国会での活動
国会での活動 − 政治経済キーワード、財政(予算・公共事業)
【政治経済キーワード】社会資本整備重点計画
2003年4月11日
「社会資本整備重点計画」は、道路、空港、港湾など事業分野ごとに定められた9つの長期計画を一本化してつくられる、新しい公共事業の整備計画です。いま開かれている国会で、関連する法案が成立したことを受けて、政府は、今年の秋頃までに「計画」を策定し、閣議決定する方針です。
これまでの長期計画は、計画期間内の投資総額を明記していたため、公共事業の自動推進装置として機能してきました。その結果、公共事業の浪費が続き、国と地方の深刻な財政破綻や環境破壊を引き起こしています。新しい「社会資本整備重点計画」は、公共事業にたいする国民の批判を背景に、“総額先にありき”のやり方を改め、政策目標を掲げるとしています。
しかし、政策目標として、「国際競争力強化」や「都市再生」、「高規格化」など従来型のものが定められれば、大都市拠点空港、スーパー港湾、高規格スーパー堤防などの大型公共事業が、引き続き進むことになります。これでは、いままでの公共事業計画と本質は変わりません。
とりわけ公共事業の約3割を占める道路関係事業では、政府は、道路特定財源を温存して5年間で38兆円という総額目標を定めようとしており、過大な交通需要予測のもとで採算の見通しもなく推進してきた高速道路や高規格道路の建設は改まりません。
また、過大な需要予測が判明した公共事業を抜本的に見直すしくみもなく、首都圏移転構想やいくつもの巨大海峡道路構想などを含む全国総合計画との整合性を求めています。そのうえ、重点計画の策定に当たって、従来のような5年ごと国会審議の機会がなくなるため、国会による計画内容のチェックも困難になります。
国でも、地方でも、いま必要なことは、予算の主役をムダな公共事業から、暮らし、福祉に切り替えることです。公共事業の内容も、大型開発中心から、学校の改修や改築、福祉施設の建設、住宅や生活道路、環境型重視にふりむければ、公共事業費の総額を減らしても、地元の中小企業の仕事や雇用を増やし、地域経済の立て直しにつなげることができます。