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国会での活動

国会での活動 − 政治経済キーワード医療・介護・年金・障害者

【政治経済キーワード】混合診療

2004年12月3日


 病気やけがなどの一連の診療について公的保険がきく保険診療と、保険がきかない保険外診療(自由診療)の併用を認めることを「混合診療」といいます。現在の保険制度では、「混合診療」は原則として認められていません。

 最近、「混合診療」の解禁がさかんに謳(うた)われていますが、すすめる人たちはその「メリット」を、「高度医療が受けられる」「患者の選択の幅が広がる」と強調します。しかし、そこにはいくつかの問題が隠されています。

  1. 混合診療が導入された場合、保険外の診療の費用は患者負担となり、お金のある人とない人の間で不公平が生じる。
  2. 政府は、「財政難」を理由に、公的医療保険の給付範囲を制限・縮小しようとしていますが、混合診療を認めることによって現在健康保険で受けることができる一般医療まで「保険外診療」とされる可能性が大きくなる。

 などです。

 すでに歯科の分野では患者が差額徴収という形で保険診療以外に余分なお金を払う 「混合診療」が認められています。が、その結果、「お金のある人は自費で上乗せした治療ができるけれど、お金のない人は最初から保険の部分しか利用できない」(開業医)状況になっています。経済的負担に耐えられない低所得の人々は、受けられる医療サービスが低いままの状態におかれるのです。

 「混合診療」の解禁を強力に求めているのは、首相の諮問機関である規制改革会議や日経連、財政制度審議会など政府、財界です。推進側は、がん治療などの高度医療を解禁の対象にあげていますが、本当のねらいはもっとほかにあるようです。「軽度医療は全額本人負担に」(奥田碩・トヨタ会長)、という発言をはじめ、財界などから「公的保険の守備範囲の抜本的な見直し」を求める動きが目立ちます。つまり、風邪などの「軽い」病気を保険診療からはずせばその分、国や大企業の保険料負担が抑えられるということです。

 01年の医療保険市場への規制撤廃により、大手民間保険会社などの参入が可能になりました。そして、こうした企業グループが「混合診療」の解禁を契機に民間医療保険の販売を一気に促進しようというのが本音です。実際、規制改革会議の事務局である内閣府の規制改革・民間開放推進室には、オリックスやセコム、第一生命、東京海上火災など生保、損保業界からの出向者が同・室員の半数以上を占めており、「混合診療」解禁の旗振り役となっているのです。

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