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金権・腐敗政治 (政治資金収支報告書の虚偽記載, 公益法人の献金, 日歯連問題, 政治資金規正法の改定)

2005年07月15日 第162回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【317】 - 質問

迂回献金問題 佐々木憲昭議員の追及に自民党議員答弁できず

 2005年7月15日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、佐々木憲昭議員は、政治資金規正法改正案の与党提出者に質問しました。

 いまの法律でも、企業や団体というのは政治家個人に献金はできず、政党に限られ、その上、量的規制があります。
 それを免れる目的で、政治団体等を経由して政治家に献金すれば、政治資金規正法に抵触する違法行為になります。
 佐々木議員は、2月7日の衆院予算委員会理事会に提出された自民党の調査報告書「いわゆる日本歯科医師連盟事案に関する党の調査報告について(平成16年11月9日自由民主党)」をとりあげました。
 これは、佐々木議員の質問に対して小泉首相が「我が党の武部幹事長に対しまして、日歯連事件に関して指摘されていることについて、自民党として調査、確認するよう指示」すると約束して提出されたものです。(2004年10月19日 予算委員会での答弁)。
 佐々木議員は、自民党の提案者に迂回献金があったかどうかについて質問。
 どのような調査をしたのかの質問に対して、自民党の早川忠孝議員は、「調査はしたが、具体的なことは言えない」と答弁。
 佐々木議員は、具体的な事例を示して質問しました。
 たとえば、国政協の発行した日歯連の領収書に議員名が書かれてた問題は、佐々木議員が2004年10月19日予算委員会でしめしたものです。
 その時指摘した一つは、石原伸晃前国土交通大臣です。
 石原氏の場合、資金の流れというものが非常にはっきりとしていて、国土交通委員会理事会で自民党理事が報告した内容も同じです。
 例えば、2000年の7月11日に日歯連から国民政治協会へ1000万円、これが迂回をして、7月31日に自民党から東京都第八選挙区支部へ1000万円。同様に、日歯連から2001年6月21日1000万円、6月29日東京都第八選挙区支部へ1000万円。日歯連から2001年11月14日1000万円、11月29日東京都第八選挙区支部へ1000万円。日歯連から2002年5月14日1000万円、5月31日東京都第八選挙区支部へ1000万円。
 しかも、一番最初の2000年7月11日の領収書には、欄外に、石原伸晃と読める文字が書いてあります。
 さらに、2001年6月29日、国民政治協会が出した500万円の領収書があります。欄外に古賀と書いてあります。
 自民党の早川忠孝議員は、「関係者からの可能な限りの事情聴取をして、そのような事実がないと確認をした」との答弁を繰り返しました。
 具体的な質問に対し、まともな答弁が出来ないということは、きちんとした調査をしていないということであり、自民党の「報告書」がデタラメだったということが明らかになりました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 私は、まず、先ほど来議論のある迂回献金について御質問します。
 企業、団体というのは政治家個人には献金はできません。政党に限られております。その上、量的規制があります。それで、それを免れる目的で、政治団体等を経由して政治家に献金をしますと政治資金規正法に抵触する違法行為になると思いますけれども、与党提案者のこの点での基本認識、まずお伺いしたいと思います。
○早川忠孝議員 具体的な事案についてのお答えはなかなかできないところでありますけれども、少なくとも、今回の事案に関連して自民党の内で調査をさせていただいたところ、迂回献金の事実はないという調査結果でありました。
 そこで、今、ちょっと委員の質問を具体的に聞き漏らしましたので、お答えするところがちょっと間違っていれば、また再度御答弁を申し上げます。
○佐々木(憲)委員 いや、私は、要するに、政治家個人に企業や団体は献金はできないわけです。量的制限ももちろんありますから、したがって、一定の規制がある。それを免れる目的で、政治団体を経由して政治家に献金をするとなれば、これは政治資金規正法違反に当たるのではないか、そういう認識はあるのかと、こういうふうに聞いたわけです。先取りして言いますと、これは予算委員会で総務大臣もお答えになっていますけれども、政治資金規正法違反になりますというのが回答でございます。
 それを前提としてお聞きしたいんですけれども、私はここに、先ほどからいろいろ議論になっております、昨年11月9日付で調査報告書というものが自民党の側から出されました。「日本歯科医師連盟事案に関する党の調査報告について」、これは、私も昨年10月19日に質問をいたしまして、小泉総理が、我が党の武部幹事長に対しまして、指摘されていることについて、自民党として調査、確認するよう指示するという約束をされて、このような調査結果というものが報告されているわけです。
 そこで、具体的にお聞きをしたい。
 この国民政治協会、国政協の発行した日歯連の領収書というのがあります。私はここにそれを持っておりますが、これは情報公開でだれでも手に入るわけですが、この中に具体的な議員名が書かれているわけです。
 これは、例えば、平成12年7月11日付の領収書のこれは欄外に書いてあるわけですが、石原伸晃というふうに書いていまして、石原氏の場合は、これが一つの事例ですけれども、資金の流れというのが極めて明確でございまして、国土交通委員会の理事会で自民党理事が報告した内容も全く同じなんですけれども、例えば、2000年の7月11日に日歯連から国民政治協会に1000万円、これが迂回をして、7月31日に自民党から東京都第八選挙区支部へ1000万円。同様に、日歯連から2001年6月21日、1000万円、6月29日、東京都第八選挙区支部へ1000万円。それから、日歯連から2001年11月14日、1000万円、11月29日に東京都第八選挙区支部へ1000万円。日歯連から2002年5月14日、1000万円、5月31日、同支部へ1000万円と。しかも、先ほど言ったように、一番最初の2000年の7月11日の領収書に、欄外に石原伸晃と書いてあるわけです。
 この関係についてどのような調査をされたか。例えば国政協に、どのような趣旨でこのお金は受け取ったんですかというそういう聞き取り調査というのはされたんでしょうか。
○早川忠孝議員 党の調査の内容でありますけれども、これは、平成16年の10月19日から11月8日まで、党スタッフ数名及び会計と法律の専門家で調査チームをつくって実施をしております。それで、調査内容でありますけれども、主に、関係者からの聞き取り調査、それから、党や国民政治協会の当時の内部資料、それから、金融機関の入金状況を示す資料などであります。一応、調査の内容はその程度でございます。
 さらに、先ほど、ちょっと具体的なケースについての御指摘がございました。これは石原前国交大臣のケースの場合でありますけれども、国政協に入金された寄附金につきましては、国政協の必要経費等を控除した後、国政協内部での稟議決裁に従って、ほぼ一定の時期に党本部に寄附をされております。党におきましては、内規、慣行等に照らしまして、個別の政策立案、調査の必要経費や党勢拡大のための政策活動費を支出しているところであります。
 そこで、政策立案及び政策普及のための調査等または党勢拡大活動のために、議員や政党支部に対する政策活動費の支給の時期あるいは金額等については、政治状況や支給しようとする議員または政党支部の従前の政治活動、党に対する財政や選挙への貢献度等を考慮して政策活動費の支給を決定することとなっております。
 したがいまして、国政協及び党本部はそれぞれの判断に従って政治資金を取り扱っておりまして、いわゆる迂回献金との指摘は当たらないものであります。
 石原議員が支部長を務められます選挙区支部につきましても、当時の執行部が、党勢拡大等を考慮して適宜支給したものと思料されるところであります。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 この石原氏の事例は極めて突出しておりまして、時期も金額も極めて異例な形で、いわば日歯連からの資金が連動して渡っている。この渡っている事実は、これは国交委員会の理事会でも自民党の理事も認めているわけです。
 それで、今の説明ですと、国政協から入金をした、入金から党本部に行って、内規に照らして、慣例に従って支出した、これは、事実上いわば迂回献金の流れを認めたようなことであって、ただ、その理由として、それぞれの判断でやったという説明をしただけであります。
 例えば、国政協が日歯連から受け取ったときにどのようなやりとりがあったかということは調べたんでしょうか。
○早川忠孝議員 ただいまの御質問でありますけれども、いわゆる国政協から、国民政治協会から自民党に対しての寄附等については、それは当然、その時点において当時の党の内規に従って処理をされているということが確認をされているところであります。
 それから、個別の支出、政党の支部あるいは議員に対しての党本部からの寄附等につきましては、先ほど御説明したとおりに、政策立案及び政策普及のための調査等のために政策活動費として支給されているということであって、決して、寄附者の意思に拘束をされて特定の議員への政治寄附をした事実はないということを確認しております。
○佐々木(憲)委員 いや、私が聞いているのはそんなことを聞いているんじゃないんです。国政協が日歯連から受け取ったときにどういうことがあったのかということを調査されたのかと聞いているんですよ。つまり、日歯連が特定の議員に渡せと言ったのか、それともそうでなかったのか。
 では、そういう調査はされていなかったということですね。
○早川忠孝議員 党の調査の結果としては、そのような事実は確認をしておりません。
○佐々木(憲)委員 国政協が受け取ったときに、日歯連からの何らかの指示があったのかなかったのかという調査はしたのかというのを聞いているんですよ。調査したのかしていないのか、はっきりさせてください。
○早川忠孝議員 お答えいたします。
 具体的な調査をしているわけでありますけれども、しかしながら、調査の対象とした具体的な名前とか人数とかいったことについては特に明らかにする必要はないわけで、国会や報道等で問題が指摘された関係者からは可能な限り事情を徴して、そのような指摘される事実がないということを確認したわけであります。
○佐々木(憲)委員 さっぱり要領を得ないわけでありまして、具体的な名前が書いてあるんですよ、名前が。したがって、名前が書かれているこの事実について、当然、委員会で指摘をしたわけでありますから、その後確認をするとか、どういう意図でそれを受け取ったのか、渡してくれと言われたんじゃないかというのを確かめるのは当たり前じゃないですか。そういうことがされていないというのがよくわかりました。
 それから次に、平成13年6月29日付の領収書には古賀と明確に書かれております。これは500万円であります。これは、党本部にどのように渡り、名前のあった本人に渡っていたのかどうか、どのような形で調査をされたか、それから、受け取った国政協が一体どのような目的で渡したのか、こういうことは調べましたか。
○早川忠孝議員 お答えをいたします。
 これは、今、お名前の挙がった議員に対して金銭が渡った事実がないということを確認しているところであります。
 なお、先ほどいろいろ御指摘があった中身でありますけれども、言ってみれば、党としては、党にあいさつに来られる方が、寄附をされるとかあるいはされないにかかわらず、当該企業・団体を取り巻く状況や関係する議員について話題にされることがある。その際、議員の日常の政治活動や選挙区事情が話題として上がることもありまして、この議員は政策をよく勉強しているので党内でもっと活躍の場を与えてやってほしいとか、あるいは、選挙基盤が弱いので党勢拡大を支援してやってほしいなどとの希望を伝えられることがあるわけであります。こういったあいさつを事務局で受けた場合には、あいさつを受けた時日及びその状況について執行部に報告をするところでありまして、しかしながら、党として、その寄附者の意思に拘束されて特定の議員へ政治寄附をすることはないわけであります。
 しかし、このような問題によって国民の政治に対する信頼を損なわぬよう、厳粛に受けとめて、いやしくも疑惑を招かないように、党内において極めて厳しい内規を策定、実施をしたところでありますとともに、政治資金の一層の透明化について、政治資金規正法の改正案を本国会で審議をいただいているところであります。
○佐々木(憲)委員 今の答弁は、何か半分は迂回献金があったかのような答弁でありまして、しかも、調査も、具体的な事実関係を調査するようにという国会からの要請に対してまともに調査もしていないということが判明しました。
 したがって、何かこの報告書というものは、一体効力があるのかという疑いさえ持たれるわけです。つまり、受けた側は銀行口座に入金されていることを確認したということで、しかも、あとの分配は「内規・慣行等に照らし、」と、「慣行等」とは一体何か、これだって極めてあいまいで、よくわからない。指名献金というのが慣行になっているのかもしれないし、そんなことはさっぱりわからない。
 したがって、これで何か否定したかのようなことを言われますが、これは迂回献金の否定に一切ならないですよ。「支給することはありません。」と一般論を言っているわけで、具体的な事実があれだけ指摘されていながら、具体的な調査がされていない。しかも、あいさつのときに特定の議員の名前が出るとか、あるいは、資金の流れはそうだけれども意図は違うとか、こういうことでは、半分認めたようなものでありまして、この調査というのは全くでたらめだということがよくわかりましたね。
 それから、次にお聞きしたい。村岡公判、先ほどもありましたが、橋本元首相の秘書は、国政協と領収書で調整した記憶はある、領収書が国政協から行くと自分が電話したと証言しているんです。それで、日歯連側も、後で国政協から領収書が行くよと橋本事務所から連絡が来た、こういう証言。つまり、出した側と受けた側の証言が一致しているんですね。つまり、迂回献金があったということを公判で証言しているわけです。証言というのは大変重いんです、これは宣誓して証言するわけですから。
 それで、日歯連側はまた、迂回献金についてこう言っているんですね。議員に献金した後で国政協から領収書が来たことがある、名前を指定した人は3、4人くらいで、500万か1000万くらいを希望として伝えたという証言もある。迂回献金、法違反が行われていたと証言していることは、これは重大でありまして、この点に関連して、自民党としては当事者にどういう調査、確認をされたのか、この内容についての説明をしていただきたいと思います。
○早川忠孝議員 これは、先ほど御説明を申し上げました当事者等からの聞き取りをいたしまして、その事実がないということを確認しております。
○佐々木(憲)委員 その当事者とはどういう方ですか。つまり、証言をされた元橋本首相の秘書あるいは日歯連側、この証言をされた方に確かめたんですか。
○早川忠孝議員 国会やあるいは報道等で問題が指摘された関係者からは可能な限り事情聴取をしたということでありまして、具体的な名前やあるいは人数は、明らかにする必要はないと考えております。
○佐々木(憲)委員 いやいやだから、調査をするというのは、これは指摘されているわけだから、その指摘されたことが事実かどうかということを、これは公判でも証言されているわけですから、当然調査するのは当たり前じゃありませんか。可能な限り調査したが、具体的事実は公表できないと。何の調査にもなっていないじゃないですか。何の証明にもなっていないじゃないですか。
 これだけ具体的に公然と裁判所で証言が行われて、マスコミにも書かれて、国会でも取り上げられているんだから、そういうことがあったのかないのかと当人に確かめるというのは当然じゃありませんか。それで、なければないと報告すればいいんですよ。やったんですか。
○早川忠孝議員 既にお答えしたところでありますけれども、関係者からの可能な限りの事情聴取をして、そのような事実がないと確認をしたところであります。
○佐々木(憲)委員 だめだ、そんな答弁は。答弁になっていない。具体的な事実関係がこれだけ出てきているにもかかわらず、そのことについて何の調査もしていない。なかったと言ったって、何の証拠もないということがきょうの質疑で明らかになった。
 以上を述べて、時間が参りましたので、終わります。

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