2004年10月19日 第161回 臨時国会 予算委員会 【257】 - 質問
自民党への日歯連迂回献金疑惑、”物証”となる領収書を提示し追及
2004年10月19日予算委員会で、佐々木憲昭議員は、日本歯科医師連盟(日歯連)から自民党の政治資金団体「国民政治協会(国政協)」と自民党を経由して政治家にカネが流れる「迂回献金」疑惑について質問しました。
佐々木議員は、実際の献金先とみられる「石原伸晃」「古賀」という文字が記された国政協が発行する日歯連の領収書を示し、「迂回献金」疑惑を追及。小泉首相は調査を約束しました。迂回献金疑惑で、議員名を示す資料が出たのは、初めてのことです。
佐々木議員は、「迂回献金」疑惑について、小泉総理が、前日「党としてはその事実はなかったと報告を受けている」と答弁したことをふまえ、具体的な例を示し追及しました。
最初に、石原伸晃前国土交通大臣の例をとりあげました。石原氏の場合、2000年7月から2002年5月までの間、1000万円ずつ4回、あわせて4000万円が、迂回献金の疑いがきわめて濃厚な資金の流れです。このうち、最初の2000年7月11日付の1000万円の領収書には、薄っすらと「石原伸晃」と読める手書きの文字が書かれている事を明らかにしました。
また、2001年6月29日付の5000万円の領収書の欄外には、はっきりと「古賀」と書かれている事を示し、「国政協ではなく、日歯連が書き込んだ可能性がある」と指摘。
また、佐々木議員は、日歯連が国政協から受け取った領収書について、独自に番号をつけて整理し、この番号にそって裏帳簿に対応する実際の献金先の政治家名を記載していたことを指摘。「それぞれの番号は議員が特定されるようになっている」とのべました。
とくに、01年11月20日付の3000万円の領収書には4つの番号、02年12月25日付の5000万円の領収書には3つの番号があることを示し、これは、計7人の議員にカネが渡ったことを意味している、と指摘しました。
佐々木議員は、同議員が入手した約50枚の領収書の28枚に33個の番号がついていることをあげて、これらの事実をふくめて調査するようせまり、首相は「委員会での議論も踏まえて調査するよう武部幹事長にいってある」と調査を約束しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
橋本元首相が日本歯科医師連盟から1億円のやみ献金を受け取っていた事件について、小泉総理は、党の問題ではないというふうにおっしゃった。しかし、自民党の総裁を務めたり幹事長をやったことのある人物が直接かかわっており、党の中で発生した、そういう事件だと思うんです。
先ほどの答弁で、関係あるかどうか、幹事長に指示したと言われました。したがって、その調査した結果を、問題を指摘されたこの予算委員会に明らかにすべきだというふうに思いますが、そのようにされるおつもりはありますか。
○小泉内閣総理大臣 私は、先ほどの質問に対する答弁について、今回のいわゆる日歯連の1億円献金問題については自民党本部が関与した事実はない、自民党本部と直接的に関係のある問題とは承知していないという答弁をいたしました。
なお、いろいろ質問を昨日から受けておりますので、改めて、昨日来からの質問も踏まえて、我が党の武部幹事長に対しまして、日歯連事件に関して指摘されていることについて、自民党として調査、確認するよう指示しております。
今の御質問も、その報告をせよということでありますので、調査して、報告がなされれば、それは公表させていただきます。
○佐々木(憲)委員 予算委員会に報告をぜひしていただきたいと思います。
これは、委員会独自の、国会独自の、政治的道義的責任の追及ということは大変大事でありまして、起訴された村岡兼造元幹事長は、証人喚問や参考人招致が決まれば、そこに出て、言い分を聞いていただき、解明していただきたいと述べておられます。国会から要請があれば証言に応じるという意向を明らかにしたわけです。予算委員会として、当然、喚問をするというのは、あってしかるべきだと思います。
同時に、小切手を受け取った現場にいたのは、橋本龍太郎、青木幹雄、野中広務の3氏でございます。贈った側は、日歯連の臼田貞夫、内田裕丈、全体としてこの6名、私は、証人として喚問すべきだと思います。
さらに、逮捕された平成研究会会計責任者の滝川容疑者、この方は、1億円の処理の仕方について自民党の元宿仁事務局長に相談したと言われております。この2名についても証人として喚問すべきだと思います。
委員長、1億円やみ献金事件、究明するため、当面、私は、この8名、証人喚問をすべきだと思いますが、検討していただきたい。
○甘利委員長 既に理事会協議マターになっております。
○佐々木(憲)委員 小泉総理は、本会議で、我が党の志位委員長の質問に対して、迂回献金はあってはならないとお答えになりました。これは当然だと思うんです。しかし、昨日、党としてはその事実はなかったと報告を受けているとお答えになりました。本当に迂回献金はないと言えるんでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 なかったと聞いております。
もちろん、あってはならないことでありますし、そういう国会の議論を踏まえて、きのうも話がありましたけれども、迂回献金はないという報告を受けております。
○佐々木(憲)委員 報告を受けたというだけでありまして、あるかないかという調査は具体的に私はまだきちっと行われていないと思います。
そこで、具体的な事実を指摘したい。
お配りした資料、資料はこれからお配りするんですが、例えば石原伸晃前国土交通大臣の場合、資金の流れというものが非常にはっきりとしておりまして、これは、国土交通委員会の理事会で自民党の理事が口頭で報告した内容もこれと全く同じでございます。
例えば、2000年の7月11日に日歯連から1000万円、これが迂回をして、自民党から7月31日に、東京都第八選挙区支部に1000万円。同様に、6月21日、6月29日。11月14日、11月29日。これは2001年であります。それから、2002年は5月14日、5月31日、こういう形で迂回をしているということが極めて濃厚な数字であります。
しかも、私は、ここに、一番最初の平成12年7月11日の領収書を持っておりまして、この領収書には、欄外に、極めて薄いんですけれども、石原伸晃と読める文字が書いてあります。これは領収書番号10286でありまして、平成12年7月11日。私は手元に持っておりますが、皆さんにはまだお配りしておりません。これは国民政治協会が書いたものじゃないということは明らかです。しかし、日歯連側が書き込んだという疑いが極めて明確であります。
もう一つ領収書。これは平成13年6月29日でありますが、国民政治協会が出した領収書です。領収書番号が11454。これは500万円でありますが、欄外に古賀というふうに書いてあります。古賀と書いてあります。こういう事実がある。
さらに、国民政治協会が日歯連に出した領収書の右上に番号が書いてありまして、一つは、皆さんにお配りした資料の二枚目をあけていただきますと、領収書11887の右端ですね、811、815、816と番号があります。もう一枚の領収書ですが、ここには、759、760、761、762という番号が振ってあります。この番号は日歯連側がつけたものと想定されます。そして、それぞれの番号は議員が特定されるような番号となっておりまして、手元の日歯連側の帳簿にそれが記されているということであります。
番号のついている領収書というのはこれ以外にもたくさんありまして、私はここに領収書を50枚ほど持っておりますけれども、この領収書の中で確認できるものでも、平成13年4月16日から14年12月26日の間だけで、全体で、番号がついたものが28枚あるんです、28枚。番号の数は33個あります。それで、日歯連側は、この番号に基づいて別の帳簿で一括管理していたということでありまして、その番号と議員の名前がその帳簿には書かれていると言われております。
このように、私は、まだこれが、じゃ、迂回献金の証拠かどうかと言われると、これだけでは証明には、もうちょっと証拠が必要だと思いますが、総理は調査をするという姿勢を先ほど示されました。したがって、当然、これらの事実も含めて調査するのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 よく委員会での議論を踏まえて調査するようにと幹事長には指示しておりますので、幹事長が適切に判断されて調査すると思っております。
○佐々木(憲)委員 委員会で私はこれだけ資料を出しましたし、指摘をさせていただきましたから、当然それを踏まえて、それも含めて調査をされるものと、今の答弁でそのように理解しました。
一般論としてお聞きをしたいんですけれども、総務大臣、企業や団体というのは政治家個人に献金はできない。政党に限られている。その上、量的規制があるということですね。それを免れる目的で、政治団体等を経由して政治家に献金した場合、政治資金規正法に抵触する違法行為になると思いますが、いかがですか。
○麻生総務大臣 御存じのように、私ども総務省としては形式審査権しかないということは、もう佐々木先生よく御存じのとおりだと思いますので、具体的な事実関係を承知する立場にありません。
一般論ということでしたので、一般論としてお答えさせていただければ、政治資金規正法第21条の第1項ということになるんだと思いますが、「会社、労働組合」「その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。」ということになっておりますので、御質問のような寄附が具体的な事実に即しておりますれば、今申し上げた第21条の第1項で禁止する寄附に該当すると法律的に認められる、評価される場合におきましては、いわゆる同法違反、政治資金規正法違反になるということだと存じます。
○佐々木(憲)委員 法務大臣にお聞きしたい。
例えば、献金を、政治団体を経由せず直接受け取っているのに、あたかも政治団体を経由したかのように見せるため、政治団体の領収書を発行する、こういう行為はどのような法令違反になりますか。
○南野法務大臣 お答えいたします。
今先生がお問い合わせになられましたことは迂回献金と言われているようなケースで、政治団体から議員にお金が渡っているにもかかわらず、違う第三者が、C者が領収書を発行した、そのことについてのお尋ねであろうかと思っております。
先生がお尋ねの事実が、必ずしも、どのような事実関係を想定してお尋ねなのかというのははっきりいたしませんが、いずれにいたしましても、犯罪の成否は、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断されるべき事柄でございますので、私からのお答えはいたしかねるということを……。
○佐々木(憲)委員 私は、具体的な事実についての答弁を求めたのではないんです。法解釈、法の仕組みを聞いているんです。
直接、ある団体から特定の議員に政治献金が渡っているにもかかわらず、第三者が領収書を発行するという行為はどういう法令違反になりますかと、一般論として聞いているんですよ。ちゃんと答えてくださいよ。だめだ、そんなのは。
○滝法務副大臣 基本的には、先生の御指摘は、恐らく、私文書偽造とか、そういうようなことを念頭に置かれているのではなかろうかと思いますけれども、具体的な問題というふうなことでなくても、このような問題について、あらかじめ想定して、それがどういう罪になるのかというようなことは、なかなか私どもとしては言いにくいと思うんです。
一般論として言えば、例えば今の私文書偽造でございますと、条文にはこう書いてあるんですね。「行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章」、こういうようなことを並べてありますから、そういうような条文に当てはめて具体の事実がどうなるかということでございまして、したがって、一般的に、想定でどんなものかというのはなかなか申しにくい。一般論といたしましても、なかなかそこのところは難しいと思うんです。第三者となりますと、どういう意味で第三者かというのはよくわかりませんので。
○佐々木(憲)委員 法令で明確にこういうことは禁止されておりますし、それに違反すると、これは違法行為なんですよ。もう明らかじゃないですか。本当に私はいいかげんな答弁だと思います。
これだけ疑惑を指摘しましたから、調査の上是正するというのは、私は、自民党も当然ですし、また当委員会としても、証人喚問を含めた委員会としての真相究明というものは進めていかなければならないというふうに思っております。
企業・団体献金はわいろ性を当然帯びておりますから、やはり、個人献金に限る、政党助成金はやめる、こういうことが今後の政治として必要なことだと思いますので、一言指摘して、質問を終わります。
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