2005年10月14日 第163回 特別国会 倫理選挙特別委員会 【328】 - 発言
「法改正を党内処理に利用するのは筋違い」と主張
2005年10月14日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で佐々木憲昭議員は、質問の後で予定されている委員長提案、政党支部の解散の問題についても質問しました。
ほんらい政党が支部を解散するかどうかは、その政党が自主的おこなう内部問題です。
政治資金規正法のうえでは、党内手続きに基づいて政党が自発的におこなった「支部解散」という事実にもとづく届け出を受理するだけです。
だから、法律をつくらなければ、政党の支部を解散できないかのような議論は、もともと成り立たないのです。
しかし、自民党の武部勤幹事長は、郵政民営化法案の反対派が支部長を務める党支部を政党本部の権限で解散できるようにしたいと、政治資金規正法を改正することをもとめました。
党主導による法改正で、反対派の締め出しを徹底する構えだということです。これは、届出実務に関する法改正を、党内抗争解決のために利用するというもので、本末転倒です。
佐々木議員は、総務省に「政党支部の解散の届出を出すことをもって解散と見なすのか。それとも、解散したという事実があってそれに基づいて解散届を出す、つまり解散した事実が先にあって、その事実を届けるというものなのか。どちらか」と質問。
これにたいして、総務省は「解散した事実に基づいて届ける」と答弁。
続いて、佐々木議員は、「その団体が、実際に解散しているかどうかを調査・確認して受理するのか、それとも、届出があれば形式審査をして受理するのか」と質問。
総務省は「形式審査だ」という答弁しました。
新たに提案されたなかに、届け出の主体が支部代表とともに本部が代行できるという条項が入ったとしても、現行法と同様、解散という事実行為にもとづいた形式審査をおこなうということに変化はないということが明らかになりました。
佐々木議員は、「法律を改正して党内処理に利用するというのは、筋違いもはなはだしい議論であり、賛成できない」と主張しました。
質問後、委員長提案が行われ、佐々木議員が発言しました。
議事録
【委員長提案と佐々木議員の発言部分】
○遠藤委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
政治資金規正法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。
現行法では、政治団体の支部が解散した場合、その支部の代表者及び会計責任者であった者のみが当該支部の解散届と収支報告書を提出することになっております。そのため、支部が解散したにもかかわらず、これらの者が政治資金規正法上の解散届を提出しない場合は、届け出上は支部がなお存在しているかのような外観が残ってしまい、世上、誤解を生ずるおそれがあります。
本改正案は、このような誤解を生ずることのないよう、政治団体の本部が支部の代表者及び会計責任者であった者にかわってその支部の解散届を提出できるようにしようとするものであり、この場合には、本部はその支部の代表者及び会計責任者であった者に対して、解散届を提出した旨を通知することとしております。
なお、本部が解散届を提出した場合には、支部の代表者及び会計責任者であった者が重ねて解散届を提出する必要はなくなりますが、政治資金収支報告書につきましては、従前どおりこれらの者に提出義務があることから、この義務を怠った場合に罰則が科せられることも従前どおりであります。また、本改正案は、政治団体に対する周知のための期間等を勘案して、公布の日から起算して1月を経過した日から施行するものとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
○遠藤委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 政治資金規正法は、政治団体の政治資金の収支の状況を公開し、国民の不断の監視と批判のもとに置くことによって、政治活動の公明と公正を確保し、議会制民主政治の発展に寄与することを目的としているものです。
政党、政治団体が支部を設立したり、または解散させたりすることは、当該政治団体の内部問題であり、その規約や党則などによって自律的に決定し処理すべき事柄であることは当然であります。政治資金規正法は、政治団体の支部を独立した1つの政治団体とみなし、その設立や解散の届け出の提出を義務づけています。もとより、これらの届け出は、実務的な処理を定めたものであります。
今回の法改正は、支部が解散した場合に、本部に解散届提出の代行手続を認めるものとしております。
なぜこのような規定が必要なのか。自民党は、さきの郵政選挙に端を発した自民党本部と選挙区支部の対立を解決、処理する手段として、支部解散届の本部代行手続を持ち出したものであります。規定そのものは届け出実務にすぎませんが、政党の内部問題を、政治資金規正法上の届け出手続を利用し、それをてこにして処理しようとしているのは、全くの筋違いであります。
また、本改正規定を使って実体のない支部を整理するといった議論もありますが、実体のあるなしは政治資金規正法の関知しないところであり、また、解散した支部が解散届を提出せず、収支報告書を提出しない状態が続けば、当該支部は届け出をしていないものとみなされる(第17条第二項)のであり、法律上特段の支障があるわけではありません。
以上から、本改正の必要性は特段なく、政治的な意図に基づく改正であり、賛成はできません。
○遠藤委員長 これにて発言は終了いたしました。
お諮りいたします。
政治資金規正法の一部を改正する法律案起草の件につきまして、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○遠藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。