東海での活動
東海での活動 − 政府への要請、農林漁業・食の安全、三重県、岐阜県
【01.11.30】岐阜と三重が狂牛病被害で政府交渉
2001年11月30日、日本共産党岐阜県委員会は、飛騨の畜産農家4人とともに狂牛病(牛海綿状脳症BSE)被害交渉団(代表・加藤隆雄県経済政策委員長)を結成し、農水省、厚生労働省、経済産業省と交渉しました。これには、三重県からも今井一久松坂市議が参加しました。経済産業省の交渉には、佐々木憲昭衆院議員が同席しました。
交渉では、参加した畜産農家が「今までの農水省の対応では、農家は死を待つしかなくなる。もっと実情に合った抜本的対策を」と訴えました。さらに「BSEが飛騨の食肉解体場から出れば大変だと、老廃牛は自主的に食肉解体場に出さないように出荷調整をしている。政府はこれらの牛の全頭買い上げ措置をとってほしい」「大家畜経営維持資金(マル緊)は、1頭10万円の貸し付けだが、1年後の返済では借りようがない。2年以上で初めて収益が上がるという畜産スタイルと実情が合っていない。据え置き期間をつくってほしい」など、訴えが相次ぎました。
農水省、厚労相、経産省の各担当者からは、「マル緊で子牛登記書がない場合でも、何らかの証明書があればそれで加入できるように実情を調べたい」「消費者が安心できるように背割り前に脊髄除去についての具体的手法選定作業に入っている」「特別枠融資制度の実情が徹底していないことも聞いたので、困っている業者に誠意ある相談に乗るように指導を強めたい」「BSE検査場の新設には、支援補助事業があるので活用を働きかけてほしい」など前向きの回答もありました。
農林水産省、厚生労働省、経済産業省への要請文
- 全頭検査開始前に、と畜解体されたすべての牛肉を政府の責任で買い上げ、責任を持って処理するなどして、安全な牛肉のみを市場に流通させる万全な対策をとられたい。
- 農畜産業振興事業団による牛肉の買い上げなどにより政府の責任で価格下落を防止する措置をとること。
- 風評被害一掃のため、政府自らがTV、新聞、政府広報誌などで牛肉の安全性についての科学的宣伝に努めること。また、自治体や関連団体・グループのイベント・宣伝に助成されたい。情報公開は全面的におこなわれたい。
- 肥育農家、繁殖農家、酪農農家など畜産農家や関連産業の経済的損失にたいして万全の補償を行うこと。融資だけでは経営の維持は困難となっている。
○ 経産牛、老廃牛、ぬれ子、病畜にも、BSE問題による損失(価格の下落による損失、出荷自粛、検査が遅れるなどによる経費増や損失)が生じており、万全の補償をされたい。
○ BSEに関連した農家等の諸経費は全額、国で負担されたい。
○ BSE発生後、10月からの出荷調整・先延ばしによる出荷の遅れは、1日の検査能力や市場動向の影響により約1カ月分の出荷頭数が出荷できずに年を越すことが予想される。実情を把握して、補償制度を補強・新設されたい。
○ 肥育農家が出荷できず牛床が空かないため、満期の子牛導入に影響が出ている。肉用子牛基金加入に特例枠をもうけ所定の月齢をこえた子牛も加入できるようにされたい。
○ 牛肉肥育経営安定制度について、加入については、子牛登記書がないと加入できない場合がある。受精証明書や領収書など、生年月日を推定できるもので加入できるよう、指導・監督されたい。
○ 今後、と畜場においてBSE発祥牛を絶対に出さないため、一定以上の月齢の老廃牛については、国による全額買い上げ処分をおこなうこと。
- 緊急融資(大家畜経営維持資金貸付)については、畜産サイクルを考慮し、返済据え置き1年、返済期間を3、4年とされたい。また事実上、融資額を「3カ月の運転資金」などとして抑制することをやめること、手続きを簡素化するとともに、年末をひかえ、迅速に対応するよう改善・指導されたい。
- 全頭検査に関して次の措置をとられたい。
○ 全頭検査の手数料について、2002年4月以降も、出荷農家の自己負担が生じないよう国の助成措置を継続すること。
○ いまだに検査能力が不十分で、と畜の処理能力に見合っておらず、出荷繰り延べへの影響が大きい。また、事故牛、一般病畜など臨時、急なと畜に検査が対応できない。体制をさらに充実する措置をとられたい。
○ 死亡牛の検査は、と畜の検査とは別枠で行ない、現在の出荷体制に影響が出ないようにすること。死亡牛についても全頭検査し、危険部位除去の体制を早急にとられたい。
○ BSE検査試薬は、1、2頭の検査でも使えるように改善されたい。(現在は90頭分で1セット40万円であり、機動的な検査で使用できない)
- 岐阜県・飛騨地区での全頭検査は、現在、高山保健所のなかの仮設施設で緊急に対処している。飛騨と畜場は当保健所と場所も離れており不便である。よって検査場を「新ミートセンター」(現在建設中)に併設して整備できるよう国の補助制度を新設されたい。
- 焼却場整備への補助の創設・充実について
○ 危険4部位、病畜などの焼却施設整備が必要となっている。岐阜県・飛騨地域にこの焼却施設が建設できるよう支援されたい(農水省が全国8カ所に整備するとしている大規模なものは必要ない)。
○ 養老町立食肉センターを含め全国で5カ所ある厚生労働省管轄のと畜場の焼却施設整備は農林水産省と同等の補助対象とされたい。
- 危険部位焼却のための焼却施設の整備、全頭検査開始で新たに必要となる冷蔵庫の整備は農林水産省管轄の施設も厚生労働省管轄の施設も、全額を国の負担とされたい。
- レンダリング業者(肉骨粉製造・流通業者)が焼却処理できずに大量の在庫を抱えている。国の責任で焼却処理がただちに行えるよう万全の対策を講じられたい。
- 焼肉店、食肉卸・小売業、および畜産関連中小企業者のBSE関連の経済的損失にたいし万全の補償をおこなわれたい。また、経営を維持するための支援金を給付されたい。
- 焼肉店、食肉卸・小売業、および畜産関連中小企業者のBSE関連の被害救済を目的とした緊急融資制度を新設されたい。この緊急融資は、これまでの借入金とは別枠で借りられるものとし、低利・無担保・無保証で、BSEの被害を受けた業者全員が利用できるよう十分な予算を確保されたい。そして緊急融資制度の情報をただちに関係業者に徹底されたい。