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奮戦記

【10.11.09】内部留保の多くは大企業に蓄積されている

   私は、11月4日の衆議院の代表質問で「大企業は、内部留保を200兆円をはるかに超える規模で積み上げている」と指摘しました。

 この数字は、資本金10億円以上の大企業の数字で、財務省の「法人企業統計」からとったものです。
 内部留保の中核である利益剰余金と資本剰余金は、あわせて227兆円になり、全企業の総額の57%を占めており、10年間で74%も増えているのです。
 まさに大企業は、投資先のない「空前のカネあまり」なのです。

   この質問に対する菅直人総理大臣の答弁は、意外なものでした。

 「200兆円といわれるものの中で、資本金1億円未満の中小企業に留保されているものが126兆円でありまして、1億円以上のものは、70数兆円というのが事務方が調べてきている数字でありまして…」。
 いかにも内部留保は、大企業にではなく中小企業のなかに貯まっているかのような答弁でした。
 「事務方」が持ってきたという数字は、いったい誰がつくったのでしょうか。

   調べてみると、10月28日の第5回税制調査会に提出された経済産業省の「法人実効税率引き下げについて」という資料から抜き出したものだと思われます。

 そこには、このように書かれています。
 ――現預金約204兆円の内訳は、
 1 中小企業(資本金1億円未満)が約6割強(約126兆円)
 2 中堅企業(資本金10億円未満)が約1割強(約25兆円)
 3 大企業(資本金10億円以上)が約2割強(約53兆円)。

 では、この現預金約204兆円という数字は、どこから出てきたのでしょうか。

   それは、日銀「資金循環統計」の「民間非金融法人企業」の「現金・預金」(2009年度末)203兆8685億円からとったものでした。

 でも、そこには大企業や中小企業の区別はなく総額しかありません。

 いったい中小企業、中堅企業、大企業の割合は、どのようにして出したのでしょう。
 それは、財務省の「法人企業統計」のなかにある「現金・預金(当期末流動資産)」の資本金規模別比率から出したものと思われます。
 ――その比率は、
 1億円未満    97兆4447億円(61.9%)
 1億円〜10億円 19兆1315億円(12.2%)
 10億円以上   40兆8744億円(26.0%)
 全規模     157兆4506億円

 この比率を、資金循環統計で出てくる現預金204兆円にかけて出したものだったのです。

   ややこしいですね。――なぜ、こんな面倒な計算をやったのでしょうか。

 その目的は、大企業の「カネ余り」を認めたくないからでしょう。
 こんなすり替えまでして、大企業を擁護するようでは、菅内閣も地に落ちたというべきでしょう。

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