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国会での活動

国会での活動 − 国会質問金融(銀行・保険・証券)

【05.03.30】偽造キャッシュカード等の被害を防げと追及

   2005年3月30日財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は偽造キャッシュカード等の被害を防ぐ問題について質問しました。

 盗難・偽造カードによる被害が、社会問題となっています。
 これまでの経緯から見て、(1)ATMなどの利便性のみが優先された結果、セキュリティーが二の次になってきたこと、さらに、(2)損失については預金者にのみ負担を押しつけ、金融機関が事実上負担しなくてすむ仕組みがつくられ、過失がないという立証責任を預金者に負わせるといった事が、事態をいっそう深刻にしました。

   欧米では、70年代から80年代にかけて、盗難・偽造カードについての対応が整備されてきました。
 たとえば、預金者によほどの重大な過失がない限り「損失を預金者に押しつけない」という原則が確立しています。アメリカには「50ドル・ルール」、ドイツには「10%ルール」があります。
 預金者の負担に一定の上限を設け、悪意や重過失がない場合、あとは銀行がすべて負担するというルールがつくられています。また、欧米では、預金者に過失があるという立証責任は金融機関が負うことになっています。
 カードや通帳が盗まれたり紛失した場合の「損失補てん」も同じように銀行の負担でおこなわれています。

   佐々木議員は、日本の預金者への補償が、欧米と比べて大きく遅れていると指摘。
 過去にも、預金者・消費者を保護するという原則を確立するチャンスがありました。たとえば、1987年の金融制度審議会で、金融消費者保護についての法整備が議論されています。調査会のなかにエレクトロバンキング専門委員会をつくり、88年には具体的な立法化の検討に入りました。
 佐々木議員は、法整備が議論されながら、実現しなかった背景に銀行業界の猛反発があったとして、銀行いいなりの政府の姿勢を批判。
 銀行の約款改正など業界まかせにせず、横断的・包括的な金融消費者保護のための法整備を求めました。
 さらに、佐々木議員は、この問題について検討を深めるため、全国銀行協会会長やカード被害問題に詳しい識者や弁護士など4人を参考人として招致することを要請しました。

解説

偽造カード問題 共産党が追及 補償は国際的常識 対策怠ってきた政府
「しんぶん赤旗」2005年4月7日付より


 知らない間にキャッシュカードを偽造され、数百万から数千万円の預金が全額引き出されていた―こうしたカード犯罪が急増しています。被害者に対し銀行は警察に行ってくれといい、警察は「あなたが盗まれたのはカードのデータで、お金をとられたのは銀行だから銀行に被害届を出してもらいなさい」と門前払いする例さえあります。
 現状では被害者は何の落ち度がなくても補償を受けられません。預金者保護を求める世論が高まるなか、今国会で各党が取り上げていますが、各委員会での日本共産党の質問で問題点が浮かび上がっています。

被害者の保護は金融機関が負う
 第一に被害者に対する補償を銀行の責任で行うことは国際的常識だということです。
 佐々木憲昭議員の質問に対して政府の担当者は「主要国、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス等では偽造カードによる被害は、まず預金者に重大な過失または過失がない場合には基本的に金融機関が負担する」「預金者の過失の立証責任は(これらの国では)金融機関が負うルールになっている」(3月30日、衆院財務金融委員会)と明確に答えました。欧米ではすでに70年代、80年代に現在のような対策がとられています。日本の対策の遅れは際立っています。

法制の整備に銀行業界が反対
 第二にこうした犯罪による被害を政府は十数年前に予見しながら、対策を怠ってきたことです。その背景に銀行業界の反対がありました。
 1987年には当時の大蔵省がエレクトロバンキング専門委員会を設置して金融機械化にともなう問題を検討しますが、結局なんの対策もとりませんでした。
 その経緯について同委員会座長代理だった岩原紳作東大教授(現・金融庁の「偽造キャッシュカード問題に関するスタディ・グループ」座長)が「法制整備の検討に入ったが、銀行界の立法への反対に会ったため、平成7年(1995年)にわずかな約款整備を行っただけで、事実上法制整備の検討を終えている」と著書『電子決済と法』に書いています。
 吉川春子議員は3月18日の参院総務委員会でこうした経過をあげ、「(対策が)なぜとんざしたか。銀行業界が、消費者保護の法制に猛烈な反対をしたからだ」と追及しました。

盗難・紛失含む被害者の保護を
 第三に保護が必要なのは、偽造キャッシュカードの被害者だけでなく、通帳・カードの盗難・紛失による預金引き出しなどの被害者も含まれるべきだということです。全国銀行協会は偽造カードに限って「銀行が原則補償」と表明しましたが、アメリカなど主要国の補償は盗難・紛失も含めたものになっています。そのためにも銀行の約款に任せるのではなく、預金者保護の立法措置が必要だという認識が確実に広がっています。
 既に民主党はそうした内容の法案を提出しており、日本共産党も同じ要求をしています。
 5日に国会内で開かれた預金者保護法制定を求める集まりで、預金の不正引き出しによる被害者たちは一致して、カードや通帳の盗難・紛失に対する包括的補償の立法化を求めました。出席した自民党の衆院議員も「個人的には約款対応だけでは苦しいと思う」と述べました。
 これだけの被害を目の前に、十数年前の政府と同じあやまちをくり返すのか、実効ある法律制定に踏み出すのか。各党の対応が問われています。

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