奮戦記
【14.02.18】「消費税増税分5兆円は全額社会保障財源に回す」のウソ
安倍総理や田村厚労大臣は、国会答弁でさかんに「消費税増税分5兆円は全額社会保障財源に回すんです」と繰り返しています。本当にそうでしょうか。来年度の予算案に即して見てみましょう。
まず政府は、消費税率を5%から8%に引き上げることによって、来年度の消費税の増収を5兆円と見込んでいます。
一方、社会保障費はどうか、2013年度の社会保障4経費(国・地方)は、32.9兆円です。2014年度には、それはいくらになるでしょうか。36.6兆円です。ですから3.7兆円増えるだけです。
5兆円を国民から取り上げながら、3.7兆円しか使わないのですから、これだけでも「全額使う」はウソだということが分かります。――しかも、3.7兆円の内容をよく見ると、「社会保障の充実」に回るのはわずか0.5兆円で、あとは「消費税増税に伴う経費増」が0.23兆円、「年金の国庫負担2分の1の置き換え分」が2.95兆円あります。――あわせて約3.7兆円(3.68兆円)です。
しかし「消費税増税に伴う経費増」というのは消費税を増税をしなければ必要ないものです。また、年金の国庫負担2分の1も、ほんらい消費税増税以外の財源で確保すべきものです。
あとの1.3兆円はどこにいくのでしょうか。政府の説明では「後代への負担の付け回しの軽減」に使われるというのです。つまり、借金の穴埋めにまわるのです。つまり、これまで借金でまかなってきた社会保障財源を、消費税に置き換えるということです。ここにトリックがあります。
みずほ総合研究所の「みずほ政策インサイト」というレポートは、こうい主旨のレポートを書いています。――「お金には色がないため、消費税収が社会保障財源に充てられることで、これまで社会保障費に充てられてきた他の税収を社会保障以外の使途に振り向けることができる、消費税の目的税化は消費税率引き上げを容易にするレトリックにすぎない」と。
要するに、「社会保障に全額使う」と言えば、国民が受け入れやすくなるからそういう言葉を使っているだけで、実際には、社会保障以外の使途に振り向けることができるのです。その分は、公共事業にも、軍事費にも、大企業減税にも使えることになるのです。
4月からの消費税増税をやめ、経済政策の基本を、家計を応援する内容に切り替えるべきです。