国会での活動
国会での活動 − 政府要請、財政(予算・公共事業)
【10.08.18】公共事業チェックの会が前原大臣に申し入れ
2010年8月18日、超党派の議連「公共事業チェックの会」が、前原誠司国土交通大臣に、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議の中間とりまとめ」について要請書を提出しました。
参加したのは、松野信夫参議院議員(会長・民主党)、大河原雅子参議院議員(事務局長・民主党)、佐々木憲昭衆議院議員(副会長・共産)、柿沢未途衆議院議員(幹事・みんな)、亀井亜紀子参議院議員(幹事・国新)です。
この申し入れは、8月6日に行われた総会での議論を受けて行われたものです。
リンク【10.08.06】「公共事業チェックの会」総会に出席
このさい、検証主体がダム建設を推進してきた事業実施者(国交省地方整備局、独立行政法人水資源機構、都道府県)となっている点について、再検討を要求しました。
これは、事業者に見直しを丸投げするやり方であり、客観的合理的な見直しになりえないからです。
佐々木議員は、「検証主体がこれでいいのか。住民の代表が参加できない。議事録も公開すべきだ」と問題点を指摘しました。
前原大臣は「河川整備基本方針は棚上げにしている」と述べる一方で、「議事録公開は具体的な地名も出るので不可能」と否定しました。
これでは、従来のダム検証と変わりのないものになる危険性があります。
やはり、第三者機関による公開性をもった検証、住民代表の参加の保障、検証対象の拡大などが必要です。
国土交通大臣への要望内容
検証の主体としては、第一に事業実施者(地方整備局・水資源機構)が見直すこととしており、その検討過程で自治体の長を含めたパブリックコメントを行って意見を聴取するとしていますが、極めて不十分・不適切です。これは要するに、事業者に見直しを丸投げするやり方であり、客観的合理的な見直しにはなりえません。
なぜならば、事業者はどうしてもこれまで推進してきた事業の推進する方向での意見しか採用せず、自治体としても中止などの事業変更を嫌うからです。こうしたやり方は、1990年代後半に行われたダム事業等審議委員会と類似しており、結論は推して知るべしです。
事業者は、ダムを含む複数の治水対策案を立案することになっていますが、これには時間的な観点を加味して、河川整備計画で示された安全度を確保することを前提としてコストを重視するとしています。
しかし、この手法もこれまで同様に採用されてきたものであり、建前上は複数案の検討がされても、結局はダムが最も安価で安全度を確保できるとされてきたものです。従って、この手法であれば、これまでと全く変わらない結論になる恐れが強くなります。
治水対策の検討に当たっては、まずは徹底した公開が必要です。民主党政権下で行われた事業仕分けが高い評価を得たのも、徹底した公開が行われたことが大きな要因であると考えられます。
ダムの科学的・客観的検証には、第三者機関による公開性を持った検証が必要であり、複数の治水対策の検証にあたっては、広く国民に議論を公開することが重要です。
ダムの検証にあたっては、改正河川法の精神に則って行われた淀川水系流域委員会や川辺川ダムを巡る県民集会に学ぶべきです。いずれも幅広い市民が参加し、あるいは公募という形で市民参加が担保され、活発な意見交換がなされ、問題点などを明確にすることができたと評価されています。
単なるパブリックコメントではなく、こうした市民参加を実現した上で、公開の検証がなされるべきです。
そもそも検証対象となるダム事業は「事業中のダム」とされ、対象が狭すぎます。
新たな目的を付加してリニューアルする「再開発事業ダム」や、昨年11月までに本体工事の契約ができている「本体工事中ダム」は対象外とされています。財政逼迫を認識するなら、これらのダム計画にも検証対象を拡大すべきです。また、検証対象となったダム工事は、その結論が出るまで、生活関連工事といえども、慎重に精査し、一時凍結すべきです。
都道府県知事に検証・検討を要請するとしていますが、事業費の過半は実質的には国が負担している構造からも、国も検証責任を明確にし、国としての判断を公表すべきです。