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奮戦記

【08.12.12】衆議院本会議で金融機能強化法案採決に関し2回の討論を行いました

   衆議院本会議では、3分の2以上の多数で、テロ特措法案と金融機能強化法案の再議決がおこなわれました。日本共産党は、このような強引なやり方に反対しました。

 参議院から「修正可決」されて衆議院に回付された金融機能強化法案については、私が反対討論を行いました(別掲)。
 これが否決されたあと、衆議院から送った法案とまったく同じ法案を再議決するよう求める動議が出され、採決に付されました。
 この動議にたいしても、反対討論をおこないました(別掲)。

金融機能強化法案・修正回付案についての本会議反対討論

 私は、日本共産党を代表して、金融機能強化法・修正回付案について討論をおこないます。

 参議院で修正された部分は、「地方公共団体が、その総株主の議決権の100分の50を超える議決権を保有する銀行」については、資本注入の対象から除き、金融機能強化法を適用しないものとするというものであります。それ以外は、金融機能強化法案の基本骨格はまったく修正されておりません。日本共産党は、国民にツケを回すこの法案の仕組みそのものに反対してきたところであります。

 問題となっている「地方自治体が支配株主となっている金融機関」は、全国にただひとつ、新銀行東京があるのみです。新銀行東京は、石原都知事が2003年の知事選挙で設立を公約し、東京都が1000億円を出資し、2005年4月に開業しました。

   当時、都議会で日本共産党はその設立に反対しましたが、自民党、公明党、民主党は賛成しました。開業後は、赤字決算が続き、今年3月には累積損失が1000億円をこえるに至りました。ところがこの春には、多くの都民の反対を押し切って、自民党と公明党の賛成で、400億円もの追加出資を決めたのであります。

 経営陣に知事側近の元副知事などが送り込まれており、知事がつくらせた「マスタープラン」によって高利の預金と無謀な融資拡大をおこないました。その結果、欠損が累積し、開業3年目で累積損失が資本金の85%に及ぶ1016億円に達したのであります。有価証券などの資金運用による損失も巨額なものとなっており、400億円の追加出資のほとんどは、リスクの高いファンド事業などに使われていると言われます。新銀行東京は、もはや銀行としての体(てい)をなしていないのであります。
 しかも、銀行の内部調査では、不正が疑われる融資が30件も見つかり、政治家や議員秘書らの口利きも取りざたされております。

 再建計画も出されていますが、融資対象をこの3月の1万3000社から6000社に、2分の1以下に削る計画で、新規の融資拡大はほとんどありません。預金も4000億円から、20分の1の200億円まで減らす計画で、資金の調達先は、有価証券の運用にかたよっております。新銀行東京は、もはや事実上のノンバンクとなっており、投資組合化しております。こんなところに公的資金を注入しても、税金をどぶに捨てるようなものであり、対象にすること自体、論外であります。

 ただ、この修正をほどこしたからといって、元の法案にあるような、最終的損失を国民が負担する仕組みに変わりがありませんので、この部分だけで賛成するわけにはいきません。以上で反対討論を終わります。

金融法案・本院議決案を再議決すべしとの動議に対する反対討論

   私は、日本共産党を代表して、金融機能強化法の本院議決案を再議決すべしとの動議にたいし、反対討論をおこないます。
 臨時国会は、もともと会期が11月30日までだったのあります。会期内に可決・成立しなかった法案は、廃案にするというのが常道であり、この金融機能強化法案もそうすべきだったのであります。
 ところが麻生総理と政府与党は、11月の会期末直前になって新テロ特措法と金融機能強化法の二つの法案をごり押しするため、会期延長を強行しました。それは、衆議院の3分の2の多数で再議決をおこない、むりやり成立させようとしたからであります。そのようなやり方には、まったく道理がありません。

 金融機能強化法案について言えば、世界的な金融危機のもとで投機的な資金運用で自己資本を毀損した金融機関に、なぜ、公的資金を使って応援しなければならないのでしょうか。
 メガバンクはもちろん、農林中金・信金中金までもサブプライムや不動産関連など投機的な資金運用に比重を移し、多額の損失を出しています。このようなときに、公的資金による資本注入がおこなわれれば、損失の穴埋めに使われるだけであります。

   それなのに法案では、資本注入の資金を預金保険機構が「政府保証」によって調達し、最終的に損失が出たとき、国民が税金で負担するしくみになっております。なぜ、国民にツケを回さなければならないのでしょうか。
 そもそも銀行は、預金者から預かった資金をもとに実業家に適切に供給するという役割に徹すべきであります。ところがこの間、その基本をないがしろにし、いかに儲けるか、いかに金融利益をあげるか、これを最大の行動原理にしてしまったのであります。それを規制・監督するのが政府の役割でなければなりません。
 どうしても金融機関の経営安定のために資金が必要というのなら、預金保険機構が、必要な資金を日銀や民間銀行から借り入れ、銀行業界の共同の責任で計画的に返済すればよいのであります。

 政府は、今回の資本注入が貸し渋り対策だと言っていますが、その保証はありません。
 従来の法律には、資本注入を申請するさいに提出する「経営強化計画」のなかに「中小企業への貸出し目標」を盛り込むことや、「未達成」のばあい、経営責任・株主責任を明確にすることが一応、盛り込まれていました。

   ところが今回の法改正では、これらの要件すら外してしまったのであります。目標も掲げさせず、責任も問わないで、どうして中小企業への貸し渋り対策になるというのでしょうか。まったく理解できません。
 この12年間、公的資金による銀行への資本注入は、12兆4000億円も行われてきたにもかかわらず、中小企業への貸出しは、96年3月から今年8月までの間に、実に84兆円以上も減らされてきたのであります。
 いま、緊急に求められているのは、銀行への資本注入ではなく、自己の利益のみを最優先する銀行の不当な貸出し姿勢をただすことであります。

 金融危機と景気悪化から国民生活をまもるため、いま、政府が緊急にやるべきことは何か。次々と強行されている大企業の「派遣切り」など不当な解雇にストップをかけ、雇用を守ることであります。首切りを競いあい、退職を強要するなどという事態に歯止めをかけなければなりません。下請中小企業にたいする親企業の一方的な単価切り下げや仕事減らしを規制すべきであります。

 重大なのは、麻生内閣が、かつてない世界金融危機のもとで「生活対策を優先」といいながら、国民が安心できる具体策を何もとっていないことであります。いまや多くの国民が、麻生総理と自公政権の政権担当能力そのものに、大いなる疑問をなげかけています。国民の政治にたいする怒りは、かつてなく広がっています。

 麻生総理がいまやるべきことは、衆議院を解散し、主権者国民の審判をあおぐことであります。このことを強調し、反対討論を終わります。

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