国会での活動
国会での活動 − 政治経済キーワード、税制(庶民増税・徴税)
【政治経済キーワード】第3のビール
2004年12月10日
原料や製法を工夫することで、ビールや発泡酒よりも税率が低い酒税法上の区分に分類されるアルコール飲料のことをいいます。「ビール風飲料」とも呼ばれ、原料に麦芽を使わないものは「雑酒」、麦芽を使う発泡酒に他のアルコール飲料を混ぜたものは「リキュール類」に分類されます。
「雑酒」の代表的なものが、今年2月発売された「サッポロ」の製品です。ビールの原料となる麦芽は一切使わず、代わりにエンドウマメなどから抽出したタンパク質を使用するものです。また、麦焼酎を発泡酒で割って売り出したのが「サントリー」の製品です(酒税法上は「リキュール類」)。
共通しているのは、税率が発泡酒の約半分となることから、希望小売価格が発泡酒より20円安い125円となっていることです。酒税の比較は次の通りです。
(350ミリリットル缶、希望価格は消費税抜きで比較)
希望小売価格
うち酒税額
酒税負担率
ビール
218円
77.70円
35.6%
発泡酒
145円
46.98円
32.4%
雑酒
125円
24.20円
19.3%
リキュール類
125円
27.78円
22.2%
ごらんの通り、税率の違いがそのまま価格差になっています。ここに目をつけたのが財務省です。04年度の酒税収入予算は、1兆5,880億円にのぼりますが、これは国税収入に占める割合からみれば3.6%です。一方、[第3のビール]のシェア拡大にともない税率の高いビールのシェアが減少すると、そのまま税収減につながります。「見た目や味わいが似ており、ビールや発泡酒と同じ飲み方をされている商品であるなら、同じ税負担が原則」(財務省主税局)と問題視し、課税強化の方向を打ち出しているのです。
この間、政府・与党は、定率減税の縮小・廃止や環境税などとともに[第3のビール]への課税強化を議論の対象としてきました。自民党税制調査会は、12月2日、当面、来年度税制「改正」では、[第3のビール]への課税は見送る方針を固めた、ともいわれますが、06年度以降に現在10酒類に分類されている税率を「簡素化」することを名目に、課税強化を図ろうとしています。それは、「取れるところから取ろう」という庶民いじめの“基本方針”なのです。
実際、73〜84年の11年間でビールは8度にわたって増税の対象となりました。さらに新たに開発された発泡酒の市場が急速に拡大し、ビール市場が凋落の一途をたどったとき、発泡酒も増税の対象とされてきました(03年5月)。[第3のビール]は、まさに[第3の増税対象飲料]とされようとしているのです。
ちなみに、上記のほか主な酒税負担率は次の通りです。
- 焼酎乙類(芋)27.6%
- ウイスキー19.0%
- 日本酒13.8%
- ワイン5.9%