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奮戦記

【11.02.15】消費税増税は明白な公約違反―本会議で代表質問

 今日開かれた衆院本会議で、国税・地方税改正案が議題となりました。私は、国税法案について、以下の質問をしました。  

公債特例法案・所得税法等改正案についての代表質問(全文)

   私は、日本共産党を代表して、公債特例法案・所得税法等改正案について質問します。

 1年前のこの本会議で、私は、発足まもない民主党政権にこう聞きました。これまでの政策を「抜本的に切り替えることができるのか」。「国民に増税を押し付け、大企業・大資産家に減税をおこなってきた政策を転換できるか」とただしました。そのとき鳩山総理は、「家計を直接支援する、そして、国民の暮らし、生活が第一という政治を実現してまいりたい」と答えたのであります。

 ところが、その後の事態は、この言明を裏切るものとなりました。税制についての基本姿勢、今回提案された公債特例法案・所得税法等改正案をみると、まったく逆の方向が打ち出されていると言わなければなりません。

   まず、消費税についての姿勢です。これまで政府は、「4年間は上げない」と何度も答弁してきました。

 だからこそ一昨年11月、当時の藤井裕久財務大臣は、消費税増税法案を2011年度までに成立させることを義務づけた所得税法附則104条については、「修正するのがスジだと思います」と答えていたのであります。

 藤井さんの次に財務大臣になったのが菅総理でした。菅総理は、1年前「附則104条は前の政権のもとでの条文であり、今の鳩山政権の方針とは明らかに矛盾をいたしております。確かに、撤回、削除ということも考える可能性も私はあり得るかと思います」と答えていました。

   ところが、いまはどうでしょう。附則104条を「守る」という立場に180度、転換したのであります。これを、どう説明するのでしょうか。

 民主党は、「もし上げる場合は、国政選挙で国民の審判を受ける」と言っていました。それなのに、2年経ったら消費税増税法案を国会で通してしまうというのは、明確な公約違反であり、国民にたいする裏切り行為ではありませんか。

 柳沢伯夫・元厚労大臣は、いま、菅内閣の社会保障・税一体改革「集中検討会議」のメンバーになっております。
 柳沢氏は、新聞のインタビューで、こう言いました。「今の経済状況で試算し直せば、消費税率を15%近くに上げなければつじつまが合わない」と。与謝野大臣も、同じ考えでしょうか。

   与謝野大臣は、自民党にいたとき、こう言いました。「1%ずつ上げて選挙に負けていたらしょうがない。選挙で負けるんだったら、ど〜んと上げなくてはいけない」と。いまも、この姿勢に変わりありませんか。

 菅内閣は、庶民に大増税を押しつける方針を固めながら、今回、提出した法案で、法人実効税率を5%引下げるとしております。しかし、244兆円もの莫大な内部留保をかかえ、手元資金がだぶついている大企業に、これ以上法人税を減税しても、内部留保がますます積み上がるだけではありませんか。

 1998年にOECDは、各国間で激しくなった法人税引下げ競争に警鐘を鳴らしました。にもかかわらず、ギリシアをはじめ多くの国々は、引き下げ競争に走りました。それが一因となって、いま、深刻な財政悪化に苦しんでおります。

 峯崎前財務副大臣は、昨年G20の財務大臣・中央銀行総裁会議で、「法人税率の引き下げ競争に歯止めをかける必要がある」と訴えました。
 総理は、法人税率引き下げ競争について、どのような認識をお持ちでしょうか。
 「税引き下げ競争」を止めるための国際的強調こそ、必要なのではありませんか。

  政府は、法人実効税率を引き下げたら、9万人の雇用拡大につながると説明しています。果たしてそうなるのでしょうか。

 その前提は、「もしも企業が減税分を国内投資に回したなら」、「もしも海外移転を控え国内投資に転換したなら」というものであり、投資が増えれば「雇用の増加が期待できる」という程度のものであります。根拠があまりに脆弱ではありませんか。
 現に、日本経団連会長は、雇用については「約束できない」と言っております。

 経済産業省のアンケート調査でも、投資先を決める最大の理由に「税制」をあげたものはありません。大企業の収益がリーマンショック以前に回復したと言われているのに、新卒者の採用を大幅に絞っています。
 いま、3月卒業の多くの学生が就職の当てもなく、不安な日々を過ごしています。まず、その解決が必要であり、また労働法制の抜本改革が必要であります。
 家計を暖め国内市場が拡大してこそ、企業は設備投資をするのではありませんか。答弁を求めます。

   次に、証券優遇税制の再延長についてです。政府税調では、2011年12月末で10%の軽減税率を本則の20%に戻すと合意していたはずです。なぜ土壇場で、延長することにしたのでしょうか。いったい、それは誰の要望でしょうか。

 民主党は、現在の所得税について、「所得再分配機能や財源調達機能が低下している」と言い、昨年の税制改正大綱でも「累進構造を回復させる改革を行って所得再分配機能を取り戻す必要がある」と書きました。
 高額所得者の所得税負担率が、年収1億円をさかいに低下していくのは、証券優遇税制が大きな原因です。
 「累進構造」を回復させるというなら、この大資産家優遇を今年で終わらせるべきではありませんか。

   最後に、納税者権利憲章についです。1962年に改正されて以来、半世紀ぶりに「国税通則法の改正が」提案され、「納税者権利憲章」を法制化しようとし
ています。

 日本共産党は1992年に「納税者憲章(草案)」を発表して以来、その制定に力をつくしてきました。
 税務署の職員が、任意の税務調査にもかかわらず、突然、納税者を訪問して家の中に押し入り、タンスを開けたり、ハンドバックをのぞくというような人権侵害事件は後を絶ちません。こうした強権的な徴税を苦に、納税者が自殺する事件まで起っています。

 「納税者権利憲章」は、このような税務行政に歯止めをかけ、民主的な税務行政に転換するためのものでなければなりません。この案で、人権侵害事件は、本当になくなるのか、答弁を求めます。

 同時に、国税通則法も改定されますが、その内容は、納税者の権利拡大というより、納税者の義務が強調されています。
 任意の税務調査についての事前通知は「原則義務化」するとしながら、例外規定を設けています。また、税務職員が根拠なく修正申告を強要したり、帳簿書類や病院のカルテまで不当に持ち帰るなどの行為を、かえって正当化するものとなっております。
 納税者の権利を制定するのが目的なのに、なぜ「義務の強化」を書き込むのでしょうか。
 権利侵害事件をなくすために納税者権利憲章を制定するというのであれば、納税者の権利をきちんと書き込むものにすべきではありませんか。

 以上で質問を終わります

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