それに該当するかどうかで判断するということになるわけでございます。
 郵貯の場合につきましても、現在の第2類型につきましては、これは昨日も御説明させていただきましたが、都市銀行を念頭に置きまして、都市銀行が企業グループの中心になっている、あるいは融資による影響力が大きいというようなことを踏まえて、都市銀行を対象に立案されたものでございますので、それと同じような状況にあるかどうかということが判断の一つのポイントになろうかと思っております。
○佐々木(憲)委員 要するに、ここのポイントは、独禁法の規制対象になるかどうかというのは、融資の規模が都市銀行並みに大きな規模である場合なんですよ。つまり、郵貯銀行というのは、今は貸し出しゼロですからね。これがどんどんどんどん貸し出しをふやしていく。しかし、そう簡単にふえるという展望はないと私は思うんです。そうなると、独禁法の対象にならない。ならないとすると、どの法律の規制を受けるのか。そこで問題になるのは銀行法であります。
 そこで、所管の伊藤大臣にお聞きしますが、持ち株会社が事業会社と銀行をその傘下におさめている場合、銀行法上では上限規制は何%なんですか。
○伊藤金融担当大臣 お答えをいたします。
 一般事業会社を子会社とする持ち株会社の場合には、議決権の50%を超えて銀行の株式を保有することはできないとされております。
○佐々木(憲)委員 50%ということであります。いろいろ条件はありますけれども、50%までは保有可能だと。
 ということは、竹中大臣、これまで自民党に説明し、国会に説明してきたのは、25%を超える株を保有すると独禁法に抵触するという説明をされてきたんじゃありませんか。公取の見解とは全然違う説明をしてきた。公取に有権的解釈権があるわけですが、つまり、これまで国会に間違った説明をしてきたということになるんじゃありませんか。
○竹中郵政民営化担当大臣 昨日もこれがありましたときに、私は、独禁法の九条、ガイドラインに抵触する可能性があるというふうに御説明をさせていただいております。
 どのような御説明、タイミングのお話か、いろいろなレベルでの御説明があったかと思いますが、もし抵触するというふうに申し上げておれば、ないしはそういう資料があるとすれば、御指摘のとおり、それは若干舌足らずであると思います。
 私どもは、あくまで、正確には、抵触する可能性があるというふうに理解をしております。
○佐々木(憲)委員 今まで、この配付した資料を見てください、こういうふうに書いているんですよ。独禁法、3社合計で25%超の議決権を保有する場合、独禁法第9条(ガイドライン)に抵触すると。少なくとも私は、このファクスの日付を見ていただきたいんですが、4月13日にはこの資料で説明していたんです。ずっとこれでやってきたんです。だから、みんな25%だと思っているんだよ。ところが、実際は50%まで可能だ、伊藤大臣、そう答弁された、銀行法では。
 つまり、独禁法上の対象にならなければ銀行法の対象。郵貯銀行が貸し出しが、グループ内の事業会社にその貸出量が著しく大きくなって、ほかの事業会社に影響を与える、そういう場合には対象になる。しかし、郵貯銀行はそうなっていない。それは簡単にはいかないですよ、何十兆も。急には貸し出しはふえない。そうなると独禁法の対象にはならない。したがって、50%まで株が保有できる。
 つまり、今まで説明してきたこと、この資料の2、これはうそだったということになるんじゃありませんか。この点について責任をどうとるんですか。
○竹中郵政民営化担当大臣 この紙がどのようなタイミングで議員に御提出させていただいた資料か、ちょっと今はわからないのでありますが、これは御指摘のとおり、記述に関しては若干舌足らずであると思います。
 私どもも、あくまで、正確には、抵触する可能性があるというふうに理解をしております。昨日もそのように御答弁をさせていただいております。
○佐々木(憲)委員 可能性があるということと抵触するということは全然違う、全然違うんですよ。
 では、いつまで違反になるという説明、この紙を配ってきたんですか。可能性があるというのは、いつから説明を始めたんですか。はっきりさせてください。
○竹中郵政民営化担当大臣 ちょっとこの4月の紙のことは今直ちによくわからないのでございますが、これは、私としましては、昨日の御答弁で正確に、独禁法第九条に抵触する可能性があるというふうに御答弁をさせていただいたと思っております。
○佐々木(憲)委員 抵触するという説明をずっと続けてきたんですよ。いつから可能性があると変わったんですか。
 これは、郵政事業が民営化された後に、郵貯銀行を実質子会社にできるかどうかにかかわる問題なんです。つまり、グループ経営が可能なのか、そうではないのか、その分岐点なんです。180度違う結論になるんです。あなた方にとっては、民営化のあり方の根本にかかわる問題じゃありませんか。これまでの説明では、公取の見解とは全く違う説明をしてきた。
 私自身は、民営化そのものにはもちろん反対であります。今の公社の形態で国民のための改革を進めるというのが我々の立場ですが、私が問題にしているのは、内閣の説明、大臣の説明がくるくる変わったのでは、まともな審議ができないということなんですよ。
 私は、ここにもう1枚、最近準備室から受け取ったペーパーを持っております。そこには何と書いてあるかというと、独禁法第九条に抵触する可能性があると書いてある。全く同じ「株式保有に関する一般的規制について」という表題の1枚紙です。ほかはほとんど同じ、ここだけ変わっているんです。何で4月に出したのと6月に出した内容が違うんですか。
 自民党の中でこういう説明をして自民党もだまし、国会もだまして、全体をだまして、こっそりとこの中身だけ可能性があるという形に変える。一体その責任はどうとるんですか。謝罪して、責任をとってください。
○伊東(章)政府参考人(公正取引委員会事務総局経済取引局長) ちょっと事実関係のみにつきまして御説明をさせていただきます。
 先ほど申し上げました、法九条の規定の解釈を明らかにするために、私ども、ガイドラインを出しております。その中で、第2類型に関しましては、大規模金融会社、単体総資産の額15兆円超である場合と、大規模な会社、単体総資産の額3000億円超の会社、これが同一の会社グループに入る場合は第2類型に該当するというガイドラインを出しておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 それは知っているんです。そんなことは前提なんです。規制の対象になるかどうかは、その数字で決まるのではない。さっき説明されたでしょう。貸出金額が、同じグループの中の事業会社に対する貸し出しが巨額な規模に達し、そしてほかの事業会社に大きな影響を与える、著しく大きな影響を与えるような状況になって初めて、独禁法、25%の規制対象になる。明確なんですよ、これは。
 ところが、竹中大臣、準備室のこの資料は全然違う。この事実経過を明確にしていただきたい。一体、いつまでそういう説明をして、いつから可能性という説明に変わったのか、そこのところを明確にしていただきたい。
○竹中郵政民営化担当大臣 先ほど申し上げましたように、ちょっと今、この4月の紙がどのようなタイミングでどのように議員にお渡ししたものか、今の時点ではよくわかりませんが、御指摘のとおり、ここの記述に関しては、若干舌足らずであると私も思います。
 私どもも、あくまで、正確には、抵触する可能性があるというふうに理解をしております。昨日もそのように答弁をさせていただいております。
○佐々木(憲)委員 これは極めて重大な、根本にかかわる問題なんです。したがって、いつまでこのペーパーで説明をしてきたのか明らかにしていただきますと同時に、いつから可能性という言い方に変わったのか、そしてその責任はどこにあるのか、明確にしていただきたい。これは理事会で協議していただきたい。
○二階委員長 後刻理事会で協議いたします。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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