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奮戦記

【08.11.18】金融サミットで、麻生さんは具体的な提案をしたのか

   衆議院の本会議で、米国・ワシントンで14〜15日に開催された金融サミットの報告がおこなわれ、私は、日本共産党を代表して質問しました。

 麻生総理は、サミットで金融危機への短期的な対策として、金融機関に公的資金を投入する意義や、IMF(国際通貨基金)に最大10兆円(1000億ドル)相当の融資を行う用意があると表明したことなどを報告しました。

 私は、「巨大金融機関やヘッジファンドを規制・監督する具体策について、麻生総理自身がどのような提案をしたのか」とききました。
 麻生総理は、「資本移動がグローバル化した状況の下で、金融監督や規制において国際的な協調の重要性を指摘」したなどと、抽象的な言葉を繰り返すだけでした。

   私は、具体的な規制策を提案しないで、10兆円の資金融通だけを表明するのは、日本が「気前よくお金を出すだけの存在」とみなされると指摘するとともに、これまでの日本の公的資金投入などについて「何の責任もない国民に、金融機関の乱脈経営の犠牲を転嫁するものだ」と批判しました。

 そのうえで、「カジノ経済」の破綻のツケを国民に回さない対策として、次の点を求めました。

  (1)大企業による派遣社員、期間社員をはじめとする大量解雇を中止し、雇用を維持するために最大限の努力をするよう、経済団体・主要企業に指導・監督を強化すること。
(2)中小企業に対する銀行の「貸し渋り、貸しはがし」をただちにやめさせること。

 麻生総理は、雇用に関しては「派遣契約を解除する際には、関連企業での就業あっせんなどをおこなうよう指導たい」と答弁しました。
 しかし、中小企業向け金融については「金融機能強化法の改定により民間金融機関の資本基盤を強化」と、従来の施策を踏襲する立場を表明しました。

麻生総理の金融サミット(G20)報告への代表質問(全文)

 私は、日本共産党を代表し、金融サミット報告に対して質問します。

 まずお聞きしたいのは、巨大金融機関やヘッジファンドを規制・監督する具体策について、麻生総理自身が、この会合でどのような提案をしたのかということです。

   この10年来、アメリカでは金融業界に大きな変化が起こりました。金融緩和・自由化政策のもとで、銀行の貸出し債権を売却し、それを証券化し、さらに他の金融商品と組み合わせて金融派生商品を次々とつくりだし、それらの投機的な売買を通じて価格をつり上げ、金融バブルを発生させてきたのであります。それを推進してきた張本人が、巨大な複合金融機関とヘッジファンドであったことは明らかです。麻生総理に、その認識はあるでしょうか。
 サミットで配布された「麻生提案」のどこを見ても、その活動を具体的に規制する提案がないのはなぜでしょうか。
 「麻生提案」のなかで、「自由な市場原理に基づく競争」が成長の基礎であると述べていることは重大です。
 これまで、アメリカ政府は「経済の活性につながる」として投機活動を放置し、まともに規制しませんでした。麻生総理の提案は、それを容認するものになっているのではありませんか。

 金融サミットの「宣言」は、アメリカの政策立案者、規制当局及び監督当局にたいして「リスクを適切に評価し対処しなかった」と批判しています。総理は、この指摘をどう受け止めているのでしょうか。

   また日本は、異常な低金利政策を長いあいだ続け、円を低金利で大規模に調達し、金利の高いドルで運用する「円キャリトレード」を増幅させたのであります。これが、アメリカの金融バブルを発生させる一因となったことは金融当局も認めており、日本にも重大な責任がありました。総理に、その認識はあるのでしょうか。

 結局、麻生総理は、金融サミットで「自由市場原則」を強調するアメリカに追随し、巨大金融機関やヘッジファンドを規制する具体策をしめすこともなく、目玉政策として、10兆円の「資金融通」を提案したのであります。これでは、日本は、単に「気前よくお金を出すだけの存在」と思われるだけではありませんか。

 総理は、「日本の経験を世界に伝える」言われました。しかし日本がやってきたことは、何でしょうか。
 乱脈経営で危機に陥った大銀行にたいし国民の税金を大規模に投入したこと、不良債権処理の名で中小企業に犠牲を押しつけたこと、リストラで労働者を減らし利益を上げたことであります。――これらは、何の責任もない国民に、金融機関の乱脈経営の犠牲を転嫁するものだったではありませんか。

   このため、「失敗しても最後は税金で救ってくれる」という安易な依存心を、日本の銀行業界にまん延させました。これまでの銀行甘やかし政策こそ、見直すべきではありませんか。

 最後に、「カジノ経済」破たんのツケを国民に回さない対策です。

 金融危機と景気後退を理由に、大企業が先頭にたって、派遣社員、期間社員をはじめ労働者を大量に解雇する動きが広がっています。たとえば、トヨタ自動車とそのグループ企業では7800人、日産780人、マツダ800人など、名だたる大企業が相次いで派遣社員や期間社員の削減計画を発表しています。
 これらの大企業は、「減益」になったとは言え、依然として莫大な利益をあげており、巨額の内部留保も抱えているのであります。こうした不当な人減らしを放置すれば、日本経済はますます深刻な事態となります。

 政府は、大量解雇を中止し雇用を維持する最大限の努力をはらうよう、経済団体・主要企業に対して指導と監督を強化すべきであります。
 中小企業への不当なしわ寄せを許さないことも重要です。景気後退を理由とした、中小企業に対する銀行の“貸し渋り・貸しはがし”が強まっています。ただちに、やめさせなければなりません。
 このことを求めて、質問を終わります。

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