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奮戦記

【14.02.21】麻生財務大臣と黒田日銀総裁に質問――財金委

 私が今日、財務金融委員会の大臣所信質疑で主張したのは、政府も日銀も消費者物価を上げることを目的にしているが、それでは国民生活が苦しくなるだけではないか、という点です。

   まず最初に、昨年6月14日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針について」という文書について確認しました。そこには、こう書いています。
 ――「今後、物価の上昇が想定される中、賃金や家計の所得が増加しなければ、景気回復の原動力となっている消費の拡大は息切れし、景気が腰折れすることにもなりかねない」。「2%の物価上昇の下、それを上回る賃金上昇につなげることで、消費の拡大を実現し、所得と支出、生産の好循環を形成する」と。
 ここで「物価上昇を上回る賃金上昇につなげる」と書いているのが、ポイントです。

物価上昇は円安でつくられた

   その議論の前提として、物価の現状について日銀の黒田総裁に確認しました。
 アベノミクスがスタートして1年になるが、消費者物価はどの程度上昇しているのか。また、上昇した要因をどのように見ているか。
 黒田総裁の答弁は、1%台前半となっているというものでした。その要因としては、円安などもあるが内需が増えていることが大きいと答えました。

 しかし日銀の資料によると、「物価上昇に寄与した品目」としてあげているのは、電気、ガソリン、灯油、都市ガスなどが上位を占めており、原燃料などの輸入品が円安で上がっていることを示しています。
 また、ルームエアコン、携帯電話、カーナビ、パソコンなどの電機製品が上昇しています。これらは、アジアの生産拠点から逆輸入している製品が多く、円安で上昇していることは明らかです。たとえば、パソコンは70%が輸入、テレビは92%が輸入です。
 この状況を見ると、現時点で、消費者物価を押し上げている要因の大部分が、円安にあると見てよいのではないでしょうか。

 商工中金の1月16日付レポートは、こう書いています。
 「最近の物価上昇の要因をまとめると、エネルギー価格が上昇していることに加えて、耐久消費財価格の下げ止まりや保険料の引き上げによるところが大きい。ただし、これらは為替が円安となったことや保険会社の特殊事情を背景としており、需給ギャップの改善を裏付けるものではない。」と。

 また、第一生命経済研究所の試算によると、昨年10〜12月期の生鮮食品を除く総合指数は1.1%上昇しましたが、そのうち為替要因がそのうち0.6ポイント分を押し上げたと指摘しています。半分以上が円安要因なのです。

 内需が拡大した結果、「需給ギャップ」を解消するために物価上昇が起こるというのではなく、円安で言わば外側からムリに物価を押し上げているのが現状ではないでしょうか。

消費者物価は3年で6〜7%上昇する

   政府も日銀も、消費者物価上昇率2%は「2014年度の終わりから2015年度にかけて」達成すると言ってますが、日銀政策委員が、それぞれ、2013年度から2015年度の物価の上昇見通しを出しています。
 それによると、消費税増税の影響を除いたケースで、2013年度0.7%、2014年度1.3%、2015年度1.9%、消費税増税を入れると、2013年度0.7%、2014年度3.3%、2015年度2.6%となっています。

 では、1012度年を起点とし2015年度までに物価は何%上昇するでしょうか。それを見るために、上昇率を単純に足してみると6.6%になります。これが、3年間の消費税増税を含む消費者物価の上昇率です。3年間で、消費者物価は7%弱の上昇となります。
 この点は、黒田総裁も認めました。安倍内閣も、ほぼ同じ想定をしていると考えてよいかときくと、麻生大臣もそれを認めました。

賃金が7%以上、上がらなければ生活は下がる

   昨年6月14日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針について」によれば、最初に確認したように、「物価上昇を上回る賃金上昇」を達成しなければならないことになっています。
 物価上昇率は約7%だから、3年間で賃金を7%を上回るように上げなければ、閣議決定に反することになります。賃金を7%上げるということは、賃金月額30万円のばあいは2万1000円、50万円のばあいは3万5000円の賃上げをしなければならないということです。

 昨年はどうだったでしょうか。厚生労働省が2月18日発表した昨年12月の「毎月勤労統計調査(確報)」によりますと、基本給と残業代を合わせた「きまって支給する給与」は、前年同月比0.2%減の26万739円となっています。――19カ月連続して前年同月を下回っているのです。
 また、2013年平均の「現金給与総額」(月額)は、前年とほぼ同水準の31万4054円(73円減)です。「きまって支給する給与」は前年比0.5%減の26万353円、「所定内給与」は同0.6%減の24万1250円です。

 私は、麻生大臣に、昨年はマイナスだから、「あと2年で7%以上の賃金引き上げを実現しなければならない。本当にできるのか」とききました。
 麻生大臣は「政労使会議などで賃上げの環境を整備している。自由主義経済でやっておりますんで」と答えました。

消費税増税をやめ、2つの賃上げ政策を実行せよ

   安倍内閣・麻生大臣は、肝心の対策を避けています。

 いま必要なのは、(1)低賃金・不安定な非正規雇用を増やしてきた労働者派遣法を抜本改正し、若者を使い捨てにするブラック企業を規制すること、(2)中小企業に対して直接支援を行いながら最低賃金を底上げすることの2点です。
 安倍内閣は、この点については完全に後ろ向きです。

 閣議決定した新骨太方針は、「賃金や家計の所得が増加しなければ、景気回復の原動力となっている消費の拡大は息切れし、景気が腰折れする」と書いているのです。これが現実になるのではないでしょうか。そうなれば、アベノミクスは破綻し、国民は塗炭の苦しみを押しつけられます。

 消費税増税をやめ、2つの賃上げ政策を実行する方が、内需拡大にプラスになるのです。このことを述べて質問を終わりました。

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