奮戦記
【14.07.11】財界との癒着を深める安倍内閣
経済政策の司令塔の要のなかに日本経団連・財界・大企業の代表が重層的に入り込んでいること、さらに「通信簿方式」の企業献金再開を狙っていることなどに、それが現れています。まさに、「人脈」と「カネ」の両面で内閣を「丸抱え」し、財界・大企業への奉仕を押しつけようとしているのです。
第二次安倍内閣の発足直後の1013年1月15日、日本経団連は「国益・国民本位の質の高い政治の実現に向けて」という文書を発表しました。
そのなかで、こう書いています。「政策の司令塔の確立である。省庁の縦割りを排し、国益に沿った改革を進めていくことが重要である。かつては経済財政諮問会議が大胆な改革を遂行した。第二次安倍政権は同会議を復活させるとともに、日本経済再生本部を設置した。政官民が一堂に会した司令塔において、横断的な改革を迅速に断行していく必要がある」。
この指示に、忠実に従っているのが安倍内閣です。新たに浮上したのが、日本経済再生本部(閣僚のみで構成)のもとに設置された産業競争力会議です。ここには、日本経団連会長の榊原定征(さだゆき)東レ会長が入り、財界代表は合わせて7人も入っています。新設の国家戦略特区諮問会議には、日本経団連副議長の会社(小松製作所)から議員が送り込まれています。
安倍内閣が特に力を入れている産業競争力会議と国家戦略特区諮問会議の双方に、竹中平蔵氏(パソナグループ会長)が議員として入っていることにも注目しなければなりません。
第二次安倍内閣で活動を再開した経済財政諮問会議には、日本経団連副会長の佐々木則夫氏(東芝副会長)をはじめ2人の財界人が入っています。
行政改革推進会議のなかには、日本経団連副会長の大塚陸毅氏(JR東日本相談役)、同副議長の小林栄三氏(伊藤忠商事会長)が入り、同副会長出身の会社(JXホールディングス)からも委員が送り込まれています。
注目すべきは、総合科学技術・イノベーション会議のなかに、2人の日本経団連副会長が入っていることです。内山田竹志氏(トヨタ自動車会長)と中西宏明氏(日立製作所会長)です。また、日本経団連副会長出身の会社(三菱電機)からも議員が入っています。
そのうえ、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部のなかには、日本経団連副会長の内山田竹志氏(トヨタ自動車会長)、同副会長の鵜浦博夫氏(日本電信電話社長)、同副会長の佐々木則夫氏(東芝副会長)をはじめ財界人が7人も入っています。
しかも重要なのは、これら財界代表が入った「司令塔」がフル回転していることです。
○経済財政諮問会議39回(2013年1月〜14年6月、このうち産業競争力会議合同会議が6回)
○日本経済再生本部13回(2013年1月〜2014年6月)
○産業競争力会議(日本経済再生本部の下部組織)18回(2013年1月〜2014年6月)
○規制改革会議35回(2013年1月〜2014年6月)
○総合科学技術・イノベーション会議15回(2013年3月〜2014年6月)
○行政改革推進会議11回(2013年2月〜14年6月)
○国家戦略特別区域諮問会議6回(2014年1月〜6月)
○健康・医療戦略推進本部1回(2014年6月10日)
このように見てくると、安倍内閣の経済政策推進の司令塔の重要な位置に、日本経団連の役員が直接、重層的に入り込み活動していることが分かります。とりわけ、実利につながる部分に深く入り込みフル回転しています。
安倍内閣は、財界によって直接指揮される「財界の財界による財界のための内閣」であることは、いよいよ明らかです。