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奮戦記

【10.02.16】所得税法等改正案等についての代表質問

 衆議院本会議で、来年度予算案に関連する国税改正案等について、鳩山総理と菅財務大臣に質問しました。――その内容は、以下の通りです。

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   私は、日本共産党を代表して、所得税法等改正案等について質問します。

 議題となった法案は、政権交代後、初めて出された本予算関連の国税法案であります。問われているのは、自民・公明政権の政策を抜本的に切り替えることができているのかどうかであります。

 まず、税制の基本的な認識についてお聞きします。
 過去10年の税制改正を振り返ると、自民・公明政権は、国民に対して増税を押し付け、他方で大企業・大資産家には減税をおこなう政策を採用してきました。これが、経済格差を広げる大きな要因になってきたことは、明らかであります。
 たとえば、年金生活者への課税強化をおこないました。公的年金等控除の縮小と老年者控除の廃止は、所得税・住民税の大増税となっただけでなく、保険料や各種高齢者サービスにまで影響し「雪だるま式」の負担増を高齢者世帯に押し付けました。
 また、自民・公明政権は、定率減税の廃止によって、賃金が減り続けている現役世代の可処分所得を大きく目減りさせ、生活不安を増加させました。
 さらに、消費税の免税点を年間売り上げ3000万円から1000万円に引下げ、中小企業特例を縮小したことによって、小さな商店にまで消費税の実質負担が拡大し、多くの零細企業が廃業・倒産に追いやられてきました。
 庶民にとっては、まさに大増税と負担増が押しつけられ、暮らしと営業が大きな打撃を受けたのであります。

   その一方、大手企業はどうか。研究開発減税が繰り返されるなど、次々と法人税減税がおこなわれてきたのであります。これが、大企業の税引き後利益を大幅に増やし、内部留保金や株式配当を空前の規模に増大させる要因となりました。
 さらに、証券優遇税制により、所得制限もなく株式譲渡や配当所得への税率を一律10%に軽減したのであります。その結果、一部の資産家は億単位で減税の恩恵を受け、所得税の実行税率は「累進性を喪失している状態」となってしまいました。

 自民・公明政権が推し進めてきたこのような税制改正は、国民の間に格差を拡大し、貧困を広げる要因のひとつとなったのであります。
 菅財務大臣は、先日の本会議の答弁で、自民党・公明党政権が進めてきた構造改革路線について、「幾つかの政策が、結果として、格差拡大するだけではなくて、日本の経済の成長路線への回復に必ずしも寄与していなかった」との認識を示しました。
 この「構造改革」の流れを根本的に切り替える決意があるのかどうか、鳩山総理の基本的認識をうかがいたい。

   次は、消費税の問題です。
 菅財務大臣は、消費税を含む抜本的な税制改定の議論を、この3月にも始める意向を繰り返し示しました。しかし鳩山総理は、昨年8月、選挙中の党首討論会で「4年間は上げる必要はない」と述べていたのであります。
 昨年9月の「3党連立政権合意書」(09年9月9日)では、消費税率について「現行の消費税率5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限おこない、税率引き上げはおこなわない」としています。
 そこで確認します。消費税は4年間上げないという方針に変わりはないか、明確にお答えいただきたい。
 4年間上げないのであれば、自民・公明政権が、昨年の税制改正法案に書き込んだ「附則104条」をどうするかが問われます。ここでは、2011年度までに消費税の増税法案を国会に提出し成立させることが書き込まれているからであります。
 藤井裕久前財務大臣は、昨年秋の臨時国会で、私の質問に答え、この附則は「修正するのがスジ」と答えました。菅大臣はどのようにお考えでしょうか。この「附則104条」は撤回・削除すべきではありませんか。そのうえで、応能負担原則、生計費非課税原則に沿って、税制の民主的改革をすすめるべきではありませんか。

   政府の「平成22年度税制改正大綱」は、今後の税制抜本的改革の指標とされています。そこで伺いたい。
 税制改正大綱では、所得税の現状について、所得再分配機能や財源調達機能が低下しているとの認識を示しています。所得税率は累進性を持っていますが、実効税率は一定所得以上の高額所得者になればむしろ下降する状態となっており、改正は喫緊の課題であるとしています。
 累進性を取り戻すには、高額所得者に応分の負担を求め、所得税の最高税率を引き上げること、金融所得などを総合課税とすることがもっとも即効性があり有効であると考えます。
 リーマンショックを契機に、アメリカやイギリスなどでは、すでに所得税の最高税率や配当の税率の引き上げを実行しています。日本では、なぜ、実行できないのか、その理由を述べていただきたい。

 税制改正大綱では、所得控除の抜本的な見直しが提起されています。
 そもそも所得控除とりわけ人的控除は、「納税者本人とその家族の最低限度の生活を維持するための費用には、課税しない」という考えにもとづくものであります。日本の「最低限度の生活費」について、菅大臣はどのようにお考えでしょうか。
 これまで、日本の課税最低限の水準は国際的に低いと言われてきましたが、大臣の認識を伺います。

 こんどの税制改正では、子ども手当の実施や高校授業料の無償化の財源に充てるため、扶養控除のうち15歳以下の子どもを対象とする年少扶養控除と16歳から18歳までの特定扶養親族に対する特定扶養控除の上乗せ部分が廃止されます。

 この結果、18才以下の子供を持つ子育て世代は、2011年1月から所得税、2012年6月からは住民税が増税となります。民主党は、すべての世帯で手当て等の支給との差し引きで負担が減ると説明していますが、今のままでは、授業料負担の少ない定時制・通信制の高校や特別支援学校にかよう子どものいる世帯、およびすでに授業料の減免を受けている世帯では、負担増となるケースも発生するのではありませんか。

 さらに、先送りとなった配偶者控除も廃止となれば、15歳以下の子どものいる世帯でも負担増となるケースも出てくるのではないですか。お答えいただきたい。
 また、所得税・住民税の増税は、国民健康保険の保険料や保育料など他の制度の負担増にはね返るため、実質的に負担が増える世帯も出てくるのではありませんか。この点をどう考えているのか、伺います。  

 日本経済の正常な発展のためにも、いまこそ、家計負担を軽減し家計消費を拡大することが求められています。過去約10年間の平年度ベースの負担増の累積は、実に13兆円にもおよんでいるのであります。

 庶民増税など政府の政策により国民負担がこれだけ増えれば、可処分所得は大幅に縮小し、家計の消費が大きく冷え込むのは当然ではないでしょうか。
 このため、日本経済は消費の落ち込みなどを要因とする内需の低迷と景気悪化をまねき、需給ギャップは30兆円以上に広がりました。
 すでに、アメリカやイギリスでは、ブッシュ減税の廃止、付加価値税の期限付き引き下げなどが行われ、不公平税制の是正や家計を直接支援する施策が実施されています。

 消費の落ち込みを打開するためには、家計を暖める施策への転換が必要であります。そのためには、過去の負担増を国民に戻す政策の抜本転換が必要であります。
 総理は、その必要性をどのように認識しているか、答弁をもとめて、質問を終わります。

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