憲昭からの発信
憲昭からの発信 − 寄稿文
【05.05.26】銀行は偽造や盗難のカード被害 補償せよ名タイ
「名古屋タイムス」『政論紙上バトル 愛知の国会議員が斬る』
愛知選出の若手・中堅国会議員による連載コラム
2005年5月26日
偽造キャッシュカードの被害防止と補償問題が大きな課題となっています。
先日、私は財務金融委員会で金融庁の対応をただしました
金融庁の偽造キャッシュカードに関するスタディグループの「中間とりまとめ」が発表されたことに関連して伊藤金融担当大臣にききました。
この「中間とりまとめ」の副題は「盗難キャッシュカード被害に対する補償を中心として」となっており、偽造キャッシュカードに限定せず、対象を広げようとしていることは一歩前進です。
この報告書では、「諸外国においては、実務上、原則として、偽造・盗難の区別なく補償を行っている場合がほとんどである」と書いています。私は、日本でも当然、そうあるべきだと思います。しかし、改正案として提案されている「偽造・盗難キャッシュカード被害に対する損失負担ルール」によると、そうなっていません。
そこでは負担ルールを3つのケースに分けており、銀行に全額負担をもとめるには、「預金者の過失」がないということを「預金者が疎明」するということになっています。「疎明」とは、説明のことです。つまり、自分で過失がなかったことを説明しなければならないというのです。そのうえで、銀行がそれを認めてはじめて全額銀行負担による補償が受けられるということになっています。
預金者が「疎明」できるかどうか、銀行がそれを認めるかどうか、この二つをクリアしなければだめだというのです。そうなると、銀行負担による補償はほとんど不可能になるのではないでしょうか。
今回の「中間報告」では、銀行の言い分に影響されたのか、まことに中途半端なものになっていると言わざるをえません。盗難カードに視野を広げたことは一定の評価に値しますが、それだけでは足りません。今後は、盗難預金通帳、印鑑の偽造などにも視野を広げるべきでしょう。
いま、実行すべきことは次の点です。
第1は、被害救済の範囲を偽造カードに限定せず、カードや預金通帳の盗難、紛失にまで広げることです。銀行は、預金者本人と違う「権限のない他人」に、本人確認をせずに誤って支払ったわけですから、被害を補償する責任があります。
第2は、これまで発生したすべての被害者を含めて銀行の責任で補償することです。
第3は、単に銀行内部の「約款」を書き換えるという個別銀行まかせの対応では、すべての被害者が救われませんので、きちんと法律によって措置することが必要です。
いま、与野党とも法案の検討を行っています。これらの内容ができるだけ反映されるよう、努力したいと思います。