奮戦記
【11.01.06】非正規雇用が深刻化――「派遣」が減り「有期」が増えて
政府の「労働力調査・詳細集計」の「非正規雇用」は、「パート・アルバイト」「労働者派遣事業所の派遣社員」「契約社員・嘱託」「その他」の4つに分類されています。
直近では、2010年7−9月期の数字が出ています。それを3年前の2007年7−9月期の数字と比較してみると、大きな特徴があらわれています。
「非正規雇用」の総数は、1736万人から1775万人に増え、不安定雇用が広がっています。
その内訳を見ると……。
まず、「派遣労働者」が136万人から104万人へ、32万人も減っています(マイナス30.8%)。
しかし、「パート・アルバイト」は1169万人から1196万人へと27万人増え、「契約社員・嘱託」は300万人から335万人へ35万人も増え、「その他」の労働者も131万人から140万人へ9万人増えています。あわせて71万人の増加です。
つまり、「派遣労働者」が3割も減ったのにたいして、それ以外の非正規労働者は派遣労働者の減少分を穴埋めしただけでなく、それを上回る勢いで増えているのです。
なぜ、このよな構成変化があらわれたのでしょうか。
大企業が、派遣労働者を減らした分の穴埋めとして、期間工など「有期の直接雇用」を増やしたことがその一因です。
期間工の場合、直接雇用といっても雇用期間は2年半や2年11ヶ月が多いのです。派遣や請負を規制しても、それだけでは非正規雇用は減りません。
龍谷大学法学部教授で「非正規労働者の権利実現全国会議」代表幹事の脇田滋さんは、「派遣がダメなら期間工など有期雇用に簡単に切り替えられます。こんなおかしな直接雇用は世界に例がありません」と指摘しています。
また「派遣法だけでなく雇用構造全体に目を配る必要があります」と述べています。(「しんぶん赤旗」日曜版1月2・9日合併号)
いま必要なことは、派遣労働法を抜本的に改正すること、野放し状態の有期雇用を規制し雇用の安定をはかること、さらに正規と非正規の均等待遇を法的に保障することです。
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