金融(銀行・保険・証券), その他 (郵政民営化)
2005年06月13日 第162回 通常国会 郵政民営化特別委員会 【308】 - 質問
郵貯銀行の株保有 佐々木議員追及 竹中担当大臣の答弁が迷走
2005年6月13日郵政民営化特別委員会で、佐々木憲昭議員は前回の質問に引き続き、民営化された郵政グループが、郵貯銀行の株式をどこまで持てるのかについて質問しました。
竹中郵政民営化担当大臣は6月3日の答弁で、「銀行と保険というビジネスというのはまず、きわめて重要な信用を背景にしたビジネスでありますから、まず何といっても国の関与をしっかり断ち切る」。株式は「完全処分する」と答えていました。
ところが、自民党と内閣の合意では「連続的保有を妨げない」と合意しており、独禁法上も、25%を超える株式を2016年度末(平成17年3月)まで持ち続けることができます。
6月9日の佐々木議員への答弁では、持株会社(郵政会社)をはじめグループ企業が、民営化された郵貯銀行の株式を50%まで持てるということが明らかになりました。そうなれば、政府出資が残る特殊会社の実質子会社を「連続的に」続けることができることになります。
竹中大臣は「国の関与を断ち切る」と言いながら、「連続的保有を続ける」ことが可能になるのですから、根本的に矛盾します。
佐々木議員は、「私たちは、もともと“縮小民営化”であろうが“肥大化民営化”であろうが民営化そのものに反対だ」とのべ、日米の金融資本の食い物にする郵政民営化を批判しつつ、「いい加減な答弁で国民と国会をあざむいてきた政府の態度は許されない」と追及。この問題について政府の統一見解を示すよう求めました。
これにたいして二階委員長は、「理事会で協議する」と答えました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
前回の質問で、私は、民営化された郵貯銀行の株式を郵政グループがどこまで持てるかという点についてただしました。25%規制がかからず、50%まで株を持てるということでありました。これは極めて重要な点であります。
竹中大臣は6月3日の答弁でこう言っているわけです。銀行と保険というビジネスというのはまず極めて重要な信用を背景にしたビジネスでありますから、何といっても国の関与をしっかり断ち切る、こう述べていたわけです。ところが、自民党と内閣の合意を見ますと、連続的保有を妨げないと合意をしております。
要するに、独禁法上も25%を超える株式を2017年3月まで持ち続けることができる。そこで完全処分するというけれども、連続的保有ができる。ということは、政府出資が残る持ち株会社の、特殊会社である持ち株会社の実質子会社を続けることができるということになりますね。
○竹中郵政民営化担当大臣 確かに、6月3日でございましたか、その後も、金融の業務について、これは信用が競争上決定的に重要であるという趣旨のことは何回も答弁させていただいていると思います。
郵便貯金銀行、郵便保険会社が、民間の銀行、民間保険会社と同一の条件で自由な競争を行って、それで質の高い多様なサービス提供を可能とする、これがまさに民営化の趣旨を徹底するという意味で、実は、両社は特殊会社としないで一般商法会社として設立した。だから、全額株式を処分して、国の信用、関与を完全に断ち切る必要があるというような法律の構成にしております。
その上で、佐々木委員のお尋ねでございますけれども、これは、民営化されました後は、まさに民間と同じ枠組みの中で経営判断をしていただくということでございます。つまり、移行終了後に持ち株会社、郵便局会社がこれらの金融機関の株式を取得するかどうかについては、これは他の民間金融機関の株式を取得する場合と同様、独禁法、銀行法、保険業法といった一般的な法規のもとで、各特殊会社の規制の範囲内で、これは特殊会社としての制約というのはそれはそれであるわけでございますけれども、経営判断によって可能となるということにしております。
そのような趣旨で、政府・自民の合意のあの文書にも至っているところでございます。
○佐々木(憲)委員 今の答弁は全く矛盾した答弁をやっているんですよ。独禁法上の規制を受けると言いましたが、前回私が質問したのは、25%以上保有可能である、規制は銀行法の50%というのが規制の対象だと。したがって、25%以上持てるんですから、実質子会社にできるわけです。何でそれが民間銀行と同様の競争条件なんですか。国の株式保有が三分の一あるそういう持ち株会社、それを背景とした実質子会社、それが民間の銀行と同一の競争条件だということにはならないんじゃありませんか。矛盾していると思いませんか。
○竹中郵政民営化担当大臣 民間と同様ということは、基本的には、これは特殊会社ではありますけれども、民営化されました日本郵政株式会社、そのもとにある郵便局会社、郵便事業会社というのがございます。これは民営化された会社でございます。特殊会社としての制約はございます。その会社が、仮に取引上の観点から金融機関の株を持つ、これは郵貯銀行のみならず、東京三菱銀行や三井住友銀行等、そういうことを他の民間機関とまさに同じようにやるということはあり得ることでございます。
繰り返しますが、特殊会社としての制約と、その他独禁法や銀行法の一般法規、これが適用をされるわけでございます。その意味では、郵貯銀行というのは他の民間金融機関と同じように、どこと提携するか、出資を受けるかというような選択があるわけでございますので、まさにそれは民間とのイコールフッティングがそこで実現をされているという趣旨になるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 全然おかしいですよ、それは。国のバックアップのある、つまり国の株式保有がある特殊会社である持ち株会社、その実質子会社を続けることができるというのが何で民間と同一の競争条件になるんですか。全然違うんじゃないですか。
今まで言っていたのは、国の遮断を行う、リスク遮断をするんだというのが説明だったでしょう。今までの答弁は、独禁法上可能である、子会社にすることは、実質子会社は。しかも、連続保有が可能だと。全然違うんじゃないですか。
○竹中郵政民営化担当大臣 これは独禁法の適用は受けるわけでございます。独禁法の適用を受けて、それによりまして、これは銀行法も、あれも受けますけれども、銀行及び保険会社の株式については、三特殊会社合計で25%超の議決権を保有する場合、独禁法九条に抵触する可能性があるということでございます。
これについては、その適用を受けるわけでございますけれども、それは、繰り返し言いますけれども、特殊会社として、民営化された特殊会社がいろいろなところに出資する場合があり得ます。これは郵貯銀行に出資する場合もあるし、またそれらの他の銀行に出資する場合もあり得る。そういう意味で、イコールフッティングを確保しているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 独禁法上の適用を受けると言いますが、では、貸し出しが大きな影響を与えるような規模ではない、そういう郵貯銀行というのは独禁法の適用を受けないというのが公正取引委員会の答弁ですよ。受けるという前提で言っていますが、それは間違っております。受ける場合は、民間銀行と同じ規模の融資規模がなければ受けるということにはならないんですから。だから、全然矛盾しているんですよ。
どっちなんですか。つまり、連続的保有ができる、連続的保有ができない、どっちなんですか。はっきりさせてください。
○竹中郵政民営化担当大臣 ちょっと、先ほどから佐々木委員の御指摘、私が勘違いしているのかもしれませんが、これは先ほど言いましたように、完全処分を行うことが義務づけられているわけでございます。したがって、移行期間の終了の時点では完全にこれはゼロになるということで……(佐々木(憲)委員「保有がゼロになるんですね」と呼ぶ)保有というか、完全処分ですから。処分と売却は違います。完全処分ですから、そういう意味での関与は完全に断ち切られるということにその時点ではなります。
その後につきましては、一般の法規の適用のもとで、それで特殊会社としての制約を受けますけれども、それは一般の金融機関と同様に、そのような保有がなされるということはあり得る。したがって、結果的に、これは連続的保有が可能であるということを確認しているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 完全処分ができるから断ち切れると言いましたね。では、連続的保有ができるということは、断ち切れないということじゃないですか。連続的保有は、断ち切れないということなんですよ。
完全処分をするから断ち切れる、これはどういうことなんですか。はっきりしてください。全然説明になっていない。
○竹中郵政民営化担当大臣 繰り返しの答弁になりますが、これは、信用が競争上決定的に重要であります。したがって、銀行と保険会社には、他の民間と同様な条件になっていただくという意味で、完全処分の義務を課しまして、関与を完全に断ち切るということが義務づけられております。完全処分でございます。
その上で、10年たって完全処分がなされます。その後について、これは経営判断で、取引関係の安定のために出資をするというようなことはあり得るわけでございます。もちろんこれは経営判断でありますけれども、郵政のグループが新たに別の銀行に出資するということもあり得るし、郵貯の銀行に出資するということもあり得るわけでございますが、その場合に、連続的な保有が、結果的にそういうことが実現することはあり得るということを、これはきちっと、非常に綿密に法律上設計しているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 全然支離滅裂で、そんな説明じゃだれも納得できない。完全処分するから断ち切れると言ったんですよ。ところが、連続保有もできると言うんですよ、連続的保有ができると。これは断ち切れないということじゃないですか。
つまり、政府が言っているのは、国の関与がしっかり残った特殊会社をトップとする巨大郵政コングロマリットができる、国の関与を断ち切ると述べたことはうそだったということになるんですよ。しかも、郵貯部門は赤字企業、何もこんな民営化を行わないで公社のまま改革を進めればいいじゃないですか。
郵政民営化は、どんな形であれ我々は反対であります。こういういいかげんな答弁で、また国会をだまし、自民党をだまし、民主党も共産党もだまそうとしているが、認められない。この問題について、明確な統一した合理的な説明をきちっとやってください。
○竹中郵政民営化担当大臣 この点について、私はかねてより明確に、合理的に答弁をしているつもりでございます。
民間との関係はしっかりと断ち切らなければいけない。しかし、一たん断ち切られて同じフィールドに、これは民間企業として同じフィールドに立つわけでございますから、同じフィールドに立った後、民間企業として一般の法規が適用されるというのは当然のことであろうかと思います。「グループ経営を可能とするため、移行期が終了した後は、特殊会社としての性格を考慮しつつ経営判断により他の民間金融機関と同様な株式持合いを可能とする。その結果、株式の連続的保有が生じることを妨げない。」まさに答弁しているとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 特殊会社とかなんとか言いますけれども、特殊会社の規制は一応あるでしょう。しかし、それを認めた上で独禁法とか銀行法とかとあなた方は言っているんだから。
つまり、独禁法上は、これは規制の対象にならないんです。つまり、実質子会社のまま連続して経営ができる。しかも、それも、遮断ができるという言い方で今まで言ってきた。全く国会をごまかしてきたということなんですよ。
これは統一した見解を出してもらわないと、このまま進まないですよ。理事会で検討してください。
○竹中郵政民営化担当大臣 これは、郵政民営化法で、法律で完全処分を義務づけているところでございますので。郵政民営化法案の中で完全処分をこれは義務づけております。そこを御理解賜りたく存じます。
○佐々木(憲)委員 処分とか売却とか、よくわからぬですよ、この区別が。だから、この点の統一した見解を。処分したら、普通ゼロなんですよ。ところが、連続的所有が可能だ、連続的な保有が可能だとなっているわけだから、この二つの間の矛盾はどうも解決できない、これは幾らやったって。明確にしてもらわないと困る。委員長。
○二階委員長 申し合わせの時間が参っておりますので、御協力をお願いしたいと思いますが、ただいまの佐々木憲昭君の御発言につきましては、後に理事会で協議をいたします。
○佐々木(憲)委員 終わります。