憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【05.06.09】銀行 米投資機関の食い物になるだけの郵政民営化法案名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2005年6月9日
郵政事業を民営化することが、はたして必要なのか。先日、私は経営の将来見通しという観点から竹中大臣にただしました。
小泉内閣は、「郵政公社はこのままでいくと立ち行かなくなる。早い時期に民営化すべき」だと説明してます。ということは、たとえば郵便貯金事業では、公社をつづけるよりも民営化した方が利益がでるということなのでしょうか。
私の質問に、竹中大臣は「新規事業を含めて利益が出るようにしたい」と答えました。しかし、郵貯銀行がゼロから出発して、新規事業で儲けが出るかどうか、やってみなければわからない話です。
私は、「金融環境が悪化したとき、骨格経営試算における郵便貯金銀行の2016年度の利益試算はどうなるか」とききました。竹中大臣は、600億円の赤字になると答えました。赤字になると初めて認めたのです。しかも巨額の赤字です。金融サービスを郵便局で保障するためにつくられた地域貢献基金からの投入額は120億円ですから、その5倍の赤字なのです。
そこで私は、「郵政公社が続いた場合、郵便貯金はの2016年度の収益はどうなるか」とききました。これにたいして、竹中大臣は「1383億円の黒字になる」と答えたのです。
公社の場合は、郵便貯金銀行とは違って、預金保険料を払わなくてすみます。また、郵便局会社への手数料への消費税も払わなくてすむのです。
したがって、郵政公社の郵便貯金事業は、民営化された郵便貯金銀行よりもコストが1983億円少なくすんで、1383億円の黒字になるのです。
この利益の半分が国庫納付金(正確には4年ごとだが)として納めたとしても、公社の方が利益が出るのです。どう試算しても、公社の方が利益が多く出て経営が安定します。
竹中大臣は「骨格経営試算というのは、経営が成り立ちうるかどうかをしめすために出した」と述べました。しかし結果的に、郵貯銀行が成り立たないことをを示しているのです。――どうして、赤字になる危険性をおかしてまで、民営化しなければならないのでしょうか。
新規業務で利益を出すと言っても、成功する保障はありません。失敗すれば、ベースが赤字ですから、郵便局会社への手数料削減につながらざるをえません。そうなれば、基金からの120億円ではまったく全く足りないのです。
結局、郵便局はバタバタとつぶされ、ユニバーサル・サービスもズタズタになります。銀行とアメリカの投資・金融期間を食い物になるだけです。こんな民営化法案は、廃案以外にありません。