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奮戦記

【13.06.19】財務金融委員会で日銀総裁と財務大臣に質問

   財務金融委員会で、黒田日銀総裁と麻生財務大臣に質問しました。
 今日の質問で私が主張したことは、以下の通りです。

 安倍総理は、「秋には成長戦略第2弾を打ち出したい。この中で思い切った設備投資減税を決定したい」と述べた。しかし、このような減税で設備投資が盛り上がるのか。これが私の疑問だ。
 黒田総裁の説明では「設備投資は、非製造業が底堅く推移するなか、全体としても下げ止まりつつあります。」とのべた。財務省が6月3日に発表した1-3月期の法人企業統計によると、全産業(金融機関を除く)の設備投資は、前年同期比で▲3.9%で、そのうち製造業は▲8.3%となっている。
 そもそも、企業が設備投資をするかどうかを決める要因は何か。どのようなときに設備投資をしようとするのか。たとえば内閣府がおこなった平成15年4月の「企業行動に関するアンケート調査」がある。それによると、「設備投資の決定要因」として、いちばん多いのが「内外の需要動向」で、続いて「収益水準」だ。また「他社の動向」などがある。いまでも、これは基本的に変わらない。
 法人企業統計では、1-3月期の全産業の売上高は▲5.8%だ。したがって、なかなか設備投資を牽引するものにはならない。政府のアンケート調査のなかには、税金が軽くなったら投資をするなどという回答はない。

   日銀は、今年に入って金融緩和をすすめているが、マネタリーベースで5月末前年比で37.5%増えている。これほど緩和しても、設備投資が増えない。
 企業は、金融を緩和したら設備投資を増やすのではなく、「内外の需要動向」や「収益水準」の見通しがあるかないかで決めているのではないか。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社調査部の小林真一郎氏は「企業の設備投資がなかなか盛り上がってこない背景には、短期的な景気サイクル上の動きだけではなく、もう少し根の深い原因がある」と指摘している。(「企業の設備投資は増加するか」2013 年5 月9 日「けいざい早わかり 2013 年度第2 号」)
 「第一に、企業が需要の見通しに慎重な姿勢を続けているためです。総人口が減少に転じ、国内需要の先細りが懸念される中では、なかなか投資に積極的にはなれないというものです。第二に、企業が海外進出を強めており、資金を国内投資に回すよりも海外に振り向けようとしていることが挙げられます」と述べている。
 昨年7月の政府の「海外事業活動調査」によると、投資決定のポイント73.3%を占めているのは、「現地の製品需要が旺盛又は今後の需要が見込まれる」というものだ。投資を決定するポイントで圧倒的多数を占めているのは需要動向だ。
 企業が設備投資に踏み切る場合の決定的な要因は、金融緩和や税負担にあるのではなく、基本的には「国内需要」と「企業利益」にあるということは明らかだ。

   しかも、海外に設備投資が向かうなど巨大企業を中心に多国籍企業化が進んでいることも、国内の設備投資低迷の背景にある。
 「日経新聞」のアンケート調査では、円安で日本国内への工場回帰が起きるかとたずねたところ、「起きない」との回答は69%を占めた。例えば、トヨタはブラジル、インドネシアに車両工場を作る。三菱自動車はインドネシアに新工場を作る。ホンダは中国でハイブリッド車の現地生産をはじめる、等々。しかも、それに関連する企業も海外に進出する。これが、国内の設備投資を低迷させている実態ではないか。

 それにもかかわらず「投資減税をおこなえば設備投資が盛り上がる」と考えているところに、大きな間違いがある。
 しかも今後「国内需要」を冷やす要因として、消費税増税、社会保障負担増が待ちかまえている。それは、年間の負担総額20兆円にものぼる規模だ。しかも「成長戦略」には、もともと人減らしが可能な「多様な正社員」の導入、「残業代ゼロ」の「裁量」労働、派遣労働の拡大などが盛り込まれている。これでは、内需が増えるはずがない。
 まず、消費税増税などの国民負担増を撤回すること、社会保障と福祉を充実させること、中小企業対策を充実させ最低賃金を引き上げ、ベースアップを実現すること。この方向しかない。
 経団連の米倉弘昌会長は6月10日の記者会見で、「投資減税だけでは動かない」と言った。それを言うなら、「266兆円の内部留保を活用して、賃金を引き上げ、下請け単価も引き上げ、税金も払います」というのが、真っ当な姿勢ではないか。そうしてこそ内需が拡大し、設備投資も盛り上がる。
 実体経済が活性化せず、内需が低迷しているなかで、日銀がいくら金融緩和しても、バブル要因を増やすだけだ。

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