金権・腐敗政治, 雇用・労働 (規制緩和, 官製談合, 非正規雇用)
2006年02月07日 第164回 通常国会 予算委員会≪基本的総括質疑≫ 【332】 - 質問
増大する非正規雇用、深刻化する派遣・請負労働者の実態を告発、労働分野の規制緩和を追及/自衛隊基地も高落札率が7割、佐々木議員が告発
2月7日、NHK中継があった予算委員会の基本的総括質疑で、佐々木憲昭議員は、増大する非正規雇用と防衛施設庁の談合問題について小泉総理大臣らに質問しました。
佐々木議員は、3人に1人が非正規雇用となり、とくに若者の比率が高いことを示し、「パート、アルバイト、フリーター、派遣・請負労働などがどんどん増えていることが『格差社会』の根本にある」と指摘しました。
小泉首相は、昨年1月、液晶テレビの生産で有名な家電メーカー・シャープの三重県亀山工場を視察しています。佐々木議員が、亀山工場に「非正規労働者は何割いるか」と質問したのに対して、小泉首相は「わかりません」と答弁。
佐々木議員は、昨年8月時点で亀山工場の労働者3,300人のうち、6割にあたる2,016人が、請負中心の非正規労働者だと指摘。「6割というのは非常に高い」とのべ、トヨタ、日立など大企業が非正社員を増やしている実態を示しました。
続いて、佐々木議員は、非正規労働者の募集の状況はどうなっているのかを示しました。駅やコンビニなどにある『フリーペーパー』に載っている派遣や請負の求人広告には「日給9,000円」「月収33万円以上」などと書いてありますが、実態は違います。トヨタグループの孫会社「光洋シーリングテクノ」(徳島市)では、正社員と同じ仕事をしている請負労働者の賃金は3分の1。3カ月の短期雇用で、入社以来8年間で26回更新し、7年たっても賃金が1円もあがっていない例もあります。
佐々木議員が「こういう事態が広がっているという認識があるのか」とただしたのに対し、川崎二郎厚生労働大臣は、非正規労働の賃金が「そうじて低いということは認める」と答えました。
次に、佐々木議員は派遣・請負業者の違反行為が横行する実態を告発しました。
都内の事業所を対象とした東京労働局の調査(昨年5月)によると、労働者派遣事業所の81.2%で、業務請負関係事業所では76.5%で、違法行為が横行しています。
禁止されている建設業への派遣や請負を装って労働者を「貸し出す」偽装請負、派遣先から派遣先にまわす多重派遣など、佐々木議員は「まるで無法地帯だ」と批判しました。
佐々木議員は、事態の背景に、罰則がないから野放しになり、大手メーカーへの派遣・請負会社間の売り込み競争と大企業の労働コスト削減政策があると追及しました。
派遣・請負会社作成の売り込み資料には、「(派遣契約の合間に)3ヶ月だけ請負契約をするのは原則違法だが、法律的には違法ではない」との記述さえありました。製造業への1年を超える派遣契約は違法ですが、途中で3カ月だけ請負契約にした後でまた派遣に戻すというものです。これに対して、川崎厚労大臣は「きちっとした指導をしていきたい」と答弁しました。
次に、佐々木議員は、「受け入れ側の問題もある。派遣先の多くが大手企業だ」と指摘し、大企業の雇用政策を批判しました。
東京労働局の調査(昨年12月)によれば、派遣・請負労働を受け入れる理由として企業側は「経費が格安」「雇用調整が容易」と答えています。
しかも大企業ほど請負労働者を多く利用しています。昨年9月の厚生労働省の「派遣労働実態調査」によれば請負労働者がいる事業所は、30人以上100人未満のところは22%、100人以上500人未満のところは53%、500人以上のところは79%です。
佐々木議員は「こうして大企業の経常利益は近年急速に拡大してバブル期の2倍の水準に達している。その一方で労働者の雇用者報酬は毎年減り続けている。低賃金の非正社員が増えた理由は、このような大企業の雇用政策にあることは明らかではないか」と厳しく指摘しました。
佐々木議員は、「大手企業は、働く人たちの権利よりも、コスト削減のために低賃金の若者をモノのように使っている」と批判。川崎厚労相は「処遇が働きに合っていない場合がある」と認め、「だんだん正規雇用が増えていくような対策をうっていかなければならない」と答えました。
事態が深刻化する大きな原因に、労働者派遣の自由化など政府がすすめてきた労働分野の規制緩和があります。佐々木議員は、正社員から非正社員への置き換えを加速させ労働環境を無法状態化したのが、これまで政府がすすめてきた労働分野の規制緩和だと批判しました。
04年には労働者派遣法の改悪でそれまで禁止されていた製造業への派遣ができるようになり、99年には民間の有料職業紹介が自由化され、03年の労働基準法改悪によって有期雇用の延長が可能となり、契約社員が増加しています。
佐々木議員は、非正規労働者を増加させ、劣悪な労働条件においてきた原因である労働の規制緩和が、財界の代表が直接のりこんだ政府の「規制改革・民間開放推進会議」ですすめられ、企業の都合のよい仕組みをつくってきたことを批判。「非正規雇用が増えたのは、政府の政策に原因がある」と問いただしました。
小泉首相は「正社員」が増えてパートが減っているなどとして、「柔軟性をもった労働環境を整備してきたからではないかと評価されている」とのべました。
これにたいし、佐々木議員は、正社員が増えているという統計のごまかしを指摘し、最新の総務省の労働力調査では正規社員が昨年より減り、派遣、請負・契約社員など非正規社員は過去最高となっていると反論。「規制緩和ばかりをすすめてきた政策の根本的転換をしなければ違法と雇用不安がまん延し、日本の将来が大変なことになる」と厳しく指摘しました。
引き続いて、防衛施設庁の官製談合事件について小泉総理大臣らに質問しました。
今回の事件は、防衛施設庁が発注予定業者を決めた配分表をつくり、OBの天下りの受け入れが多いか少ないかという実績に従って、各社に工事を割り振っていたというものです。
佐々木議員は、官製談合の温床になっている高級官僚による天下りの問題点を指摘しました。
佐々木議員は、「自衛隊基地における1億円以上工事契約(2004年度)落札率の分布」を示しました。落札率とは、予定価格に占める落札額の割合のことです。
すでに米軍基地での工事の落札率が異常に高いことが判明していますが、自衛隊基地の工事でも、落札率95%以上が約7割に達しています。落札率90%以上になると、約9割にも及びます。
公正取引委員会の調査によると、1996年から2003年3月の間の入札談合で、排除勧告や課徴金の納付命令が出されたケースでは、落札価格が平均で18.6%下がっています。佐々木議員は「談合で約2割も価格がつり上げられていたことになる」と指摘しました。
その上で、落札率で95%を超えるのは、それだけでも談合の疑いがあり、逮捕された前技術審議官も「全国の建設・土木工事で官製談合が行われていた」と供述していることを示し、「米軍も自衛隊も、洗いざらい調査し、すべての結果を報告せよ」と求めました。
額賀福志郎防衛庁長官は「再発防止のためにどういう対応していくか。そういう目的に沿って公表し、議論したい」とのべ、調査と報告を約束しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
この国会は格差社会というのが大きな焦点になっております。私は、非正規雇用、つまり、パート、アルバイト、フリーター、派遣、請負労働、こういうものがどんどんふえているということが根本にあるというふうに思います。簡単にこのグラフで見ていただいてもわかりますように、非正規雇用というのが全体の中で大変ふえておりまして、3割、3人に1人が非正社員であります。特に若者の比率が高い。女性の場合は、半分以上がパートなどの非正規でございます。
総理にお聞きしますけれども、昨年の1月、総理は、シャープの最先端工場である液晶テレビ一貫生産の亀山工場、これを視察されましたですね、記憶されていると思いますが。あの工場では非正規労働者というのは何割いると思いますか。
○小泉内閣総理大臣 わかりません。
○佐々木(憲)委員 非正規労働者は、何と総理、6割。三重県の資料によりますと、昨年8月時点で、労働者3300人のうち2016人が請負中心の非正規労働者であります。6割というのは非常に比率が高いんです。シャープだけではありません。トヨタもキヤノンも日立も松下も、どんどんこの非正規社員というのをふやしているわけです。
どんなやり方をしているか。ここに私持ってきましたが、これは、駅でもそうですけれども、どこでも人通りの多いところに置いてあります、無料のフリーペーパーと言われるものでございます。この中にどんなことが書いてあるかといいますと、これは求人広告、非常に多いわけでありますが、例えば、日給9000円、1年目の月収例は25万から27万というようなことが書いてあります。あるいはこんなことも書いているんですね。30万円、入社半年後、使い道を考えておいてください、月収33万円、こういう広告ですね。これはなかなかいいなと思って応募をする、ところが現実はどうか。
例えばトヨタグループの子会社で、徳島県に光洋シーリングテクノという会社があります。この会社はトヨタ自動車の変速機などの潤滑油が外に漏れないようにするオイルシールを生産している。400人以上の社員と約150人の請負労働者が働いております。
この請負労働者の例でいいますと、正社員と全く同じ仕事をしている、全く同じ仕事。しかし、請負労働者の時給は1100円程度で、正社員の3分の1、年収は二百数十万。これでは、もうトヨタの車も買えないと言われている。しかも、契約期間が短いんです。3カ月という短期雇用で契約更新を繰り返す。例えば、入社以来8年間で26回も更新しているという事例があります。しかし賃金はどうか。賃金は、7年間たった1円も上がらない。午前中の答弁で総理は、同一労働同一賃金が原則だというふうにおっしゃいました。しかし、実際にはそれが踏みにじられているわけでございます。
川崎大臣にお伺いしますけれども、こういう事例というのがどんどん広がっている、そういう認識はお持ちでしょうか。
○川崎厚生労働大臣 朝も前原党首と議論いたしましたけれども、平成九年をピークに正規雇用の人数が減ってきております。一方で非正規雇用がふえてきている、これは事実でございます。
一方で、去年の11月、12月を見ますと、正社員雇用が11月は4.7%増、非正規社員雇用が4.1%減、12月が、正社員が0.3、非正規がマイナス7.8という形で、少しずつ正規雇用がやっとふえ出したのかな、こういう感を受けております。
○佐々木(憲)委員 この数字は、川崎大臣、正規雇用とおっしゃいましたけれども、政府の統計にはいろいろなものが含まれておりまして、実は、増加しているのは、統計上、一般労働者という部分で増加している。その統計をあなた方は使っておられると思うんです。それは、パート以外のすべての労働者を含むということですので、例えば、正規雇用はもちろんですが、長時間労働のアルバイトあるいは派遣社員、契約社員、こういうのが入っているんですよ。ですから、正社員がふえたかのように言いますが、統計をより正確にぜひ見ていただきたい。
私が聞いたのは、先ほど言ったように、賃金が3分の1、4分の1、それから大変雇用期間が短い、それがどんどん更新が繰り返される、そういう事態というのが全体として広がっているのではないか、そういう認識はお持ちかということを聞いたわけです。
○川崎厚生労働大臣 先ほど私が申し上げたのは、就職件数として正確な数字でございます。件数として正確なデータでございますので、もう一度御確認ください。
それから、派遣労働者の賃金につきましては、基本的に、一般労働派遣事業において約1万1000円、特定労働派遣事業において1万6000円、これを月収として試算すると、それぞれ約24万円、33万7000円となります。これを正社員と単純に比較いたしますと、正社員の平均月収は30万2000円でございますので、24万円と比較するならば、8割程度という数字になってまいります。
また一方で、有期契約労働者の処遇に関する実態調査というもので、有期労働契約者の賃金、嘱託社員、短時間のパートタイマー、長時間のパートタイマーでは、正社員の6割以上8割未満とする事業所が最も多い。また、契約社員では、正社員より水準は低いものの、8割以上とする事業所が最も多い。その一方で、正社員よりも高いとする事業所も、契約社員については7.7%、嘱託社員については3.4%、それはまさに経験を買うという形で、派遣事業でもあるということは事実でございます。しかし、総じて低いということは認めます。
○佐々木(憲)委員 総じて低いということはお認めになりましたが、先ほどの、就職の数字だというふうにおっしゃいましたけれども、就職自身もこれは大変な状況なんですよ。
今、就職の統計などを見ますと、例えば高校卒、その求人は一体どこかというと、正社員の求人というよりも、これは、派遣会社ですとか請負会社の求人が非常にふえている。それから、労働経済白書によりましても、十分な雇用機会が与えられていないから、やむを得ず非労働化しているというふうに指摘をされております。あなた方の白書がそう書いてあるわけで、この辺はしっかりと見ていただきたいと思うわけです。
さてそこで、具体的な現場の状況の調査についてお聞きしますが、東京労働局が昨年の5月30日に発表した調査報告の内容、これをお聞きします。派遣、請負、職業紹介のそれぞれの事業所数、そのうち調査した件数、それから違反行為があった件数、それを示していただきたいと思います。
○川崎厚生労働大臣 東京都内でよろしゅうございますか。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)労働派遣事業所は8593事業所、職業紹介事業所は3186事業所でございます。
平成16年度、東京労働局における指導監督の対象とした事業所は、労働派遣事業については711事業所、そして、労働派遣法違反の疑い等がある業務請負に係るものは141件、職業紹介事業については315事業所でございます。
その中で、労働派遣事業について違反のあった事業者577事業所、そのうち業務請負に係るものは108事業所、職業紹介事業について違反のあった事業所は249事業所でございます。
違反のあった事業所については、すべてを対象に是正指導を行い、改善状況を報告させております。基本的には書類不備等の問題があって、基本的には改善命令とか業務停止命令に至るものではないと承知しております。
○佐々木(憲)委員 今は実数をおっしゃいました。比率を計算いたしますとこうなるんですね。労働者派遣事業8593カ所、このうち調査をしたのが711カ所とおっしゃいました。8.2%の調査ですね。そのうち、是正指導577カ所ですから、81.2%が違反行為をしていた。8割が違反行為。それから、業務請負関係事業所は76.5%、約8割近くが違反をしていた。それから、先ほどの職業紹介所、そのうち違反をしていたのは79%、約8割であります。
どんなことが行われていたかということでありますが、文書違反というふうに先ほどおっしゃいましたが、いろんなことをやっておりまして、そんな単純なものじゃございません。例えば、建設業への派遣というのは違法であります。しかし、こういうことが行われていた。あるいは、実態は派遣なのに、請負契約を装うんですね。偽装請負というものが行われていた。派遣先から派遣先に回していく多重派遣、これは、労働局によりますと、多重派遣が常態化しているというふうに指摘をされているわけです。こういう違反行為も横行しているわけであります。
総理に率直な感想を伺います。調査をしたのは1割未満の対象の事業所でありますが、それだけでも、そのうちの8割が違反行為をしている。余りにもこれは異常だと思いませんか。
○小泉内閣総理大臣 違反行為は厳に慎まなきゃいけないと思っております。
○佐々木(憲)委員 まるでこれは無法地帯みたいな感じになっておりまして、罰則がないから野放しになっている傾向があります。
私は、原因は二つあると思うんですね。一つは、フリーターなどを集めて送り込んでいる派遣会社あるいは請負会社が、売り込み競争をどんどんやっている。
例えば私は、ここに一つの事例として、アウトソーシングセミナーという、これはコピーですけれども、こういうものを使って請負会社が売り込みに行くわけです。この中には、これは請負会社のダイテックというところなんですけれども、大変なことをやっておりまして、製造業への派遣労働というものは2004年の3月に解禁されました。しかし、これは1年しか派遣期間というのは認められておりません。これが原則になっているんですが、1年以上派遣の継続は、ですからできないわけであります。そうなるとメーカー側としては困る。そこで、形の上で3カ月だけ請負労働に切りかえる、3カ月を経過したらもとの派遣に戻す、こういうやり方をしているんです。これは大変な違法行為です。
例えばこのアウトソーシングセミナーというところの説明書を見ますと、3カ月だけ請負契約をするのは原則違法だが、法律的には違法ではないと、何かわけのわからぬことを書いております。しかし、ここぞとばかり実態調査の検査が入ってくるのは間違いない、こんなことを書いて、いわば偽装請負というのは法律違反だということを知っていながら、こんな説明をしてどんどん売り込んでいる。
川崎大臣にお伺いしますけれども、こんなやり方、1年たったら請負労働というふうに表向き切りかえて、3カ月たったら今度はまた派遣になる、こんなやり方、これは違法ではありませんか。
○川崎厚生労働大臣 御指摘にあった件を含めて、違反のあった事業所についてはきちっとした指導をしてまいりたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 派遣会社は、こういう事業所をこういうことで回りましてどういう売り込みをしているのか。自分たちの会社の者を使うと社会保険の負担が少なくて済みますよ、あるいは雇用の調整が簡単にできますよ、人件費はこれだけ低くなりますからということで売り込んでいきまして、それで正社員から非正社員への雇用の切りかえをどんどん進めているという状況なんです。
もう一つは、それを受け入れる側の大手企業の問題がある。ともかく大手企業はコスト削減で進めていきたい、安上がりの労働力を使いたい、そういうことで、例えば、東京労働局の昨年12月27日の調査でもこういう理由を挙げているんです。経費が格安なため、雇用管理の負担が軽減されるため、雇用調整が容易なため、こういう理由を挙げまして、こういう非正規雇用への切りかえを進めているわけです。大手メーカーというのは、こういう形で、いわば働く人たちの権利、働く人たちの状況よりも、ともかくコスト削減で若い人たちを物のように使う、こういうやり方をしているわけであります。
例えば、これが実態でありますけれども、製造業大手企業における派遣・請負の人数ですが、これはある派遣、請負会社の資料から作成をしました。例えば、キヤノンは4269人、日立1280人、日産2730人、これはここに書いている工場だけの話ですが。松下2313人。幾つかの請負が入っているわけです。派遣社員も入っております。こういう形で、いわば名立たる大手企業がこういう切りかえを進めているというのが実態であります。
昨年9月に発表されました厚労省の派遣労働者実態調査というのがあります。それによりますと、請負労働者がいる事業所というのは大手ほど多いんです。30人以上100人未満のところは22%、100人から500人のところは53%、500人以上のところは79%が請負労働者を使っている。つまり、大手企業ほど請負労働者をたくさん使っている。そのために大変利益が上がっているわけであります。
働く方々の報酬は、この青い線ですけれども、これはどんどん下がりますが、大企業の経常利益の方を見ますと、ずっと上がっているわけです。いわば、派遣労働、請負労働、パート、アルバイト、フリーター、そういうところにどんどん切りかえることによって、これだけの、いわばバブルの時代の2倍という大変な水準の利益を上げている。
川崎大臣にお聞きしますけれども、この大企業の雇用政策、企業側のこういう雇用政策によって、先ほど言ったように賃金の低い非正社員がふえてきている、こういう傾向は確認できると思いますが、いかがでしょうか。
○川崎厚生労働大臣 先ほど全体的な数字は申し上げました。いずれにせよ、基幹的役割を果たすパートタイム労働者が増加する中で、その処遇が働きに見合ったものになっていない場合もある、これは御指摘のとおりでございます。
これまでも、パートタイム労働指針に基づき、賃金などの処遇について正社員との均衡を図ることを事業主に促してきたところでありますが、ことしも、連合の中でも大きな議論になっておると承知いたしております。
また、中小企業におきましては、新たにパートタイム労働者の評価、資格制度などを整備した事業主に助成金を支給など、均衡処遇に取り組む事業主への支援を強化したいということで、いずれにいたしましても、だんだん正規雇用というものがふえていくような対策を打っていかなきゃならぬ。
ハローワークでも、基本的に事業主に対しまして、もう非正規雇用ではなかなかこの職種はありませんよ、正規雇用という形で出してくださいという要請をしたり、また、仕事をしたいという人たちにも、職業訓練等を通じながら能力をつけていただいて、正規雇用を目指していただくというような形の指導をしながら、ハローワークでも、25万人の正規雇用への転換というのをことしの大きな目標とさせていただいております。
○佐々木(憲)委員 私は今、派遣会社、請負会社の側の問題点、それから、大手企業の側のコスト削減、リストラ推進を第一主義に進めているやり方の問題点、これを指摘しました。
しかし、もう一つ重大な問題があると思います。それは政府の雇用政策の問題であります。
これまで政府が進めてきた労働分野の規制緩和、これは、例えば労働者派遣の自由化であるとか、あるいは民間有料職業紹介事業所の事業の自由化ですとか、2003年には、労働基準法の改正によりまして、期限のある労働契約を延長する、あるいは2004年の製造業への労働者派遣の解禁、こういうことをどんどん進めてきたのが小泉内閣でありました。しかも、このやり方は、財界側の代表がここに入ってきて、例えば規制改革・民間開放推進会議、この中心になっている人は財界の代表でありますし、そこには労働者の代表が入っているか、組合の代表は入っていないんです。
そういうやり方で、いわば企業によって都合のいい仕組みをつくってきたというのが現状ではないか。その結果、正社員から非正社員への置きかえが進んでいく、若者の非正社員化が進む、こういう事態を招いたのじゃないか。
総理にお伺いしますけれども、政府の政策に大きな原因の一つがある、そのようには思いませんか。
○小泉内閣総理大臣 全体的に言って政府の政策は、妥当な、正しかったと思っております。
今、正社員とパート労働者のことを言われていますけれども、確かに、平成14年には、正社員がどんどん減ってパート労働者がどんどんふえる傾向があったんですけれども、最近では、正社員の方がふえてきてパート労働者が減っているというのが、実際の統計で出ております。
また、ピーク時に失業率がたしか5.5%だったかな、あのとき、このまま小泉改革を進めていけば失業者は2けたになるとか、どんどん倒産件数がふえると言われていましたけれども、結果的には、失業率は現在4.5%ぐらいですか……(発言する者あり)4.4、減ってきているし、倒産件数も減ってきている。就業者数もふえてきているし、有効求人倍率はもう1になってきた。そして、むしろ正規社員がふえて、最近はパート労働者が減ってきているという傾向を見ると、日本は、ドイツとかフランスのように失業率が2けたにならないで済んだ。これはやはり、かなり柔軟性を持った労働環境を整備してきたからじゃないかという評価も受けているんですよ。
こういう点もやはり、悪い点ばかりじゃなくて、見ていく必要があるんじゃないかなと思っております。
○佐々木(憲)委員 その数字がこれは実態を反映していないんです。パートだけを切り離して言われましたね。パート以外のを全部正社員というふうに言っていますが、これは統計上は一般労働者という統計なんです。だから、非正社員も含めた部分は、全体としてその計算でいけばふえる形になっているわけです。統計のとり方にごまかしがある。実際に総務省の労働力調査、これによりますと、昨年の一番新しい数字で、7―9月期の正社員数は3372万人で前年比から減少しておりますし、パートや派遣など非正規労働者は1650万人と過去最高を更新しているんです。ですから、政府の統計もより正確にぜひ見ていただきたい。
それから、非正規労働者の比率はこういう形でどんどんふえておりまして、例えば有効求人倍率の問題を言いましたが、この中でふえているのは非正規雇用なんです。ですから、やはり労働条件というのは決して改善されていない、むしろ悪化している。それを進めてきたのが、政府の政策に大きな原因がある、私はその点を指摘しているわけであります。
非正規社員になったら正規社員になれるというのは、簡単にはいかないんです。ほとんど困難なんです。総理はそういう現実の深刻な実態というのはやはり御存じないのではないか。私は、こういう点で、今のこれまで進めてきた労働法制の規制緩和路線というのはやはり根本的に転換しないと、日本の将来にとって大変な状況になる、雇用不安が蔓延する、しかも違法が蔓延する、この点をぜひよく検討していただきたいというふうに思います。
さて次に、防衛施設庁の談合事件についてお聞きをしたい。
防衛施設庁というのは、防衛庁長官の指揮のもとに、自衛隊と在日米軍が使用する施設、この建設、管理を行っているわけですが、年間予算約5000億円、半分が思いやり予算という名前で、条約上の義務がないのに、米軍基地のために投入されております。
今回逮捕された技術審議官というのは、長官、次官に次ぐナンバースリー。その手口は、防衛施設庁が受注予定業者を決めた配分表をつくって、OBの天下りの受け入れが多いか少ないかで判断して、その実績に従って工事を割り振る、本当にとんでもない話であります。
発端は中央病院などの空調設備工事ですけれども、それ以外にも今指摘されております。岩国ですとか佐世保ですとか談合の疑いがある。現に捜査が入っております。それ以外に一切ない、今問題になっているこれ以外には一切ないということは言えるんでしょうか。
○額賀防衛庁長官 今御指摘のように、防衛施設庁における幹部3人が逮捕されまして、競売入札妨害という容疑で捜査を受けているわけでありまして、これについては、我々も全面協力をして、事件が一日でも早い全容解明になることを期待しております。新聞等でいろいろ騒がれておったりしております。恐らく、事件としては東京地検で全容が解明されていくものと思っております。
我々としても、御指摘のように、天下りとか談合とか、長年これは我々が苦しんできた問題でありますから、再びこういうことが起こることがないように、防衛施設庁の中で調査委員会をつくりまして、そして行政上、組織上の問題がないか、そしてまた、捜査を妨害しない範囲で、そういう事案があれば、あるかないか等も含めまして調査をしたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 これまでこの予算委員会では、米軍施設についての落札率などが問題になってまいりました。落札率というのは、発注者の側の予定価格に対して実際に落札した価格の比率ですけれども、私は、きょうは、自衛隊の、つまり米軍ではなくて、自衛隊側の施設の落札の実態について指摘したいと思うんです。
ここに一覧表があります。この一覧表をグラフにいたしますと、こういう状況なんです。自衛隊基地における1億円以上の工事契約をとってみますと、落札率が95%以上、7割が非常に高い比率なんです。これは裏が何かあるというふうに思うのは当たり前であります。落札率90%以上をとりますと9割ですよ。普通こんなことは考えられないんです。
例えば公取が、平成8年から平成15年3月の間、入札談合についての排除勧告あるいは課徴金の納付命令を出した事案があります。談合が排除された後の落札価格というのは18.6%下がっているんです。つまり、談合で約2割ぐらい価格がつり上がっていた。落札率で大体95%を超えるなんというのは、ほぼそれだけでも談合の疑いがあると言われているんです。実際に、逮捕された前のこの審議官が、全国の建設土木工事で官製談合が行われていたという供述をしていたと。
米軍も自衛隊も、先ほど、何か問題があったら調査中だがと言いました。洗いざらい調査して、この予算委員会にすべて結果を報告する、ぜひこれを約束してください。
○額賀防衛庁長官 事件としての捜査は東京地検が行っておりまして、行政上、組織上の問題は、どこに矛盾点があるのか、問題点があるのかをえぐり出すためにヒアリングをしたり、OBの方々にも意見を聞いたりして調査をしているところでございます。
この問題については、我々は、再発防止のためにどういう対応をしていくかが目的でやっていることでございますから、そういう目的に沿った話については、皆さん方にも公表いたしまして議論をさせていただきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 すべて調査をし実態を公表される、この委員会に報告されるということを要望して、質問を終わりたいと思います。
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