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税制(庶民増税・徴税), 金権・腐敗政治 (定率減税の廃止, 天下り)

2006年02月27日 第164回 通常国会 財務金融委員会 【338】 - 質問

「定率減税の廃止」自民党の公約違反を追及/「国税OB税理士への顧問先斡旋」天下り問題を追及

 2006年2月27日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、所得税の「定率減税」全廃法案について谷垣財務大臣らに質問しました。

 提案されている法案には、個人所得課税について「定率減税の廃止」が盛り込まれています。
 これは、今年1月から「定率減税の縮減」により半分実施されたのに続いて、来年1月から残りすべてを廃止するというものです。
 自営業者やサラリ−マンなども含むすべての所得税納税者が、増税の対象になります。
 そのうち、サラリーマンは86.9%を占めています。中心は、サラリーマン世帯です。
 05年6月21日に政府税制調査会が出した「個人所得課税に関する論点整理」という報告では、まず最初に「個人所得課税の抜本的見直し」として、「平成18年度においては、定率減税を廃止する」と書いています。そのうえで、給与所得控除など各種控除を見直すことが検討されています。
 今回の「定率減税」廃止法案は、この政府税調の考え方にそって出されたものです。
 佐々木議員は、「定率減税の全廃」でどれだけの増税になるかという試算を示しました。
 夫婦子ども2人の4人世帯のばあい、年収500万円で3万5000円、年収700万円で8万2000円の増税になり、独身の場合、年収500万円で7万6000円、年収700万円で13万5000円の増税です。
 05年夏の総選挙で、自民党は「選挙公約」(マニフェスト)で「『サラリーマン増税』を行うとの政府税調の考え方はとらない」と述べていました。
 しかも自民党は、「政府税調のサラリーマン増税ありきを自民党は『許さない!』 武部幹事長 政府税調を強く批判」とホームページに掲載しています。
 これには、「6月21日に政府の税制調査会が発表した『論点整理』について、武部幹事長は『サラリーマン増税なんて安易に許さない』と、政府税調を強く批判しました」と書いています。
 さらに、「武部幹事長は『これはあくまで論点整理であって、党税調がしっかり対応します』とし、自民党の税制調査会で税制改革の議論を行い、政府税調の論点整理どおりの『サラリーマン増税ありき』を否定しました」。
 そのうえ「同幹事長は『誠に私も遺憾なことだと思っています。私から財務省に厳しく注意しました』としたうえで、『いずれにしても新聞の見出しだけを見て判断しますから、「サラリーマンの増税路線」という見出しが出ましたが、そういうことではありません』と明確に否定しています」と書いています。
 佐々木議員は、「今度の法案は、自民党・幹事長が主張していたことと、まったく違うことをやろうとしている。これは、明確な公約違反だ」と批判。
 最後に、佐々木議員は、「そのうえ、消費税の大増税をねらっている。とんでもないことだ。こんな庶民の生活を直撃する税体系を認めるわけにはいかない」と主張しました。



 引き続いて、佐々木憲昭議員は、国税庁による国税OB税理士への顧問先斡旋問題について質問しました。
 国税OB税理士とは、23年以上税務署に勤務して研修を受けて、資格を取得した税理士のことです。
 税理士には、「試験組」と「OB組」の2種類あるといわれています。
 全国の約6万8642人の税理士のうち、OB税理士の割合は、約2万2945人、3分の1を占めています。
 退職して税理士を開業することは自由です。
 しかし問題なのは、OB税理士のなかでも「指定官職」と呼ばれる税務署の正副署長以上、地方国税局の調査部長、局長のが税理士になる時です。
 これらの幹部が退職するさい、各国税局の人事課がわざわざ顧問先企業を組織的に紹介する仕組みがあります。
 佐々木議員は、たとえば、05年7月の退職者に対して各国税局等がどのように税理士顧問先のあっせんをしているかを質問。
 あっせんをした退職職員は、359名で、1人あたりのあっせん企業数10.9件、1人あたりの平均月額報酬66万円ということが、明らかになりました。
 また、東京税理士会の調査によると、あっせん・予約の申し入れがあったのは、「税務調査をきっかけとして、その前後に申し入れ等が顧問先にあった」というものが17.4%もあります。
 佐々木議員は、「税務調査をきっかけに申し入れるとなると、まさに押しつけであり権力の乱用だ」と批判。
 しかも、2年経ったらその企業に次のOB税理士を送り込むというやり方をしていることも明らかになりました。
 佐々木議員は、「現在、確定申告の真っ最中で、中小企業は、大変な思いをしている。その一方で、国税局が組織的にあっせんを行いOB税理士1人で何百万円という報酬をもらっている。こんなやり方は、直ちにやめるべきだ」と主張。
 佐々木議員の質問に対して、谷垣財務大臣は「国民の疑惑を受けないよう、そのつど見直しをする」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 提案されている法案は、個人所得課税について定率減税の廃止というものが盛り込まれております。これは、ことし1月から半分実施されたのに続いて、来年1月から残りすべてを廃止するというものだと思うんです。
 まず、半減と廃止を含めまして、定率減税をすべてなくすということによりまして、所得税、住民税合わせて何兆円の増税になるか、数字を教えていただきたい。
○福田 政府参考人(財務省主税局長) 定率減税の廃止によります増収額でございますが、国の方では、先生御指摘のように、定率減税の縮減と廃止合わせた場合の増収額を平年度では2兆6000億と見込んでおります。地方税につきましては、私ども、合わせて8000億円強というふうに伺っております。
 したがいまして、両者合わせますと3兆4000億程度になろうかと存じます。
○佐々木(憲)委員 これだけの大変大きな増税なんですけれども、自営業者やサラリーマンも含むすべての所得税納税者が増税の対象になるわけですね。そのうちのサラリーマン、何%を占めているでしょうか。
○福田 政府参考人(財務省主税局長) 定率減税の縮減、廃止によります負担増となりますのは納税者全員でございますので、その人数が約4800万人程度と見込んでおります。
 そのうち、いわゆるサラリーマンでございますけれども、給与所得者が約4千2、3百万程度というふうに見込んでおります。
○佐々木(憲)委員 給与所得者のうち源泉分の人数は4170万人、これは16年度の実績推計と聞いていますけれども、そうしますと、86.9%という、単純に計算しますと、大変ある意味ではサラリーマン中心に増税ということになるわけであります。
 昨年6月21日に政府税制調査会が出した個人所得課税に関する論点整理というものがございます。ここでは、まず最初に「個人所得課税の抜本的見直し」ということで、こういうふうに書いてあるんですね。「平成18年度においては、定率減税を廃止するとともに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行う必要がある。」このように書いております。
 その上でいろいろな控除を見直すと書いているんですけれども、まず、谷垣大臣にお聞きしますが、今回の定率減税の廃止というこの法案は、政府税調の考え方に沿って出されているということだと思いますが、そのとおりですよね。
○谷垣 財務大臣 今おっしゃったのは、昨年6月の中間報告ですね。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)
 これは、所得税に関する中長期的ないろいろな課題を論点を整理していただいたものでございますが、当然、その中にも含まれていたというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 さて、そこで大臣にお聞きしますけれども、こういうサラリーマン増税をしないというのは、自民党の政策に書いてあったのではありませんか。
○谷垣 財務大臣 取りやすいところから取る、サラリーマンをねらい撃ちするような税制はやらない、ちょっと正確な表現がそのとおりであったかどうか、今手元にございませんが、そういう趣旨を自民党の公約には掲げていたというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 取りやすいところから取るサラリーマン増税のようなことはしないというふうに今おっしゃいました。
 しかし、今度出された法案は、サラリーマンが八、九割でありまして、まさに取りやすいところから取るサラリーマン増税、こういうことになっているんじゃありませんか。
 自民党のマニフェスト、これは昨年の夏に出されたものですが、その中で、何が書いてあるかというと、「所得税については、所得が捕捉しやすい「サラリーマン増税」を行うとの政府税調の考え方はとらない。」こう書いてあります。
 それから、お配りした資料の2枚目を見ていただきますと、武部幹事長は、「政府税調のサラリーマン増税ありきを自民党は「許さない!」」内容を見ますと、「6月21日に政府の税制調査会が発表した「論点整理」について、武部勤幹事長は「サラリーマン増税なんて安易に許さない」と、政府税調を強く批判しました。」「武部幹事長は「これはあくまで論点整理であって、党税調がしっかり対応します」とし、自民党の税制調査会で税制改革の議論を行い、政府税調の論点整理どおりの「サラリーマン増税ありき」を否定しました。 同幹事長は「誠に私も遺憾なことだと思っています。私からは財務省に厳しく注意しました」とした上で、「いずれにしても新聞の見出しだけを見て判断しますから、「サラリーマンの増税路線」という見出しが出ましたが、そういうことではありません」と明確に否定しています。」と書いている。
 これは、結局、この考え方、自民党のマニフェストと、現在出されているサラリーマン増税のこの法案というのは全く逆のものでありまして、これは公約違反じゃありませんか。
○谷垣 財務大臣 昨年の6月の中間報告を読んでいただきますと、定率減税についての言及とそのほかの控除等々についての見直しというのはかなりウエートを分けて書いてありまして、これを全部一括して、この政府税調の中間方針が全部サラリーマン増税を議論したものであるかのごとき今御議論でしたけれども、それはちょっと違うんだろうというふうに思います。
 それから、今いろいろ佐々木委員おっしゃいましたけれども、この定率減税というものは、先ほど吉田委員にもお答えをいたしましたけれども、当時の経済状況を何とか支えたいということでやりまして、景気の情勢がよくなってきたらもとに戻す、こういうことであったというふうに私は考えているわけであります。
 それから、この対象は、サラリーマンだけを対象としたものではありませんで、自営業者とすべての所得税納税者が対象になってくるわけでございまして、決してサラリーマンだけを対象としたものではない。だから、サラリーマン増税であるという規定の仕方は私は間違っていると思います。
 ということは、さっき80何%とかなんとかいうような御議論がございましたけれども、やはりサラリーマンの数はそれだけ日本社会の現実において多うございますから、今のような御議論ですと、結局、所得税で何らかの増収策を考えるということになりますと、全部サラリーマン増税だということになっては、なかなかこの税制というものはさわりようがないということになってくるのではないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 全く反論になっていないですよ。
 この政府税調の6月21日の論点整理の一番最初に、「平成18年度においては、定率減税を廃止する」と明確に最初に書いてあるわけで、このような考え方、もちろんそのほかにも各種の控除の縮減と書いています、それだって増税なんですから、このような考え方はとりませんというのが自民党の政策なんですよ。しかも、武部幹事長は政府税調を強く批判した。まさにサラリーマン増税という方針を、自民党の政策でこれを批判し、そういうことはやらないんですというのが選挙政策だったんです。選挙が終わってから、いや、増税は、サラリーマンが所得税をみんな払っているんだからサラリーマンに行くのは当たり前みたいな、そんなことは通用しないんじゃありませんか。それであれば、この自民党のマニフェストというのは国民だましだったということになるんじゃありませんか。
○谷垣 財務大臣 それは、6月の論点整理のお読みになり方が若干違っているんだろうと思います。
 確かに、一番最初の序文のところに定率減税についても……(佐々木(憲)委員「序文じゃない」と呼ぶ)一番最初の出だしのところに、「平成18年度においては、定率減税を廃止するとともに、」といって、そこに定率減税という言葉が確かに出てまいりますが、その後は、ずっとたくさんページがございますけれども、全部、これから社会経済構造の変化あるいは仕事の仕方の違い、家庭のあり方の違い等々から見て控除をどう見直していくかということがこの後に書いてあることでございまして、定率減税はそこのところにさっと触れられている。
 したがいまして、これをもとにサラリーマン増税はやらないということを言った場合には、定率減税が含まれていたというふうには私は考えておりません。
○佐々木(憲)委員 そんなのはへ理屈でありまして、政府税調が出したサラリーマンを中心とする増税、それを強く批判したんですよ。やらないと言ったんです。
 では、武部幹事長がやらないと言ったのは何をやらないと言ったんですか。
○谷垣 財務大臣 サラリーマンだけをねらい撃ちするようなサラリーマン増税はやらないという御趣旨であったというふうに私は理解しております。
○佐々木(憲)委員 サラリーマンが9割、この増税によって直撃されるわけです。サラリーマン増税じゃありませんか。サラリーマン以外が1割2割あるからといって、サラリーマン増税に間違いがないでしょう。そういうへ理屈でこの公約違反を合理化しようとしたってだめですよ、それは。全然理屈が通っていない。これは、この公約違反ということはもうだれが見てもはっきりしている。
 定率減税の全廃でどれだけ増税になるか。夫婦子供2人の4人世帯の場合で、年収500万円と700万円についてそれぞれ増税額を述べていただきたい。または、独身の世帯はどうなりますか。
○福田 政府参考人(財務省主税局長) 定率減税の縮減、廃止によります税負担の具体的な金額といたしましては、御質問の、給与収入500万円の夫婦子2人世帯においては約3.5万円の増、同じく給与収入500万円の独身世帯においては約7.6万円の増となると見込んでおります。700万につきましては、夫婦子2人の場合が8.2万円、独身が13.5万円でございます。
 いずれも、一定の前提を置いて計算いたしますと、今申し上げましたような数字になります。
○佐々木(憲)委員 相当の増税なんです。年収500万で3万5千円、独身の場合は7万6千円です。年収700万円の場合8万2千円、これは4人家族。独身の場合13万5千円ですから。まさに大増税なんですよ。サラリーマンを直撃するこういう公約違反の増税路線というのはとんでもないということを言っておきたいと思います。
 次に聞きたいのは、所得の再分配機能であります。
 政府税調が平成14年、2002年6月に提出したあるべき税制の構築に向けた基本方針というのがありますが、それにはこう書いてあるんですね。「昭和62・63年の抜本的税制改革や平成6年の税制改革等を通じて、個人所得課税の税率構造の累進緩和等が図られ、負担水準が極めて低いものとなった結果、個人所得課税の所得再分配機能は限られたものとなっている。」こう指摘をしているわけです。つまり、累進性の緩和によって、税による所得再分配機能というのは弱まってきているということであります。
 谷垣大臣の認識も同様かどうか、お伺いしたいと思います。
○谷垣 財務大臣 確かに、所得税は累次の減税等によりまして、基幹税として国の財政を支えていく力が確かに落ちてきているということも事実でございますし、いろいろな税目の中で所得税というのは所得再分配機能というものがつけやすい税制でございますから、所得税全体がやせ細っていくということは、同時に今おっしゃったようなことも意味する面があるというふうに考えております。
 ただ、所得再分配はやはり税全体で考えていただく、それにさらには、いろいろな歳出面もあわせて、社会保障等の所得再分配もあわせて考えていただくべきことと考えております。
○佐々木(憲)委員 税の所得再分配機能というのが弱まっているということをお認めになったわけです。
 国際的な水準も確かめておきたいんですが、日本の所得税、国税の課税最低限ですね、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスと比べてどのような水準になっているか示していただきたいと思います。
○竹本 財務副大臣 我が国の課税最低限でございますが、平成13年においては主要国中最も高い水準でありましたけれども、平成16年以降は主要国中最も低い水準となっております。
 具体的に申し上げますと、2001年と2006年の比較をします。ドイツは、2001年、327万余であったものが508万余に変わっております。フランスは、262万余であったものが410万余になっています。アメリカは、243万であったのが378万。イギリスは、69万余であったのが376万余。日本は、384.2万円だったのが325.0万円に変わっております。
 この理由でございますが、我が国では、平成15年度改正におきまして、経済社会の構造変化に対応いたしました人的控除の簡素化を図る観点から、配偶者特別控除の上乗せ部分を廃止いたしました。また、他方、主要諸外国におきましては、児童を対象とした税額控除等が拡充されてきております。
 それから、さらに考えなきゃならないのは、2001年以降の為替変動によりまして、円建てで見た諸外国の課税最低限が上昇いたしております。こういった事情がありますことをお含みおきいただきたいと思います。
 ちょっとわかりやすい例でございますが、例えば、この間、ポンドは159円から201円に変わっておりますし、ユーロに至りましては平均97円だったのが137円に変わっております。そういう状況もございます。
○佐々木(憲)委員 日本は、今御紹介がありましたように、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスと比べて一番低い水準になっているわけです。今ありましたように、人的控除の一定部分を簡素化したと。だから下がったわけですよね。それから、ほかの国では、児童関係、少子化対策ということで一定の措置が行われている。そういうことを考えますと、日本の所得再分配機能というのは国際的にも低くなっており、非常に課税最低限が低いところにあるということであります。
 そのため、政府税調の2002年6月の、あるべき税制の構築に向けた基本方針というものの中に、こう書いてあるわけです。今後、「これ以上の所得再分配機能を弱める方向での個人所得課税の見直しには慎重であるべきである。」
 谷垣大臣はどのような認識でしょうか。
○谷垣 財務大臣 所得税について、今まで政府税調で、今委員がおっしゃったような議論が行われてきました。私もその議論は十分踏まえていかなければならないと思っております。
 ただ、この議論をさせていただく場合には、先ほどもちょっと申し上げたわけですが、社会保障等々とどう組み合わせていくかということも同時に考えなければならない問題でございまして、先ほど委員がお引きになりました、税の所得再分配機能が落ちているという御指摘、あれはたしか内閣府で出されたものだったと思いますが、同時にあそこには、社会保障の再分配機能は上がってきているという指摘もあるわけでございまして、そこらをどう考えていくかという問題があろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 社会保障の再分配機能は、上がっているというよりも、むしろ最近は下がっているわけです。
 これは、社会保障というものが存在しているということによって一定の再配分機能というものがあるわけだけれども、それを本当に機能させるかどうかということになりますと、社会保障の充実というものを図らなければならぬわけですが、現実にやっていることは、年金も介護も医療も国民負担はどんどんふえていくということを同時にやっているわけで、両方とも再分配機能を弱めていると言わざるを得ないと私は思うんです。
 この控除の問題ですけれども、6月の税調の報告書では、給与所得控除ですとか配偶者控除、特定扶養控除、廃止、縮小というような方向を打ち出しておりますが、石会長によりますと、今後四、五年かけて検討を進めるというわけでありますが、これが実際に縮小の方向に行きますと、さらに大幅なサラリーマン増税ということになるわけです。
 そこでお聞きしますけれども、仮に、妻が専業主婦の夫婦子供2人の4人家族のサラリーマン世帯で、給与所得控除を半分に縮小し、配偶者控除、扶養控除を廃止した場合、幾らの増税になるか。年収500万、700万の場合、お答えをいただきたい。
○福田 政府参考人(財務省主税局長) 申しわけございませんが、今、計数をちょっと持ち合わせていませんので、至急調べましてお答え申し上げます。
○佐々木(憲)委員 我々の試算によりますと、年収500万の場合になりますと38.5万円の増税なんです。500万円で38.5万円、40万近い増税なんですから。700万円の場合には60.7万円の増税。
 ですから、これだけ増税に、定率減税の廃止のほかにこういうことが行われるというのが、まさに各種控除の縮減という方向なんですよ。これは大変な衝撃でありまして、課税最低限を一層下げる方向に作用する、慎重であるべきだというのが税調の考えではあるんですけれども、しかし、これが行われれば所得再分配機能が弱体化するということははっきり言えると思うんですけれども、谷垣大臣、いかがでしょうか。
○谷垣 財務大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、税と社会保障等々あわせて所得再分配機能をどうしていくかということを考えていかなければいけないんだろうと思います。
○佐々木(憲)委員 では、逆に聞きますけれども、社会保障はどういうふうに充実させるんでしょうか。
○谷垣 財務大臣 これこそ今、歳出歳入一体改革である程度選択肢を示して議論していただきたいという背景にある問題意識でございまして、やはりこれから少子高齢化で、どうしても社会保障負担はふえてまいりますから、それを安定的に支える負担はどういうことかという議論をしていかなければ、社会保障自体が持続可能なものにならないんだろうと思います。
○佐々木(憲)委員 今検討されているのは、安定的にその制度を維持するという理由で、負担をふやし給付を削減するという方向がどんどんどんどん進んでいるんじゃありませんか。社会保障をより充実させていく、再分配機能を強めるという方向には、全く今検討の対象にさえなっていないんじゃありませんか。それで社会保障は何とかするからというのは、それは全然理由にならないと思いますよ。
 一方で、ホリエモンのような、株転がしで巨額の利益を上げても税金は軽い。この間、株式譲渡課税等による税収は激減しております。平成11年の5088億円から、15年の1394億円。本当に、こういう株転がしでもうけるところは減税をする、あるいは所得税の高額所得者の最高税率は下げられたまま、さらに法人税は減税が続いている。しかもその理由は、あるべき税制の先取りだからだと。
 そうなると、結局、政府が目指しているあるべき税制というのは、庶民に対してはどんどん負担は重くするが、大きな会社の税金、あるいは高額所得者、あるいは金転がしで利益を上げる、そういう部分だけはどんどん減税は続けていく、本当にこれは税制として全くゆがんでいると私は思います。こういうやり方というのは根本的に見直すべきだというふうに私は思います。
 あるべき税制というものをこれから明確にしていくというわけですけれども、どうも今の路線を見ますと、私が今指摘したような方向にしか動いていないように見えますけれども、そうじゃないんでしょうか。
○谷垣 財務大臣 あるべき税制という言葉は、それだけではまだ何も語っていないに等しいわけでございまして、どうあるべきかということは、一つは少子高齢化、さらには人口減ということを我が社会はこれから直面して、現に直面しているわけでございます、それにどう対応していくか。それから、非常に競争もグローバル化されて、かつての社会主義国が市場経済に参入している、あるいはBRICs等の国も非常に発展をしている中で、我が国の存在感をきちっと高めていくためにはどうしたらいいか、それに見合う税制を考えていくという問題意識だろうと私は思っております。
 そのためにどういうことを考えていかなきゃいけないかというのはたくさんございますけれども、4つぐらい整理いたしますと、1つは、税制というものが、個人や企業の自由な選択、こういうことをやって頑張っていこうというものをゆがめることであってはならないということだろうと思います。経済活動に対して中立的でゆがみのない税制をつくって、構造改革も進め、それから経済社会の活性化というものもねらっていかなきゃならないというのが第一だろうと思います。
 それから2番目は、世の中が変わってまいりますと、税負担のゆがみとか不公平感が出てまいりますから、それを取り除くような措置を考えていく必要があるだろうということだろうと思います。
 それから3番目には、余り複雑でわかりにくい税制はよくないので、わかりやすい簡素な税制をつくっていこうということかなと思います。
 それから4番目は、先ほどから所得再分配機能というようなことを御指摘でございますが、それぞれ税は得意不得意のところがございますので、資産、所得、法人それから消費、バランスのとれた税制度をつくっていくような必要があるだろう、そういうことを通じて社会保障等々必要な公的サービスの基盤を支える安定的な税収構造をつくっていく必要があるだろう、こういうような四つぐらいの観点を踏まえて今後議論を進める必要があろうというふうに思っているわけであります。
○佐々木(憲)委員 今、現実に検討をされている内容を見ますと、庶民には減税ということは出てこないわけです。消費税についてもこれからは増税だ、あるいは、所得税についても課税最低限をさらに下げていく、社会保障というものを見ましても、社会保障そのものの改善という方向が見えてこないですよ。財源が必要だというなら、もっと別な方向があるんじゃないか、我々は提案をしておりますけれども、どうも政府がやろうとしていることは、強きを助け弱きをくじくという、先ほどもお話ありましたけれども、本当に庶民から見ると、どうして力の強いところばかり助けるのか、一番弱いところを助けるのが政治じゃないのか、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。私は、このような庶民生活直撃の税体系は抜本的に改める必要があるということを申し上げておきたいと思います。
 さて、次に、天下り問題ですけれども、谷垣大臣にお聞きしますけれども、国税OB税理士というのは何でしょうか。
○谷垣 財務大臣 国税庁で実務を長くやっておりますと税理士の資格を得られるという制度がございますので、恐らくそのことをおっしゃっているんだろうと思います。
○佐々木(憲)委員 端的に言うと、23年以上税務署に勤務して、研修を受けますと、税理士の資格が取得できるというものでありまして、税理士の中には、試験組とOB組という2種類あるというんですね。
 試験組は、大変な苦労をして税理士試験に合格して税理士になる方々でありますが、OB組というのは、国税庁で一定の年限を経過いたしますと自動的にその資格が取れる、研修もそんなに難しくはない、ほとんどの方々が取れる、こういう非常に落差があるわけであります。
 さてそこで、税理士の中でOB税理士の割合、これはどのぐらいありますか。
○石井 政府参考人(国税庁次長) お答えいたします。
 平成17年3月31日現在でございますが、税理士登録をしている方々が6万8642人おられますが、元国税職員がその中には2万2343名おります。割合で申しますと32.6%でございます。
○佐々木(憲)委員 3分の1がOB税理士と言われる方々であります。
 私は、国税庁を退職して税理士を開業する、これ自体を問題にしているのではありません。問題は、このOB税理士の中でも、指定官職と呼ばれる税務署の署長ですとか、あるいは副署長以上、それから地方国税局の調査部長、局長に至る幹部が退職する際に、各国税局の人事課がわざわざ顧問先を紹介する、つまりお客さんを紹介して、これも組織的に紹介できる仕組みがあるということだそうでありますが、こういう仕組みがあることは、大臣、事実ですか。
○谷垣 財務大臣 そうです。
○佐々木(憲)委員 私は、これは大変異常な仕組みだと思うんですよ。
 昨年七月の退職者に対して、各国税局等がどのように税理士顧問先のあっせんをしているか数字をお聞きしたいんですが、あっせんを行った退職職員の数、1人当たりのあっせん企業数、平均月額報酬を示していただきたい。それから、あっせん件数、10件以下、20件以下、30件以下、それぞれの人数を示していただきたい。
○石井 政府参考人(国税庁次長) お答え申し上げます。
 昨年7月の退職者に関して申し上げますが、あっせんを行った者は359名でございます。1人当たりの平均あっせん企業件数、これは10.9件でございます。月額の平均の顧問料は66万円ということになっております。
 それから、今先生がおっしゃられました分布でございますが、1件から10件程度あっせんいたした者が171名、11件から20件あっせんした者が173名、20件を超える者が15名ということになっております。
○佐々木(憲)委員 そうすると、退職職員1人当たりの平均年額報酬は、66万円というわけですから、12カ月掛けますと792万円で、約800万。退職職員すべての年額報酬が、792万円ですから、359人ですから359人分掛けますと、28億4328万円ということになる。あっせん件数20数件の税理士もいるということですから、年額報酬が1千万を超える人もいる。
 これは驚くべき数字で、これは、一定年限たって、23年たちますと自動的に税理士資格が手に入って、そして、高級官僚の場合は、自動的に、組織的に、あなたはこの企業とこの企業をお客さん紹介しておきますよ、20件も30件もこうやって紹介される。それで年間1千万も懐に入る、こういう仕掛けというのは果たして正常なんだろうか。年間約4千件近い企業をあっせんしているわけです。その努力というのは、労力は相当なものですね、エネルギーは。
 では、その企業をどうやって見つけるんですか。
○石井 政府参考人(国税庁次長) お答えいたします。
 あっせんを行う場合の顧問先企業でございますが、これは従来からあっせんを行っております企業のまず意向打診を行いまして、顧問税理士さんの交代要請があった企業につきましてはあっせんを行うということを基本といたしております。当局から、新規に、能動的に企業を開拓するということは行っておりませんが、新たな企業から、先方からあっせんの要請がございました場合には、その企業の具体的なニーズ等を把握いたしました上で、個別に対応をしております。
○佐々木(憲)委員 従来の企業から交代の要請があった場合といいますけれども、大体これは、要請は企業からではなくて、国税局が、2年たちましたからそろそろどうですか、こういうことをやっているんじゃないですか。
○石井 政府参考人(国税庁次長) 今私申し上げましたのは、従来からあっせんを私どもが行っている企業について、その意向を私どもから打診を行いまして、交代要請がありましたときにはそれに応じておる、おおむね2年ぐらいということになっております。
○佐々木(憲)委員 要するに、2年たったら、次を送り込みますからどうでしょうかということで、2年ごとに交代しているというやり方をしているわけですね。大体2年というのが平均だと思いますけれども、その比率はどのくらいあるんでしょうか。
○石井 政府参考人(国税庁次長) ちょっと今具体的な計数を持ち合わせておりません。
○佐々木(憲)委員 私は東京税理士会の資料を見ておりますけれども、大体2年というのが7割であります。つまり、2年間たちますと、そろそろ交代をいたしますよと。何でそんなことをやる必要があるんですか。
 しかも、東京税理士会の調査で、あっせん、予約の申し入れがあったときの状況について税理士に聞いているんですが、それによりますと、税務調査をきっかけとしてその前後に申し入れ等が顧問先にあったというのが17.4%もあるんですよ。
 大臣、これは、税務調査をきっかけに、顧問としていかがですか、こういう申し入れをするというのは、押しつけじゃないんでしょうか。権力の濫用にならないでしょうか。
○谷垣 財務大臣 この制度は、税務署職員が在職中職務に専念できるようにということでやってきたものでございます。ただ、今まで、この制度の運用に当たりましてはいろいろな批判もございました。納税者から疑惑や批判を招かないような運用をしていくということは、これは今後とも努めなきゃならないことだろうと思っております。
○佐々木(憲)委員 在職中に職務に専念できるようにというのはどういうことなんでしょうか。要するに、2年ごとにどんどん送り込むということは、在職中に専念できるんですか、そのことによって。
○谷垣 財務大臣 老後といいますか、退職した後、いろいろな心配をしないで、とにかく現職中は職務に専念してくれ、こういうことであろうと思います。
○佐々木(憲)委員 定年まで勤めて、定年で退職金をもらって退職する、その後、その人がどのように職業を選択するかは自由ですよね。それなのに、大体55歳から59歳までの間、定年前に、あなたは大体この辺いかがですか、こうやるわけですね。そして、次々と送り込んでいく。これが職務に専念できる前提づくりだ、これはおかしいと思いますよ。職務に専念できるかどうかは、退職までちゃんと勤められるということで保障されるわけであって、この仕組みを職務に専念できるという理由で維持するというのは、これはちょっと理屈が成り立たないと私は思うんですけれども、率直な御感想をお聞かせいただきたい。
○谷垣 財務大臣 これは公務員制度全般の議論とも関連してまいりますが、できるだけ小泉内閣のもとでも、退職慣行のようなものは今まで割合若いうちにやっておりましたけれども、3年間それは延ばすようにしよう、天下りもできるだけ少なくやっていくためにはそういうことも必要だということで取り組んできたところでございます。私どもの組織においても、そういう取り組みはもちろん必要だろうと思いまして、今までも努力をしてまいりました。
 しかし、他方、やはり組織の活性化と申しますか、そういういわばローテーションといいますか、ちょっと今のはうまい表現ではないんですが、そういう組織の活性を維持するという観点もいろいろございますので、要するに、公務員だけではなく、民間も含めてのことでございますが、人材の力をどういうふうに発揮させていくかという大きな論点が背景にあるのではないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 ローテーションというのはおかしいと思いませんか。要するに、天下りという表現がいいかどうかは別としまして、定年前に、あなたは20社いかがでしょうか、ああ、わかりました、これが次々と2年ごとに行われるのは、ローテーション、これがなぜ活性化なんでしょうか。いや、これは、定年まで勤めてその後どうするかというのは御自由なんです、それぞれ。でも、組織的にこういうことをやるというのはおかしいと思うんですよ。
○谷垣 財務大臣 ローテーションというのは必ずしも適切な言葉ではございませんけれども、職場、職場はやはり適切な年齢構成というものがあろうかと思います。そういうものも維持しながら、職場の活性化それから士気というものを図っていくという要請も他方にあるのではないかと思っております。
○佐々木(憲)委員 こんなことで活性化できるなんというのは私はおかしいと思いますよ。
 東京税理士会が2004年11月に調査した、税務職員の退職時における業務侵害行為に関する実態調査の集計結果というのがあるんです。それによりますと、国税局からあっせん、予約の申し入れがあったときどのような結果になったか。顧問先が受け入れを拒否したのはわずか10.1%です。既に税理士がいるのに顧問先が受け入れた、2階建てなどになったというんですね。2階建てというのは2人、3人というのは3階建て、5人受け入れたら5階建てだということらしいんですけれども、そういうのが84.1%に上っているんです。断れないんです、実際に。それはそうですよ、税務調査に来るようなところが、今度こういう人どうですかと来たら、断ったら何か不利益をこうむるんじゃないかというふうに感じますからね。既に税理士を受け入れているのにそういう形になっている。私はそういうあっせんは必要ないと思うんですね。
 あっせんを廃止すべきだ、こういう意見はたくさん今あります。企業側からも、そういうことは必要ないという声も上がっております。
 東京税理士会の昨年の2月1日の会報を読みますと、こういう意見が出ているんです。この「予防・対策関係」という項目で、これは税理士にアンケートをとったわけですが、「税務職員の退職に際し、税務当局が顧問先を斡旋・予約する行為について、どう思いますか。」これに対して一番多いのが、これは複数回答可なんですけれども、31.9%というのがこういう回答です。「税務行政上、不公正、不明朗等の認識を与え、税務当局への不信感を醸成する」。それからもう一つは、27.4%を占めているのは、「税理士資格取得の面で恵まれており、このような行為は廃止すべきである」。それから23.8%を占めているのが、「税理士の自由競争及び業界の秩序を乱す行為である」。こういうのが高い比率で挙がっておりまして、その他の中にも、「斡旋を受け入れる法人は、税務調査時に有利な扱いをしてもらえると期待している。」「斡旋は、納税者にも誤解を与えるので早急に廃止すべきだ。」こういう意見がたくさん出されているわけであります。
 例えばこの中で、税理士取得の面で恵まれておりということが言われているんですけれども、どういう面で恵まれているか。税理士の取得をする際にはいろいろな手続が必要なんですね。その手続が終わるまでは税理士とはなれないわけです、当たり前のことですけれども。つまり、登録申請を出してからおおむね2、3カ月の期間を要するということらしいですね。
 この注意点として、日本税理士連合会の税理士登録・開業の手引というのがありまして、そこにこういうことが書いてあります。「この登録が決定されるまでの間は「税理士」ではないのであるから、この期間中は下記のことに注意すること。」「税理士業務、税理士業務の受託、又は予約を行わないこと。」こういうふうに言われているわけです。当たり前のことだと思うんですね。
 ところが、退職OB税理士の場合は、退職前にもう既に、あなたはここを紹介しますよ、こういう予約をするというわけです。これは税理士のこのルールからいっておかしいんじゃありませんか。
○石井 政府参考人(国税庁次長) これは先生御指摘のとおり、仕組みとして、登録をするまでは税理士業務をもちろん行ってはならないことは当然でございます。あらかじめ、私どもは、個別の企業から税理士の方を紹介してほしいというような話がありました場合に、それに応じてどのような方が当該企業の欲しがっておられる方なのか、あるいはどういう方が適任なのかということをあっせんしておるということでございます。
○佐々木(憲)委員 ですから、これは組織的な予約なんです、予約の受け付けなんですよ。本来、一般の国民が税理士として試験を、大変な難関を突破して、登録するときも2カ月時間が必要です。しかし、その間は一切こんなことやっちゃだめですよ、こういうふうに、予約もできませんよと決められているわけですよ。ところが、国税庁の場合は、いや、予約はいいんです、どんどん受け付けます。これは組織的に違反をやっているんですよ。ですから、これは組織的にやるからいいとは言えないでしょう。組織的にやるから一層悪質だと言わなきゃならぬのですよ。私は、こういうやり方は改めるべきだと思います。
 先ほど谷垣大臣も、やはり今さまざまなこういう制度の見直しというものは必要であるというふうにおっしゃいました。この点については、東京税理士会も意見としてこういうことを言っております。税務当局があっせんを行うのは納税者にも誤解を与えるので早急に廃止すべきだ、税務退職者の税理士資格の取得に関しては再検討すべきであるというふうに意見を出しております。
 ことしの1月27日に、全国青年税理士連盟が国会議員への申し入れを行っておりまして、それはお手元の資料の3枚目ですが、「聖域なき構造改革を推進するために 国税職員の天下りの廃止を強く要望します!!」というタイトルで、こう書いているんですね。

  国税職員の天下りは、国税OB税理士と税務職員の癒着をもたらします!!
  国税職員の天下りとは、国税OB税理士が国税局から税理士顧問先のあっせんを受けることをいいます。その根拠は民間の需要に対応することにある、というのが政府の見解です。しかし、民間が高い報酬を支払ってでも国税職員の天下りを受け入れる理由は、税務行政の便宜をはかってもらうためです。また、東京国税局幹部クラスのOB税理士はほとんど税務調査を受けない聖域とされてきたことは、国税OB税理士と税務職員の癒着を示すものです。
  国税職員の退職後の生計扶助を民間に押付けるのは間違っています!!
  国税職員の天下りは、退職勧奨の代償というのが政府見解です。しかし、これは、実質的には、国税職員の天下りを通じて、早期退職により国家が支給すべき退職金を民間に肩代わりさせることと同じです。国税職員の天下りは、まさしく国家の責任を民間に転嫁させることを意味するものです。

 というようなことを書いておりまして、税理士法では、やはり厳格に税理士業務というものが限定されているわけであります。予約はできない、登録に時間がかかる、こういうことになっているにもかかわらず、税務職員だけは、試験も免除される、国税局が顧問のあっせんもしている。
 今、確定申告の真っ最中ですよね。政府は、納税者の誤解を招かないようにと何回も何回もいろいろなことを言うわけですが、こういうことを続けていては、これは誤解を招くことにならざるを得ません。確定申告で中小業者は大変な思いをしておりまして、国税局が組織的にあっせんを行い、OB税理士1人で何百万円あるいは1千万単位の報酬をもらう、こんなやり方は、やはり納税者から誤解を招くことは私は必至だと思います。
 やはりここは、これらのさまざまな意見をよく聞いて真摯に対応するということが必要だと思います。私は、この東京税理士会の要望を受け入れるという方が国民に対する信頼感をかち取る上で重要だと思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○谷垣 財務大臣 先ほど申しましたように、この制度は、職員のモラル、それから職場の規律、こういうものを考えてやってきたわけでありますけれども、もちろん、先ほど申しましたように、国民の批判や疑惑を受けないような見直しを都度都度行っていくということは、私どももきっちりやらなければいけないと思っております。
○佐々木(憲)委員 今回、防衛施設庁の談合事件がありまして、最近こういう方向が出されたという報道がされております。早期勧奨退職の慣行を見直すということです。大臣、聞いていますか。自衛官を除く全職員を可能な限り定年の60歳まで勤務させる、天下りはそういう形でなくしていくという方向が今回の談合事件に関連して検討されているわけです。
 当然、財務省も検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○谷垣 財務大臣 当然、その方向で、3年間退職勧奨を延ばすということでやってまいりました。今後とも、そういうことは努力しなければいけないと思っております。
○佐々木(憲)委員 私は、きょうは税制とOB税理士の問題を取り上げましたけれども、やはり大手企業に対して、税制の上でも、あるいはこういう税理士の対応の面でも、非常に優遇し過ぎていると思うんです。庶民の立場にしっかり立って物事を見ていかないと、当たり前だと思ってやってきた慣行あるいは制度というものが、これは国民全体から見ると非常に大きな重圧になっている、あるいは国民の疑惑を招く、そういう温床になってしまうということだと思うんです。そういうことで、根本的にこういう従来の制度を見直していくということが今の時期必要だというふうに思います。
 以上で、少し時間の前ですけれども、きょうは終わりたいと思います。
○福田 政府参考人(財務省主税局長) 先ほど、佐々木議員の方から増減額のお話が出ましたので、ちょっと仮定を置いてですけれども、さっき先生がおっしゃった数字でおおむね、増減額はそのとおりだと思いますけれども、ただ、くどいようでございますが、昨年の政府税調の論点整理と申しますのは論点を整理したものでございまして、具体的に、いろいろな控除、税率構造の見直し等も含めて、具体的な税負担の水準には触れていないということだけは御理解いただきたいと存じます。

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