国会での活動
【政治経済キーワード】国際開発協会(IDA)第14次増資
2005年3月25日
3月18日、衆議院財務金融委員会で、「国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案」が審議され、全会一致で可決されました。この法案は、国際開発協会(IDA)の第14次増資に応じるため、IDAに対して、2005年7月から2008年6月までの3年間に2,775億8,500万円の範囲内で、わが国が追加出資を行うことを内容としています。
IDAは、世界銀行グループに所属しています。世銀グループというのは、国際復興開発銀行(IBRD)、国際開発協会(IDA)、国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA)、投資紛争解決国際センター(ICSID)の5機関から成っています。
この中でも、IBRDとIDAは、共通の使命、組織、スタッフのもとに活動しているため、総称して「世界銀行(世銀)」と呼ばれることが多くなっています。
IDAの融資は、無利子で、償還期間も35〜40年(うち据置期間10年)という極めて緩やかな条件で行われており、市場の条件で借入を行うことができない貧困な国にとって、この融資が大きな役割を果たしています。現在、81の最貧国(総人口25億人)に、年間約60〜90億ドルの融資を行っており、借入国が進める貧困削減戦略の重要政策分野にあてられています。
2000年国連総会において、貧困な地域をなくすために採択された「ミレニアム開発目標」の進捗状況についての中間レビューが2005年9月に行われます。
今回のIDAの第14次増資は、「ミレニアム開発目標」の達成の重要性や、特に達成率が悪いサブサハラ・アフリカへの更なる援助の重要性が強調され、前回増資に比べて大幅な増額が決定されました。
IDAからの途上国への資金供与は、融資によるものが中心ですが、第11次増資以降、グラント(無償資金)供与が認められることになりました。第14次増資では、グラント(無償資金)供与についても、現在の資金供与総額約20%から、約30%へ増額する見込みです。
3月16日、ブッシュ米大統領は、2005年6月1日に退任予定のウォルフェンソン世界銀行総裁の後任に、ウォルフォウィッツ米国防副長官を擁立することを発表しました。ウォルフォウィッツ米国防副長官は、新保守主義派(ネオコン)の代表格といわれ、イラク戦争を主導したことで知られています。
世界銀行総裁はアメリカから起用するのが慣例となっており、理事会での承認が必要となりますが、今回の人事は、ヨーロッパや発展途上国などから、強い反発を招くことが予想されます。