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奮戦記

【14.04.02】内閣委で「健康医療戦略」法案について質問

 今日の衆議院内閣委員会で質問した内容は、以下の通りです。

 政府から提案された2つの法案(「健康・医療戦略推進法案」「日本医療研究開発機構法案」)は、医療分野の新たな研究開発体制つくり、それをもとに新しい産業活動を創出するために、ひとつは健康・医療戦略推進本部を設置すること、ふたつめに医療分野の研究開発を促す環境整備と助成業務を行うため医療研究開発機構を設置すること、これを目的としています。

 この仕組みは、安倍総理の肝いりでつくられたもので、健康医療戦略を「トップダウン」で進める体制づくりです。

 法案では、健康医療戦略推進本部がつくられ、健康医療戦略参与からの政策助言、専門調査会から専門的・技術的助言を得ることになっています。また、タスクフォースや推進会議、等々が置かれます。
 総理の意向を、トップダウンで実行するための組織ですが、法案には、現場の研究者の意見、国民の声を直接反映する仕組みはありません。

 情報公開はどうでしょうか。法案のなかに、会議録・配布資料等の公表について、どのように規定しているでしょうか。法案にはありません。専門調査会・参与会合の運営要領で議事要旨と資料公開を規定していますが、いくらでも非公開にすることができます。

 とりわけ健康・医療戦略を推進するうえで、いちばんの肝になるのは、応用から実用化につなげる有望な基礎研究を、どのように選択し重点的なてこ入れをするかです。この作業を直接行うのは、「創薬支援ネットワーク」部門です。

 平成25年4月17日、健康・医療戦略推進会議決定案、第2回健康・医療戦略推進本部の資料には「国内の基礎研究から有望なものを選んで応用研究を実施し、企業による実用化につなげる「創薬支援ネットワーク」を関係府省・関係機関が連携して構築するため、創薬支援ネットワーク協議会を開催する」と書いています。

 重要なのは、そのメンバーのなかに、日本製薬工業協会など業界の代表が入っていることです。

 会議録・配布資料等の公表については、どうなっているでしょうか。健康・医療戦略推進本部の資料によると、なんと「協議会は、原則として非公開とする」(平成25年4月17日)となっているのです。

 公開されないということは、肝心の研究対象をなぜ選定したのか、どのような議論があったのかなど、国民には見えないことになってしまいます。

 巨額の予算を配分する過程が密室で行われ、国民には見えないということになるのです。
 そうなると、取られた措置が妥当かどうかを、国民や国会が検証したりチェックできないではありませんか。

 非公開とした理由は、国民に中身を知られたくないからではないでしょうか。要するに、企業の代表等が集まって、お手盛りで決めようとしているからではないでしょうか。

 私は昨年、特区の法案質疑の際に、新藤大臣や八田達夫氏がワーキンググループへ提出したレジュメが非公表となっている問題を取りあげました。その後、公開になった資料を見ると、公開しても何の支障もないものばかりでした。全て公開するのは当たり前ではないでしょうか。

 次に問題なのは、予算配分です。
 一般会計予算の「科学技術振興費」の4%相当分からねん出されたのが「科学技術イノベーション創造推進費」500億円で、そのうち175億円を、推進本部が調整費として配分する仕組みとなっています。その配分の最終権限は推進本部長の総理大臣にあります。

 科学技術イノベーション創造推進費の原資である科学技術振興費からの捻出割合を、いまの4%ではなく、例えば6%にしたり7%にすることもできます。
 そうなると、幅広いボトムアップの部分に配分されている「科学研究費補助金」(科研費)の比重は、相対的に低下することになるのです。

 このようなやり方に対して、学者・研究者のあいだで懸念が広がっています。

 たとえば、昨年6月に7つの学会が連盟で「緊急声明」が出されています。日本生化学会・会長、日本分子生物学会・理事長、日本免疫学会・理事長、日本癌学会・理事長、日本神経科学学会・会長、日本細胞生物学会・会長、日本ウィルス学会・理事長が名を連ねている声明で、こう言っています。

 「多くの優れた科学技術は、知的好奇心にはじまる研究成果から生まれたものであり、長期的に次々と産業化に結びつくイノベーションを生み出すためには、異分野融合研究をふくめた裾野が広い基礎研究体制を維持することが必須である。……我々は、実用化を指向した一貫性・計画性のあるトップダウン型科学技術推進戦略のみが一人歩きすると、我が国の科学の発展は危機的状況を迎えかねないと危惧するものである」。

 さらに昨年6月11日、27団体が参加している生物科学学会連合も「緊急声明」を出しています。

 また、大阪大学大学院生命機能研究科が、次のような見解を発表しています。
 「医療への応用に直結したトップダウン型研究を重視する日本版NIHの実現が、もし科学研究費補助金の削減を引き起こすことになれば、国際的に見て現在まだまだ手薄な我が国の基礎研究支援が益々劣化するとともに、次世代を担う多様な研究人材を失う事になります。そうなれば、いずれ我が国の医療技術や産業の停滞に繋がる事は、陽を見るよりも明らかです。過ちは一瞬で為されますが、いったん失った研究環境や人材を回復するには、長期間にわたる再度の巨額資源の投資を要することになります」。

 日本生化学会等のライフサイエンス学会7学会の緊急声明、生物科学学会連合27団体の声明も、ボトムアップ型研究が劣化する懸念を表明しています。

 これらは、日本の研究体制の歪みを的確に指摘する重要な見解です。

 この法案は、経済同友会などの財界が要求する医薬品開発を、総理のトップダウンの指示で国の機関を動員して研究開発を推進する体制をつくるものです。

 それは、基礎研究の歪みをもたらし、医薬品開発の利益は業界へ、一部の人しか開発の利益を享受できないという危険性があるのです。  

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