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金権・腐敗政治 (公益法人の献金, 日歯連問題, 政治資金規正法の改定)

2005年10月14日 第163回 特別国会 倫理選挙特別委員会 【327】 - 質問

「迂回献金・公益法人の脱法を許すな」と主張

 2005年10月14日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で佐々木憲昭議員は、政治資金規正「改正」法案の与党案について質問しました。
 そもそも、今回の「政治資金規正法改正」問題は、日歯連事件をきっかけに始まりました。日歯連事件で問われたのは、1つは旧橋本派への1億円ヤミ献金であり、2つ面は国政協を経由した迂回献金です。
 日本共産党は、これらの問題の真相解明のため、橋本元総理をはじめとする関係者の証人喚問をもとめ、その上に立って再発防止策を検討すべきであると主張してきました。
 ところが与党は、証人喚問を拒否し真相解明にフタをして、政治団体間の寄付に制限を加えるだけの法改正で幕引きをはかろうとしました。
 与党が提案している改正案では、政治団体間の寄付の上限を5000万円としています。
 佐々木議員は、自民党提案者に2004年の「政治資金収支報告書」で、この上限を超える献金をしている政治団体間の寄付は、何件あるのか質問。
 自民党提案者は、そのような計算をしていないと答えました。法案を提案していながら、その効果を試算さえしていないのは、まったくの怠慢・無責任です。
 委員会の調査室が調べたところ、21件しかありません。約5000の政治団体が、年に無数の献金をしているなかで、全く効果が無い事がはっきりしました。
 佐々木議員は「結局、この改正が、日歯連事件の再発防止や規制にならないばかりか、実態にてらしてなんら意味をもたない」と指摘しました。
 日歯連問題でもう1つ問われたのは、公益法人が人も組織も一体化した政治団体をつくり、それを通じて巨額の献金をしていることです。
 与党案には、これを規制する手立てはまったく盛り込まれていません。
 もともと日本歯科医師会(日歯)は、公益法人であり、国から補助金などをもらっているので、政治資金規正法22条の3によって「政治活動に関する寄付禁止」団体となっています。
 ところが、その日歯が組織的に一体の政治団体「日本歯科医師連盟(日歯連)」をつくって、自由に政治献金を行っています。ここに問題の発端がありました。
 公益事業にかかわる公益法人が、人も事務所も一体の政治団体を設立して「脱法的」「抜け穴的」な政治献金を行うことは、許されないことです。
 佐々木議員は、「相次ぐ政治とカネの問題に抜本的な改革をおこなうため、この際、企業・団体献金の全面禁止、政党助成金の廃止を真剣に検討すべきだ」と強く指摘しました。



 また、佐々木議員は、この質問の後で予定されている委員長提案、政党支部の解散の問題についても質問しました。
 ほんらい政党が支部を解散するかどうかは、その政党が自主的おこなう内部問題です。
 政治資金規正法のうえでは、党内手続きに基づいて政党が自発的におこなった「支部解散」という事実にもとづく届け出を受理するだけです。
 だから、法律をつくらなければ、政党の支部を解散できないかのような議論は、もともと成り立たないのです。
 しかし、自民党の武部勤幹事長は、郵政民営化法案の反対派が支部長を務める党支部を政党本部の権限で解散できるようにしたいと、政治資金規正法を改正することをもとめました。
 党主導による法改正で、反対派の締め出しを徹底する構えだということです。これは、届出実務に関する法改正を、党内抗争解決のために利用するというもので、本末転倒です。
 佐々木議員は、総務省に「政党支部の解散の届出を出すことをもって解散と見なすのか。それとも、解散したという事実があってそれに基づいて解散届を出す、つまり解散した事実が先にあって、その事実を届けるというものなのか。どちらか」と質問。
 これにたいして、総務省は「解散した事実に基づいて届ける」と答弁。 
 続いて、佐々木議員は、「その団体が、実際に解散しているかどうかを調査・確認して受理するのか、それとも、届出があれば形式審査をして受理するのか」と質問。
 総務省は「形式審査だ」という答弁しました。
 新たに提案されたなかに、届け出の主体が支部代表とともに本部が代行できるという条項が入ったとしても、現行法と同様、解散という事実行為にもとづいた形式審査をおこなうということに変化はないということが明らかになりました。
 佐々木議員は、「法律を改正して党内処理に利用するというのは、筋違いもはなはだしい議論であり、賛成できない」と主張しました。

 質問の後、与党案、民主党案が採決され、与党案が賛成多数により可決、委員長提案も可決されました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 そもそも今回の政治資金規正法改正問題というのは、日歯連事件、今までも議論がありましたように、これをきっかけにして始まったものであります。日歯連で問われたのは、一つは旧橋本派への一億円やみ献金、二つは国政協を経由した迂回献金の問題でございます。
 我々は、これらの問題の真相解明のため、橋本元総理を初めとする関係者の証人喚問を求めてまいりました。その上に立って再発防止策を検討すべきであると主張してきたわけであります。ところが与党は、証人喚問を拒否して真相解明にふたをし、政治団体間の寄附に上限を加えるだけの法改正で幕引きを図ろうとしているわけであります。
 そこで与党に伺いますが、上限を5000万としておりますけれども、公表された2004年の政治資金収支報告書でこの上限を超える政治団体間の献金をしているもの、何件あるんでしょうか。
○早川忠孝議員 御質問の点でありますけれども、特にその報告書等のチェックを私どもしてまいっておりませんので、お答えをいたしかねます。
○佐々木(憲)委員 法案を出す以上、これは一体どのぐらいのところが引っかかるのかというのは、調べるのは当たり前だと思うんですが、実態も知らないで法案をつくったのか、極めて無責任だというふうに思います。結局これは、例えば調査室が資料を出してやっているわけですよ。これは21件になっているんですよ。ですから、そういうものも当然見なきゃならぬわけで、全く関心がない。
 それで、この政治団体というのは大体5000件あるわけですね。しかもそのやりとりというのは、これはもう無数にあるわけです。これ全体がそうだと言っていいぐらいですね。ですから、こういうことを正確に調査もしないで法案を出す、結局、与党の改正案というのは、日歯連事件の再発防止の規制にならないばかりか、実態に照らしても実効性がない。
 だから、きょうの東京新聞でもこのように書かれているわけです。これは社説ですけれども、「献金する側も受け取る側も、複数の政治団体をつくって、カネのやりとりをすれば、総額が上限を超えても違法にはならない。かえってカネの流れが見えにくくなり、改正どころか改悪だ。」東京新聞の社説でさえこのように言っているわけであります。
 それで、日歯連問題でもう一つ問われたのは、公益法人が人も組織も一体化した政治団体をつくる、日歯連をつくる、それを通じて巨額の献金をしているということであります。与党案にはこれを規制する手だては全く盛り込まれておりません。
 私は、2004年10月に日歯の会長に会いました。そのとき私はこう聞いたんです。公益法人が政治活動を行うことは自由なのではないでしょうか、わざわざ日歯連という政治団体をつくった理由は何ですかとこう聞いたわけです。これに対して日歯の会長は、それは政治献金をするためだと。余りにも率直な回答なのでびっくりしましたけれども、もともと、この日歯というのは公益法人であります。国から補助金などをもらっているので、政治資金規正法22条の3によって政治活動に関する寄附禁止団体になっているわけです。ところがその日歯が、組織的にも一体の政治団体、日歯連をつくって自由に政治献金を行う、ここに問題の発端があったわけです。
 ことし2月8日の予算委員会で、私は麻生総務大臣に聞きました。麻生さんはこう言いました。「国から補助金等の交付を受ける会社その他の法人との政治資金のいわゆる授受、受け渡しというものは、補助金の決定などをめぐり不明瞭な関係を生じさせる危険性があるということにかんがみて、このような会社その他の法人が行う政治活動の寄附については規制をしようとするものであったというのがこの法律が立法された趣旨、背景だ」、このように答弁をされているわけですね。
 そこで与党にお聞きしますけれども、そもそも、公益事業にかかわる公益法人が人も事務所も一体の政治団体を設立して脱法的な政治献金を行う、これ自体私は許されないと思いますけれども、与党提案者はそのような認識は全くないんでしょうか。
○早川忠孝議員 法の適用、解釈においてどういう行為が脱法的であるかどうかということは、それぞれ法の解釈に当たる機関が判定をされるわけであります。現実にそういった質問があった場合にそれぞれの所管庁でお答えになるのが相当でありまして、提案者が今提案をしている内容には直接関係がないと思いますので、お答えは差し控えたいと思います。
○佐々木(憲)委員 全く現状の問題点の深刻な認識がないということを今の答弁は示していると思います。愕然といたしました。
 民主党にお聞きしますけれども、民主党案の中には、2002年5月に我が党を含む4党で共同提案をいたしました公共事業受注企業などの献金禁止が含まれております。その趣旨は、税金で仕事をする会社からの政治献金は禁止するのは当然であるというものでありまして、そういう点では私は、補助金を受けている公益法人と一体化した政治団体からの献金というのも同じ性格を持っているんじゃないかと思うわけです。当然、禁止の対象にしなければならないと考えますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○永田寿康議員 私も全く同じ問題意識を持っております。
 ただ、現在、やはり法律上は別の組織になっております。つまり、公益法人と政治団体が別の組織になっておりますので、現状において、そこが事実上一体であるから、だから政治団体からの献金は禁止するんだというのは、ちょっと法律上無理があるかなというふうに感じておりました。
 そこで、この問題を解決するためには、今は、政治団体からの献金を禁止するんじゃなくて、公益法人と一体になっている政治団体の活動はいかがなものかというところに焦点を当てて、そこをできるだけ切り離せるようにしていくのが今の現実的な解決方法ではないかと感じております。
○佐々木(憲)委員 前向きだが、しかし今度の法案では盛り込まれていないわけでありまして、私は、この一体かどうかという問題は、ある基準を設けまして、例えば、人員構成が3分の2以上同じメンバーで、あるいは役員が全く同一人物である、事務所が一体化している、こういう基準を設けて、事実上一体であるというならば、これは、公益法人とその政治団体というのは一体化しているわけだから、公益法人の献金禁止という規定に当てはまる、このぐらいのことをしっかり考えていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○永田寿康議員 大変すばらしい提案だと思います。現在、そういう業界団体として設立されている公益法人と、それに対応する形でつくられている政治団体がどのように設立されていて、どのように活動を行っているのか、どのような基準が実効性があるのかということについてはぜひ考えていきたいと思いますので、御協力もお願いしたいと思います。
○佐々木(憲)委員 3年前に4党で共同提案した政治資金規正法改正案の内容、ここには、公共事業受注企業などの献金を禁止すること、企業・団体献金を受けることができる政党支部を制限すること、機関紙誌への広告を規制すること、収支報告書のインターネット公開、こういうものが盛り込まれております。今回の民主党案にもそれが盛り込まれておりますので、私どもは基本的に賛成であります。
 与党案は、この5000万円の上限規制をつくりましても、先ほど言いましたように、実態では何の規制にもならない。また、政党と政治資金団体を除いておりますから、自民党でいえば、自民党本部と支部、国民政治協会に対しての献金、これは一切規制がかからない、そういう問題点があります。それで、迂回献金に対する規制もない。したがって、与党案には我々は賛成できないということをここで述べておきます。
 私は、相次ぐ政治と金の問題に抜本的改革を行うためには、この際、企業・団体献金の全面禁止、政党助成金の廃止、真剣にこういう問題も検討すべきだということを強く主張しておきたいと思います。
 次に、この後で提案される予定でありますが、委員長提案になっている政治資金規正法案に関連をして一言ただしておきたいと思いますが、総務省にお聞きをいたします。
 現行法の解釈についてお聞きをしますけれども、政党の支部の解散についてでございます。解散の届け出を出すことをもって解散とみなすのか、それとも、解散したという事実があって、それに基づいて解散届を出す、つまり、解散した事実が先にあって、その事実に基づいて届けるというものなのか、どちらでしょうか。
○久保政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) 現行の政治資金規正法第17条というのがございまして、政治団体が解散し、または目的の変更その他により政治団体でなくなった場合に当該政治団体は解散届を提出しなければならないということでございますので、事実を前提として解散届が出されます。
 ただ、御承知のように、私どもは形式審査を行うということになっております。
○佐々木(憲)委員 それで、この解散届の受理の仕方についてでありますが、その団体が実際に解散しているかどうかを調査、確認して受理するのか、それとも、届け出があれば形式審査をして受理するのか。これは今形式審査と言いましたけれども、もう一度確認しておきます。
○久保政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) 政治資金規正法第31条、先ほど御議論いただきましたけれども、これは、収支報告書だけではなくて各種の届け出書類、これすべてについて審査をするその権限、これについて私どもに規定をしておるんですけれども、形式審査をやって受理をするということになろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 では、後で委員長提案で採決に付されるような条文が仮に入った場合、つまり、届け出の主体が支部の代表とともに本部も代行できる、本部ができる、こういう条項が入った場合でも、現行法と同様に、解散という事実行為に基づいた形式審査を行う、このことに変化はないですね。
○久保政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) 政治資金規正法17条は、解散をしたときに届け出る、こうされておりまして、私どもお聞き及びしておる限りにおいて、私どもの形式審査権、これも従来どおりと心得ております。
○佐々木(憲)委員 したがって、本来、政党が支部を解散するかどうかというのは、その政党が自主的に行う内部問題であります。政治資金規正法の上では、党内手続に基づいて政党が自発的に行った支部解散という事実に基づく届け出を受理するだけであります。その逆ではないんですね。逆ではないんです。法律をつくらなければ政党の支部を解散できないかのような議論が行われておりますが、それは成り立たないんです。
 支部解散届の本部手続代行というのは自民党の武部幹事長が言い出した問題でありまして、報道によると、自民党は反対派の党支部閉鎖を求めているが、政治資金規正法上は、支部長本人の署名がない限り支部の解散が認められないので、武部幹事長が法改正を指示した、このように言われております。これは、今のやりとりでも明らかなように、自民党の支部の解散がうまくいかないという党内問題を、あたかも何か法律に問題があるかのようにこれはすりかえるものであります。
 与党は、後で提案をされる委員長提案になるもとをつくったと思いますが、この与党案というのは、武部幹事長のこういう認識に基づく指示でこれを準備されたということなんでしょうか。
○高木陽介議員 今、佐々木委員の方からもお話がございましたけれども、これはあくまでも政治資金規正法の届け出の問題ということで、後ほど委員長提案でやろうということで理事会等でもお話がずっと進んでいると思うんですけれども、そもそもこの問題、政党法という法律があれば、その政党の本部とまた支部の関係、またはその解散の問題等々はしっかりと規定されると思うんです。しかしながら、政党法という法律は我が国にございませんので、あくまでも政党と支部または政治団体とその支部の関係というのは、政治資金規正法上でその選管または総務省等に届ける、こういう形となっております。
 もう一つ大きな問題は、例えば法律が改正されたとして、政党の本部がこの解散の手続がとれるといたしましても、例えば、党内の問題、例えば自民党内または民主党内、公明党内、共産党内、それぞれ党の規約または党則というのがあると思うんですけれども、そこの問題でしっかりと解散の手続等々が公な形で認知をされていなければ、これはこれでまた、裁判等々でその解散が問題になると思います。
 そういった意味では、今回の法改正に当たって、これは事実民主党内でも、政党支部の解散にあって現在訴訟が行われている、これも承知しておりますけれども、こういった問題で各政党の良識に従いまして党則もしっかりと整えていただく、その上で手続として可能になる、こういった考え方で今回与党内では議論を進めてまいりました。
○佐々木(憲)委員 支部の解散その他党内の問題は、それぞれ党内で自主的なルールをつくって、そのルールに従って行うというのが基本であります。つまり、政党というのは独立した存在であり、また、その党活動は自立したものであって、何か法律によって特別な介入が必要だということにすべきではない、そういう考えに基づいて今行われておるんですね。したがって、党内の手続が党内抗争によってうまくいかない、だから法律によって何かそれをうまくいくように改正しなきゃならぬというのは、これは本来の政党活動のあり方からは逸脱した考えであって、届け出実務に関する法改正を党内抗争解決のために利用する、こういう発想でありまして、これは本末転倒なんですよ。
 だから、こういうやり方には我々は到底これは賛成するわけにはいかないという点を申し上げまして、きょうの質疑は終わらせていただきたいと思います。
○遠藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

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