奮戦記
【13.06.24】小選挙区「0増5減」区割法案の「再議決」に対する穀田恵二議員の反対討論
2013年6月24日、衆院小選挙区の「0増5減」区割り改定法案が、衆院本会議で、自民、公明、維新の3分の2超の賛成で再可決され、成立しました。参院で60日経過しても採決されなかったことを受け、憲法59条の「みなし否決」規定を適用し再可決を強行。日本共産党などは反対しました。
反対討論で穀田恵二国対委員長は、衆参両院での可決が憲法の原則であり、60日経過で軽々に再可決していいものではないと指摘。選挙制度は多様な民意をいかに正確に議席に反映するかを原則に、全政党の参加で慎重に検討すべきだと述べ、消費税増税押し付けなど政治的思惑で選挙制度を扱ってきた自民、民主などを批判しました。
穀田議員は、「0増5減」は格差が2倍を超える選挙区をとりあえずなくす姑息(こそく)な弥縫(びほう)策で、「小選挙区制を維持・固定化するものでしかない」と強調。20年前の導入時から日本共産党は「小選挙区制は民意の公正な反映をゆがめ、第1党に虚構の多数を与える」と反対し、格差が2倍を超える「違憲立法だ」と批判していたことを示し、「20年も維持し続けてきた各党の責任が厳しく問われる」と述べました。
さらに穀田議員は、各党の実務者協議で小選挙区による「過度な民意の集約」の問題をすべての党が認めたことを示して、「いまやるべきは、小選挙区制を廃止し、民意を反映する制度に抜本的に改革することだ」「議員定数の削減に合理的根拠はない」と強調しました。
民主党は、選挙制度に関する自公民3党合意の実行を求め、定数削減が足りないといって反対しました。
穀田恵二議員の反対討論
私は日本共産党を代表して、自民、公明両党が、衆議院小選挙区を「0増5減」で区割改定をする公選法改定案について、参議院で否決されたものとみなす動議を提出し、衆院での3分の2以上の多数をもって再議決し、成立させようとしていることに、断固反対の討論を行います。
憲法59条1項は、法律は、衆参両院で可決したときに成立することを原則としています。それは、衆参2つの院で審議を深め、その問題点を国民に明らかにすることを保障するとともに、選出方法の異なる両院で審議することによって、国民の意思を多元的に反映させる精神に立つものであります。
衆議院で可決してから60日を経過したとして、軽々に否決とみなし、再議決していいものではありません。
しかも、法案は、選挙制度という民主主義の根幹にかかわるものであります。
選挙制度は、国民の多様な民意をいかに正確に議席に反映するかを原則に、すべての政党、会派が参加して慎重に検討されなければなりません。
ところが、今回の「0増5減」をめぐっては、その出発の段階から、自民党と民主党の政局的思惑であつかわれてきたことを、きびしく指摘しなければなりません。
ふりかえると、2011年10月から衆議院選挙制度をめぐって16回の各党協議がおこなわれました。この協議は、最高裁が小選挙区間の格差を違憲状態と指摘したことを契機としたものでした。重要なことは、現行の小選挙区比例代表並立制が、民意を著しくゆがめており、民意を反映する抜本改革が必要だということが、民主党以外の多くの政党の共通認識になったことでした。
ところが、当時、民主党は、こうした議論を無視しただけでなく、消費税を国民に押し付けるため、国会議員が「身を切る改革」が必要だと称して、比例定数80削減に固執したうえ、各党協議を一方的にうちきりました。
そのあげくに、昨年の臨時国会で当時の野田総理と安倍自民党総裁の党首討論の場で、解散の条件として選挙制度をもちだし、それにもとづき、「0増5減」案が、自民・公明と民主などの賛成多数で成立させられたのであります。
日本共産党は、当初から「0増5減」に反対してきました。「0増5減」は、最高裁が違憲状態とした一人別枠方式による配分を実質的に残して、格差が2倍を超える選挙区をとりあえずなくすという、まさに姑息な弥縫策であり、小選挙区制を維持・固定化するものでしかありません。
いまあらためて20年前の「政治改革」が何をもたらしたのか、検証すべきであります。
当時、わが党は、「小選挙区制は、選挙制度の基本である民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第1党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだ」として反対しました。同時に、小選挙区の区割りが、発足時から2倍を超える格差を容認していることは、「投票価値の平等を踏みにじる違憲立法だ」と批判しました。
出発点から問題のある、この制度を20年も維持し続けてきた各党の責任が厳しく問われているのであります。
現行制度の下での6回の総選挙結果から、根本的欠陥はあきらかです。
小選挙区で第1党の得票率は4割台にもかかわらず、7、8割もの議席を占めています。得票率と獲得議席に著しい乖離を生み出し、議席に反映しない投票「死票」が過半数にのぼります。
この4月から、しきりなおしして、各党の実務者協議が8回おこなわれてきましたが、ここで、小選挙区による「過度な民意の集約」が問題となり、民主党もようやくこれを認めたのであります。
いまやるべきは、民意をゆがめる小選挙区制を人為的に緩和することではなく、小選挙区制を廃止し、民意の反映する制度に抜本的に改革することであります。
もうひとつ言っておきたいのは、国会議員の定数問題です。そもそも、わが国の議員定数は、国際的にみても、歴史的にみても、少ないものであり、国会による政府の監視機能の低下をまねくことは明白です。定数削減に合理的な根拠はまったく存在しません。
最後に、選挙制度の抜本的改革の議論をよびかけ、反対討論をおわります。