奮戦記
【13.12.24】韓国軍への弾薬提供が、なぜ「武器輸出三原則」に違反しているか
安倍内閣は、南スーダンでPKO実施中の陸上自衛隊が保有する弾薬1万発を、韓国軍に国連を通じて無償譲渡することを決めたそうです。
自衛隊の海外派兵は、憲法に反するものですが、同時に、弾薬の外国軍への提供は、外国への武器輸出を禁じた「武器輸出三原則」に明白に違反します。
菅官房長官は「例外とする」という談話を発表しましたが、今後「例外」を「常態化」させようというする狙いがあるものと見られます。民主党政権下でも、その動きがありました。
もともと武器輸出三原則は、1967年に当時の佐藤栄作総理が(1)共産圏諸国(2)国連決議で禁じられている国(3)国際紛争当事国――への武器輸出を認めないと国会答弁したのが始まりです。1976年年2月27日に、三木武夫内閣が「政府統一見解」を示し、三原則以外の国にも「『武器』の輸出を慎む」としました。
その「政府統一見解」の中には、政府自身「『武器』の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため」、「憲法の精神にのっとり」、武器輸出を慎むとしていたのです。武器に準じて、その生産技術なども輸出できません。
外務省が、2004年4月にまとめた『日本の軍縮・不拡散外交』でも、日本が小型武器の会議で重要な役割を果たしている理由について、「日本は武器輸出を原則的に行っておらず、輸出を前提とした軍需産業もないことから、国際社会をリードできる立場にあるといえる」とのべていたのです。
この原則は「憲法の平和主義」の具体化であり、揺るがすことのできない「国是」なのです。「例外」なども、あってはなりません。
官房長官は「緊急の必要性・人道性が極めて高い」とする談話を発表しましたが、説明になっていません。
これまでの国会答弁では「仮に国連事務総長から弾薬の提供の要請があっても断る」と説明してきたのです。それなのになぜ、急に方針を転換したのでしょうか。
先ほどのニュースでは、韓国国防省報道官が「不足していません。不足はしていないが、予備的に必要になることもあるので、その状況に対処するもの」と説明しました。
「銃弾の提供にどの程度の緊急性があったのか、検証を求める声もあがりそう」とマスコミからも指摘されています。
政府の「武器輸出三原則」を踏みにじる説明に、早くもほころびが出はじめています。