奮戦記
【13.11.23】「異次元の金融緩和」の実態は?
11月22日の財務金融委員会で、黒田日銀総裁に質問しました。
日銀は「異次元の金融緩和」を進めていますが、必要な資金は出回っているのでしょうか。
世の中に、どれだけお金がどの程度供給されているかを見るとき、ふたつの統計が大切です。
ひとつは、日銀が金融機関に貨幣を供給する部分、これを「マネタリーベース」といいます。これは、日銀の金融緩和で増やすことができます。
もうひとつは、金融機関が経済全体に貨幣を供給する部分で、これは「マネーストック」といいます。この部分は、経済が活性化しなければ増えることはありません。
日銀に提出させた資料を見て下さい。
「マネタリーベース」では、昨年10月に比べて今年の10月は47.7%増えています。たいへんな増え方です。安倍内閣と日銀は、これをさらに増やそうとしています。
ところが、経済全体への貨幣供給を示す「マネーストック」(M2)でみると、昨年10月に比べて今年の10月は、わずか4.1%しか増えていません。
いくら日銀が金融緩和をおこなっても、銀行が日銀に設けている当座預金勘定の残高がふえるだけ(前年比136.4)なのです。つまり、日銀と銀行の間にじゃぶじゃぶおカネがたまるだけで、銀行から先におカネが流れなかったことを示しています。
理由は、資金需要がないからです。その原因は、GDP(国内総生産)の6割を占める家計消費が伸びず、内需が低迷しているからです。
いま、政府がなすべきは、家計を直接暖める政策への転換です。賃金を大幅に引き上げ、年金・医療・介護などの社会保障負担を大幅に軽減し、消費税増税を中止することです。