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奮戦記

【11.11.07】衆院本会議――復興財源について総理に質問

 政府から提案された復興財源確保法案など3つの法案について、質問しました。
 その全文は、以下の通りです。
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   私は、日本共産党を代表して、復興財源確保法等3法案について質問します。

 政府は、復興のため「連帯して負担を分かち合う」と述べていますが、実際に提案された法案の内容を見ると、まったく違うものになっております。

 政府提案の復興財源スキームでは、今後、個人や中小業者にたいし8.8兆円の増税を押し付けるものとなっています。
 ところが大企業はどうか。まず実質5%の法人税の減税を恒久的におこない、はじめの3年に限って、わずかな付加税を課すだけであります。この3年間を取り出しても、いまと比べて実質的な負担はないのではありませんか。
 大企業に負担は一切なく、減税が続くだけであります。 これでは「連帯して負担を分かち合う」と言いながら、個人には「重い負担」、大企業には「負担の軽減」ということになってしまうではありませんか。

   しかも重大なのは、一人ひとりの被災者にきちんと財政措置がおこなわれるのかという問題です。支援制度からもれた防災集団移転の移転先の住宅建築、液状化や地盤沈下の被害を受けた宅地の復旧、事業所や店舗の再建などは、いま切実に求められているのです。

 ところが政府は、「個人の資産形成に関する負担軽減は慎重な検討が必要」とする冷たい対応をおこない、これらは個人責任とされているのであります。
 これで、どうして被災地の復旧・復興ができるでしょうか。被災者には、復興増税の負担だけが押しつけられ、これらの分野で国の支援を受けられないなどということは、絶対にあってはなりません。
 総理、被災者個人への直接支援をきちんとやると約束していただきたい。明解な答弁を求めます。

   資本金10億円以上の大企業は、リーマンショック後も内部留保を増やし続け、いまでは約260兆円に達しているのであります。労働者の賃金を抑え、下請単価を買いたたき、減税や補助金の恩恵を受け、利益を蓄積してきたからであります。

 このうえ野田内閣で法人税減税が実施されれば、この内部留保は、ますます膨れあがってしまうではありませんか。
 大企業は、国から至れり尽くせりの恩恵を受け、積み上がった内部留保をもてあましているのであります。この使い道のない内部留保を、被災者のため復興財源として有効に活用するのは当たり前ではありませんか。

   総理は、法人税減税は「産業空洞化防止」のためだと答えました。
 しかし、日本の製造業が海外に進出する理由は何でしょうか。政府の調査でも、いちばん大きな理由は「現地需要への対応」、その次は「人件費の安さ」であります。「税金が高い」という理由は、ほとんどありません。

 したがって、進出先に「現地需要」があり、「低い賃金」があるかぎり、法人税をいくら引き下げても、海外進出に歯止めをかける対策にはなりません。実際に、この間、法人税は42%から30%まで減税を繰り返してきましたが、海外進出はますます進んでいるではありませんか。
 財界・大企業は、利潤を求めて海外進出を続けながら、その理由を法人税にあるとすり替え、あわよくば、さらに大きな減税を手にしようとしているのであります。国を捨てて世界に進出し、巨大な利潤をもとめてグローバルに活動する多国籍企業に、なぜ、被災した国民が汗水流して納めた血税を、渡さなければならないのでしょうか。

   昨年11月、国内投資促進円卓会議で、経団連の副会長は「減税分は、国内における投資の拡大、雇用創出につなげていく決意」と発言し、5年後に84兆円、10年後に104兆円と国内投資を拡大すると大風呂敷を広げました。

 こんな口先だけの約束で、当時の菅総理は、「素晴らしい提案をいただいた」と大喜びし、法人税率引下げを決意したといわれています。
 しかし法人税軽減で生まれる「利益」はどこに行くのでしょうか。財務省の法人企業統計によれば、大企業において増えた利益のほとんどが、内部留保、配当、役員給与にばかり分配され、労働者の賃金上げにはまったく使われず、逆に給与総額は引き下げられてきたのであります。
 大企業への法人税減税に合理的根拠がないことは、どこから見ても明らかではありませんか。

   次に消費税についてお聞きします。
 野田総理は、今回のG20で、「今年度中に消費税増税法案を提出し、2010年代半ばまでに消費税率を5%引き上げ10%にする方針」を明らかにしました。閣議決定もされていない方針を、なぜ「国際公約」したのでしょうか。
 消費税増税を盛り込んだ6月末の「社会保障・税一体改革」の「成案」は、閣議決定されず、「閣議報告」という扱いになっていたのであります。

 自見金融担当大臣は、財務金融委員会で、私の質問にこう答えました。政府・与党社会保障改革検討本部において、消費税増税人「我が党の幹事長、政調会長が反対をいたしました」。「わざわざ閣議報告事項にしたということ、きちっと国民新党の主張を御理解していただいて御配慮いただいた」と答弁しております。つまり、国民新党が同意しなかったから、消費税増税の方針は正式に閣議決定できなかったのです。

   自見大臣にお聞きします。今後、消費税増税法案が閣議決定されようとしたとき、国民新党は、それに賛成するのか、それとも反対するのか、反対なら自見大臣はどのように身を処するつもりか、お答えいただきたい。

 野田総理は、閣内で反対が出ても、消費税増税法案を強行するつもりでしょうか。答弁を求めます。
 もともと民主党は、政権を担当する4年間は消費税をあげない、仮に引き上げる場合には、総選挙で国民の信を問うと約束していたのではありませんか。一昨年秋、当時の藤井財務大臣は、私の質問に対して、2012年3月までに消費税増税法案を提出して成立させるとした平成21年度税制改正法附則104条は、「修正するのが筋だ」と答弁をされていたのであります。
 財務大臣、この事実は確認できますね。
 ところがその後、修正の必要はないという態度に変わり、さらに消費税増税法案を強行するという方針へと、大転換が行われたのであります。野田総理は、この方針転換の事実を認めますか。これは、明白な公約違反であり、国民への背信行為ではありませんか。

   政府の家計調査を見ても、この10年間、夫婦高齢者世帯の年金給付が大幅に減っております。

 その反面、保健医療、介護保険、所得税、住民税、この負担は大きくふえました。貯蓄を取り崩して生活しているが、その貯蓄も底をつくような状態になっている。これが高齢者世帯の実態であります。
 消費税増税は、年に12兆円もの過酷な庶民増税であります。「復興増税」と合わせると、家計と内需への打撃は計り知れず、被災地の復興と日本経済の再建に冷水を浴びせることになります。
 被災者・高齢者の中から、「これ以上増税されたら生活できない」と、悲鳴が上がっています。野田総理は、この切実な声をどのように受け止めているのでしょうか。

 日本共産党は「地震・津波災害の復興財源」と「原発災害対策財源」は分けて考え、それぞれ別途、確保する具体的な提案をしております。

 復興財源としては、米軍への「思いやり予算」や米軍基地関連予算、政党助成金を廃止するだけで、15年間に5兆円の財源を確保できるのであります。
 また、法人税減税と証券優遇税制の延長をやめれば年間1・7兆円、15年間で25兆円を超える財源が生まれるのであります。

 これらを実行すれば、庶民増税なしに復興財源を確保することは十分に可能であります。――このことを強調して、質問を終わります。

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